久しぶりに鑑賞。

私の映画ベスト1位はずっと「マスター・アンド・コマンダー」だったんだけど、「パンズ・ラビリンス」が公開されたら、これになってしまった。

観終わった後のショックが大きすぎて、エンドロール中に何も考えられず…しばらくぼーっとすることになった。

幻想の中で突きつけられた現実。悲しい。つらくて胸が張り裂けそう。
でも…時代背景や主人公の状況を考えたら、あれはハッピーエンドだったのかも。

だから何度も観られないよね…。

えいがかん

2016年4月1日 映画
衛星劇場の番宣(1~3月分だったかな)でシネマライズが閉館したことを知った。

ひとつの時代が終わったなと実感。
再見。
真っ当な青春ムービーだよね、これ。

今度の新しいピーター・パーカーに、アンドリュー・ガーフィールドか…あ~…別に彼でもいいよ、たた配役されたときに「(ピーター役にピタっとくる)ヤボったくてイノセントな感じ」枠の若手が今いないんだなあ~と思った。頑張ってヤボったい感は出てるけど、イノセントな感じは皆無だからね<アンドリュー

新シリーズになってなにより淋しいのは、監督がサム・ライミじゃなくなったこと、そしてそれによってこだわりまくりのディテールがないと思われること(たとえば、ブルース・キャンベル探しとかー大家さんの娘とかー)+JKシモンズのへんしゅーちょーがいないことかなー。

でも期待しているよ!
今夜は「マトリックス」かあ。

1作目なのでスローモーションリンボーが見られるやつですね。

とりにてぃーへるぷ!(ただしレゴ)
http://www.youtube.com/watch?v=iDe4v318f64

キアヌをアテてるのは…「マトリックス」なので小山さんか。
(男前度が上がるー)

TV放送、始まった。
うわー、公衆電話が懐かしいなあ!

そして相変わらずの青髭ぶりだー<キアヌ
■「ラストデイズ」Last Days (2005)
IMDb→ http://us.imdb.com/title/tt0403217/
ニルヴァーナのカート・コバーンをあくまでもモデルとして、若きミュージシャン・ブレイクが自ら命を絶つまでを淡々と描いた、ガス・ヴァン・サント監督2005年作品(日本公開2006年)。

90年代初めのグランジ/オルタナムーブメントを巻き起こしたニルヴァーナのカート・コバーンは、薬物中毒者で、うつ病を患い、彼を救う者/物ないまま、勝手に自分でこの世を去っていってしまったわけだけれども、このブログで取り上げた、日本語でJ-POPをカバーするスコット・マーフィが、「両親の離婚でつらかった頃、ニルヴァーナが救ってくれた」(うろ覚え)と云っていたように、「暗い、理解できない」と一部で酷評された彼の音楽に、救われた人は確実にいる。

私も当時、彼の音楽をボリューム大にして聴いていた。脳天気な80年代ポップミュージックの反動のような、どうしょうもない暗さと薄汚なさを帯びた中低音曲が多かったけれど、あの90年代初め~中頃という時代は、社会に出るには青すぎた私の中にも、カートが持って…というより、持て余していただろう暗く重く冷えた石が、いくつかポツポツあったように思える。ただ私は、彼の音楽に救われたというより、「こういう人が表舞台にとうとう出てきたか。本人は居心地悪そうだけど」と思いながら聴いていただけで、いまとなっては、冷たい石がどこらへんにどうあたって転がっていたのか、あまり覚えていない。

そして同じ頃、リバー・フェニックスという人気若手トップスターがいた。動物愛護者でヴィーガン、クリーンなイメージを持たれていたはずのリバーなのに、ドラッグで死んでしまった。その二面性が信じられず、人間はなんて複雑なんだろう…と、淋しく思った事件だった。

90年代にぐちゃぐちゃした黒い青春を送った私にとって、そんなカートとリバーは時代を象徴する人物であり、彼らの名前が出てくるだけでいまだにどよ~んとなってしまうのだが、ガス・ヴァン・サントの「ラストデイズ」を観ると、あの時代のこと、冷たい石があったことが、どうしても思い出されてしまう。

カートはモデルなだけであって、彼の伝記映画ではない。それでもマイケル・ピットは、ルックスから音楽に好みまでカートそっくり(左利きにしている)に演じていて、「カートじゃありません」と云われても、「ウソでしょ」と云い返したくなるほど、印象はカートそのままだ。

映画の中のブレイクは、ただ家の周りを歩き、食事をし、歌を歌い、勝手気ままに現れる友人や、関係者の相手をしているだけ。ドラッグに溺れる場面はなくても、彼が普通の状態でないことは明らかなのに、誰も彼を救おうとはしない。現れる人々は、ブレイクを心配することなく、みな勝手に自分の話をして去っていく。成功したミュージシャンでリッチな彼を、ただ取り巻いているだけ。「成功してすべてを手にいれているくせに、なにか問題があるというのか。それよりもっと俺の話を聞いてくれよ」とでも云うかのように。

カートだけじゃない、リバーのまわりもそうだったの?
それをガス・ヴァン・サントが美しい映像で描くという、その残酷さ。

リバーをまったく意識していないことはないとインタビューでもガスは語っていたけれど、「マイ・プライベート・アイダホ」撮影時の俳優陣はドラッグ三昧だったと云われる話に、お前なあ、感知してなかったなんてウソだろ、なんで本気で止めなかったんだよ!そんなアンタが「ラストデイズ」でコレを描くわけ?と、ガスに詰め寄りたい気分になる(ただし、リバーは事故であって、死にたくなかったはず)。

すべてを拒絶し、死んでいくブレイク。
もし友人たちに気遣われていたら、ブレイクは自ら死を選らぶことはなかった?

