すちゃらか映画レビュー!(その48・後編)
2003年7月12日以前トレイラー紹介をした際に、「主演のショーン・コネリーが監督と大モメしている」とお伝えした、「The League of Extraordinary Gentlemen」(邦題「ザ・リーグ」)ですが、どうやらなんとかブジに全米公開となったようです。
公式サイト→http://www.lxgmovie.com/
この映画――セットが壊れる(約700万ドルの損害)などのハプニングで撮影が遅れに遅れた上、今度は主演&製作のコネリーが監督と大激突、かなりトラブっていると聞いておりましたが、ようやく公開となった現在も、コネリーと監督との関係はかなりのブリザートが吹き荒れ、冷戦終結とはなっていない模様です。
↓「ショーン・コネリーとノリントン監督との不仲、修復不可能」(eiga.com)
http://www.eiga.com/buzz/030708/14.shtml
う〜む…。
この映画が成功すればコネリーは「ほらみたことか!」でしょうし、コケたらコケたで監督は「ざまーみぃ!」ってところでしょうね〜…。まあ私としては、映画が面白ければいいんですけど――こんな形(ボイコット)でプレミアってのはニャ〜…。
でも…ショーン・コネリーが怒ったら、コワイだろうニャ〜…。
73歳のおじーちゃんだけに、ガンコそうだもん〜…。
というわけで、「すちゃらか映画レビュー!」どす!
今日のお題も、先週と同じ「意識の流れと存在意義」。
新作(5〜6月に観た作品)レビューは、今日取り上げる作品のほか、あと4作ほど残ってます。
――ああ…なんとか来週で終わりたひ…。
「アバウト・シュミット」About Schmidt(2002・米)
IMDb→http://us.imdb.com/Title?0257360
日本公式サイト→http://www.about-s.jp/
監督:アレクサンダー・ペイン
脚本:アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー
出演:ジャック・ニコルソン、キャシー・ベイツ、ホープ・デイビス、他
ストーリー:
ごく平凡な男のシュミット(J・ニコルソン)は、とくに不満もない生活を営み、ごく普通に会社を定年退職。だが退職後の仕事のない毎日に身を余し、なにをしたらよいのかわからなくなってしまう。そんなある日、妻に突然先立たれ、さらに身を余すことになってしまったシュミットだったが、TVCMで見たチャリティに参加することを決め、アフリカの少年ンドゥクのスポンサーになる。そしてそれをきっかけに、彼は離れた場所に住むひとり娘ジーニー(H・デイビス)の結婚を阻止しようと決心、彼女の住む街へとキャンピング・カーを走らせるが――
どんなに仕事ができて、「この人がいなくなるとでっかい損失だな〜」と思うような人が辞めても、会社ってのは、ちゃーんとまわっていくもんなんだよニャ〜…。
主人公は66歳のシュミット。猛烈な仕事人間だったわけでもないのに、退職後のやりがいが見つからない。会社へ行かなくてよい生活に、なかなかグリップできない。自分はちっぽけな男で、権力も影響力もない。それは以前からよくわかっていたけど、退職してからというもの、そういった自分の無力さを痛感させられて仕方がない。
このシュミットというオヤジ。実にフツーで、最大公約数的な男で、世界中にゴロゴロいるであろうタイプなんだけど、そんな平凡男を演じたのが…ジャック・ニコルソン。キョーレツな役を演じることが多く、その煮ても焼いても食えない超個性的な演技で、観てる側をいつの間にか魅了しちゃう、あのニコルソンが!…ごくごくフツーのオヤジ役するなんて!
