すちゃらか映画レビュー!(その50-1)
2003年10月9日前置き(←ムダ話とも云う)ナシ!の「すちゃらか映画レビュー!」どす!
今回のお題は「2003年秋公開の映画」。
…観た映画の中からいくつか選んで、いろいろ書きたいと思います。
!注意!
以下の文章は、(できるだけ配慮したつもりですが)ネタバレしている可能性があります。そのため、これからこの作品をご鑑賞予定の方は、お読みにならないほうがいいかもしれません。
「トゥームレイダー 2」Lara Croft Tomb Raider: The Cradle of Life(2003・米)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0325703/
日本公式サイト→http://tombraider.eigafan.com/index.html
監督:ヤン・デ・ボン
脚本:ディーン・ジョーガリス
出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジェラルド・バトラー、クリス・バリー、他
ストーリー:
ギリシャ・サントリーニ島付近で地震が発生、「月の神殿」が海底から現れた。ララ(A・ジョリー)は神殿へと向かい、像に埋め込まれていた珠とメダリオンを手に入れる。だが、つけて来た何者かに奪われ、ララはそれらを取り戻すべく追跡を開始。そして――
第1作目の「トゥームレイダー」の原題は「Lara Croft: Tomb Raider」。そしてこの「トゥームレイダー 2」は、上にもあるように「Lara Croft Tomb Raider: The Cradle of Life」。
両作品ともタイトルの最初に、必ず「ララ・クロフト」と主人公の名前がついている――つまり、このシリーズは、ヒロイン「ララ・クロフト」の活躍する姿を描いており、それが最大の見せ所であり、かつウリであるということ。観客はみな、ララが友情や恋に悩みつつも、知恵と勇気、そしてそのずば抜けた身体能力とでさまざまな危機を乗り越え、ハラハラさせつつも最後には(多少ほろ苦さはあっても)必ず勝利する――そんな魅力的な姿とその冒険を期待してるはず。
ああ…それなのに。
1.こんな人間味のまったくない女の、いったいどこが魅力的だとゆーのだ〜〜!?
あのね。
アンジー以上のキャスティングは望めないのよ?
これほどララにピッタリなアンジー(とその演技)に、わたしゃ一切文句を云うつもりはない!(←そう思ってるのは私だけでないはず)
なにが悪いって――こーゆーヒロインアクションものを全く理解してない脚本、演出など――つまり製作側。
なんであんなにヒロインが魅力的でないのさ?
問答無用とばかりに人をバンバン殺し(少なくとも前作はそんなんじゃなかったよ?)、恋に悩むと云っても、あんな魅力のない男が相手じゃ説得力ないし(まあ前作の男も「なんでララがこんな男に!?」とは思ったけどさ)、ラストである人物を殺すときも、その葛藤が(多少はあるけど)ほとんど感じられない。宝がすべてなわけ?…そうじゃないでしょうが〜〜!!
こんな女のまわりにいるのが、結局「執事とオタクのメカニック(?)だけ」ってのも頷ける(そしてそのふたりも、前作ほどにキャラが立ってない)。友達は少なかろう…。
人をバンバン殺しても、ジェイムズ・ボンドはとても魅力的だ。諜報員という職業柄や彼特有の美学やジョーク(←ときにパロディになるけど)、その様式がサマになってるから。ショーン・コネリーのボンドなんてものすごーく非情な男でもあるのに、みな惹かれるのは――やはりそのせいでしょ?
そしてララと同じようにトレジャー・ハンター(「トゥームレイダー」は正確に云うと「墓荒らし」なんだけど)、インディ・ジョーンズ。彼もとても魅力的だ。危機を間一髪で切り抜けるくせに、ドジ踏んだり、ときには騙されたりもする――ああ、なんと人間味溢れる男なことよ!
非情でクールなヒロインを意識したとしても、ジェイムズ・ボンドな魅力があるわけでもないし、「かっこいい、そして人間味のあるトレジャーハンター」を意識したとしても、インディ・ジョーンズのような魅力すらララにはない(ララにドジを踏めと云ってるわけではありませぬ)。もうガッカリ!ものすご〜〜く期待してただけに、そのショックは大きいナリよ…。どーしてくれるのニャ!?>製作一同
せめて…ララの定番スタイルである「黒のタンクトップ+ショートパンツ+サングラス」は見せて欲しかったよ…。ボンドなら「銃とタキシード」、インディなら「ムチと帽子」(←あの帽子、なんて云うの?)…って姿は、劇中必ず出てくるじゃんか〜…。
2.陳腐なストーリー展開と、見せ場であるアクションのキレのなさ
だれか…監督のヤン・デ・ボンに、まともな脚本を渡してやって下さい…。
あのですね。
さすがにヤン・デ・ボンなだけあって、アクションシーンの及第点は軽くクリアしてるんですよ。
でもね。
印象的なアクションの寄せ集めだけではダメなの!
