「女王フアナ」

2004年10月8日
←もうDVD出てたのね…。
ハプスブルグ家など、西洋王家の家系図簡易版を見ていると、同じ名前の王族がゴロゴロ出てきます。そんな中、歴史学者たちが付けたのであろう、王や皇帝の特徴が一発でわかるような俗称――「太陽王」「獅子王」「航海王子」「雷帝」など――を目にすると、上手く付けたもんだよなと思わず唸ってしまいます。ただ、「獅子王」「偉大王」「勇敢伯」ならいいのですが、「肥満王」だの「強情王」だの「禿頭王」だのと付けられた王様は、後世の極東ギャルにまで「あの王様はハゲだったのね」だの、「デブだったんだ」だのと云われてしまうわけで……それはそれ、史実とはまた別の次元で、なんだか可哀想な気がしてしまうのでした。

「女王フアナ」JUANA LA LOCA(2001・西/伊/葡)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0270480/
日本公式サイト→http://kadokawa-pictures.com/juana/index02.html
監督:ヴィセンテ・アランダ
脚本:ヴィセンテ・アランダ
出演:ピラール・ロペス・デ・アジャラ、ダニエレ・リオッティ、マニュエラ・アーキュリ、ジュリアーノ・ジェンマ、エロイ・アソリン、他

ストーリー:
15世紀末。スペイン女王イザベル1世の愛娘フアナ(P・ロペス・デ・アジャラ)は、政略結婚により、オーストリア・ハプスブルグ家のブルゴーニュ公フェリペ(D・リオッティ)のもとへ16歳で嫁ぐ。美しいフェリペに会った瞬間から心奪われたフアナは、彼を全身全霊で愛するが、フェリペは浮気を繰り返す。激しい嫉妬で身を焦がすフアナ。そんな頃、スペイン女王イザベルが他界。夫であるアラゴン王フェルナンド2世ではなく、フアナをスペイン王位継承者として指名していたことから、王位継承問題が勃発。だがフアナの目はフェリペを追っていた――。

「愛に殉じた狂気の女王」として歴史的にも有名な、フアナの生涯を描いたスペイン大ヒット作品。「狂信的、熱狂的」を意味するFANATICは、フアナが語源なんだそう。ふ〜ん。

オーストリア・ハプスブルグ家において「美貌公」と称されるほど、ダンナのフェリペはたいへんな美男だったらしく、実際に映画のフェリペも色気のあるラティーノ(D・リオッティ)が演じてるのですが――いや〜本作を観てると、彼が若くして死んだのは、フアナに精気を吸い取られたせいなんじゃないかとしみじみ思っちまいましたよ。昼夜問わずであっただろう夫婦のお勤めも、彼にとってはゴーモンだったでしょうねぇ。観ていてつい、「お疲れ様でございます>フェリペ殿」とひとりごち。

しっかし…海の向こうのパッショネイト女による一途な恋とゆーのは、やはり狂気をはらんでしまうものなのね…。「アデルの恋の物語」でイザベル・アジャーニを観たときも、ごくフツーのジャパニーズな私は思いっきりひいてしまったのですが、本作はまだ歴史モノとしてのストーリーラインがあるので、そちらを期待してたのに――これが雰囲気上々なだけ。フアナに威厳を感じさせる啖呵を斬らせても、観てるこっちは突然すぎてピンときませんって。啖呵斬った後に、「私は狂女よ〜!」と叫ばれてもねえ…。

「1.若いけれど風格と威厳を持っている、2.愛に一途なパッショネイト女王なんです。3.だけど彼女もだんだん狂気が増してきて、4.ついに愛に殉じてしまいます。5.そんな女王が昔、スペインに存在したのでした」としてキッカリ描いたほうが(たとえ史実と多少違ったとしても)面白かったのでは?…いや、実際にはたしかに1〜5のストーリーラインですよ、でもひっじょ〜に1が足りないんだもん(女優さんの演技ではなく、そもそもの描写が足りないってこと)。

そのほかで決定的に抜け落ちてるものとして、民衆描写。一国を担う、当時隆盛を誇ったスペインの女王を描いてるくせに、これがないなんて!……側近だけじゃなく、民がフアナをどう思っているかは必須描写じゃない?…「国は民によって成り立ち、王は民によって作られる」わけだし。

結局、さら〜っと流して観た作品。パッショネイトな人が多い国にお住まいの方には満足できるのかもと思いつつ、私には「ふ〜ん」で終わってしまった1本。

しかし…貴族役でジュリアーノ・ジェンマが出てきたのには、ビックリしましたよう!!…あまりの懐かしさにもう少しで叫ぶところでした。…あぶない、あぶない…。そっか〜、彼はスペイン語ができるのね…。

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