毒気のないニコルソンかあ…ちょっと心配だったけど、これがなかなかいけちゃった。それは――この作品がニコルソンの個性を生かしつつ、絶妙な群像劇に仕上がってるから。
人生の転機をむかえて、右往左往するシュミット。娘の結婚阻止という名目で一人旅に出る。娘が唯一、そんな自分を救ってくれると思ったからだ。
シュミットが道中に体験するさまざまな出来事に、観ていて思わず笑ったり、せつなくなったり。花ならまだ五分咲きの私ですら(←こら!)同情し、つい「結婚してもダンナより先には死ねないな〜」と思っちゃったんだから、世のシュミット予備軍のおじさんたちには、さらにグっとくるものがあっただろう。
シュミットを巡る人々が面白い。そのほとんどが、彼とはまったく違う観点で生きてきた人ばかり。そんな彼らとの交流で、シュミットは翻弄されていく。気の毒に感じさせたり、ホロリとさせたりするけど、全体的に描写はかなりユーモアに溢れていて、そのあんばいは実に絶妙(上手いな〜>監督)。
結局シュミットが最後に見つけた、残りの人生を豊かにしてくれるもの――それは。出かける前、ちょっとしたきっかけで見つけた、ある行為。ささやかで、それによって新聞に載るわけでもなく、ただの慰めかもしれない。でもシュミットにとっては希望だった――。う〜む。以前「最後に必ず希望がある自分の居場所探しストーリーに弱い」と書いたけど、この作品もその系統の作品だニャ!
ちなみに私は、シュミットが希望を見つけた(気付いた)瞬間の演出が特に好き。あの瞬間に――ペイン監督の「俺節」を感じちゃった。
でも。もし主演がジャック・ニコルソンじゃなかったらどうだっただろう?…たとえば――ダスティン・ホフマンだったら?
正直云って、ここまで注目されなかったかも。それは別にホフマンが悪いわけでも、また映画の出来が悪いわけでもなく――やはりニコルソンが特別な俳優だから、だ。
キテレツな役は多いけど演技は素晴らしく、誰からも愛され、その行動は常に注目の的。「彼ならなんかやってくれるだろう」と期待する人は多いだろう(私もそう思ったクチ)。そんな俳優に平凡な男を演じさせたんだから、やっぱ上手い配役したという観が強い。
う〜む…。ニコルソンの魅力とペイン監督のユーモアが上手く絡み合った、小粒だけどキラリと光る良作…って感じかニャ?
しかし…キャシー・ベイツって…勇気あるニャ〜……。
♯こんな人にオススメ
「ただせつない映画よりも、普遍性のある題材ながらもユーモアに溢れた映画が観たい」「ジャック・ニコルソンに一生ついて行きます!」
DVDで買うならどちらを選ぶか――
う〜ん…。好みを云えば「めぐりあう時間たち」より「アバウト・シュミット」。ただ、「めぐりあう〜」はアン・ロスの衣装が素晴らしいんだよニャ〜…。
公式サイト→http://www.lxgmovie.com/
この映画――セットが壊れる(約700万ドルの損害)などのハプニングで撮影が遅れに遅れた上、今度は主演&製作のコネリーが監督と大激突、かなりトラブっていると聞いておりましたが、ようやく公開となった現在も、コネリーと監督との関係はかなりのブリザートが吹き荒れ、冷戦終結とはなっていない模様です。
↓「ショーン・コネリーとノリントン監督との不仲、修復不可能」(eiga.com)
http://www.eiga.com/buzz/030708/14.shtml
う〜む…。
この映画が成功すればコネリーは「ほらみたことか!」でしょうし、コケたらコケたで監督は「ざまーみぃ!」ってところでしょうね〜…。まあ私としては、映画が面白ければいいんですけど――こんな形(ボイコット)でプレミアってのはニャ〜…。
でも…ショーン・コネリーが怒ったら、コワイだろうニャ〜…。
73歳のおじーちゃんだけに、ガンコそうだもん〜…。
というわけで、「すちゃらか映画レビュー!」どす!
