いまさらながら、2008年度マイベスト10映画を。私の場合、「好きな作品=出来がいい作品」とは限りません。出来がいいとは云えない、くだらない映画も大好きです。ちなみに映画に点数付けたり星評価したりするのはニガテなので、いつも「ああ、あの映画が面白かったな、私好みだったな」と思いながら、漠然と頭の中でフェイバリット順位を付けております。なお、「私好みの映画」については、「プロフィール」をクリックすると、なんとなくお分かり頂けるかなと。

すっかり映画系だということを忘れられているでしょうね…でもいちおうマイベストは書いておきます。

■2008年度マイベスト10映画

1.「イースタン・プロミス」
2.「ダークナイト」
3.「ウォーリー」
4.「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」
5.「アイアンマン」
6.「幻影師アイゼンハイム」
7.「JUNO/ジュノ」
8.「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」
9.「バンテージ・ポイント」
10.「幸せになるための27のドレス」

こんな感じかな。
解説が必要なのは…4と6と10あたりでしょうか。

4は、ゾンビ映画のパロディ「ショーン・オブ・ザ・デッド」(秋林の2004年ベスト10入り作品。大傑作)で、世のマニアな映画ファンを唸らせたエドガー・ライト&サイモン・ペッグコンビによる作品。私、このコンビがもう大好き!…内容は、ロンドンから田舎町に左遷された警察官のアクション・コメディなんだけども――「ダーティハリー」はわかる、でもまさか「ハートブルー」でくるとは思ってなかったー!と、映画館でひとりコロコロ笑い転げてしまったのでした。「ショーン・オブ・ザ・デッド」に続いて、ビル・ナイ出演なところもポイント高し。「銀河ヒッチハイク・ガイド」は、このコンビで映画化して欲しかったなー。ヘタレなオビ=ワンことスラーティバートファーストだって、ビル・ナイだったしー。

6は、もう3年以上前に「日本でも公開しないかな~」とこの日記で語った、エドワード・ノートン主演による、身分違いのロマンス(←大きなポイント)がベースになっている天才魔術師ミステリーもの。「あ~あ、このままDVDになっちゃうかな~。『プレステージ』は公開されるのに」と思ってたら、まさかまさかの2年越し日本公開。良かった良かった♪…「プレステージ」同様、ネタバレが命取りになるので多くは語れないんだけど、日本ではその種明かしだのイリュージョンの出来だの、オチに「な~んだ」という評価を下す人が本当に多い。「プレステージ」やこの作品で描かれているものがなにか、なぜ海外では評価が高いのか――日本人にはわかりづらいんだろうな…。ただしシャマランに関しては、(一部マニアを除き)全世界共通で、「お前な~…その展開とオチをもうちょっとなんとかしろよ!」だな。

10は、27回も花嫁付添い人として友人の幸せを見届けてきた女性のラブ・コメディ。主演が「グレイズ・アナトミー」のキャサリン・ハイグル――って、それよりもなによりも、ジェイムズ・マースデンですよ!あの当て馬・フラレ男がとうとう!うわわああああああああん!と、そっちで感動してしまった作品。「魔法にかけられて」がやっぱりあーだったので、もうホント良かったよー♪


以上、「2008年度マイベスト10映画」でした♪
いまさらながら、2007年度マイベスト10映画を。私の場合、「好きな作品=出来がいい作品」とは限りません。出来がいいとは云えない、くだらない映画も大好きです。ちなみに映画に点数付けたり星評価したりするのはニガテなので、いつも「ああ、あの映画が面白かったな、私好みだったな」と思いながら、漠然と頭の中でフェイバリット順位を付けております。なお、「私好みの映画」については、↑の「プロフィール」をクリックすると、なんとなくお分かり頂けるかなと。

毎年、「ちょっとだけ映画感想&デキゴトロジー」を書いてから、ベストを書いてるのですが、今年は密林の画像が出なくて書き気が…なので、ベスト作品を先に書くことにしました。

以下、「昨年公開された私が好きな映画10本」です♪

■2007年度マイベスト10映画

1.「パンズ・ラビリンス」
2.「ピンチクリフ・グランプリ」(リバイバル)
3.「ボーン・アルティメイタム」
4.「パフューム 〜ある人殺しの物語〜」
5.「世界最速のインディアン」
6.「あるスキャンダルの覚え書き」
7.「題名のない子守唄」
8.「デジャヴ」
9.「ヘアスプレー」
10.「プロジェクトBB」

こんな感じかな。

1位はもうぶっちぎりでこれしかない、ギレルモ・デル・トロ監督のダーク・ファンタジー「パンズ・ラビリンス」。過酷で残酷な現実から、仮想・幻想・空想によって救われた少女のお話で、スクリーンに映し出されていく感性と悟性、そしてイマジネーションに涙しました。 ギレルモ・デル・トロ(あとテリー・ギリアムもそう)は、でかいスクリーンで観ることを前提に映像を作っているように思えます。なので、どんなことがあっても映画館で観ることにしています。

2位は、いつかリバイバルしてくれると信じ、ずっと待っていた人形アニメの大傑作「ピンチクリフ・グランプリ」。のんびりと始まり、後半は緊迫感に溢れたレースシーンへ。これがとても人形アニメーションとは思えない。しかも30年以上前の作品というだから、またビックリ。人形アニメは「ウォレスとグルミット」しか知らないという方、ぜひDVDをご覧下さい。

3位「ボーン・アルティメイタム」は、2007年最高のアクション映画だったのではないでしょうか。マット大西くんが「もっともセクシーな男性」に選ばれるあたり、時代も変わったなあと。

4位「パフューム」は、殺人者が主人公の…寓話です。原作を上手く映画化していると思うんだけどな〜。

7位「題名のない子守唄」は、もし淀川先生が生きておられたら、絶賛されていたのではないでしょうか。「ニュー・シネマ・パラダイス」が有名なトルナトーレですけども、私は彼の映画では断然「記憶の扉」や「マレーナ」のほうが好きです。この「題名の〜」は、どちらかといえば後者に入る作品だと思います。

★参考:「淀川長治の銀幕旅行『記憶の扉』」(産経新聞ENAK)
http://www.sankei.co.jp/enak/yodogawa/96/96doorinmemory.html
(ポランスキーが俳優としてドパルデューと共演してます)


8位「デジャヴ」は、実はツッコミだらけのトンデモ映画に属するのですが、辻褄うんぬんはどーでもよく、とにかく主役を演じるデンゼル・ワシントンの「あの女性を救いたい」というひたむきな思いに引き込まれ、胸キュンしてしまいました。あの真摯さは、デンゼル様だからこそ。もし違う俳優だったら、そこまで思わなかったでしょう。

10位「プロジェクトBB」は、もういいんです!ジャッキーとマイケル・ホイとユン・ピョウが出て、バカやってくれるなら!…ただ126分はちょっと長かったかな?

あとはそうだなあ、「ドリームガールズ」「今宵、フィッツジェラルド劇場で」「パリ・ジュテーム」「ブラックブック」「ブラッド・ダイヤモンド」「主人は僕だった」「ダイハード4.0」「300」「トランスフォーマー」「シッコ」「タロットカード殺人事件」「ボラット」「ヴィーナス」あたり。たぶんまだありますが…忘れた。思い出せなーい。

以上、「2007年度マイベスト10映画」でした♪
いまさらながら(いろいろあって書くのが遅くなったんです)、2006年度マイベスト10映画を。私の場合、「好きな作品=出来がいい作品」とは限りません。出来がいいとは云えない、くだらない映画も大好きです。ちなみに映画に点数付けたり星評価したりするのはニガテなので、いつも「ああ、あの映画が面白かったな、私好みだったな」と思いながら、漠然と頭の中でフェイバリット順位を付けております。なお、「私好みの映画」については、↑の「プロフィール」をクリックすると、なんとなくお分かり頂けるかなと。

以下、「昨年公開された私が好きな映画10本」です♪

■2006年度マイベスト10映画

1.「ブロークバック・マウンテン」
2.「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」
3.「父親たちの星条旗/硫黄島からの手紙」
4.「ぼくを葬る」
5.「サンキュー・スモーキング」
6.「マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して」
7.「スキャナー・ダークリー」
8.「ナイロビの蜂」
9.「トランスアメリカ」
10.「イルマーレ」

…暗い。
なんで2006年は暗い作品を多く選んじゃったんだろう?
フツーにオススメできないのばっかり。

ちなみに5位の「サンキュー・スモーキング」には、あのキモガキ子役キャメロン・ブライトくんが出演。アタシってば、2006年のキャメロンくん出演映画をコンプリート観賞してしまった。……。

それぞれ感想を書けたらよかったんだけど…時間切れです。

あとはそうだなあ…「ラストデイズ」「ピンクパンサー」「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「ハッスル&フロウ」「親密すぎるうちあけ話」「あるいは裏切りという名の犬」「カオス」「トリスタンとイゾルデ」「プラダを着た悪魔」「リトル・ミス・サンシャイン」あたり?…う〜ん、まだほかにもあったように感じるんだけどなあ…思い出せないです。

以上、「2006年度マイベスト10映画」でした♪
2006年度下半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が昨年下半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。

なんで今ごろ昨年の下半期を振り返ってるんだ?…って云われそうですが、その…いろいろありまして…ブログに書くのが遅れに遅れちゃったんです。タイムリーでなくてすみましぇん。

■「カポーティ」
以前、スピルバーグがカポーティに会ったことを熱っぽく語っていた話が雑誌に載っていて、米国人はよくよくカポーティが好き(フィッツジェラルドも好きだよね)なんだ、映画にもちょくちょく出てくるし…と思っていたら、『冷血』執筆時のカポーティを描いた映画が公開された。本作でカポーティを演じたホフマンはオスカーをゲット。

う〜ん…インタビュー映像でしか知らないので、実際のカポーティがどんな人なのかわからないんだけども、この映画でのカポーティは「いまどきのセレブ」だった。背が低く、太っていて、ゲイ。アルコールにドラッグ。パーティでは囲まれ、皮肉とジョークが効いたトークとゴシップで笑いを誘う。あの時代だったら、たしかに南部(ルイジアナ出身)にはいられない、NYの社交界でしか生きられなかった人だろうな…。

印象的だったのは、本編中にカポーティが目の当たりにしたものや出来事などすべて、観客も一緒に体験したということ。惨殺された遺体が棺桶の中でどう処理をされているか、処刑執行シーンで犯人の身体が下へ落ちていく瞬間など、普通だったら最後まで映さなくてもいいだろう、それと対峙したカポーティの表情だけで充分だろうというところまで――全部、ハッキリと。同じ体験を通して、自分とカポーティの間にどれだけ感じ方や思考に差があるか、そんなことをはかっている自分に気付いた。実はあの独特と云われた人も普通の感性を持っていて、自分とさほど差がないんじゃないか。カポーティが映画通りの人であったかはわからないけれど、ついそんなことを思いながら観賞してしまった。作用力(←日本語ヘン。あとで直そう…)を感じた1本。

■「イカとクジラ」
ケビン・クラインとフィービー・ケイツの息子オーウェンくんが出ている(!)という理由だけで観に行った。オーウェンくん、演技は可もなく不可もなくなんだけど…ルックスが(あのふたりの子供なのに)微妙。でも子役はバケるからなあ。

■「王の男」
なんだか懐かしい愛憎劇だった。JUNEっぽいっつーか。「王の男」って邦題もイイね。でもなんで私のハートを貫くほどじゃなかったんだろう?と考えていたら、オッシーに「そりゃー、(受と思われる)コンギル役のイ・ジュンギが、秋林さんの好みから大きくハズれてるからですよ(←どうしてわかるの?)。もしコンギルが玉木宏だったら、秋林さん、確実に2〜3回は観に行って、DVDも発売当日に買ってますね」と回答されてしまった。玉木くんがコンギル?―――(想像中)―――鼻血ブー!!

