「10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス」
2004年4月12日
近所のミニシアターで「10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス」を観に行ってきました。
「イデアの森」が終了して10分後に、この「人生のメビウス」が始まったのですが、観客は「イデア」の半分くらいにまで減っていました。映画好き、あるいは映画マニアぐらいしか観に来なそうな作品なので、面白かったら「メビウス」も続けて観ようと思った人は多かったはず。…ま、そのメゲた気持ちはわからんでもない…。
■「10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス」Ten Minutes Older: The Trumpet(2002・英/独/西班/和蘭/芬蘭/中)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0304808/
日本公式サイト→http://www.10minutesolder.com/
監督:アキ・カウリスマキ、ヴィクトル・エリセ、ヴェルナー・ヘルツォーク、ジム・ジャームッシュ、ヴィム・ヴェンダース、スパイク・リー、チェン・カイコー(陳凱歌)
ストーリー:
「人生の意味」「結婚・誕生・進化・孤独・死・運・郷愁」について、7人の監督がそれぞれ上映時間10分で表現する短編映画集。
上映時間と予算が同じでも、「イデアの森」よりストーリー性のある作品が多く、好きな監督も多かったので、それなりに(「イデア」よりはずっと)楽しく観れました。…デートで観る作品ではナイけど。
1.「結婚は10分で決める」Dogs Have No Hell アキ・カウリスマキ
ストーリー:留置場から釈放となった男は、事業を起こすためシベリアへ行くことを決心。ひとりではなく愛する女を連れて行きたい男。シベリア行きの列車が発車するまでに、彼は愛する女と旅立つことができるのか――。
多少の設定の違いはあれど、主演のふたりに出演バンドが「過去のない男」そのまんま、アキ・カウリスマキのスカシっぷりもそのまんまな作品。10分でも100分でもやっぱりいつものアキ・カウリスマキ…だけど、ショート・フィルムになると、なんとな〜くフツーに見えてしまう。男がレストランバーに入ったとき、「もしかしてお寿司を注文すんの?」と思ってしまったあたり、我ながら毒されてるかも。なお、アキ・カウリスマキ監督作を過去に観たことがない人は、作品に置いていかれる可能性大なのでご注意。
2.「ライフライン」Lifeline ヴィクトル・エクセ
ストーリー:静かな午後。ベッドに生まれたばかりの赤ん坊が寝ている。だが赤ん坊の腹部から血が流れ、シーツが滲んでいく。母親は隣で寝ているが、事態に全く気付いていない。時だけが流れていく――。
ひっさしぶりのヴィクトル・エクセ監督作。10年に1本という感じなので、私も一番期待しておりました…が、これもショート・フィルムのお手本のような作品。
3.「失われた1万年」Ten Thousand Years Older ヴェルナー・ヘルツォーク
ストーリー:ブラジルのアマゾン奥地に住むウルイウ族。長く文明を拒んでいた彼らだったが、20年前に初めて外部と接触、瞬く間に彼ら部族の中に文明が入り込んできた。そして20年後の現在、彼らはどのような暮らしをしているのか――。
ドキュメントもの。NHKスペシャル・人生のメビウス版といった感じか。最小限度のナレーションもあり、いっちばん分かりやすいかもしれない。最速の進化を受け入れた彼らの末路……少しせつなくなってしまった作品。
4.「女優のブレイクタイム」Int. Trailer Night ジム・ジャームッシュ
ストーリー:10分の休憩のため、トレイラーに入って来た女優。だが、次から次へとチェックのためにクルーがやって来る。そして出番――。
