「ラスト サムライ」

2003年12月16日
トム・クルーズの「ラスト サムライ」を観に行ってきました。

ネタバレ上等で感想をば。
(ただしネタバレのある箇所は、事前に配慮します)

↓「ラスト サムライ」日本公式サイト
http://www.lastsamurai.jp/


いや〜…本編始まってから、ずっ〜〜とスクリーンに集中してたんですが――トムトム主演映画らしいと云えばらしいし、らしくないと云えばらしくない――観ていて、なんだかとっても不思議な気分になっちまいましたよ。いやはや。

20〜30代前半までのトムトムが得意とした役柄というのは、「小生意気だけど魅力に溢れるワカゾー」。たとえ映画のジャンルは違っても、だいたいそんな主人公を演じておりました(一部除く)。そして最終的には「俺はトム・クルーズなんだそう〜!」という、よく云えばオーラを感じさせる、悪く云えば俺様印象が強烈に残る……そういう映画に仕上がっておりました。

そんなトムトムも40歳を越え、さすがにワカゾー役はキビしくなってきました。私めも「これからトムトムってば、いったいどうするつもりなんだろう〜?」と思いながら、昨年は「マイノリティ・リポート」、今年はこの「ラスト サムライ」を観たわけですが――あの…トムトムさん…「マイノリティ〜」はともかく、「ラスト サムライ」のほうときたら――完全に渡辺謙に食われちゃってますよ??

でもね。これでいいの、これでいいの〜〜!
だって!「ラストサムライ=勝元」であり、ズウィック監督はインタビューで「侍を英雄として、影の主役として見せたい」と常々云ってたから。

トムトムを主役にしておけば必ず注目されるし、彼のほうも武士道に惹かれてるとなれば……もう云うことなし!ピッタリじゃん!

それにしても…ああ!渡辺謙のなんて美しいことよ!
…わたしゃ、心底感動しました!
な〜〜んていい男だ〜〜!

トムトムを上回る存在感。そして男らしい色気。こりゃ海外で絶賛されるの、わかるわ〜。海外スケールで見て、これだけ美しい日本人俳優なんて――三船敏郎以来じゃない?
もちろん、渡辺謙が(こーゆー役を演じると)素晴らしいということは知ってたし、とても絵(画?)になる俳優だということもわかっていたけど…まさかまさかまさかあのトムトムと並んでここまで映えるとは!…まったく想像してなかったので、私は純粋に嬉しかったです。

…がしかし。
ストーリーがね〜…どうにも美しすぎるんだよニャ〜…。もう参っちゃうナリよ〜…。

たしかに「ダンス・ウィズ・ウルブス」や「ブレイブハート」のサムライ版という印象を受けましたが、私の脳裏で始終ぷかぷか浮いていたのは、同じズウィック監督作の「グローリー」のほうでした。
「グローリー」も美しい映画だったのです(スローモーションで散っていく…うるるるるるる…)。そして「ラストサムライ」と同じように、脇役(デンゼル・ワシントン)が主演(マシュー・ブロデリック)を完全に食ってたよニャ〜…。う〜む。

話を「ラストサムライ」に戻して。
とにかく日本人の私が見ても、美化美化なストーリーでした。こんなに美しくしていいものか、と思うくらい。もっと汚い侍だっていたでしょうに、ここまで美しくするなんて――ズウィック監督は、大真面目な人(過去の作品観りゃわかるけど)であるとともに…かなりロマンティックな人でもあるんだニャ〜と実感しました。

なにをいまさら当たり前なこと云ってるのかと自分でも思うけど…やっぱ作品に人柄は出るからニャ〜…。

でもちょっとモノ申すと、オルグレンが勝元と行動をともにするまでの心理描写が――ちとわかりにくくないですかニャ?