シークエンスが感じられないじゃないの!
ハラハラドキドキ感がなければ、つまんないじゃないの!!
ペンギンみたいなボテっとしたスーツで飛ぶにしても、ただ飛んでるだけ。あのダイブって、かなりの見所だったんじゃないの?…でも、飛ぶに至るまでのシーンにそれほど緊迫感はないし、空中で格闘するシーンもなし。
海中でララが血を流し、サメが寄って来て大ピンチ!な場面。でもあの「ララパン〜チ!」は、いかがなものか?
後半、クライマックスで出てくる不気味な生物。でも…なんか存在が唐突。007みたいな映画と思わせといて、そこだけいきなりインディ・ジョーンズ。知恵を絞って**しても…なんだか「結局、あの生物はなんだったの?」ってな印象。あれれれれ〜??
そして、「パンドラの箱」はいったいどーゆーもので、なぜ存在し、そして悪いやつ(これがまたしょーもないヤツらどもで、なんで狙ってのかよくわからない)の手に渡るとどうなっちゃうのか。箱には悪しきものだけじゃなく、(神話によれば)底のほうに「希望」も入ってるんじゃないの?…そういった説明や展開が…ほとんどなかった…。
面白い素材はてんこもりのはずなのに、そのひとつひとつに「なんでこんなものがあるのか?」「どうしてこんな展開になるのか」「なんでこんなアクションにいたるのか?」などといった説得力が、結局最後までなかった。だからもうただ観てるだけ〜…。
監督がヤン・デ・ボンなので、「このアングルの切り替えは、彼独特のマルチカメラによるものなんだろうな〜」とか、「最終的に今回は何台カメラを壊したんだろう〜?」とか、「撮影監督出身でキューブリックを尊敬してるだけに、彼へのオマージュはどこかにあるんだろうな〜」とか、そーゆーストーリーとほとんど関係ないことばかり考えながら、観ていたのでした。
それにしても…今作はおもいっきり「インディ・ジョーンズ」(とくに3作目の「最後の聖戦」)を意識した作りになってたニャ〜…。出来は雲泥の差なんだけど…。
♯こんな人にオススメ
「とにかく私はアンジェリーナ・ジョリーが見れるだけでいいの!」
今回のお題は「2003年秋公開の映画」。
…観た映画の中からいくつか選んで、いろいろ書きたいと思います。
!注意!
以下の文章は、(できるだけ配慮したつもりですが)ネタバレしている可能性があります。そのため、これからこの作品をご鑑賞予定の方は、お読みにならないほうがいいかもしれません。
「トゥームレイダー 2」Lara Croft Tomb Raider: The Cradle of Life(2003・米)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0325703/
日本公式サイト→http://tombraider.eigafan.com/index.html
監督:ヤン・デ・ボン
脚本:ディーン・ジョーガリス
出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジェラルド・バトラー、クリス・バリー、他
ストーリー:
ギリシャ・サントリーニ島付近で地震が発生、「月の神殿」が海底から現れた。ララ(A・ジョリー)は神殿へと向かい、像に埋め込まれていた珠とメダリオンを手に入れる。だが、つけて来た何者かに奪われ、ララはそれらを取り戻すべく追跡を開始。そして――
第1作目の「トゥームレイダー」の原題は「Lara Croft: Tomb Raider」。そしてこの「トゥームレイダー 2」は、上にもあるように「Lara Croft Tomb Raider: The Cradle of Life」。
両作品ともタイトルの最初に、必ず「ララ・クロフト」と主人公の名前がついている――つまり、このシリーズは、ヒロイン「ララ・クロフト」の活躍する姿を描いており、それが最大の見せ所であり、かつウリであるということ。観客はみな、ララが友情や恋に悩みつつも、知恵と勇気、そしてそのずば抜けた身体能力とでさまざまな危機を乗り越え、ハラハラさせつつも最後には(多少ほろ苦さはあっても)必ず勝利する――そんな魅力的な姿とその冒険を期待してるはず。
ああ…それなのに。
1.こんな人間味のまったくない女の、いったいどこが魅力的だとゆーのだ〜〜!?
あのね。
アンジー以上のキャスティングは望めないのよ?
これほどララにピッタリなアンジー(とその演技)に、わたしゃ一切文句を云うつもりはない!(←そう思ってるのは私だけでないはず)
なにが悪いって――こーゆーヒロインアクションものを全く理解してない脚本、演出など――つまり製作側。
なんであんなにヒロインが魅力的でないのさ?