あ!クロエ・セヴィニーじゃん!…と、やっとよく見かける女優が登場。う〜む、意外に彼女はクラシカルな格好が似合う。ストーリーは「女優の休憩って云ったって、ろくに休めないんだから」という内容だったので、結局こっちも女優と一緒に淡々と流して観てた。それにしたって、もちっと邦題がなんとかならなかったものか。
5.「トローナからの12マイル」Twelve Miles to Trona ヴィム・ヴェンダース
ストーリー:車に乗ってトローナにやって来たひとりの男。間違ってドラッグ入りの菓子を食べてしまい、病院に来たのだったが、あいにくトローナ病院は休診だった。他の病院を求めるために、男は車で再び走り出す。だが、しばらくして最悪の「トリップ」が彼を襲い始める――。
私、これ好き。10分のドライブ中に彼が経験する、死と現実と摩訶不思議な世界――そしてその狭間。見事に表現されていたので、思わず唸ってしまった。なんとなく身近に感じた作品。
6.「ゴアvs.ブッシュ」We Wuz Robbed スパイク・リー
ストーリー:2000年のアメリカ大統領選挙で敗退したゴア陣営が、なぜ敗北が決定したのか、その決定に至る10分間のやりとり・報道に対するブッシュ陣営の策略・裏取引についてを語る。
……いまこんなの見せられてもね…。去年マイケル・ムーアの映画を観ちゃったし。
7.「夢幻百花」100 Flowers Hidden Deep チェン・カイコー(陳凱歌)
ストーリー:引越し業務が終了し帰ろうとしていた運送会社の一行は、フェンという男に「引越しを手伝ってもらいたい」といわれ、現場に向かう。だが、行った先は空き地だった。「金は払う」というフェンの申し出に、一行は家具を運び出すふりをし、仕事を終わらせようとするが――。
面白い!…素晴らしい!お見事!…観終わったあとのこの懐かしい感覚はいったいなんだろう?…中国らしい話なのに、不思議とどこか懐かしい――そんな気持ちになった。劇場内に笑いが起き、観客はみなフェンが精神的におかしい男だと思う。でもラストで思わず息をのみ、心は不思議な余韻で満たされていく――ああ、なんて素晴らしい!こんなショート・フィルムが観たかったのよ!…「イデアの森」「人生のメビウス」通して最高に面白かった作品。ありがとう!>陳凱歌監督
…以上、「10ミニッツ・オールダー」の感想でした♪
「イデアの森」が終了して10分後に、この「人生のメビウス」が始まったのですが、観客は「イデア」の半分くらいにまで減っていました。映画好き、あるいは映画マニアぐらいしか観に来なそうな作品なので、面白かったら「メビウス」も続けて観ようと思った人は多かったはず。…ま、そのメゲた気持ちはわからんでもない…。
■「10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス」Ten Minutes Older: The Trumpet(2002・英/独/西班/和蘭/芬蘭/中)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0304808/
日本公式サイト→http://www.10minutesolder.com/
監督:アキ・カウリスマキ、ヴィクトル・エリセ、ヴェルナー・ヘルツォーク、ジム・ジャームッシュ、ヴィム・ヴェンダース、スパイク・リー、チェン・カイコー(陳凱歌)
ストーリー:
「人生の意味」「結婚・誕生・進化・孤独・死・運・郷愁」について、7人の監督がそれぞれ上映時間10分で表現する短編映画集。
上映時間と予算が同じでも、「イデアの森」よりストーリー性のある作品が多く、好きな監督も多かったので、それなりに(「イデア」よりはずっと)楽しく観れました。…デートで観る作品ではナイけど。
1.「結婚は10分で決める」Dogs Have No Hell アキ・カウリスマキ
ストーリー:留置場から釈放となった男は、事業を起こすためシベリアへ行くことを決心。ひとりではなく愛する女を連れて行きたい男。シベリア行きの列車が発車するまでに、彼は愛する女と旅立つことができるのか――。