■「トリスタンとイゾルデ」
中世暗黒時代のケルト伝説、悲恋の古典を映画化。「禁じられた愛の物語」、ベタベタのラブストーリーとして、私のハートを貫いたのはこっちのほうだった。いいわ〜♪

あの人の花嫁として私は海を渡る、愛しい人が待つあの国へ。でも夫になるのはあの人ではなく王だった――。イゾルデが密かに愛するトリスタンはマーク王の腹心、王とイゾルデの初夜に悶えるトリスタン…うう…もうせつないっ!…ちょっと影のあるトリスタン役は、オーリが演じるとヘタレになる(←ホメてます)ので、ジェイムズ・フランコでピッタリ。アタシでもホレるトリスタンぶり。いいわ〜♪…少年時代のトリスタンを演じたトーマス・サンスターくん(ヒュー・グラントのいとこ)もカワイイ♪

ビックリしたのはマーク王役のルーファス・シーウェル。時代モノによく出ている俳優さんなんだけど、いつもわかりやす〜い悪玉役なので、マーク王はイヤなヤツだろうと思ってたら、これが素敵な王様で(彼が演じてきた中ではもっともいい役だと思う)。私がトリスタンでも忠誠を誓うし、イゾルデだったら心中フクザツだ。

音楽良し、映像良し、キャスト良し、ストーリー良し。製作に回ったリドリー・スコットが、最初の予定通り監督していたら、もうちょっと映像がスタイリッシュになったかもしれないけど、これはこれでいい出来だと思う。廉価版DVDが出たら買おうっと♪

■「007/カジノ・ロワイヤル」
新ボンドのダニエル・クレイグが身体を張ってた冒頭のチェイスシーンを観ていて、ふと思ったんだけど…ここ最近のアクション映画における悪組織の下っ端って――「M:i:3」や、最近観た「ダイハード4.0」でもそうだったように――なんだかヤマカシ化してない?…流行なの?…俳優もスタントマンもタイヘンだ〜。

ダニエル・クレイグは、キャスティングされたとき、ボロクソ云われていて可哀相だった。それがフタを開けてみれば絶賛の嵐。ボンドガールじゃなくボンドの水着姿が話題になったなんて、前代未聞だった。ただあの芸風だと、クレイグボンドのシリーズは少ないような気がする…ま、いっか、当分は楽しませてくれるでしょうし。

なかなか007のテーマが流れないとか、ひとりの女性を愛するボンドとか…なんとなく「女王陛下の007」を思い出してしまった本作で、何が一番印象的だったかというと――やっぱあの拷問シーン。最初、何が始まるかわかんなくて「?????なんでイスが?」だったのに、いざ始まるや「!!!!!!!!!」。痛いどころじゃないってば…。美容院で美容師さんと検証をしてしまったくらい、衝撃を受けてしまった。その昔、大学の講義で「欧州の拷問器具」なる外書講読資料を見たとき、「欧州人の考えることはヤバイ」と思ったけど…こりゃマジでヤバイ、と実感。

■「リトル・ミス・サンシャイン」
2006年は当たりハズレが大きいジャンルのロードムービーが多かった。その中でも、これはいい映画だったなあ。確かな演技力を持つ俳優が多かったし、安心して観ることができた。特にグランパ最高!…それにしても向こうの映画は、死体を持ってウロウロというシチュエーションが好きだね。わははは!

以上、「2006年下半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」でした。終わった〜!

すみません、続く…。
2006年度下半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が昨年下半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。

なんで今ごろ昨年の下半期を振り返ってるんだ?…って云われそうですが、その…いろいろありまして…ブログに書くのが遅れに遅れちゃったんです。タイムリーでなくてすみましぇん。

■「ブラック・ダリア」
巨匠ブライアン・デ・パルマの新作。ジェームズ・エルロイ原作で実話をベースにした猟奇殺人事件モノ。ブジ公開。前作「ファム・ファタル」がアレだったもんだから、デ・パルマにもう大手配給作品の監督依頼がこないんじゃないかとマジ心配してただけに、いや〜よかったよかった♪

え、出来?…そんなことより、冒頭のブラック・ダリアことエリザベス・ショートの死体が見つかるシーンだってば!

最初はまったく別の人物を捉えていたカメラが、クレーンでぐうううううう〜〜んとビルを飛び越え(!)、そのフォーカスはさらに道の向こう(!)の草むらにある死体に。でも状況すべては見せない。カメラは路地を通って(!)また元の位置(!)へ。そして刑事たちを映し出す……うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!スゴイ!さすが!

――以上!

■「トゥモロー・ワールド」
P・Dジェイムズ『人類の子供たち』を映画化、子供が生まれなくなって滅亡の危機にある人類を描いた近未来SFサスペンス。海の向こうでは高評価だけど、私には最後まで忍耐を強いられた1本で、とにかくしんどかった。ハッキリ云っちゃうと…ごめんなさい、つまらなかった…いや違うな、好みじゃなかった。

たぶんその…近未来の「子供が生まれなくなる」という危機感より、今現在ニュースでよく見られる「赤ちゃんポスト」「子供を育てられない親」だとか、「戦闘に駆り出される子供」「ストリートチルドレン」だとか…そういった問題のほうが――少子化だって騒がれているけど――私にはより身近に感じられたのだと思う。つい現実と比較して考えちゃったのは、「トゥモロー・ワールド」に近未来な雰囲気が感じられず、たとえば、街並み・住居・森・車・バイク…などがずいぶんと現代的だったからで(設定が2027年なので、突飛にしなかったんだと思う)、逆にそんな描写だったからこそ、少子化問題含め、将来起こりうるかも?と興味深く観た人もいるだろうな。そういう意味では、近未来SF作品として画期的な描写を選択した1本と云えるかもしれない。

どうして子供が生まれなくなったか、そんな状況でなぜキーが妊娠したかなどの細かい設定や、概念的で抽象的とも云えるラストなど、あえてすべてを描いていないところは私好みだった。とゆーか、この映画にそれらをキッチリ描き込む必要性はないんじゃないかな?

話題になって、各撮影賞をゲットした「クライマックスの戦闘シーンでの長回し」に関しては、スゴイと思う、でも私はやっぱデ・パルマ御大のぶっ飛び長回しのほうが好みであって…えっと…その…。え?比較するな?…う〜ん、ごめんちゃい!

■「プラダを着た悪魔」
メリル・ストリープがファッション誌鬼編集長を演じたコメディ。映画にさほど興味のない人でも、なぜメリルが現在最高の女優であるか、これでわかると思う(この映画がいままでの出演作の中で一番わかりやすい)。彼女ひとりだけセリフを喋ってない。ほかの俳優/女優たちは役を演じているのに、彼女ひとりだけ、実在の人物のよう。あるいは、ひとりだけ脚本を渡されていない、アドリブのみ許されている女優とでも云うか。自然な演技というレベルじゃない。たとえばTVミニドラマシリーズ「エンジェルス・オブ・アメリカ」で、求められて舞台演技(TVドラマなのに!)をしていたときも、口から出てくる言葉がセリフとして聞こえてこなかった(アルパチやエマ・トンプソンはセリフを喋っていたのに!)。バケモノ女優だね…。

映画はとても面白かった。ただ私がアンディだったら、もうちょっとミランダのそばで勉強したと思う。どんなに異常で私生活と両立できなくても。将来自分のためになるとわかるから。そう思う人が残っていく…いや、そう思う人しか残っていけない業界なんだろうな…。

■「手紙」
本来なら観賞リストには入らないこと確実な作品なのに、観に行ったのは――ムショの中の玉鉄が観たかったから。腐っとるっ!喝!>秋林

そんな私の感想は…そうだな、俳優陣、各エピソード、ストーリー、演出――そのどれもがTVドラマのようで映画を観た気がしなかった。なんで映画にしたの?TVドラマとして放送してもよかったんじゃ?

■「氷の微笑2」
……大ショック。
観逃したあああああっ!!

あんなに早々打ち切られるなんて思ってなかった…。

「6」(たぶん最後)に続く。
2006年度下半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が昨年下半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。

なんで今ごろ昨年の下半期を振り返ってるんだ?…って云われそうですが、その…いろいろありまして…ブログに書くのが遅れに遅れちゃったんです。タイムリーでなくてすみましぇん。

■「もしも昨日が選べたら」
1年も待たずにサンドラー映画公開!バンザーイ!…こんなに早く公開されるということは、もしかして面白いとか?…と期待しながら観に行ったら、たしかにサンドラー映画の中では上出来で面白い、人生の早送り・巻き戻しができるリモコンをゲットした主人公が、騒動を巻き起こして因果応報な目に遭う「ドラえもん(風)映画」だった。うひょー。今回の相手役は、サンドラー映画歴代相手役の中でもピカイチ美人のケイト・ベッキンセイル。あんな美人さんが、よく下ネタ満載サンドラー映画に出てくれたなあと、ちょっと感動(うわ〜ん、ありがとう!>ケイト)。でもこのふたりでケミストリーは生まれるの?と心配したら、これがすんごく良くてビックリ。怪しげな発明家役にクリストファー・ウォーケン。ハマリ役すぎて大笑い。

あ〜…あんな万能リモコンがあったら、私もちょっと使っちゃうだろうなあ…。

■「ビッグ・リバー」
国籍の違う男女が米国を車で旅するロードムービー。オダジョが出ているので観に行った。そしたら…。私はもう何本もこの手の「アテのない自分探しロードムービー」を観てきたから、でかい文字で書かせてもらうけど――

ジャームッシュにヴァン・サントもどきは、もうたくさんだーっ!!

そして長すぎ。退屈。
1時間半くらいの映画なのに3時間あるかと思った。

万能リモコンがあったら確実に早送りの1本。

■「レディ・イン・ザ・ウォーター」
とにかく観ないと話に参加できない(=ネタバレなしでは語れない)シャマラン映画なので、観に行ったんだけど――いや〜、コーブ・アパートの住人が純粋な人ばっかでよかったね!>水の妖精さん

………。
シャマランって、俳優となっていいほどのインド美形だと思うし、実際にその自覚があるから自分の映画に出るんだろうけど、シャマラン自身がシャマラン映画に出てくると、一気にガクっとなるんだよなあ…。しかも今回の役はけっこう重要な役で「将来世界を変える作品を書く運命の作家」。妖精さんがそれを話してシャマランが真剣な顔して聞いているシーンを観たとき、「はあ?」。そーゆー役を自分で演じる??…シャマランの事務所には、彼が書いた脚本が箔押タイトルに革張り製本されて並んでるそうだし…そんな人に何を云ってもダメ、ヘタすりゃ犬を嗾けられるかもよ?…という作品…か。トホホ。

■「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」
前2作は日本車がいろいろ出ていたよな〜と思っていたら、キャラ一新、まったく関係のないストーリーで舞台が日本、というPART3が作られた…けど、やっぱり日本じゃなくトンチキジパングだった。ひやっほうっ♪…日本語のできないフツーのカウボーイ(メリケン人という意味です)高校生が、いきなり日本の公立高校に転校って…チャレンジ精神と根性は買う、でもそりゃありえないってばっ!ぎゃはは♪

ドリフトキング、高校生、バトル…ということで、本作は「頭文字D THE MOVIE」の「ワイルド・スピード」シリーズ版という感じ。映画「イニD」を観たとき、見所である「ドリフト!華麗なる下り峠攻め!」より、主人公・拓海が着ていた南葛10番Tシャツのほうに目が奪われた時点で、私は映画「イニD」をとやかく云う資格を剥奪されたと思うんだけど、あの映画は、たしかにしげの秀一の原作をリスペクトした出来だった。がしかし、残念ながら、しげのマンガ名物の三角パンチラがなく、「ダメじゃん!再現しなきゃ!」と残念に思っていた。そしたらなんと!この「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」の冒頭で、そのパンチラが見られるとはっ!ひやっほうっ♪…監督のジャスティン・リン、よくわかってるね!…って、なんで私が「ワイルド・スピード」に、そんな感想を持たねばならないのよ…ぶつぶつぶつ。

■「エコール」
日本公開時の惹句(タグライン)は、「大人に孵化する前の、純粋無垢(イノセント)な少女たちの世界へ、ようこそ」。

美しい森の中の、6〜12歳の女の子ばかりを集めた寄宿学校。生徒のほかは、ふたりの女性教師、年老いた召使だけ。ハリウッドでは絶対に作られないだろう、究極のロリータ作品だった。ストーリーは惹句そのまんまの内容で、美しい森の中の学校で勉強する少女たちの姿を淡々と描いているだけなんだけども、鑑賞中の緊張感と云ったら、もうすごかった。観終わってあんなに疲れたのは、久しぶり。なぜって、鑑賞中ずっと、この可愛い子たちが襲われないだろうか、なんぞ無体な目に遭わないだろうか…心配で心配でたまらず、ヒヤヒヤの連続だったから。

ところがそれより大問題で、私を大きく傷つけたのが、劇中に出てきた「美人の基準」。校長先生(だったかな?)が生徒の代表を選ぶ際、生徒の首の長さを測り出して――大ショック!そう…そうなんだよね、首が長いほうがエレガントで綺麗なの。自分のコンプレックスをスクリーンでモロ見せられちゃった。残酷。それで選ばれなかった子はショックだよね…。

というような(?)映画なので、水城せとなのマンガが好きな女性にオススメ。男性が観るなら――「少年の現実、閉塞感から生まれる痛み」を描いたケン・ローチの大傑作「ケス」をオススメします。

「5」に続く。

続きます。
2006年度下半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が昨年下半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。

なんで今ごろ昨年の下半期を振り返ってるんだ?…って云われそうですが、その…いろいろありまして…ブログに書くのが遅れに遅れちゃったんです。タイムリーでなくてすみましぇん。

■「スーパーマン リターンズ」
上映時間に間に合いそうになかったので、映画館までタクシーを使うことに。

運転手さん:「映画!いいねえ!なにを観るの?」
私:「『スーパーマン リターンズ』です」
運転手さん:「今度の新しいスーパーマンは、公衆電話BOXで着替えないんだって?」
私:「え?そうなんですか?」(←知らなかった)
運転手さん:「そうだよ〜♪僕も観に行きたいんだよね、スーパーマン!…仕事しながら、ついあのテーマソングを歌っちゃうんだよ〜♪ちゃ〜ら〜ちゃら〜ちゃら〜…♪」

……運転手さん。
その…いま歌ってる曲って、「スター・ウォーズのテーマ」なんですけど。
………。気持ちはわかる。

■「X-MEN ファイナル ディシジョン」
興行成績・評価ではともに上から数えたほうが早い、成功したアメコミ映画と云っていい「X-MEN」シリーズの3作目。出演者が老けたのは仕方がないけど、監督(および脚本)のブライアン・シンガーが抜けただけで、こんなに変わっちゃうの?…繊細に「ミュータントへの偏見、哀しみ、人間との共存」を描き、アクションは小気味良く流れ、中だるみしながらもシリアスな場面にギャグを挿入…と、「2」まではシンガー節炸裂だったのに、ブレット・ラトナー監督による「3」は、「1」「2」がなくても完全成立しそうな、と〜っても大味な娯楽作になっていた…。ガーン。

ローグがウルヴァリンに「拳から爪を出すとき痛い?」と訊いて、ウルが「ああ、痛い」と答えるシーンが「1」にあって(ベストシーンである)、シンガー版「X-MEN」を見事端的に表現していた。なのに「3」ときたら、そんな人間味のあるシーンすらなく、ミュータントが大暴れしただけ(簡単に死んじゃうわ、力なくすわ…トホホ)、伏線回収し忘れの「ああ諸行無常」ストーリーで終わってしまった…。しかもあんな終わり方しておきながら、続編の含みを持たせるなんざ、サイテーだ!!バカヤロー!!

