とーぶん前置きナシ!の「すちゃらか映画レビュー!」どす!

お題は「2003年秋公開の映画」。
今日は…嗜好が試される映画を選んでみました。


!注意!
以下の文章は、(できるだけ配慮したつもりですが)ネタバレしている可能性があります。そのため、これからこの作品をご鑑賞予定の方は、お読みにならないほうがいいかもしれません。


「セクレタリー」Secretary(2002・米)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0274812/
日本公式サイト→http://www.gaga.ne.jp/secretary/
監督:スティーブン・シャインバーグ
脚本:エリン・クレシダ・ウィルソン、スティーブン・シャインバーグ
出演:ジェイムズ・スペイダー、マギー・ギレンホール、ジェレミー・デイヴィス、他

ストーリー:
内気なリー(M・ギレンホール)は、自傷癖のため入院をしていたが、退院。社会復帰をしようと就職活動を始め、とある個人弁護士事務所に秘書として採用される。だが、ボスであるエドワード(J・スペイダー)は風変わりで、毎回リーのタイプミスを赤ペンでチェックしては、辛らつな言葉を彼女に浴びせる。そんなエドワードの秘書教育に、最初は戸惑っていたリーだったが、次第にその行為に快感を覚えていく。そして――


……うっわ〜…。
主演俳優(M・ギレンホールとJ・スペイダーのふたり)の演技ひとつひとつ、そしてスクリーン上で展開されるストーリーに――思いっきり引き込まれちゃったよ〜…。

J・スペイダー(実は彼狙いで観に行った)が出てるので、絶対フツーの恋愛ものじゃないなとは思っていたのですが、ちょっと切り口が個性的なだけの、実はとても純愛なドラマだったのね〜。私はどんなジャンルでも、丁寧に作られてる作品というのがとても好きなので、かなりツボに入ってしまいました。

ただ〜〜し!ちょっとばかり注意が必要です。

この映画のポスターである江口寿史の画や、公式サイトの、まるでサンドラ・ブロックやメグ・ライアンのラブコメディ映画のような、可愛い雰囲気に騙されないように!…そんな軽いドラマではナイのです(でも重いというほどでもナイ)。

この作品では…ヒロインの自傷癖や、リーとエドワードのSM(と云っても、ムチやろうそくが出てくるような類ではありませぬ)的で、屈折し倒錯した性癖なども描かれています。なので、それらがダメだという人には受け入れられないでしょう。

でも今作の最大の特長は、不器用なふたりの純愛を、エキセントリックでセクシーでファニーに描いてるという点。映画全体をヘンタイにさせない絶妙なギリギリ感がとにかく素晴らしい。

…ま、これが理解できないという人は「理解できない」と切り捨てずに、「こういう恋愛ものがあるんだ」と認識したほうがスマートかと(う〜ん…フランス人みたいな云い方ナリ)。

…といいつつ、実は私も自傷癖に関しては得意でなく、始まって15分くらいまでは「ど…どうしよう…」と思ってたのですが、M・ギレンホール演じるリーの、「社会からちょっと外れた女性」から「ひとりの恋するたくましい女性」に成長していく姿、そして作品中に漂う好みがスッパリ分かれるであろう独特な雰囲気、S系弁護士エドワードを演じるJ・スペイダーの、「見た目はフツーで、優しいところもあるけど、実はヘンタイ」な男ぶりに、すっかりひきつけられてしまいました。や…やられた…。

「妊娠中か?」「妊娠の予定は?」…採用面接でいきなりこんなことを訊く、ちょっと鉄仮面なエドワード。クハラとしか思えない質問でも、事務的で能面なためイヤらしさは皆無。そんなエドワードの雰囲気と、初めて就職活動をするためなのか、セクハラな質問だとわかっていないリー。…う〜む…このシーンだけで、ふたりの相性の良さを観てる側に予感させる(女は敏感なのよん♪)。

セリフもそれほど多くはない。だけど、M・ギレンホールとJ・スペイダーの実に雄弁な目と視線、しぐさのひとつひとつ――それらは物語を静かに…そして時には劇的に展開させていく。

たとえ他人から見ればヘンタイな行為でも、それを求めてる人がいて、なおかつそこに愛があるのならば。これほどカンペキなパートナーはいないんでない?…うらやましい。SMとかいう手段を使っているけれど、云わんとすることは実にシンプルな映画だってことか。

個人的に唸ったのは、エドワードの自宅兼事務所の雰囲気。シビラを濃厚にした感じの家具や小物類が、えっちな雰囲気を助長してくれて…ナイス〜。美術さん、いい仕事してますね♪

主演のM・ギレンホールは、美人じゃないところがGood!…ちーとばかりおばさん顔な雰囲気がしないでもないけど、リーの役柄にはピッタリ。おどおどした目をしてたかと思えば、次のシーンではその目が据わってる。う〜む!素晴らしい!…思わず私も凝視しちゃった。

そして私がこの映画で一番心惹かれたのは――やはりジェイムズ・スペイダー。

彼は80年代から活躍している俳優さんで、私も彼の出演している映画はよく観ました。「プリティ・イン・ピンク」(往年のジョージ・マイケルそっくりな髪型だったよニャ〜)、「レス・ザン・ゼロ」「マネキン」「セックスと嘘とビデオテープ」「僕の美しい人だから」…そして「クラッシュ」。出演作はまだほかにもあるけど、なんつーかその…彼の得意な役どころってのは(オファーされる役がそんなのばっかりなのかもしれない)、「外見はフツーだけど、中身はどこかヘン(ときどきヘンタイ)」。だからエドワード役に、彼以上のキャスティングなんて絶対考えられましぇん!

がしかし。今作ではちょっと困ったことが発生。

それはなにかと云うと――

スクリーンに映ってる彼はジェイムズ・スペイダーであると頭でわかっていても、時折なんでかヒュー・グラントに見えてしまうのよ〜〜〜〜〜!!

――なんでなんでなんで〜〜〜!?(>私)
どう見たって、ヒューよりも顔は小さいし、シワは少ないし、声音も素敵だと思うし(ヒューは、スカした声での英国訛りがチャームポイントだけど)…なんてったって目がタレてない!!…ぜんぜん違うはず!

なんでヒューに見えちゃったんだろう〜?…ヒューとスペイダーの映画はそれぞれ昔からけっこう観てるけど、似てると思ったのは初めてナリよ〜…。髪型のせいなのかニャ〜?

↓「セクレタリー」でのJ・スペイダー(uk公式サイト)
http://www.secretarythemovie.co.uk/html/gallery06.html

↓「トゥー・ウィークス・ノーティス」でのH・グラント(日本公式サイト)
http://www.warnerbros.co.jp/twoweeksnotice/cast.html

――どう思います?
やっぱそんなこと思ったのは私だけなのでしょうか〜?

ところで。
この映画が始まる際、配給会社や字幕翻訳者の名前が出てきたのですが、そのクレジットがヘンだったので目が釘付けになってしまいました。「配給:ギャガ・コミュニケーションズGシネマグループ」はわかるのですが――「宣伝:ギャガシネマ風」ってな〜に?…なんで「風」がつくの?…「風組」ってこと?「雪組」とかもあるの?(←宝塚「風」)

♯こんな人にオススメ
「ちょっとクセのある恋愛映画を観てみたい」「大人の女性」

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