「タイガーランド」

2004年6月13日
←この映画で初めてコリン・ファレルを見たとき、電撃がビビビ!と走りました。美形ではないし、それほど演技が上手いわけでもない――でもアウトロー的な男っぽさの中にどこか繊細な雰囲気を漂わせている――こんなタイプの20代若手ってなかなかいないし、もしかしたらしばらく同じような役が続くかもしれないけど、この子は絶対売れる!――そう思った人、多かったんじゃないかニャ〜?

20世紀FOX「1枚買ったら1枚タダ!」5/28キャンペーン(2980円)で購入した、映画DVDの感想第一弾です。

■「タイガーランド」Tigerland(2000・米)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0170691/
監督:ジョエル・シューマカー
脚本:ロス・クラヴァン、マイケル・マクグルーサー
出演:コリン・ファレル、マシュー・デイビス、クリフトン・コリンズ・Jr.、シア・ウィグハム、他

ストーリー:
1971年ルイジアナ・ポーク基地。そこで過酷な訓練を受ける若い兵士たちは、最後の1週間にタイガーランドと呼ばれる地で、実戦的かつ地獄の演習を行った後、それぞれベトナムに送られていく。そんな中、実力を持っているのにも関わらず、自ら反戦的な立場をとるボズ(C・ファレル)という兵士がいた。除隊を望む者に手引きをし、上官に反抗的な態度をとるボズ。同じ小隊のパクストン(M・デイビス)は心配するが、そんな彼を仲間たちは次第に慕っていく。そして――

…ああ。
なんて素晴らしい青春映画なんだろう……。

バットマンファンからはボロクソに云われ、予算の多い大作やさまざまなジャンルの作品を撮ってみれば、「無難で手堅いだけ」と云われたりするジョエル・シューマカーですが、この「タイガーランド」は昔の彼らしさがよく出てる――「上映時間100±10分、低予算、短期間撮影、絶妙な配役、ムダのないストーリーと演出、名作というよりはキラリと光る」――そんな作品(=私好みな作品)のひとつ。同じくコリン主演の「フォーン・ブース」や、現在公開中のケイト・ブランシェット主演「ヴェロニカ・ゲリン」なんかも、その系統じゃないかニャ?…こういうフットワークがよくて「らしい」映画、もっと撮って欲しいっス!>監督

今作は――ベトナム戦争映画と云うより、ベトナムに行くまでの青年たちの極限状態を描いた青春映画。

普通の青年である訓練兵たち。もはや戦争に意義のない状態なのに、過酷な訓練を受け、いつしか恐怖と裏返しの勇気を持つようになり、そしてベトナムへと送られていく――。その麻痺した感覚を持ちたくない、自分だって逃げ出したいのに、自分よりも仲間の除隊の手助けをし、上官に反抗的な態度を取っても、基地に残り続ける――そんな一見矛盾的な行動をするボズ。人間ではなく兵士たることを求められる中、人間性を失わないでいるためには?…彼は完璧じゃないし、英雄でもない。ごく普通の青年であり――だからこそ悩んでいて……ああ、なんて人間味が溢れていて魅力的なんだろう!

そういえば、同じシューマカー監督の青春群像劇「セント・エルモス・ファイアー」でも、大学を卒業したての男女7人が、友情と恋に悩み、世間にもまれながら、それぞれ生きていく姿がリアルに描かれていたよニャ〜…。みんな完璧じゃない、それぞれに弱いところを持つ、ごく普通の青年たちで――シューマカーはそんな彼らをひとりひとり優しく…とても優しく――まるで遠くから見守るかのように描いてた。そして、戦争というハードな題材を持っているのにも関わらず、「タイガーランド」にも、そんなシューマカーの遠くから見守る目を感じたよニャ…。

うむ。
「タイガーランド」は「セント〜」に続き、シューマカー監督のベスト青春映画でしょう。

脚本は、自らもタイガーランド経験者であるロス・クラヴァン(いまのところこれ1作のみ)、撮影はインディペンデント系出身のマシュー・リバティック(いまや売れっ子かも)で、彼はこのあと再びシューマカーと組んでる。ちなみに35ミリではなく16ミリフィルムを使って、手持ちでほとんど撮影したそうで、云われてみるとガサついた映像だし、なんだか記録映画のような雰囲気を醸してる。さらに「メイクアップアーティスト・ヘアスタイリストなし、出番待ち用のトレーラーなし、出演者の多くはロケ地の地元民、撮影期間は28日」という、なんかすんごい状態だったそうですが、それでもこれだけのものを作ってくるんだからスゴイよニャ〜…。

俳優陣ではやっぱズバリ配役のコリン・ファレル。ほとんど無名だった彼がオーディションにやってきて、シューマカーの目に止まり、そのまま主演をゲット。映画はヒットしなかったものの、その魅力が話題になり、米国で人気が急上昇。その後、大作や話題作にキャスティングされていったけど――日本ではイマイチ人気がない…っていうか、あんまり知られてない。やっぱ日本では売りにくいタイプなのかニャ?…と〜〜ってもカワイイ♪のにねぇ(←秋林ビジョン)。

↓コリン・ファレルってこんな俳優さん(IMDb)
http://us.imdb.com/name/nm0268199/

それにしても…「トータル98分中にF**kという言葉が527回出てくる」なんて、よく数えたもんだよニャ〜…。

■DVD仕様評価

1.惹句(DVDの帯についてる宣伝コピー)

「ブレイク必至。『マイノリティ・リポート』のコリン・ファレル主演で贈る、異色の戦争アクション」

う〜ん…つまんない。コリンを売ろうとする気持ちはわかる。でも「異色の戦争アクション」ってのは頂けない。だってさ〜「異色作」「意外作」というのは、面白いとは云えない作品に付けられがちだと云われてるんだよ?…それに「戦争アクション」を期待すると、物足りないだろうし(それがメインじゃないだから)。あ〜文句ばっかだニャ…。

2.仕様・特典など
ピクチャーレーベル、日本語吹替・英語字幕あり、ビスタサイズ、5.1サラウンド、監督による音声解説、コリン・ファレルのオーディション風景、メイキング、予告、TVスポット2種。

実はシューマカー監督って、DVDでのコメンタリーが上手い人。今作でもなかなか面白いお話を聞かせてくれます。そしてコリンのオーディション映像が付いてるあたり、彼がどれだけ注目されたかわかるな〜と。本編を観た後にこの映像を観ると、脚本がほとんど変わってないってことに気付きますね。ま、撮影28日間だったらそうなっちゃうのかもしれないニャ…。なお、メニュー画面はなかなかgoodな出来です。

3.総括
以前、同じ仕様で4000円台だったことをを思うと、かなりお得。
ラッキーな1枚。

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