彼がなぜ死ぬことにしたのか、その失望の理由はわからない、わかるのは彼がすべてを拒絶したことだけ。そんな彼にとって気遣いは煩わしいもの、友人たちはそのブレイクの拒絶に気付いていたから、気ままに振舞っていたのかもしれないし、そうでないと取り巻きにいられなかったのかもしれない。

ニルヴァーナの元メンバーが、カートの伝記じゃなくても、つらくなるからこの映画を観ることができないと語っていたように、拒絶した者を間近で見ていた人間にはやりきれない作品であるのは確実だろうし、冷たい石をポツポツ持ちながらも、いつのまにかその石の冷たさをやり過ごすことを覚えてしまった私のような人間には、傍観者でいることしかできないような作品だろう。


常にハッピーだなんて、いられない。
敏感すぎて、自分と向き合うことにさえ不器用な人だっている。

「イルマーレ」

2006年10月29日 映画
■「イルマーレ」The Lake House(2006)
IMDb→http://www.imdb.com/title/tt0410297/
↓日本公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/thelakehouse/
2006年、シカゴの病院で働くことになった女性医師ケイト(サンドラ・ブロック)は、湖岸に立つ一軒家からシカゴ市内に引っ越すことに。郵便受けに次の住人へのメッセージを残した彼女は、後日返事を受け取るものの、それは2004年を生きる建築家の青年アレックス(キアヌ・リーブス)からの手紙だった。

私はオリジナルより、こっちのリメイク版のほうが好きかな。父と子の関係などをちゃんと織り込んで、90分ちょいによくまとめたと思う。

映画としてどっちが優れているうんぬんという問題ではなく、オリジナル版のヒロイン像が男性好みだったのに対し(一概に云えないけど、韓国映画は韓国料理同様、基本的にどのジャンルでも男性向けに作られているような印象を受ける)、リメイク版のヒロインのほうが女性の共感を得やすいキャラクターだったからで、その上、相手がサンディとの相性バツグン、日本では絶大な人気を誇るキアヌ・リーブスでしょ?…このふたりが揃うといいよね、そんことあるわけない展開だとしても、リアリティのあるサンディに、ちょっと摩訶不思議な雰囲気のキアヌでちょうどいい。舞台であるシカゴの街並みも素敵だったし。

そこのタイムパラドックスの穴を追求する人。
――やめてよ、ヤボなこと云わないで。

いいじゃないの、多少強引だって、美しくまとまってるんだから。
「ニューヨークの恋人」のマンゴールド監督も云ってたように、タイムループなロマンス映画で、タイムパラドックスの原理がどうのこうのとディテールを気にするのは、ナンセンスだってば!…逆にこういう映画を素直に好きだと云ってくれる男性のほうが、好感度大だな。

一緒にいて楽しくて、考え方が同じ――そんな「だれか」を待つということ。

もしかしたら出会っていたかもしれないのに、タイミングが合わなかったとか。
とりあえずボーイフレンドはいる、だけどもっと自分にあった人に出会えるんじゃないか、とか。
困難があって結ばれず、ほかの人と一緒になったとして、はたしてそれで幸せになれるのかとつい考えて出してしまい、どうしても踏み出せない、とか。

待つヒロインは内省的な女性で、こういう人は多いんじゃないかと思う。この映画があからさまに女性狙いなのは、本編で引用されるクラシカルな本からもよくわかることで、文芸恋愛小説「説得」は、実に説得力がある。脚本を手がけたデヴィッド・オーバーンは、男性なのによくぞジェーン・オースティンを取り上げた、ロマンティックでいたいという女心をよく理解しているよ、繊細だし品があるし、上手くリメイクしたと感心する。デヴィッド・オーバーンね、覚えておこう――って、この人、グウィネス・パルトロウ主演「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」の原作兼脚本担当だったんだ!…ああ、なるほど、だから繊細なのね、超納得だわ。しかもシカゴ出身なんだって。

主演のサンディは、もうちょっと元気のある役のほうが似合うだろうけど、こういうしっとりとした女性を演じても素敵ですね。キアヌはなあ…10年くらい前にベタなロマンス映画「雲の中で散歩」(私はこの映画が大好きです)を観に行ったとき、ロマンティックなラブシーンなのに、「今すぐ君を抱きたい!でも僕には妻が…」というヤツのセリフで大爆笑してしまい(そして一緒に観に行ったRちゃんを怒らせた)、ロマンティックなヒーローを演じるにはイノセント過ぎてセリフ浮きまくり、まだ彼にはキビシイ…と思ったけど、いや〜あの頃を思えば上手くなったよ、うん。「恋愛適齢期」でも上手くなったと感じたし、SFからアクション、そしてロマンスまでこなせてしまうんだから、たとえナンバー1になれなくても、すでにオンリー1になってるね。ツッコミどころは、またいつか別のところで書きます。