今日のお題も、先週と同じ「意識の流れと存在意義」。
新作(5〜6月に観た作品)レビューは、今日取り上げる作品のほか、あと4作ほど残ってます。
――ああ…なんとか来週で終わりたひ…。
「アバウト・シュミット」About Schmidt(2002・米)
IMDb→http://us.imdb.com/Title?0257360
日本公式サイト→http://www.about-s.jp/
監督:アレクサンダー・ペイン
脚本:アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー
出演:ジャック・ニコルソン、キャシー・ベイツ、ホープ・デイビス、他
ストーリー:
ごく平凡な男のシュミット(J・ニコルソン)は、とくに不満もない生活を営み、ごく普通に会社を定年退職。だが退職後の仕事のない毎日に身を余し、なにをしたらよいのかわからなくなってしまう。そんなある日、妻に突然先立たれ、さらに身を余すことになってしまったシュミットだったが、TVCMで見たチャリティに参加することを決め、アフリカの少年ンドゥクのスポンサーになる。そしてそれをきっかけに、彼は離れた場所に住むひとり娘ジーニー(H・デイビス)の結婚を阻止しようと決心、彼女の住む街へとキャンピング・カーを走らせるが――
どんなに仕事ができて、「この人がいなくなるとでっかい損失だな〜」と思うような人が辞めても、会社ってのは、ちゃーんとまわっていくもんなんだよニャ〜…。
主人公は66歳のシュミット。猛烈な仕事人間だったわけでもないのに、退職後のやりがいが見つからない。会社へ行かなくてよい生活に、なかなかグリップできない。自分はちっぽけな男で、権力も影響力もない。それは以前からよくわかっていたけど、退職してからというもの、そういった自分の無力さを痛感させられて仕方がない。
このシュミットというオヤジ。実にフツーで、最大公約数的な男で、世界中にゴロゴロいるであろうタイプなんだけど、そんな平凡男を演じたのが…ジャック・ニコルソン。キョーレツな役を演じることが多く、その煮ても焼いても食えない超個性的な演技で、観てる側をいつの間にか魅了しちゃう、あのニコルソンが!…ごくごくフツーのオヤジ役するなんて!
毒気のないニコルソンかあ…ちょっと心配だったけど、これがなかなかいけちゃった。それは――この作品がニコルソンの個性を生かしつつ、絶妙な群像劇に仕上がってるから。
人生の転機をむかえて、右往左往するシュミット。娘の結婚阻止という名目で一人旅に出る。娘が唯一、そんな自分を救ってくれると思ったからだ。
シュミットが道中に体験するさまざまな出来事に、観ていて思わず笑ったり、せつなくなったり。花ならまだ五分咲きの私ですら(←こら!)同情し、つい「結婚してもダンナより先には死ねないな〜」と思っちゃったんだから、世のシュミット予備軍のおじさんたちには、さらにグっとくるものがあっただろう。
シュミットを巡る人々が面白い。そのほとんどが、彼とはまったく違う観点で生きてきた人ばかり。そんな彼らとの交流で、シュミットは翻弄されていく。気の毒に感じさせたり、ホロリとさせたりするけど、全体的に描写はかなりユーモアに溢れていて、そのあんばいは実に絶妙(上手いな〜>監督)。
結局シュミットが最後に見つけた、残りの人生を豊かにしてくれるもの――それは。出かける前、ちょっとしたきっかけで見つけた、ある行為。ささやかで、それによって新聞に載るわけでもなく、ただの慰めかもしれない。でもシュミットにとっては希望だった――。う〜む。以前「最後に必ず希望がある自分の居場所探しストーリーに弱い」と書いたけど、この作品もその系統の作品だニャ!
ちなみに私は、シュミットが希望を見つけた(気付いた)瞬間の演出が特に好き。あの瞬間に――ペイン監督の「俺節」を感じちゃった。
でも。もし主演がジャック・ニコルソンじゃなかったらどうだっただろう?…たとえば――ダスティン・ホフマンだったら?
正直云って、ここまで注目されなかったかも。それは別にホフマンが悪いわけでも、また映画の出来が悪いわけでもなく――やはりニコルソンが特別な俳優だから、だ。
キテレツな役は多いけど演技は素晴らしく、誰からも愛され、その行動は常に注目の的。「彼ならなんかやってくれるだろう」と期待する人は多いだろう(私もそう思ったクチ)。そんな俳優に平凡な男を演じさせたんだから、やっぱ上手い配役したという観が強い。
う〜む…。ニコルソンの魅力とペイン監督のユーモアが上手く絡み合った、小粒だけどキラリと光る良作…って感じかニャ?
しかし…キャシー・ベイツって…勇気あるニャ〜……。
♯こんな人にオススメ
「ただせつない映画よりも、普遍性のある題材ながらもユーモアに溢れた映画が観たい」「ジャック・ニコルソンに一生ついて行きます!」
DVDで買うならどちらを選ぶか――
う〜ん…。好みを云えば「めぐりあう時間たち」より「アバウト・シュミット」。ただ、「めぐりあう〜」はアン・ロスの衣装が素晴らしいんだよニャ〜…。
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