問答無用とばかりに人をバンバン殺し(少なくとも前作はそんなんじゃなかったよ?)、恋に悩むと云っても、あんな魅力のない男が相手じゃ説得力ないし(まあ前作の男も「なんでララがこんな男に!?」とは思ったけどさ)、ラストである人物を殺すときも、その葛藤が(多少はあるけど)ほとんど感じられない。宝がすべてなわけ?…そうじゃないでしょうが〜〜!!
こんな女のまわりにいるのが、結局「執事とオタクのメカニック(?)だけ」ってのも頷ける(そしてそのふたりも、前作ほどにキャラが立ってない)。友達は少なかろう…。
人をバンバン殺しても、ジェイムズ・ボンドはとても魅力的だ。諜報員という職業柄や彼特有の美学やジョーク(←ときにパロディになるけど)、その様式がサマになってるから。ショーン・コネリーのボンドなんてものすごーく非情な男でもあるのに、みな惹かれるのは――やはりそのせいでしょ?
そしてララと同じようにトレジャー・ハンター(「トゥームレイダー」は正確に云うと「墓荒らし」なんだけど)、インディ・ジョーンズ。彼もとても魅力的だ。危機を間一髪で切り抜けるくせに、ドジ踏んだり、ときには騙されたりもする――ああ、なんと人間味溢れる男なことよ!
非情でクールなヒロインを意識したとしても、ジェイムズ・ボンドな魅力があるわけでもないし、「かっこいい、そして人間味のあるトレジャーハンター」を意識したとしても、インディ・ジョーンズのような魅力すらララにはない(ララにドジを踏めと云ってるわけではありませぬ)。もうガッカリ!ものすご〜〜く期待してただけに、そのショックは大きいナリよ…。どーしてくれるのニャ!?>製作一同
せめて…ララの定番スタイルである「黒のタンクトップ+ショートパンツ+サングラス」は見せて欲しかったよ…。ボンドなら「銃とタキシード」、インディなら「ムチと帽子」(←あの帽子、なんて云うの?)…って姿は、劇中必ず出てくるじゃんか〜…。
2.陳腐なストーリー展開と、見せ場であるアクションのキレのなさ
だれか…監督のヤン・デ・ボンに、まともな脚本を渡してやって下さい…。
あのですね。
さすがにヤン・デ・ボンなだけあって、アクションシーンの及第点は軽くクリアしてるんですよ。
でもね。
印象的なアクションの寄せ集めだけではダメなの!
シークエンスが感じられないじゃないの!
ハラハラドキドキ感がなければ、つまんないじゃないの!!
ペンギンみたいなボテっとしたスーツで飛ぶにしても、ただ飛んでるだけ。あのダイブって、かなりの見所だったんじゃないの?…でも、飛ぶに至るまでのシーンにそれほど緊迫感はないし、空中で格闘するシーンもなし。
海中でララが血を流し、サメが寄って来て大ピンチ!な場面。でもあの「ララパン〜チ!」は、いかがなものか?
後半、クライマックスで出てくる不気味な生物。でも…なんか存在が唐突。007みたいな映画と思わせといて、そこだけいきなりインディ・ジョーンズ。知恵を絞って**しても…なんだか「結局、あの生物はなんだったの?」ってな印象。あれれれれ〜??
そして、「パンドラの箱」はいったいどーゆーもので、なぜ存在し、そして悪いやつ(これがまたしょーもないヤツらどもで、なんで狙ってのかよくわからない)の手に渡るとどうなっちゃうのか。箱には悪しきものだけじゃなく、(神話によれば)底のほうに「希望」も入ってるんじゃないの?…そういった説明や展開が…ほとんどなかった…。
面白い素材はてんこもりのはずなのに、そのひとつひとつに「なんでこんなものがあるのか?」「どうしてこんな展開になるのか」「なんでこんなアクションにいたるのか?」などといった説得力が、結局最後までなかった。だからもうただ観てるだけ〜…。
監督がヤン・デ・ボンなので、「このアングルの切り替えは、彼独特のマルチカメラによるものなんだろうな〜」とか、「最終的に今回は何台カメラを壊したんだろう〜?」とか、「撮影監督出身でキューブリックを尊敬してるだけに、彼へのオマージュはどこかにあるんだろうな〜」とか、そーゆーストーリーとほとんど関係ないことばかり考えながら、観ていたのでした。
それにしても…今作はおもいっきり「インディ・ジョーンズ」(とくに3作目の「最後の聖戦」)を意識した作りになってたニャ〜…。出来は雲泥の差なんだけど…。
♯こんな人にオススメ
「とにかく私はアンジェリーナ・ジョリーが見れるだけでいいの!」
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