あともうひとつホメたいのは、衣装。サンディの着ていた服のどれもが素敵で、彼女に似合ってた。品と暖かみのあるカジュアルな装い。サンディの場合、胸元が丸く広く開いているシャツやインナーが似合うので、上手く選んでいるなと思った。キアヌは…40男にあれほど自然にパーカーが似合うなんざもう……彼奴の年齢不詳度の高さ、おそるべし。いまに始まったことじゃないけど。

安心してロマンス映画を観たい人には、オススメの1本。

ところで。
今年はやたらとトラップ大佐ことクリストファー・プラマーを見かけたなあ。出演作を4本も観たよ。

「ナイロビの蜂」

2006年10月28日 映画
■「ナイロビの蜂」 The Constant Gardener(2005)
IMDb→http://www.imdb.com/title/tt0387131/
日本公式サイト→http://www.nairobi.jp/
DVD 日活 2006/11/10 ¥3,990
外交官のジャスティン(レイフ・ファインズ)は、妻テッサ(レイチェル・ワイズ/本作でアカデミー賞助演女優賞を受賞)と駐在先のナイロビで暮らしていたが、ある日突然テッサが殺人事件で死亡したとの知らせが届く。疑念に駆られて真相を究明しようとするジャスティンは、やがて世界的な陰謀と対峙(たいじ)することになってしまう…。

静かなる良人(おっと)ジャスティンによる、女ゲバラな妻テッサへの愛を綴った物語。

「長編小説が原作の、異国情緒豊かなアフリカを舞台にした、英国夫婦のロマンス映画」だと思っていたので、ベルトルッチの「シェルタリング・スカイ」や、ミンゲラの「イングリッシュ・ペイシェント」みたいだったらどうしよう…とマジで心配していたんだけれど、ある程度の情報を得てのち観に行ってみれば、「社会派ドラマとロマンスの融合――ロマンスのレンズを通して見られた社会派ドラマ」という位置づけの映画だった。

ただ個人的には、社会派ドラマというより、せつなく美しいラブストーリーとして覚えておきたいかな…。やっぱり私も女なので、一途に妻を思う夫(しかも演じるのはレイフ・ファインズだし)というのには弱いのよ。

監督は、ブラジル国籍のフェルナンド・メイレレス(「シティ・オブ・ゴッド」)。ナルホドなあ、上手いよなあ。もしこれがアンソニー・ミンゲラ(英国人)だの、ジェイムズ・アイボリー(この人は米国人)だのといった、ブンゲイ作品お得意な欧米人が撮っていたらば、私もいままでよ〜く観てきた、お決まりな英国、異国情緒が豊か過ぎるアフリカになっていたように思う。

ところがメイレレスは、英国もブラジルも一緒。英国の上流階級は乾いたグレーの世界、スクリーンに映るアフリカは、太陽は黄色く、空は澄んでいるけど、どこか無機質で憂鬱な感じ。汗が流れ落ちてくるような暑い国には思えない。とてもクールで乾いている。似たような撮り方をする人で、アンドリュー・ニコル(「ロード・オブ・ウォー」)がいるけど、彼のようにスノッブなスタイリッシュさはなくて、血は残されてる。だからなのか、ストーリーが進むにつれわかってくるテッサの情熱、綺麗なのは表面だけで、裏は汚い社会に殺された妻を追い求めるジャスティンの姿に、心打たれてしまった。

真実を追い求めるうち、死んだ妻をどんどん愛していく良人――同じ女だからなのか、私はジャスティンがなぜテッサを、というより、テッサがなぜジャスティンを愛したのかがわかる気がする。

勝てないかもしれないけど不正には黙っていられない、先はわからないけれど、まだ自分は走り続けることができる、でも巨大な相手に押しつぶされそうで、どうしたらいいかわからない。そんなときにパートナーが同じく熱い人ならば、疲れてしまう。趣味は庭じり、平凡だけど善良な良人(おっと)、なにも知らないまま優しく自分を包んでくれる――テッサはそういうジャスティンに救われていて、自分を救っていることの自覚がないままの彼が好きだったんだと思う。

クールだからこそ、重苦しい悲壮感に覆われたラストにはならず、血が通っているからこそ、ふたりのロマンスは美しく、そしてただただせつない……絶妙だね。

それにしても、第三世界と先進国が絡んだ問題を取り扱った映画が増えたよなあ(昨年は「ロード・オブ・ウォー」、今年だったら「ホテル・ルワンダ」「イノセント・ボイス」あたり)。ドキュメンタリーにせず、エンタテイメントを感じさせる映画となると、そのさじ加減は難しいんだろうな…。

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