そしてサイクロップスが哀れで哀れで哀れで…扱いだけでなく、出演シーンの短さまで際立っていて、とにかくかわいそうだった。主要ミュータントだったのにー!…演じてたのが、これがまたフラレ役/当て馬役の多いジェイムズ・マースデンでね、「X-MEN 3」では登場が少なかったけど、ブライアン・シンガー監督・脚本「スーパーマン リターンズ」では出番多めだったのよ、でも役どころがやっぱりロイスの当て馬役でね(…シンガーくん?)――

誰か彼をしあわせにしてやってくれーーーー!!

★突然ですが「ジェイムズ・マースデン情報」!♪ドンドン!パフパフ〜♪
この前「めざましTV」を見ていたら、来春公開予定のディズニー実写映画「魔法にかけられて」のトレイラーが流れ、王子様役がどう見てもジェイムズ・マースデンだったのでチェックしてみたら、やっぱり彼でした。今度こそヒロインをゲットしてもらいたい!…けど…も…トレイラー観る限り、これがまたトンチキな王子様で…かな〜り不安。(今度こそ)フラレなければいいんだけどな…頑張ってくれ!ジェイムズ(as エドワード王子)!

↓「魔法にかけられて」トレイラーはこちら(公式サイト)
http://disney.go.com/disneypictures/enchanted/
(自動的に流れますので、会社からチェックの方は要注意)

あと、特殊ミュータント役で、またもやキモガキ キャメロン・ブライトくんを発見。……。

■「ザ・センチネル 陰謀の星条旗」
米国大統領を守るシークレットサービスが、陰謀に巻き込まれる話。大統領を守るはずの男が、なんとファースト・レディに手を出し不倫中(!)、しかも演じるのがマイケル・ダグラスとゆー、そんな役演じて説得力あるのは、彼かジョージ・クルーニーくらいでしょ!…とキャスティングだけで納得、その時点で(私の中では)終了した作品。だってさほど面白くもなかったし…。

ところでマイケル・ダグラスといえば、以前、ロブ・ライナー監督の「アメリカン・プレジデント」というロマンス映画(ホントに恋愛モノなんですってば!)で恋する大統領を演じていたんだけど、これが意外に似合ってて面白く、しかもうっかり「マーティン・シーン×マイケル・ダグラス」だとまで思ってしまった。……。ウソじゃないってば!私の目には、そう映ったんだってば!!

■「記憶の棘」
再婚を考えた美しい未亡人アナの前に、亡き夫の生まれ変わりだと主張する少年が現れる。最初は少年のいたずらだと思っていたが、少年は夫しか知りえない秘密を知っていた。再婚を前にアナの心は乱される…というストーリー。少年が本当に生まれ変わりなのか、ハッキリ知りたい観客は多いだろうな。でもこの映画は、謎が明らかになっていくという謎解きをメインにしていない、とてもシンプルな愛の物語に(私は)思えた。

愛する人を突然失ったひとりの女性が、時間が経ち、次の愛を考えられるようになっても、「あの人を愛した」という記憶を消すことができず、葛藤する。もちろん、愛した事実と思い出を消す必要はないのだけど、アナという女性は思い込みが激しく一途に人を愛する――ある意味、とても不器用な人なので、再婚を前に揺さぶられる自分が許せず、そして抑えることができない。見た目はとても洗練されているだけに、そのギャップも大きい。じゃあ彼女が愛した夫は、同じように彼女を愛していたのか…というと、これがまたつらい話が待ち受けていて――私はただただせつなかった。

主演のニコール・キッドマンは、もともとオーバーアクト気味なところがあるので、こういう思い込みの激しい「恋に落ちたら命がけ、真剣に真っ逆さま」という役が似合うね。そして、静かに暮らしている洗練された上流階級の描写に唸った。実はこんな感じなんじゃないかな?<NYの上流階級

夫の生まれ変わりと主張する少年役に、あのキモガキ キャメロン・ブライトくん。いや〜、アナの気持ちが分かるとゆーか、夢に見そうなキモ具合だった(←ホメてます。絶賛に近い)。お風呂のシーンではマジ怖かった…うえ〜ん!

好みはキッチリわかれるだろうけど、私は好きな作品。でもオススメはしない。

「4」に続く。
2006年度下半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が昨年下半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。

なんで今ごろ昨年の下半期を振り返ってるんだ?…って云われそうですが、その…いろいろありまして…ブログに書くのが遅れに遅れちゃったんです。タイムリーでなくてすみましぇん。

■「狩人と犬、最後の旅」
ロッキー山脈で自給自足の生活を送る実在の老トラッパー(罠猟師)ノーマン・ウィンター主演の、半ドキュメンタリーかつアドベンチャー映画。最初に出てきたノーマンの愛犬ナヌーク(そーいえば「ロストボーイ」でコリー・ハイムが飼ってた犬も同じハスキーで、名前も同じナヌークだったなあ)が大変に賢く、山では颯爽とした活躍を見せるのに、下界に下りた途端、無能になってしまうというのがせつなかった。飼い主のノーマンもそういうタイプなんだろうな…。動物愛護団体やベジタリアンはいろいろ云うだろうけど、「自然は人間の手で調節しなければ(=だから山に猟師は必要であり、自分たちは狩りをするのである)」というトラッパーたちの言葉に、人間としての驕りは感じられない。自然とともに生きてきた人の真摯な言葉は、それもまた真実であると私は思う。

■「マッチポイント」
「は?ウディ・アレン監督作なのに、舞台が(NYではなく)英国ロンドンだあ?」と少々驚いて観に行ったら、「BBC Films」のロゴがでーん!とスクリーンに現れ、納得。ナルホド、スポンサー事情ね、そっかそっか>ウディ

ワーキングクラス出身の元テニスプレイヤーの男が、アッパークラスに憧れて資産家に取り入り、成り上がろうとするが、そう簡単にはいかなくて…という、ストーリーおよび結末もなんとなくパトリシア・ハイスミスの小説『リプリー』(映画「太陽がいっぱい」じゃなく、原作のほう。ラストが決定的に違う)を思い出すような内容だった。ただその…「運」を巡って、ブラックな展開を見せるコメディかつサスペンスなのはいいんだけど、私が期待した「英国風のちょっと壊れた皮肉なユーモア」を感じさせる登場人物やセリフというものが全然なかった。アッパークラスのおしゃべりも上っ面でなんだかなあ…。監督・脚本が米国人であるウディなので仕方ないとはいえ、演じてるのが英国系俳優ばっかりだったから、なおさら「外国人が英国を舞台に映画を撮ってみました」雰囲気炸裂、さらにオペラまで鳴り響いちゃって、うわ〜、これ観た英国人はみなさん「………。」だったんじゃ?…まあ、英国市場だけを狙って製作されたわけじゃないだろうし、そもそも極東女子がそんな見方をすること自体がおかしいか。ごめんちゃい!>ウディ

スカジョは特に上手い女優とは思わないけど、前半の魔性の女より後半のウザイ女っぷりが実に見事。「黙れよ、お前!」と観客に思わせたあたり、ナイスキャスティング。あんなハスキーボイスとフシギな色気を持っている若い女優さんって、ほかにいないよね。でも年齢を重ねたらどうなるんだろう…。

■「キンキーブーツ」
この映画の主人公チャーリーのほうが、よっぽど英国男って感じがする。でもその…予想以上に「フツーにハートフルなちょっといい映画」だったので、思いっきり毒牙を抜かれた。実話をベースにしているから遠慮もあるのかな?…ま、私も定期的にこうやって毒牙を抜かれたほうがいいんだろうな、どうせまた生えてくるんだろうから。……。英国が舞台で実話ベースにしたハートフルコメディに、数年前公開された「カレンダー・ガールズ」(好きだ♪)ってのもあったけど…って、あ!あの映画と脚本家が同じなんだ!…ふ〜ん、そっか…。

■「ユナイテッド93」
9.11、実際に現場で働いていた空港の管制官やクルー、一部の軍関係者が自らの役でそのまま出演、ただ、事件のあったユナイテッド93便の乗員・乗客役に当事者がひとりもいないだけ、93便の中で繰り広げられただろうドラマを、製作側が念入りに行ったという取材に基づきながら、最初から最後まで傍観者視点、淡々淡々淡々淡々の積み重ねで貫き描いて強烈な印象を残す、ある意味とってもエンタテイメントな墜落映画。墜落映画ってなんじゃそりゃ?と云われそうだけど、だって、93便が飛び立ってから落ちるまでの話だし、観終わった観客も気分的に墜落しちゃってそうな映画だから。やっぱジェットコースター映画って云ったほうがいい?監督が「ブラディ・サンデー」のポール・グリーングラス(英国人)で、そういえば、あの映画も俳優陣にスターがいなくて、実話をベースに悲劇の一部始終を、傍観者淡々視点の手ブレ映像で描いていたよなあと思い出し、製作発表を聞いたときから期待していた1本だった。グリーングラスだったら、乗客を英雄扱いした米国視点の「テロって最低!」というだけの映画なんざ作らない…ってか、作るわけないよねえ?…ちなみにこれ、製作はあのワーキング・タイトル・フィルムズ(WT社)。

傍観者淡々視点(フェア)なため、テロリストは非情かつ悪意に満ちた描かれ方はされていなくて、「実行犯として任命されてしまった人物」扱い。ヘタすれば「実行犯に選ばれてかわいそうに」と同情してしまうほど。乗客たちも英雄としてじゃなく、泣く人、電話する人、ヤケクソパワーで抵抗した人…として描かれていた。そしてオタオタするだけの管制塔と軍関係者(しかも演じるのは同じ人物…よく出演したよなあ)。マニュアルなんて役に立たなかった、無力だった、ざまざまな人がいたのに誰もテロは止められなかった。観客のほとんどはあの事件のときも傍観者だったはずで、またしてもこの映画の前で傍観者となってしまう。「テロって最低」と思う前に、「なんでなんだろう、なんでテロは起きるんだろう?」と、「なんでこんな目に遭うの?」と思っていただろう乗客と一緒に落ちながら、重く考えさせられた1本。どよーん。

「3」に続きます。
2006年度下半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が昨年下半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。

なんで今ごろ昨年の下半期を振り返ってるんだ?…って云われそうですが、その…いろいろありまして…ブログに書くのが遅れに遅れちゃったんです。タイムリーでなくてすみましぇん。

■「ウルトラヴァイオレット」
監督が「リベリオン」のカート・ウィマーということもあって、ご存知の方もおられるように、私め、この映画を3年間も追っていたので、悪評気にせず「ミラのミラーメールブロック」付き前売券を購入してまで、気合入れて観に行ったとゆーのに――なんでああなるの?!…完全に崩壊しているストーリー、プレステ3やWiiの時代にセガサターン版「Dの食卓」か?と思うほどのショボいCG…トホホ。とくにCG効果によるミラの肌の質感が最悪で、肌を映せない理由でもなんぞあるのかとマジ心配になった。あーうー。期待していたガンガタに至っては、北村龍平による演出(つまり最初と最後のカッコだけ)かと思った。ミラのゲロ吐きなんざ観たくなかったよう!…そしてあのキモガキ子役キャメロン・ブライトくんがねえ…ミラ演じるヴァイオレットの心を動かすほど可愛いとは思えず…ってか、思う人いるの?

■「ローズ・イン・タイドランド」
あの(!)テリー・ギリアム監督の新作が、「ブラザーズ・グリム」そして本作と――二年連続で観られるなんてなあ。映画館の席に座ってしばし感動。そしてやはりこの人の映画…とゆーか、イマジネーションは、大画面…とゆーか、でっかいスクリーンで観ないとダメだなと実感。ところでみなさま。テリー・ギリアムの映画が公開されたら、映画館まで観に行って下さいまし。じゃないと、監督の新作が観れなくなってしまう…。誰かテリー・ギリアムにオファーを!!