多少の設定の違いはあれど、主演のふたりに出演バンドが「過去のない男」そのまんま、アキ・カウリスマキのスカシっぷりもそのまんまな作品。10分でも100分でもやっぱりいつものアキ・カウリスマキ…だけど、ショート・フィルムになると、なんとな〜くフツーに見えてしまう。男がレストランバーに入ったとき、「もしかしてお寿司を注文すんの?」と思ってしまったあたり、我ながら毒されてるかも。なお、アキ・カウリスマキ監督作を過去に観たことがない人は、作品に置いていかれる可能性大なのでご注意。
2.「ライフライン」Lifeline ヴィクトル・エクセ
ストーリー:静かな午後。ベッドに生まれたばかりの赤ん坊が寝ている。だが赤ん坊の腹部から血が流れ、シーツが滲んでいく。母親は隣で寝ているが、事態に全く気付いていない。時だけが流れていく――。
ひっさしぶりのヴィクトル・エクセ監督作。10年に1本という感じなので、私も一番期待しておりました…が、これもショート・フィルムのお手本のような作品。
3.「失われた1万年」Ten Thousand Years Older ヴェルナー・ヘルツォーク
ストーリー:ブラジルのアマゾン奥地に住むウルイウ族。長く文明を拒んでいた彼らだったが、20年前に初めて外部と接触、瞬く間に彼ら部族の中に文明が入り込んできた。そして20年後の現在、彼らはどのような暮らしをしているのか――。
ドキュメントもの。NHKスペシャル・人生のメビウス版といった感じか。最小限度のナレーションもあり、いっちばん分かりやすいかもしれない。最速の進化を受け入れた彼らの末路……少しせつなくなってしまった作品。
4.「女優のブレイクタイム」Int. Trailer Night ジム・ジャームッシュ
ストーリー:10分の休憩のため、トレイラーに入って来た女優。だが、次から次へとチェックのためにクルーがやって来る。そして出番――。
あ!クロエ・セヴィニーじゃん!…と、やっとよく見かける女優が登場。う〜む、意外に彼女はクラシカルな格好が似合う。ストーリーは「女優の休憩って云ったって、ろくに休めないんだから」という内容だったので、結局こっちも女優と一緒に淡々と流して観てた。それにしたって、もちっと邦題がなんとかならなかったものか。
5.「トローナからの12マイル」Twelve Miles to Trona ヴィム・ヴェンダース
ストーリー:車に乗ってトローナにやって来たひとりの男。間違ってドラッグ入りの菓子を食べてしまい、病院に来たのだったが、あいにくトローナ病院は休診だった。他の病院を求めるために、男は車で再び走り出す。だが、しばらくして最悪の「トリップ」が彼を襲い始める――。
私、これ好き。10分のドライブ中に彼が経験する、死と現実と摩訶不思議な世界――そしてその狭間。見事に表現されていたので、思わず唸ってしまった。なんとなく身近に感じた作品。
6.「ゴアvs.ブッシュ」We Wuz Robbed スパイク・リー
ストーリー:2000年のアメリカ大統領選挙で敗退したゴア陣営が、なぜ敗北が決定したのか、その決定に至る10分間のやりとり・報道に対するブッシュ陣営の策略・裏取引についてを語る。
……いまこんなの見せられてもね…。去年マイケル・ムーアの映画を観ちゃったし。
7.「夢幻百花」100 Flowers Hidden Deep チェン・カイコー(陳凱歌)
ストーリー:引越し業務が終了し帰ろうとしていた運送会社の一行は、フェンという男に「引越しを手伝ってもらいたい」といわれ、現場に向かう。だが、行った先は空き地だった。「金は払う」というフェンの申し出に、一行は家具を運び出すふりをし、仕事を終わらせようとするが――。
面白い!…素晴らしい!お見事!…観終わったあとのこの懐かしい感覚はいったいなんだろう?…中国らしい話なのに、不思議とどこか懐かしい――そんな気持ちになった。劇場内に笑いが起き、観客はみなフェンが精神的におかしい男だと思う。でもラストで思わず息をのみ、心は不思議な余韻で満たされていく――ああ、なんて素晴らしい!こんなショート・フィルムが観たかったのよ!…「イデアの森」「人生のメビウス」通して最高に面白かった作品。ありがとう!>陳凱歌監督
…以上、「10ミニッツ・オールダー」の感想でした♪
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