そして…頑張っているけど、やっぱみょうちくりんな日本描写はあったよニャ〜…。


(以下、ネタバレ気味)


・酒は「必ずとっくりに入れて燗で飲むもの」?
・時代がズレた鎧
・蹴り付き殺陣
・忍者が村攻撃?
・ガンダルフが白馬に乗って出てきそうな広大な平野(だってロケ地がNZだから〜)
・あの時期(7月?9月?)に桜が咲いてる?(せめてソメイヨシノにして欲しかった)
・日本人俳優のセリフまわしが、時代劇調と現代劇調の混在状態で摩訶不思議
・あの時代の天皇がおじぎをする?


挙げれば他にもあるけど――まあ、今作は日本映画ではなくて、全世界へ発信するハリウッド映画なわけだし、以前話した「将軍」のように、日本人が観て屈辱を感じるような描写はないから…ま、いっかニャ〜(昔のJAC系時代劇だって、相当「あれれ〜?」な描写があったし)。ガイジンフィルターをかけて見た日本を感じられて、逆に「ニャるほど〜…そう見るか〜」と思いました。

渡辺謙以外の日本人俳優に関しては――まず、時代劇で殺陣る真田広之を久々に観れて嬉しかったです。見事でとても美しいな〜と。でも…その昔、JAC映画や角川映画をよく観てた世代の私としては、これで黒崎輝が出てれば文句ナシなんだけど…。

小雪は――なかなかよかったです♪…トムトム映画では、女はイマイチな扱いになることが多いのですが、控え目な存在でセリフも少なく、顔立ちも古風なためか、主張しすぎずに上手く馴染んでいたと思います。でも…これでまた海の向こうで日本人女性に妙な夢を抱く男が増えるかもニャ(←同じような夢を抱いて日本にやって来た、米国男である友人E談)。やっぱ全部は見せないチラチラ〜は、理想なんでしょうか〜?

サイレントサムライ役の福本先生!
「赤影」で終わらなくてよかった〜〜〜!!
でも、オルグレンに「ボブ」と云われたとき、思わず「ケビン・スミス?」と思ってしまったナリ〜…。

そしてトムトム。
なんつーかその…謙さんや真田広之が出てくると、どうしても影が薄くなってましたが、ピンでいるときや小雪とのシーンでは…さすがさすがのハリウッドスター!…表情と視線に大スターの力があります!…もうあのこぼれるような笑顔で勝負しなくても、視線で充分殺せますね!

トムトムの日本語は…なんでみんな笑うの?…上手いじゃないのさ!…「日本にやってきた異人さん」らしいじゃん!

殺陣に関しては…いや〜…上手いわ〜。今年はいろんな映画で、いろんな俳優が日本刀を振り回してましたけど、彼が1番上手かったです。その成果をあるシーンで見せてくれましたが、それがやっぱり「俺はトム・クルーズ、主演なんだぞう〜」なシーンだったので、やっぱり共演者に食われてもトムトムはトムトムでした。

そして、なによりトムトム映画らしいなと実感したのは――

(以下、最大限のネタバレ)


↓バレよけガード
バレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレバレヴァレバレバレバレ…白字反転できたらニャ〜…。


オルグレンは死ななかった、ということ。
あんな先頭にいても生き残った。
つまり――「俺は生きて、最後に勝つ」。
なんつーか…やっぱり米国人的だよニャ〜…。

そういえば私――トムトムが死んだ映画って観てないかも(というか、思い浮かばない…)。


ま、なにかしらの難があっても、やっぱトムトムがこーゆー日本を舞台にした映画に出てくれて嬉しかったです。彼じゃないと、ここまで(日本でも海の向こうでも)話題にならなかっただろうしね〜。


しっかし…オルグレンが初めて袴を穿いたとき、彼はなんだか浮かれたように(嬉しかったのニャ?)型をやってましたけど…あれ観てたら、トムトムが「マグノリア」「卒業白書」にて、白ブリーフいっちょで踊ってたシーンを思い出しました。…となると、これも「トムトム映画らしいシーン」のひとつか…。

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