■「ハッスル&フロウ」
2006年ベスト10に入れるかどうか最後の最後まで悩んだほど、私のハートをつかんだ作品。サンダンス映画祭で観客賞を獲ったこと、そして映画「クラッシュ」(クローネンバーグ作品じゃなくオスカー獲ったほうね)で、一番よかったな〜と思ったテレンス・ハワードが主演だったため、観に行った。ストリートでポン引き生活をしている若くない男(30代半ば)が、夢と現実の狭間でもがき、昔諦めた夢であるプロのラッパーを目指し、最後のチャンスに挑むが、さまざな問題が次から次へと彼に降りかかっていく――という話。ヒップホップに興味のない私でも胸が熱くなった。「ロッキー」や「8mile」のような正攻法のサクセスストーリーじゃない。だからこそ身近に感じる。「真夜中のピアニスト」のように、夢に再チャレンジすることで最終的に「抜け出し」、自分の居場所を見つけた人間が描かれているんだと思う。思いがけないラスト、ノラの言葉に涙。

■「時をかける少女」
いい映画だと思う…けど、私はオープニングから30分で途中退場を考えたくらい、主人公の真琴が好きになれなかった。この映画をホメてる人って男の人が多いでしょ?違う?…脚本は女性だけども、真琴はいかにも男性が考えた「明るく元気な女の子」という感じ。自己中心的な性格は別に問題じゃなくて(若いんだから仕方ないよね)、あの年頃の女の子が、友情という点から、同性より異性の友達を一番に選ぶかな?…女の子同士で話したり、相談したり、一緒に帰ったりしない?…そういうリアルさがすこーんと抜け落ちていた。別にリアルさが求められているわけじゃないし、恋と友情の狭間に揺れ、駆け引きができない(「あーすればよかった」「なんで云わなかったんだろう」という後悔とか。み〜んな経験あると思う)真琴にまったく共感しなかったわけじゃないし、甘酸っぱい恋のストーリーは素敵だと思うけど、やっぱり男性的な視点でヒロインが描かれた印象が強くて、私は引いちゃった。男の人ってロマンチストだね。

「2」に続く。
とりあえず8月中になんとか「2006年度上半期フェイバリット10映画」を書きたいと思います。私の場合、「好きな作品=出来がいい作品」とは限りません。出来がいいとは云えない、くだらない映画も大好きです。ちなみに映画に点数付けたり星評価したりするのはニガテなので、いつも「ああ、あの映画が面白かったな、私好みだったな」と思いながら、漠然と頭の中でフェイバリット順位を付けております。なお、「私好みの映画」については、↑の「プロフィール」をクリックすると、なんとなくお分かり頂けるかなと。

以下、「今年上半期に公開された私の好きな映画10本」です♪

■2006年上半期my映画10本

1.「ブロークバック・マウンテン」
2.「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」
3.「ぼくを葬る」
4.「キスキス,バンバン」
5.「ナイロビの蜂」
6.「ピンクパンサー」
7.「マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して」
8.「ヒストリー・オブ・バイオレンス」
9.「RENT/レント」
10.「ラストデイズ」

「孤独」や「死」、「時代」を描いた映画が多く入っている――う〜ん…例年以上に暗いラインナップになったような。

1位は米国で昨年もっとも話題になったカウボーイの恋愛映画。「ワイズポリシー配給、シネマライズ上映」ってのには驚いた。そしてオスカーが獲れなかったのにも驚いた。プレゼンターとして登場したジャック・ニコルソンが、「そんなアホな!」という顔をしつつ呆れて「クラッシュ」と云ったアカデミー授賞式がとても印象的でした……ムカ。

2位は老カウボーイの男気溢れる友情映画で、トミーオヤジに泣かされた。3位は自分の死について描いたフランソワ・オゾン監督作で、まさかこの私がオゾンの映画で感動/共感するとは。

4位はロバート・ダウニーJr.とヴァル・キルマーによるB級コメディ(とゆーか、サスペンスもの)。ヴァルの板に付いていないゲイ言葉に爆笑。どうしても観たくて、東京地区(ほぼ)限定公開だったのをウルトラC(死語)を使い、ムリヤリ鑑賞。云っておきますが、黒い涙は流してません!

5位は静かなる良人(おっと)による女ゲバラな妻への愛を綴った物語。ジャスティンがなぜテッサに…というより、なぜテッサがジャスティンに惹かれたのか、わかるような気がした。6位は「ピンクパンサー」であって「ピンクパンサー」じゃない――スティーブ・マーティンのドタバタコメディ。彼を観ているだけで幸せだから、出来うんぬんは別にどーでもいいのっ!

7位は建築家である故ルイス・カーンの作品と人生を辿るドキュメンタリー。最後のバングラディシュ国会議事堂のところでホロリときてしまった。「ヨコハマ・メリー」とこれのどっちを10位以内に入れようか悩み、結局こちらをチョイス。

8位は監督がクローネンバーグだから、ぐっちょんぐっちょんな映画になってるかと思ったら、これが意外に控え目で驚いた。アメコミ原作なのに、あんまりそんな感じがしなかったなあ。ヴィゴは「オーシャン・オブ・ファイヤー」のときも思ったけど、任侠モノや片田舎の男を演じると似合いますね。

9位と10位の2本は、また改めて感想を書きたいな。できるならばこの2本だけでなく、10本のうち何本かの感想を書いておきたいけど…どうなることやら。

いちおう念のため警告しておきますが、10位の「ラストデイズ」は要注意――一般受けするような映画じゃないし、とくにカート・コバーンを神聖視しているような人は避けたほうがよいかと。この映画に神は描かれていませんので。

以上、上半期はこんな感じかな。
「2006年度上半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が今年上半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。

(前口上、終わり)

今回の「6」は、デキゴトロジー&ちょっとだけ感想です。

■「GOAL!」
某シネコンで鑑賞。ロビーに貼ってある日本版ポスターを眺めていたら、ピンで留められた部分が少しめくれていたので、好奇心で近づいてみたところ、裏面に印刷が施されていることに気付いた――つまり、日本版にしては珍しいDS(両面印刷)オリジナルポスターが貼られていたわけで…なにゆえこの映画そこまでのポスターこんな地方にまで?…ってか、それ以前に、このシリーズの宣伝にそんなお金をかけたとしても、果たして「3」までブジに公開されるのか――ちょっと心配だったり…。

↓両面印刷のオリジナルポスターとは?
http://diarynote.jp/d/25683/20050511.html

■「トランスポーター 2」
ジェイソン・ステイサム主演「トランスポーター」続編。無口でクールな運び屋ことフランクが活躍する、キャラ立ちアクションムービー。観た人みんなが「ジェイソン・ステイサムはフランクそのまんまに違いない!」と信じそうなくらい、ジェイソンに説得力ありまくりで、彼の大当たり役だと思う。運転がめちゃ上手く、ケンカが強く、コワモテで無口なのに優しく、自分の美学を持っている男…いやホント、こーゆー人って男女問わずモテるよね、うん。全米初登場1位だったのはたぶん…レンタル店で前作を観た人が、ジェイソンasフランクに期待して劇場へ行ったからなんだと思う。

…だからこそ云いたいの、云わせてちょうだい。

リュック・ベッソンの替わりに、誰かマトモな脚本を書いて!

■「インサイドマン」
ダラダラダラダラダラ…。オサレな都会派サスペンスなんでしょうが、なんかもう観ているうちにどうでもよくなってきた。どっかで観たことがあるような内容、別にこの人じゃなくたっていいだろうキャスト、犯人役がちょっとサイコ気味な英国人――私の中では「ファイヤウォール」と同位置作品かな。「タイムリミット」のときほどガッカリはしなかったとは云え、サスペンス作品なら、デンゼル・ワシントンはもう少しベタでコンサバな内容のほうが合ってると思う。スパイク・リーもなあ…こーゆー映画を撮ると余計にあざとく感じちゃうよ、私は。

■「グッドナイト&グッドラック」
赤狩り時代のメディアを舞台にしたジョージ・クルーニー監督作。観に行った人のほとんどは、映画ファンか出演俳優のファンだったのではないかと思うくらい地味な客層の中、某シネコンで鑑賞。ところが、1時間ちょっと経ったあたりで突然スクリーンの左1/4に黒い塊が映り始めた。モノクロ映画なので、もしかしてそーゆー演出なのかも?としばし悩んだものの、やはりゴミが映っているとしか思えず、中座して映画館スタッフのもとへ行き――

私:「あの、ゴミが映ってます。確認して下さい」

スタッフ:「はあ…」

席に戻ってしばらくすると、黒い塊がひょいとどかされたので、やはりゴミと判明。がしかし、完全には除去されず、まだスクリーン上にゴミが映っていて、せっかくのたいへん美しい白黒映像が台無し。仕方なくまた中座して――

私:「ちょっと!まだ取れてないんですけど?…あのね、ここではこの映画の前売りを発売しなかったでしょ?…だから中にいるほとんどの人が正規料金で観ているの。私はポイントカードがたまったからそれで観ているからいいけど、ほかのお客さんがかわいそうじゃない!」

スタッフ:「申し訳ございません…再度確認します」

例のセリフ(http://diarynote.jp/d/25683/20050406.html)をまた吐いてやろうかという衝動に駆られつつ、「大人なんだから」とぐっと我慢をし、席へと戻った――が、やっぱりゴミは消えず。無粋なゴミの影は気になる、2度の中座でデヴィッド・ストラザーン演じるエド・マローの渋い演説を最後まで観ることができず…で、最悪の鑑賞となってしまった。

ムカつきながら上映終了後ロビーへ出ると、スタッフ一同が待ち構えており、「申し訳ございませんでした」という謝罪とともに映画招待券を一枚渡され、さらに「お客様は2度も席を離れることになられたので、ポイントはお返しします」と云われ、カードにポイントが戻ってきたけれど……今回はさすがに「艦長!敵は討ちましたぜ!」という気持ちにはなれず。…そう、ま〜た例のシネコンでのトラブル遭遇だったのでした。ムカ。

■「アンジェラ」
うちの田舎ですら3館で上映してたほど、全国的に拡大公開されていたのに、2週目早々1館へと減少、さらにその1館も上映時間帯があやしくなってきたので慌てて鑑賞しに行ったという、リュック・ベッソン7年ぶりだっけ?監督によるロマンス作品。モノクロ。ただし、黒に締りがないとゆーか、グレーに近い黒とゆーか…なんだか平べったい印象の白黒映像だったので、直前に観た「グッド〜」が、いかにコントラストの美しい作品だったのかを思い知らされた。

内容は…う〜ん…。ベッソンの映画ではもっとも内省的な内容だったんじゃないかな。最後のほうでユーロコープ(ヨーロッパ・コープのこと)のロゴそのまんまのシーンが出てきたときは、ちょっと笑ってしまった。でも実はそれが一番やりたかった…とか?>監督

以上、「2006年上半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」でした。
「2006年度上半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が今年上半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。

(前口上、終わり)

今回の「5」は、ちょっとだけ感想がメインです。
基本的に「ちょっとだけ感想」は、しょーもない内容ばかりなので・なので・なので…。

■「リバティーン」
梅毒になると鼻が落ちるってのは本当だったんだ!
ジョニーの顔があれほど醜くなった映画は、過去あったでしょーか?…ルパート・フレンドもなあ……白塗りにボーボー眉毛で妙に赤いくちびる(と思う)だったもんだから、出てきた瞬間、大笑いしちゃったナリよ。しっかし…劇中劇に出てくるあのでっかい彫刻は、昔8号線沿いにあった秘宝館(中に入ったことはない。だって小学生だったし)を思い出させる…。

■「Vフォー・ヴェンデッタ」
ファシズム国家となった英国が舞台の近未来モノ。冒頭のナタリー・ポートマンによるボイスオーバーが終わり、シェー!の人みたいな仮面をかぶったVさんが登場した時点でイヤな予感がした。そして彼が喋り出して数秒経過後――「ダメだ、こりゃ」。スタイリッシュにしたかったのか、キッチュにしたかったのか。ダサイなあ、もう!

ナタリー・ポートマンをいったいどうしたかったのか、最後までわからなかった。国家に対して恨みを持っているVが、個人の怨恨からどう「民衆のための革命」を起こそうと思うに至るのかも、わからなかった。革命ならばなんだって許されるの?…説得力不足だから娯楽映画として片付けられなかった。たとえ私が英国民だったとしても、あんなVには踊らされないね。そもそもファシズム糾弾の仕方やサトラー議長という単純なネーミングからして米国的、英国が舞台なんて信じられないよ!

途中退場を真剣に考えたのに我慢したのは、どーしてもナタリー・ポートマンが丸刈りになるシーンが見たかったから。でもそのシーンときたら、ずいぶんあとになってからじゃないと出てこなくて……トホホ…。

原作者が「クレジットから自分の名前を外して欲しい」というくらいなんだから、しょせんその程度の映画なんでしょうね。

↓「映画『Vフォー・ヴェンデッタ』でムーアがDCと決別」(planetcomics.jp)
http://www.planetcomics.jp/index.php?itemid=283
(ここまで嫌がるなんて。かわいそう…)

■「ニュー・ワールド」
寡作で有名なテレンス・マリック監督によるアメリカ建国伝説。英国人ジョン・スミスとポカホンタスの悲恋のお話。ジョン・スミス役にコリン・ファレル、ポカホンタス役に新人のクオリアンカ・キルヒャー、ジョン・ロルフ役にクリスチャン・ベイル。

愛した男を忘れられないポカホンタス、そんなポカホンタスを愛し、彼女に愛されるのをただひたすら待つジョン・ロルフ――って、やっぱりここは遠くのコリンより近くのクリスチャンだろう!>ポカホンタス…とつい思ってしまうあたり、ナイスな配役です!>監督

主演がコリンなだけに、ポカホンタスとのラブシーンはさぞ濃厚だろうと思ったら、実に詩的なシーンになっていて、そんな下世話な想像をした自分を恥じちゃった。そう――本作はそんな映画じゃないのよね、ゴメンなさい>監督

監督の前作「シン・レッド・ライン」は私にとってイマイチだったけど、これは良かったなあ。映像美と哲学的なモノローグでストーリーが展開する映画を作るテレンス・マリックは、戦争モノよりスピリチュアルな題材のほうが合ってると思う。

■「アンダーワールド:エヴォリューション」
ヴァンパイアvs.ライカン(狼男)だった前作に、ハイブリッド(混血種)が参戦した、モンスター種族間における「仁義なき戦い」。熱狂的なファンがついている「アンダーワールド」の続編。

いや〜、2作目になってもその世界観にまったく揺るぎがないことに感心してしまった。ツッコミどころはあれど、ワイズマン監督によって完全に構築されている世界とゆーか。人間界なんざ二の次三の次四の次五の次、闇に生きるモンスターたちのお家騒動――本作ではヴァンパイアの種の起源について――が、「神」ではなく「彼らの神」視点でストイックに描かれ、アクションは水ドバ〜!血ドバ〜!、モンスターの弱点や変身シーンはレトロなのに、「紫外線銃」といったアイデア満載な最先端な銃器類が出てくる…というユニークな個性はぜんぜん変わらない。セリーンの強さは自己完結的なゆえに、恋人でハイブリッドになりたてのマイケルはお荷物同然、彼が活躍するのは彼女の大ピンチのときだけ…と、そんなところまで変わらないときたもんだ。脱帽。ストイックで強いセリーンはクールだよね、でも最後は男に助けられるあたり、また男心をそそるんだろうな。

■「ブロークン・フラワーズ」
ビル・マーレイを主役に据えてる時点でもうすでに反則でしょ!な、ジム・ジャームッシュ監督による、ほんのり哀愁オヤジロードムービー。昔プレイボーイだった男に、ある日「あなたには19歳になる息子がいる」という無記名の手紙が届く。どうやら昔の彼女からの手紙らしいが、果たしていったいどの女なのか。とりあえずピンクの花束を持って、ひとりひとり訪ねてみよう――。ふむ。ジャームッシュ映画のわりには比較的とっつきやすいかな。

昔の恋人を訪ね歩くことは、ちょっと気まずい。いい思い出ばかりとは限らないし、歓迎されない場合がほとんどのはず(私だったら、住所調べられて来られるなんてヤダ)。さらに昔はゴージャスだった恋人たちの現在の姿を見ることで、自分の老い加減とショボさ具合を痛感させられ、ふと自分の人生を振り返ってせつなくなる――哀愁だよねえ。世のお父さんたちの共感を得そう。でも演じるのはビル・マーレイなので、どこかしらファニーでキュート、漂うのもちょっとスカした哀愁で…とゆーか、間の埋め合わせをどうしていいかわからず、オタオタする(でも無表情)バツの悪さがよく出ているのはさすが。思い出めぐりで終わるかと思いきや、最後で痛い目に遭うシーンに至っては、大爆笑しちゃったよ。

核心はサラリ、たいした場面じゃないだろうと思われるシーンのほうが丁寧――とっつきやすくても、そこらへんはやっぱりジャームッシュか。変わんないね。ただし、彼の映画に対して普段なら「ふ〜ん」で終わる私でも、本作は純粋に楽しめたっス。

■「イーオン・フラックス」
駄作扱いされている本作。シャーリーズ・セロンがちゃんと体張ってアクションをこなしてるところは、ほかの「人気女優によるヒーローもの」よりずっと評価できる…けど、なんでこれがダメなのか?…たぶん、世界観がしっかりしてないからなのと、最後に明かされる秘密にでっかい穴がポッカリ開いているからなんだと思う。

一切の自由が奪われた近未来…って、レンジスタンスがいるほど、国民たちが圧制に苦しんでいるようにはてんで見えないし、イーオン・フラックスを始めとするレジスタンスたちの格好ときたら、オシャレを楽しんでいるかのよう。近未来SFなので、それ相応の衣装になっていて、なおかつそれをシャーリーズが着ることが、見所のひとつになっているのはわかるけどさ、冒頭の顔が半分見えないあの衣装――国に目を付けられてるレジスタンスがあんなの着てたら…目立ってしょーがないじゃん!

それからね――(以下、ネタバレあり)
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ワクチンの副作用で人類は子供を自然妊娠することができなくなったから、DNAを再利用してクローンを作っている…ここまではわかる。でもいつの間にか自然治癒して妊娠可能になった人間が出てくるようになった…ってのはちょっといいかげんだし、国民を牛耳るために妊娠可能になった人間を殺しておきながら、そのDNAを再使用するなんて――イタチごっこじゃないの?…妊娠できないようDNA操作をする説明はなかったし……ちょっとねえ?

…「6」に続きます。
2006年度上半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が今年上半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。

(前口上、終わり)

今回の「4」は、ちょっとだけ感想…とゆーより出演俳優に対する感想がメインでーす。

■「ナイト・オブ・ザ・スカイ」
キャラ相関とストーリー展開がとにかくゴーイン、そして全体的に大味な印象のキャッチーで内容スカスカな仏映画…ということで、ユーロコープ製作(つまりリュック・ベッソン系)かと思ったナリよ。それでもCGに頼らない飛行シーンは迫力があり、戦闘機は気持ちよさそうに飛んでいたので、戦闘機マニアにはいい作品かも。主演はブノワ・マジメル。チョビヒゲ生やしてたって彼は素敵よね〜♪…彼の青い瞳――水色ではなく、深く透き通った瑠璃色のような青い瞳――に吸い込まれそうだったわ♪うちのままりん(母)までホメてたし。彼の瞳の美しさをフィーチャーしたショットが多かったあたり、監督グッジョブ!

ちなみに、「ナイト・オブ・ザ・スカイ」という邦題があまりにダサいので、こりゃ配給会社がテキトーにつけたに違いない、原題はぜんぜん違うイミなんじゃないの?と思って、原題「Les Chevaliers du ciel」をバベルフィッシュ翻訳「仏語→英語」にかけてみたら――「Knights Of The Sky」。そのまんま…とゆーことは、そーかそーか、原題がすでにベタでダサかったのか。

■「ファイヤーウォール」
最近てんで魅力のないハリソン・フォード主演の、海外TVMにありそうな2時間サスペンスもの。可もなく不可もなく(予想通り)。それにしたって、定年退職してたっておかしくない還暦のハリソンに、10代の子持ち役はキビシイよ。孫の間違いじゃないの?…私は「車の後部座席が定位置」ポール・ベタニー目当てで観に行ったけど、なんつーかその…せっかくポールなんだから、よくあるサスペンスのよくある犯人役なんてもったいない、もっと血だらけ、もっと英国ハ虫類系な怖さ/嫌らしさを出した役にしたらよかったのに。彼は悪くないんだけどね。あと、ポールとはなにげに共演3回目のニコライ・コスター・ワルドー。完全ミスキャスト、彼は悪党に見えないって!

■「君とボクの虹色の世界」
新鋭ミランダ・ジュライが監督/脚本/主演したオフビートなラブコメディ。群像劇。このズレながらフンワリしてる雰囲気は、好みが分かれるところかな。ポール・トーマス・アンダーソン、ウエス・アンダーソン、ソフィア・コッポラ作品が好きな人にはオススメ。私?……ダメだった。つまらないんじゃなくて、ただただニガテ。


))<>((


■「ナニー・マクフィーの魔法のステッキ」
WT社製作のファミリーファンタジー。子供向けでも全体的にスマートなところは、さすがWT社とゆーか。現代版「メリー・ポピンズ」みたいな云われ方をされていたけれど、印象は「レモニー・スニケット」に近かったような。子役より大人の俳優のみなさんが上手くなければ、こーゆー映画は引っ張れないんだなと、エマ・トンプソン、コリン・ファース、イメルダ・スタウントンを観てしみじみ思った。しかし…コリン・ファースが7人の子持ちなんて!…「アナカン」から20年ちょっと――光陰矢のごとしとはこのことか…。

■「フライトプラン」
昨年の「フォーガットン」鑑賞以降(http://diarynote.jp/d/25683/20050829.html)、もう騙されないぞ、それがたとえジョディ・フォスター主演作だって!…と気を引き締めながら観た、ジャンボ機内で行方不明になった娘を探す母親の戦いを描いたサスペンスもの。ポスターに写ってるジョディの顔のシワ除去&修正は、ちょっとやり過ぎじゃない?…「あっち系?そっち系?」と思いながら観てたけど、機長役がショーン・ビーンというクセモノだから困っちゃって。ほら、彼はヒーローからその側近、はたまた悪玉オヤジまでさっまざま演じれる人でしょ?…だから彼が出てくるたび、頭の中は「だって小さい役でもショーン・ビーンだし、ショーン・ビーンだし、ショーン・ビーンだし……」と、完全に豆氏で騙された!…でももう少し出番があったらなあ。ホントもったいない。

それにしたって、才女のイメージが強いジョディなだけに、アラブ系らしき人物をムチャな理由で非難するシーンは違和感があった。テロ事件が頻発するようになって以降、それだけアラブ系は真っ先に疑惑の目を向けられてしまうんだということだろうけど。

(以下、ちょっとだけネタバレ)
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これって、まず棺桶ありきな犯行だよね?…飛行機にどうやって棺桶を乗っけるかを考えた――棺桶とあの親子を選んだことでトンデモ計画を立てた犯人は、ある意味、想像力豊かでスゴイ人なのかも。

…「5」に続きます。
「2006年度上半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が今年上半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。

(前口上、終わり)

今回は、デキゴトロジーがメインです。長いのでご注意下さい。

■「クラッシュ」
昼下がりの日比谷シャンテシネで鑑賞。先にチケットを購入していたので、ほぼ希望通りの座席をゲット。お買い物をした後、上映時間20分前になって再びシャンテシネへ行くと、ある男性(かなりオタクな感じの人)がスタッフに対し、「なんで座席指定なんだ、自由に選ばせろ!」と、気味が悪いくらいネチネチとクレームをつけていた。

↓座席指定は2005年7月より開始だった模様(シャンテシネのスタッフコラム)
http://www.chantercine.com/cafe_chanter/backnumber/cafe139.html

スタッフさんは丁寧に謝っていたが、最終的にあのお客さんが納得したのかは不明。

ちなみに私が映画館にクレームをつけたことは、このブログを始めてからならば、2…3…4回ほどある。でもそのすべて(フィルムにキズ事件、避難訓練に付き合わされた件、巻を間違えられた件、あともうひとつの事件はまた今度)は映画館側のミスだったし、第一そんなネチネチとオタクっぽいクレームの付け方なんてしないもん。

座席指定に関して云うなら、私はたとえ田舎のシネコンでも、上映前日または数時間前にチケットを買うか、もしくは開場一番にカウンターへ行くかする、つまり余裕を持って映画を観に行くタイプ。常に希望通りの席をゲットしているため、ここ数年はヒドイ席で観たことがない。自由席だとしても、かなり前に映画館入りしてベストポジションを確保するし、席が悪いくらいなら別の日にする――逆に云えば、ベストポジションで観るためなら努力するのが当たり前だと思ってる。なので、先にチケットを買えちゃう座席指定は嫌いじゃないんだけど、それはあくまでも私の場合であって、時間に余裕のない人や、ちっとも希望を聞いてくれない映画館ではツライだろうなあ。ちなみに、空いてても一列にぎゅうぎゅう詰め込むTOHOシネマズは大キライ!…同じ東宝系でもシャンテシネはそんなことなかったからよかったけど…って、シネコンとミニシアターでは規模や客層も違うから、比べようがないか。

と思いながら、ちょっとだけ席を離れた隙にmy傘を盗られてしまいました…。

雨の日の日比谷シャンテシネでは、どうかお気をつけ下さいまし>みなさま

■「エミリー・ローズ」
悪魔祓い中に死亡した少女エミリーをめぐる裁判(実話)を描いた、法廷ドラマの要素が強いホラー系作品。「恐怖のイナバウアー」というタイムリーな宣伝がされていたせいか、私が座った席の前列には中学生らしきカップル、同じ列の左には男性ひとり客と女性ふたり連れ、右には高校生らしきカップル、後列には大学生カップル…といった具合に、ホラー系映画にしては珍しい、たいへん客層が豊かな状態で鑑賞。そのため、ホラー慣れしていない人が多かったようで、この手の映画では一種のお約束である、突然鳴り響く「ぎゃああああん!」「ぐわああああん!」といった効果音や、突然挿入されるエミリーのすんごい形相に、みなさん強烈に反応しまくり。何度も何度も椅子がビクッ!ビクッ!と激しく揺れ、そのたびに「カップルのうち、ビビッてるのは男?それとも女?」と、ほくそ笑みながら観察してしまい…って、アンタこそ、めっちゃマニアでイヤな客じゃん!>私

■「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」
我がホクリークの映画鑑賞料金は、「大人:1700円、子供:1000円」、都会よりちょっとだけお安め。でも1000円の日やレイトショーになかなか行けない人もいるし、とくに時間の都合が取りにくい親子連れはタイヘン。そんなわけで、この私めも同じ会社で働く某親子に協力しようと、「グルミット」前売券を購入しに、某シネコンのカウンターへ。

すると、前売り販売は「大人券1500円(1300円じゃない)」「親子ペア券2,400円(大人1500円+子供900円)」のみと判明、思いっきり困惑してしまった。頼まれたのは「大人1枚、子供2枚」、ペア券を買えば子供券があと1枚必要になるのに、子供券とゆーものが存在しないので、人数分買えないじゃんっ!…じゃあ、別の日に私も観に行くから、いま親子ペア券を2枚買って、あとで切り離して使えばいいじゃん、我ながらナイスアイディ〜ア♪と思ったら、今度は無情にも「事前にペア券を切り離したら無効です」とスタッフに云われてしまう。

でも待てよ?…そーいえばたしかこのシネコンでは、某カードを見せると「ひとり200円引き」になるはず。だったらそのカード使って「大人1500円、子供800円」にすればいいんじゃ?…って、あれ?あれれれ?…じゃあ子供料金は前売りより安くなるってこと?…と気が付き、念のためスタッフに訊くと――

私:「本当に『ひとり200円割引』ですか?『大人200円引き、子供100円引き』ではなく?…だったら前売りより子供料金が安くなりません?」

スタッフ:「そうなりますね」

とゆーわけで、前売券大人2枚(会社の人と私の分)を購入。会社の人には、「お子さんおふたりの分は、これで200円割引になります。前売りよりお安くなりますよ」と大人券1枚を渡しながら伝え、カードをレンタル。カードで200円引きなるのに、わざわざ大人券を買ったのは、2枚買えば2個「グルミット・ストラップ」がもらえるから。ケンカすることがないよう、お子さんふたりにプレゼントできたのでした♪

1500円の前売りのときに使える親子3人テクニックなれど、某シネコンはすでにそのカード割引を打ち切ってるかも…。

…「4」に続きます。
「2006年度上半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が今年上半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。

(前口上、終わり)

今回の「2」も、デキゴトロジーよりちょっとだけ感想がメインでーす。

■「ジャーヘッド」
出演作選びが上手いよなあと思う、旬の若手俳優ジェイク・ギレンホール主演による湾岸戦争モノ。訓練に耐えてイラクに派兵されてみたら、まったく出番がなく、そのまま終戦をむかえてしまった兵士たち――そんな彼らによる現地待機の日々を描いた作品。

メディアを通した戦争しか知らないまま、訓練所で殺人マシーンに仕立て上げられ、いざ現地へと派兵されれば、実戦がない。があああっと水飲んでは、先の見えない訓練三昧、ひとりになれば自家発電――延々その繰り返し。戦場に立っていても、どこかバーチャル。ふむ。私は米国人ではないけれど、基本的に主人公たちと同じジェネレーションX(いわゆるテレビ世代。米国ベビーブーム世代の子供で、60年代半ばから70年代半ばに生まれ、高度成長期に育った世代の若者のこと。ダグラス・クープランドの小説『ジェネレーションX』が語源。無気力で責任感のない若者として否定的にいわれる)になるので、とにかく興味深かった。「ベトナム戦争じゃないから、ドアーズはやめろ!」というセリフが世代を象徴してたな。主な登場人物がそんなジェネレーションXばかり、彼らの視点で終始語られる映画はいろいろあるけど、戦争モノは初めてなんじゃ?

前半がびっくりするくらいキューブリックの「フルメタル・ジャケット」に似ていて、皮肉だよねえ。同じ「ジワリジワリと人間が非人間性を帯びてくる狂気」が描かれていても、「ジャーヘッド」の主人公たちは、職務をまっとうできない葛藤で人間性を失いそうになる。ストーンズの「黒くぬれ!」か、カニエ・ウエストの「Jesus Walks」か。…ミッキーマウスのテーマは本編のラストでした。ごめんちゃい。監督のサム・メンデスもキューブリックと同じ英国人だから、米国が引き起こした(それに関してはいろいろご意見はありましょうが)戦争について、ストレートに反戦を主張しない、こういう一風変わった映画をちょっと冷めた視線で撮れるのかな…。

私イチオシのジェイク・ギレンホール――あの「ロケットボーイズ」の高校生くんが、よくあんな格好をした!大人になったねえ…(遠い目)。BBMと合わせて。おねーさん、感動感心しちゃったじゃない。女子から絶賛大人気中♪な若手俳優があーゆー格好すんのは、「栄光のエンブレム」での「ロブ・ロウ、サポーター姿になる」以来じゃないの?…そしてピーター・サースガード。どんなジャンルの映画でも、なにゆえ彼はあれほどの色気を放つのか――誰か教えて下さい。

↓色気にヤラれた話
http://diarynote.jp/d/25683/20060225.html
(「愛についてのキンゼイ・レポート」のところね)

■「ある子供」
ダルデンヌ兄弟が監督した2005年カンヌパルムドール受賞作。生まれた自分の子供を売ってしまおうとするほど金銭的・精神的に貧しい、父親になれない/なろうとしない青年ブリュノの話。自分のことで精一杯、それに関しては呆れかえるくらいたくましい自己中な若者ってのは、普遍的にゴロゴロいそう。いつものダルデンヌ兄弟節よろしく、主人公の行動をスケッチしながら、ドキュメンタリー調にストーリーは流れていく。「人間ってのはね…」と淡々と映像で語られる95分。赤ちゃんよりブリュノに明日がない、そして感情のない青年のままで終わるのかと思ったら――そうきたか。やっぱりダルデンヌ兄弟は優しいね。

■「歓びを歌にのせて」
スウェーデン映画。一線を退いた世界的な天才的マエストロが、幼いころ過ごした田舎へと引っ越す。仕方なく地元の聖歌隊を指導することになったものの、住民たちと交流することで音楽の素晴らしさを再認識、人間性を取り戻していく。う〜む、人種や習慣は違えど、田舎ではしがらみが多すぎて、問題が起きてもうやむやになってしまうところは、スウェーデンも同じなのね。極東日本でもありえそうな人間関係だなあ。それにしても、レナ役のフリーダ・ハルグレン!なんてかわいいの♪…彼女の笑顔を見てるだけで、ほんわかしちゃったナリ。

■「灯台守の恋」
閉鎖的な島の小さな村にやって来たヨソ者の青年。そして人妻と許されぬ恋に落ちる――直球ど真ん中なメロドラマ。ベタ?凡作?ありきたり?すべて想像つく?…いいじゃないの、これはこれで。とても丁寧に作られてるし、ちょっと枯れた味わいがまたgood。所帯疲れしてるけど美しい人妻、島の男とは違うやさしい青年――不倫は許されない、夫が大切だと充分わかってる、でも…。女性ってのはいつまでも恋をしていたい、愛じゃなく恋を求めたい――そんなときってあるんじゃない?

■「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」
主演のホアキン・フェニックス自身、インタビューで否定しているように、自らの過去に縛られてはいない、俳優としてジョニー・キャッシュを演じているってことくらい、私だってよくわかってたし、自分にそういい聞かせてた。でも、ジョニーの幼少時代エピソード、彼が頭を壁に打ち付けるシーンやドラッグが出てくると、スクリーンを見てられなかった。911にコールする彼の声、キャッシュ兄弟のように仲睦ましいふたりの写真がフラッシュバックして……どうしよう、どうしよう、そんなんじゃないのよ、これは!と頭の中がぐるぐるぐるぐるぐるぐる。またお兄ちゃん役のルーカス・ティルくんが似ていてね…うううう…こんなはずじゃ…。

■「アサルト13 要塞警察」
「スズメバチ」はフランス映画で設定が違ってたよね?じゃあ本作が「ジョン・カーペンターの要塞警察」の正式リメイクになるの?…って、これも監督がフランス人なんだ!…と驚いた作品。それなりに楽しめたのに、なんだろうこの物足りなさ、もったいなさは。あ〜ん、上手く云えないよう!…ところで、精神カウンセラー役のマリア・ベロ。どうしてみんな彼女の髪を美しく撮ってくれないの?…どの作品(「シークレットウインドウ」「ヒストリー・オブ・バイオレンス」など)も髪が痛んでいてツヤがなく、疲れてるように見える。実際に痛んでいたとしても、なんとかして欲しかったナリ。

■「ファイナル・カット」
お久しぶりのロビン・ウィリアムズ主演による近未来SF。「ゾーイ」と呼ばれるマイクロ・チップを脳に移植することで、全人生の記憶がそれに記録される近未来。死後、記憶はカッター(編集者)によって、親族の希望通りに美しく編集され、上映会で披露される。記憶は都合よく編集されていいのものなのか?そもそもチップ自体、許されていいのか?…そしてもしチップが自分に移植されていると知らなかったら?…と、プロットは実に私好みで魅力がいっぱい。

監督&脚本はこれでデビューのオマー・ナイム。おお!とうとうヴィンチェンゾ・ナタリ系の若手が現れたか!と喜んだらば、ラスト15分で超カッガリ(ジム・カヴィーゼルのつまらないセリフに愕然)。なんでそーなるの!?…もったいない!同じプロットでヴィンチェンゾ・ナタリ、もしくはアンドリュー・ニコルが脚本&監督していれば、ラストだって「やられた〜!」と思わせてくれて、もっと面白くなったでしょうに。カルト作になり損ねちゃった、残念。目が離せないほどの緊張感や、アイロニーまみれな展開を過度に期待した私も私か。

…「3」に続きます。
「2006年度上半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が今年上半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。

(前口上、終わり)

今回の「1」は、デキゴトロジーよりちょっとだけ感想がメインでーす。

■「プライドと偏見」
WT社製作による文芸恋愛モノ。原作「高慢と偏見」は、「ユー・ガット・メール」の中でメグ・ライアンが引用していたほど有名。以前、英国で製作されたドラマ版が大変良くできていた上、「コリン・ファースといえばMr.ダーシー」というくらい彼の当たり役だっただけに、ファンは「Mr.ダーシーを演じるマシュー・マクファディンは、ダイジョブかいな?」と、しこたま心配していた模様(実は私もそのひとり)。フタを開けてみれば、マシュー・マクファディンはそんな悪くなかった…とゆーか、ドラマ版が「コリン・ファースありき」ならば、映画版は「キーラ・ナイトレイありき」、エリザベスもキーラに合わせて現代風にしてあって、意識的にドラマ版と差別化を図っていたという感じ。

主演のキーラはとてもクラシカルで綺麗な顔立ちをしているくせ、インタビュー映像を見ていると、なに喋ってるのか聞き取れないくらい早口かつサバサバ・あっけらかんと話す人なので、こういう文芸モノだとかなり素とのギャップを感じるけど、「ドミノ」よりこっちのほうが絶対似合ってると思う。WT社は正統派で古典的な恋愛モノも、英国映画にありがちなダラダラ・ジメジメを感じさせずにサラリと仕上げられるだから、やっぱ上手いっスね。

■「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」
父親と同じ数学の才能を持って生まれた娘。親子として、同じ数学者として、彼の意見をどうしても聞きたい――そんな切羽詰ったときに、父親は真に精神のバランスを崩して二度と自分の前には戻ってこないんだと目の当たりにさせられたら?…自分が崩壊しそうになるよ…これはせつないね…。迷走していた感のあるグウィネス・パルトロウは、華やかな役柄よりこういう云いたいことがなかなか云えない、でも内に秘める情熱はあるんだという女性のほうが似合うと思う。

でもね。…いくらこれの舞台で彼女が主演したからって、それは数年前だったわけで、現在明らかに30過ぎだとわかる彼女が20代女性を演じ、しかもボーイフレンド役は、いまや全米女子から熱い眼差しを受けまくるジェイク・ギレンホールっつーのが、わたしゃどーしても許せないのよっ!!くわっ!それはじぇらしぃ〜。

■「イノセント・ボイス 12歳の戦場」
混んでいる「ホテル・ルワンダ」を避けて観に行ったのが、これ。12歳になった男の子はみな軍に強制的に徴兵され、兵士として教育を受け、戦場では簡単に殺されたという、80年代における中米エルサルバドルでの実話を元にした映画。軍もゲリラもあったもんじゃない、その悲惨な内容にたいへんショックを受けた。そして本編が始める前に流れたロゴが、アルバトロス・フィルムだったことにも衝撃を受けてしまったナリ。

■「レジェンド・オブ・ゾロ」
ゼータ姐さんは相変わらずお美しい、ルーファス・シーウェルはイメージが固定化しちゃって、毎回同じ役どころだよね…ってその前に、ちょっとちょっとちょっと!これのいったいどこがゾロ伝説なわけ!?パソドブレが鳴り響くスコアだけ。ぼそ。…ファミリービジネスなゾロ一家、お父さんゾロはママの尻に敷かれて毎日たいへん!という話じゃなく、怪傑ゾロの怪傑たる所以のカッコいいアクションドラマを私は観たかったのに!ばっかも〜んっ!!きいいいいいいいっ!!

■「ミュンヘン」
こんな問題作が待ってるんだったら、そりゃハートウォーミングな小作品を2本くらい(「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」「ターミナル」)、そして商業的なリメイク作(「宇宙戦争」)を撮ってみたかったってのも、いまとなってはよくわかる話か。みんなスピルバーグのルーツはユダヤ系だからどーのこーの云うけれど、それ以前に彼は米国人。本編の最後の最後でそれを痛感させられ、「結局、視点は米国からなのね」と正直ガッカリもした。それでもやはりスピルバーグ、面白かったっス。

とくにイスラエル暗殺部隊のメンバーひとりひとりの性格付けが上手く、キャスティングは完璧、中でもエリック・バナはマジメで誠実そうだから、その狂気をはらんで悩む姿には説得力があった。妊娠後期な身重の妻を気遣いながら「いつまでできるかな?」とセックスをする、妻も微笑みながら「生まれるまでできるわよ」――ひどい行為だと思う?…たしかに妻にとっては体力的につらいはず、けど逆に云えば彼はほかに相手を考えていない、妻だけしかいない、とてもとても誠実な男であるということ。妻を愛していて、妻も自分が愛されてるのをわかっている、そんな彼に求められるならつらくないわ――妻の思いも伝わってきて、そんな夫婦の姿にホロリときてしまった。まさかスピルバーグ作品で男女の関係を、しかもこんなちょっとしたシーンでホロリとさせられるなんて、思ってもみなかったナリ。

…「2」に続きます。
すっかり書くのを忘れていた2005年度フェイバリット10映画について、ちょこちょこ書きたいと思います。私の場合、「好きな作品=出来がいい作品」とは限りません。出来がいいとは云えない、くだらない映画も大好きです。ちなみに映画に点数付けたり星評価したりするのはニガテなので、いつも「ああ、あの映画が面白かったな、私好みだったな」と思いながら、漠然と頭の中でフェイバリット順位を付けております。なお、「私好みの映画」については、↑の「プロフィール」をクリックすると、なんとなくお分かり頂けるかなと。

以下、「昨年公開された私が好きな映画10本」です♪

■2005年my映画10本

1.「ビフォア・サンセット」
2.「ヴェラ・ドレイク」
3.「50回目のファースト・キス」
4.「ミリオンダラー・ベイビー」
5.「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」
6.「ヘイフラワーとキルトシュー」
7.「セルラー」
8.「ロード・オブ・ドッグタウン」
9.「プライド 栄光への絆」
10.「マシニスト」「真夜中のピアニスト」

うわ〜…好きなタイトルを並べてみたら、2005年は(例年以上に)人にはオススメできないのばっかり、ときたもんだ!(とくに10位の2本)。

10位内に入らなかったけれど好みの映画だったのは――「香港国際警察/NEW POLICE STORY」(映画始まる前からジャッキーに感動して泣いてたバカなワタシ)、「コンスタンティン」、「タッチ・オブ・スパイス」、「ウィンブルドン」(あれだけ文句云ってたくせに!)、「キングダム・オブ・ヘブン」、「Uボート 最後の決断」、「イン・ハー・シューズ」、「ロード・オブ・ウォー」あたり。しまった…ぜんぜん思い出せないよう!

■参考1:2005年度上半期マイ・フェイバリット10映画
http://diarynote.jp/d/25683/20050830.html
(上半期を8月に書いてるし!)

そんな中、個人的に2005年で印象的だったのは、面白い恋愛映画が多かったこと。中でも「ビフォア・サンセット」は、完全にmy映画と化してしまった。もう何回DVDを観たことか。イーサンの顔、見飽きちゃったナリ。ここ数年「ロマンス系で大当たりがなく残念」と嘆いていただけに、すんごく嬉しかった。が、その反面――SF系はてんで好みの作品がなく、ガッカリしてしまった。よって当たり年とは云えなかったかな。

コンサバSF大作である5位(なにげに上半期より順位が落ちてる)の「シスの復讐」は、たしかに面白かったですよ、でもルーカスの脚本と演出は、どうしようもなく子供っぽく感じるし、ライトセーバーのチャンバラは見ごたえあったけど、オビ=ワン&アナキンだけでない――「七人の侍」とまでいかなくていいから――ジェダイのみなさんをもっと描いて欲しかったよなあ。アナキンを演じたヘイデン・クリステンセンがラジー賞を獲ったけれど、彼は悪くないよ。俳優がみ〜んなヘタに見えるのは、脚本と演出、「こんなこと云わすなんて」というヒドイセリフの数々(「胸が張り裂けそう」って、そんな直下型な!)のせいかと。SWシリーズは俳優の個性を奪ってしまう、たしかにそれはSWの世界観を重視すればやむなしかもしれない、でもDVD映像特典でルーカスの演出する姿を観た限りじゃあ、それだけとは云えないと思う。

6位の「ヘイフラワーとキルトシュー」は、原作が児童文学というフィンランド映画。たいした期待もせずに観に行ったら、これが面白かった♪…7歳と5歳の姉妹をめぐる騒動…とゆーか、映画全体がカラフルでキュートな中、ジャガイモ研究で忙しいパパ、キャリア志向で家事がまったくできないママ、そしてワガママな妹に振り回され、ピカピカの小学1年生になるはずなのに、あたしったら家庭の事情でてんてこまいなのよう!(@_@)!な、7歳姉ヘイフラワーちゃんの孤軍奮闘ぶりを描いたお話。彼女がなんともけなげ、めちゃ可愛くて♪…お話はちょっと違うけれど、ポジションとしては、フィンランド版「ちいさいモモちゃん」(松谷みよ子作)かな?

7位の「セルラー」は、上出来のメリケンポップコーンムービー。「スリルとサスペンスを見せるだけの映画」と云ってる人がけっこういたけど、ただ見せるだけならほかにも作品はいっぱいある、でもこんな好感度の高いB級作品は、なかなかめぐり会えないよ!…だから、「そんなわけないでしょ!」とツッコミしどころ満載なのに(銃やケータイを水没させたら使えないでしょうが、とか)、「ま、いっか♪楽しませてくれたから」と許しちゃったじゃないの。アイデア一発勝負だと云ってる人もいたけど、アイデアだけじゃあここまで面白くならないって。強引とまで感じさせない・やり過ぎない程度の引っ張り方、イヤミのない・キッチリ仕事をした俳優陣(演じていてみんな楽しかったんじゃないかと思う)、楽しませようとちりばめられた数々のギャグ、短いランタイムで張った伏線をすべて回収した脚本、いつものようにダメオヤジと思わせといて実はかっこいいウィリアム・H・メイシー、と思いがけない楽しさを提供してくれた。出来のよいB級映画を発見したときってのは、ホント喜びが大きいっス。

8位の「ロード・オブ・ドッグタウン」は、「スケートボードの枠を越え、70年代若者文化に革命をもたらしたと言われる“Z−BOYS”のオリジナルメンバー3人の栄光と戸惑い、瑞々しくも切ない友情の日々を綴った青春ドラマ」(公式サイトより)で、やられたとゆーか、モロ私好みの青春映画でした。主演である3人の男の子は、それぞれ光ってたねえ…そして、こういう若いにーちゃんたちによる主演映画を、女性であるキャサリン・ハードウィックが監督したってのがまた嬉しい。前作「サーティーン」も繊細で良かったし、今後チェックしていきたい監督のひとりかな。

ジェイ役は、「卒業の朝」(ベル役の子ですよ!)「ガール・ネクスト・ドア」のエミール・ハーシュ。ステイシー役は、ガス・ヴァン・サント映画出身で、アングラに進まなきゃいいけどとマジ心配した、ジョン・ロビンソン。トニー役は、本作で初めて見たヴィクター・ラザック。うん…9位の「プライド」もそうなんだけど、ビッグネームな若手を使ってない青春映画って、10代後半から20代前半の若手俳優をチェック&青田買いするには、まさにうってつけなんだよね。実際、この2作に出演して印象的だった若手は、公開中&公開予定の作品リストで名前をよく見かけるし。若いにーちゃんチェックは、俺にまかせとけ!

ちなみに「ブロークバック・マウンテン」のヒース・レジャーが、3人の兄貴的役割で出てます…が、20代でまだ若いはずのヒースも、3人の前ではすっかりオジサンに見えてしまい…。ただ彼はナイス配役だったと思うし、壊れっぷりな姿は堂々たるもの、実に良かったです。

なお、本作鑑賞後、スケートボードを「スケボー」と略することがすっかりできなくなりました。

でもって、私的「2005年惹句&ポスター大賞」「ベストサウンドトラック賞」は、この「ロード・オブ・ドックタウン」。なんて素晴らしいんだあ!…「Lords of Dogtown」というタイトルも素晴らしいと思う。

↓ポスター(日本版はこれとほとんど変わらない)
http://us.imdb.com/title/tt0355702/posters

日本版宣伝惹句:「20年後も、僕たちの夏休みは続くと思っていた――。」

サントラは、ジミヘンにシビれた!
「70年代ロックは映画でこう使うのだ」と教えてくれたよ。「エリザベスタウン」でウンザリしたぶん、余計心にしみたんだろうけど。

8位と9位はともに青春映画ですが、私がいくらホメてたからといって、この2作に万人向けな面白さがあるかと訊かれれば、答えに窮します。ただ云えることは、私の好きな青春映画は、ストーリーであれ、俳優の演技であれ、キャラクターであれ…どんなに儚くそして短いものであっても、長い人生において永遠のひとときになりうるかもしれない…そんな瞬間をキッチリ切り取っている、青くビターな味わいのある映画だということ。たとえばアメフト青春映画なら、「タイタンズを忘れない」「コーチ・カーター」より、「プライド」のほうが断然素晴らしいと思っているのは、そういう理由からです。

10位の「マシニスト」「真夜中のピアニスト」も、万人向けとは決して云えない私向け映画。ともに、オチうんぬんよりは「あがいてもがく、孤独なひとりの男」をじっと見つめる作品で、前者がサイコっぽいドラマ(ヒッチコックや初期ポランスキーが好きな人にオススメしたい)だったら、後者はスタイリッシュなドラマかな。

以上、こんなところでしょうか。

■総括
2005年に劇場で観たのは、たぶん±100本くらい(数えてないからわからない)。観逃したのは、「ダーク・ウォーター」「キングコング」「レモニー・スニケットの世にも不幸な物語」くらいで、とりあえず押さえておきたい作品は全部観た…と思う。

洋画は、相変わらずリメイクや続編、アメコミものが多く、出来の差が大きかった。その反動か、単館系や非米国産映画を例年以上に観たような気がする。今年のアカデミー賞ノミニー作が、低予算でリベラルな作品が多かったのも納得。

邦画はちょこちょこ観たけれど、興味が年々どんどん失せていく。昔は面白い…とゆーか、ヘンテコな映画が多かったのになあ。そんな中で面白かったのは「カナリア」と「メゾン・ド・ヒミコ」。青春映画はなんだかみんな似ていて、「高校入学、初めて○○にハマって青春を過ごしました」という作品ばかり(○○には、ジャズ・短歌/俳句・シンクロ・バンド・ロボット…なんでも入る)、どうにも食傷気味だった。ただ、邦画が洋画より劣るなんて決して思ってない。それだけは声を大きくして云いたいっス。

韓国映画は、もうほとんど観なくなっちゃった。私には(恋愛映画でも)合わないみたい。ただし、ソン・ガンホ主演作だけは押さえておきたいので、今後も必ず観るでしょう。香港映画は、ジャッキーの「NEW POLICE STORY」が良かった。韓国勢力に押され、田舎ではあんまり香港映画が上映されなくなった気がするので、今後がちょっと不安。

こんなところでしょうか。

以上、「2005年my映画10本」と総括でした♪
「2005年度下半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が昨年下半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に映画ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリなので、一部だけになっております。

なお「ちょっとだけ感想とデキゴトロジー」は、マジメな感想とは違い、基本的にしょーもないことばかり書くようにしてます。

それでは以下、ちょっとだけ感想とデキゴトロジーです。

■「ロード・オブ・ウォー」
ごくフツーの営業サラリーマンのような、てんで極悪人には見えない武器商人をニコラス・ケイジが演じ、どこまでもソリッドな無臭空間系アイロニー派アンドリュー・ニコル(たぶん代表作は「ガタカ」)が監督した、「史上最強と呼ばれた武器商人」の話。うわ〜…。年の暮れにすんごい映画観ちゃった、あの美しかった「ガタカ」がウソだったかのよう。とんでもなく汚い――でもどうしようもない必要悪な武器商人の世界。それをあくまで「ビジネス」と割り切る主人公ユーリ――映画はそんなユーリ視点、かつブラックな皮肉てんこもりで展開するためか、重いはずの内容が妙に軽く感じてしまう。それなのに、鑑賞後ズシリときた重みは、いったいなに?…この映画って本格的なドキュメンタリーなわけ?…ドキュメンタリーじゃない、実在する武器商人をモデルにしたエンタテイメント作品だよね?…参っちゃったなあ、もう。

「(武器商人の仕事をしているのは)才能があるからだ」――本当にそんなことを云い出しそうな、ニコラス・ケイジの説得力ある武器商人ぶりに驚愕。ハマリ役過ぎて怖いくらい。彼、本当の仕事は俳優じゃなくて武器商人じゃないの?…ニックの演技は本作がベスト。今までオーバーアクト俳優のレッテルを貼っていてゴメンね。ヘタじゃないことはちゃんとわかってたよ、でもこれほどまで上手いとは思ってなかったの。本当にゴメン。

そしてタイトルバックの秀逸さ。一発の銃弾が製造され、世に出、そしてひとりの人間を標的に使われるまでを描いた「銃弾の一生」――頭に命中すると同時に私の心も撃ち抜かれた。2005年のタイトルバック賞は、これと「バッド・エデュケーション」かな…。

■「ドミノ」
トニー・スコットのチャカチャカ節、健在。当方、タイトルバックとクライマックスで目と頭が字幕に追いつかず。…ぐふっ!

■「ジョージ・マイケル 〜素顔の告白〜」
昨年12月、80年代を代表するメガポップスターであるマドンナとジョージ・マイケルがともにキャンペーンで来日、ふたりの対照的な姿に少々ショックを受けた。コンポーザー/シンガーとしてのミュージシャン能力ならば、(ポテンシャルを含め)断然ジョージが上なんだけれども、マドンナはこの20年で完全無欠(に近い)、唯一無二のアーティストとなった姿を見せつけた。彼女の強さ、己を「マドンナ」としてプロデュースし、20年も維持し続ける能力と努力――そのひとつだってジョージは持ってない。だけど彼にそれらが必要だったかと云われると…本作を観る限り、どうやら違うみたい。どちらが幸せなのかはわからない、でもともに後悔はなさそう――どちらにしろ、80年代が遠い昔になってしまったことは事実。思わずホロリ。

以上、「2005年度下半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」でした。やっと終わった〜♪

次は「2005年my映画10本」かな。
4月に昨年のフェイバリットを書き始めるなんざ、私ぐらいでしょうか。だって…書きたいことが多いから、こーゆー個人のベスト10ものが後回しになっちゃうんだもん…。いいわけ。
「2005年度下半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が昨年下半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に映画ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリなので、一部だけになっております。

なお「ちょっとだけ感想とデキゴトロジー」は、マジメな感想とは違い、基本的にしょーもないことばかり書くようにしてます。

それでは以下、ちょっとだけ感想とデキゴトロジーです。

■「イントゥ・ザ・ブルー」
ロマンたっぷりなお宝探しムービーだと期待して、ワクワクしながら観に行ったら、思いっきり地雷を踏んだ…というより踏まされた。展開が退屈でスリリングじゃないだの、そういったつまらなさならまだ我慢できる。だけど、夢をぶち壊す血生臭さ、欲望の対象であるお宝が**だったこと、人間のイヤな部分をこれでもか!と見せ付けられたことに対し、心底ガッカリしてしまった。何度途中退場しようと思ったか。どこに夢やロマンがあったとゆーのだ!?ウソツキ!…ポール・ウォーカー演じる主人公のジャレットは、あれほどヒドイ目に遭わされても、なぜスコット・カーン演じる男と縁を切らずに、そのまま友達でいるのかがわからない。最低な人間なのに!

■「イントゥ・ザ・サン」
世界的にみて、これだけ主演作が次々と劇場公開されるのは日本だけじゃないかと思われる、セガール様による(いつも通りな)俺様映画。ジャン・クロード・ヴァン・ダムに比べりゃ、断然セガール様派な私なので、ちゃんと前売りを買って観に行ったけれど、そんなもの好きな女性の観客は、やっぱり今回も私ひとりだけでした。しっかし栗山千明の出演シーンがあれだけとは。まあ全体の出来を考えれば、逆にあれだけでよかったか。最近のセガール様映画なら、2004年公開の「沈黙の聖戦」が一番面白かったと思う。

↓「沈黙の聖戦」の感想
http://diarynote.jp/d/25683/20041016.html
(セガール様映画を語る女性は少ない…同志求む!)

■「ザスーラ」
私、ホント、この手のキッズムービーに弱いんだよなあ。もうスキスキ♪…ザスーラやゾーガン星人のデザインが、とてもレトロだったことに大感動しちったい。SF系キッズムービーといっても、我が巨匠ジョー・ダンテのように途中で話が破綻することもなく、ちゃんとキッズ向けな仕上がりだったし。ちなみに兄弟ふたりが繰り広げるケンカは、過去の自分とアニー(兄)ソックリでした(ははは♪)。

ただし。宇宙飛行士役はダックス・シェパードより、クリス・オドネルのほうが断然適役だったと思う。

↓クリス・オドネル(IMDb)
http://us.imdb.com/gallery/ss/0190865/3

↓ダックス・シェパード(IMDb)
http://us.imdb.com/gallery/granitz/2025/DaxfromPun_Grani_1220440_400.jpg

↓参考:ザスーラ兄弟(兄:ジョシュくん、弟:ジョナくん)
http://us.imdb.com/gallery/ss/0406375/DF-01739.jpg

…なぜ私がそう思ったかは、映画をご鑑賞の上でクリス・オドネルの写真をご覧になれば、おわかり頂けるかと。

■「ノエル」
しあわせを巡る群像劇。米国版「ラブ・アクチュアリー」。スクリーンにポール・ウォーカーが出てきた瞬間、「ヤバイ、またつまらない映画か?」と危惧したけれど、まあまあの出来。かと云って「ちょっといい映画」だとも思えず(「いい映画」を狙い過ぎてるから)…う〜ん。私は「ラブ・アクチュアリー」が好きじゃなかったけれど、本作を観たら、あれがいかに良くできてたかがわかったナリ。ちなみにクレジットなしで某有名俳優が出演しています…実にわかりやすい役で。

■「エンパイア・オブ・ザ・ウルフ」
え?駄作?けっこう面白かったと思うのは私だけ?そーゆーの、しょっちゅーだからいいもん、別に!…「クリムゾン・リバー」「クリムゾン・リバー 2」に続く、ジャン=クリストフ・グランジェ原作、ジャン・レノ主演による仏産サスペンス映画。3本目にしてようやく…ジャン=クリストフ・グランジェの作風がわかったきたぞ!…そっかそっか〜、「実は***だった!」という反則気味なトンデモぶりは、グランジェ節の醍醐味だったのか♪(駄作「クリムゾン・リバー2」除く)…母国おフランスでグランジェはベストセラー作家――そう知ったら、フランス人に妙な親近感が沸いちゃった♪けけけけけ♪

■「Mr.&Mrs.スミス」
ふむ。面白かったけれど、「最初キャスティングされたニコール・キッドマンが降板せず、そのままMrs.スミス役としてブラピと共演していたら…どうだったんだろう?」だの、「こんなアンジーだったら、どんな男でもそりゃイチコロだわさ」だの、ついついそんなことを思いながら観てしまった。

ところで。「互いの正体を知られてしまった以上、たとえ愛する人でも抹殺するのがこの世界の掟」って、なんでそんな掟があるの?別にいいじゃん?…ってか、それだと話が成立しませんって!>秋林さん

「9」に続きます。
2005年度下半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー 7
「2005年度下半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が昨年下半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に映画ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリなので、一部だけになっております。

なお「ちょっとだけ感想とデキゴトロジー」は、マジメな感想とは違い、基本的にしょーもないことばかり書くようにしてます。

それでは以下、ちょっとだけ感想とデキゴトロジーです。

■「イン・ハー・シューズ」
上手い。カーティス・ハンソンは本当に上手い。彼の監督作にハズレはないよなあ。コンプレックス持ちの姉(トニ・コレット)、美人だけどフラフラしてる妹(キャメロン・ディアス)――正反対なふたりの「自分探し」ストーリーを展開させてるところは、たしかにありがちといえばありがち。でもこの映画がただのウェルメイド作品じゃないのは、おばあちゃん役であるシャーリー・マクレーンの存在。ふたりだけでは終わらない、この3人目のキャラクターが映画を面白くしてたと思う。そして、3人のキャラクターひとりひとりに「自分と同じかも」と、観る側に思わせる説得力――それはたぶん…女優さんがみなピッタリで、キッチリ「彼女たちの身になって」いた(タイトル「In Her shoes」の意味がまさにそう)、そしてハンソンの女性演出の上手さからくるんだろうな…。鼻につかないウェルメイド作品ってのは貴重だよ。

キャメロン・ディアスは、ああいう役を演じさせると上手い。イメージぴったりだし、女子から反感買いそうなあたりはさすが。本編中、トニから「男は若い女が好きなのよ。若いうちはいいけど、年を取ったらどうするの?」と云われていて、実際、着ている服は若々しく、本人のスタイルもバツグンだというのに、濃いメイク・顔の小じわ・弾力が感じられない肌は、やはり年齢を感じさせたので、私の目にはリアルに映ったナリ。

気になったのはトニの彼氏か。寿司通を気取っていたくせに、店で注文したものは軍艦巻きばっか。お箸の使い方は(ガイジンさんにしては)まあまあだけど、通を気取るなら――お箸はもう少し上を持った思ったほうが良いよ?

■「愛の神、エロス」
カンヌを制した3人の監督(ウォン・カーウァイ、スティーブン・ソダーバーグ、ミケランジェロ・アントニオーニ)が「愛とエロス」をテーマに競作した、オムニバス映画。今年94歳(!)になるという、ミケランジェロ・アントニオーニの三本目がなあ…。スゴイもの観ちゃったとゆーか…クライマックス、浜辺で女性が全裸になって急に踊り出すのには参った。イタタタ。「ダンスがエロティシズムを表現してる」ってこと?……。小娘な私は、巨匠のエロスについていけず、ゴー・ウェント・ゴーン、あっけにとられて置いてけぼりを食らった1本。

■「青い棘」
うっわ〜〜〜…なんと貴重なことよ!
21世紀の世に、再びこの手の映画を観ることができようとは。まっこと由緒正しき欧州産耽美映画とゆーか、ここまで正統派なのは「アナザー・カントリー」「モーリス」以来じゃないの?…いやホント、大げさじゃなくマジで。劇中に出てくる「緑の液体」ことアブサンが、あれほど効果的に使われていたのも実に久しぶり…ってか、雰囲気によく合ってたこと自体、貴重。

完全ノーマークだった作品だったけれど、映画館前に貼られていた公式ポスターのデザイン(麦畑の中に若いにーちゃんふたり)、ちょっとイタリックがかった明朝体な邦題(しかも画数の多い漢字使用)、惹句「僕らは一番美しい瞬間にこの世を去るべきだと思わないか?」を見た瞬間、「こ…これはもしや?」と腐女子的第六感がビビっと働き、そのままチケットを買い求め、席について本編を観たらば――うおおおおおおおおおおおお!

若さゆえの傲慢、極端な真理追求――ティーンエイジャーってのは大げさに考えるもんだし、答えはひとつしかないと思いがちだし、まわりだってなかなか見えてこない…ゲーテも云ってるように「若さとは、ワインを飲まずして酔っている状態」。人生のうち、ほんのひとときであろうその状態を、儚く美しく描いてるよなあ。ハリウッドじゃ絶対に製作されない、まさに欧州の香り漂う仕上がり。

主演のダニエル・ブリュール(「グッバイ、レーニン!」の子ですよう!)くんは、ここのところよく見かける、ドイツの若手俳優さん。彼のように「イノセントなルックスで能面演技」ができるタイプは貴重で、昔から需要と人気が高い。米国俳優で例えるならトビー・マグワイア…は、ちょっと年取ったしスパイディのイメージが強いから、今だとジェイク・ギレンホールか――とにかく、「この子を使ってみたい」とご指名を受けるサムシングがあるんだろうなあ。

でも印象的だったのは、実は彼でなく同級生ギュンター役のアウグスト・ディールのほう。だって彼…ポール・ベタニーに激似なんだもん。ポールの若い頃はこんな風だったに違いない!と思いながら、つい観てしまったナリ。

1920年代のドイツが舞台。親が金持ちな学生によるパーティ風景ってのは、今も昔も大して変わんない。ただ、ロケンロールやヒップポップがなかった時代なためか、彼らの時の流れが余計にゆっくりと感じられた。ゆっくりと流れる時間、だけれども青い春を謳歌するとなると短い――刹那的な美を見事デカダンに切り取った作品。

ああ!淀川長治先生に観て頂きたかった!

「8」に続きます。

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