「2046」
2004年10月23日
←ウォン・カーウァイといえば、全体に独特なムードが漂い、浮遊感がある覗き見風な映像とストーリーで、好きな人にはたまらない、ニガテな人には催眠効果バツグンな作品を手がけてる監督というイメージがあります。私は…そうですね、ムードとスタイルだけではお腹いっぱいになれないタイプなので、正直カーウァイ作品はそれほど得意ではなく――なんつーか、彼のDVDを観てると、いつの間にかMTV感覚で流してしまってる自分に気付くのでした。
とりあえず話題の「2046」を観に行ってきました。
「2046」2046(2004・中/仏/独/香港)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0212712/
日本公式サイト→http://www.2046.jp/
監督:ウォン・カーウァイ
脚本:ウォン・カーウァイ
出演:トニー・レオン、木村拓哉、コン・リー、チャン・ツィイー、フェイ・ウォン、他
ストーリー:
1960年代香港。心から愛した女性スー・ツェンリー(G・リー)と破局後、シンガポールから戻ってきたチャン(T・レオン)は、あるホテルの一室を借り、さまざまな女性と遊びの恋を楽しみながら、「2046」という近未来SF小説を書いていた。舞台はなにも変わらない場所「2046」を行き来する列車の中。ある日本人の男(木村拓哉)が、客室乗務員のアンドロイド(F・ウォン)に恋をする。彼は誰もそこから帰ってくることがないという「2046」から戻ってきた唯一の男だった――。
SFを強調してるトレイラーが流れていたので、それを期待して観に行ってみれば、SFというよりはSF風味――いや、「男女の駆け引きってのはある意味SFだもんね〜」と云われれば、そりゃ云ったもんのひとり勝ちでしょ!としか云いようがない、カーウァイ監督作における逃げ口上(と書くと、ファンにめちゃ怒られそう)「どう感じるかは人それぞれ。アナタの心の中に××がある」が、相変わらずそのまんま提供される映画でした。なので、↑で私が書いたストーリーは、あんまりアテにしないで下さいまし。
鑑賞必須であろう木村拓哉ファンの場合、そのほとんどがカーウァイ監督作初鑑賞となると思われますので、「木村くんさえ見れればいいの!」だけじゃない、映画もできるだけ楽しみたいという方は、数年前公開されたカーウァイ監督の「花様年華」あたりを観てから、「2046」を鑑賞したほうがよいかもしれません。面白いかどうかはともかく、「全体に独特なムードが漂い、浮遊感がある覗き見風な映像とストーリー」「どう感じるかは人それぞれ。アナタの心の中に××がある」「見目良い男女の恋愛模様」ってのは感じられると。必ずしも予習が必要だと云いたいわけではなく、カーウァイ監督作の場合「合う/合わない」が顕著なので、過去の作品でパッチテストしてみるのもひとつの手かなと思っただけです。
で、ある程度のカーウァイ免疫を持ってる私の場合ですと――
なんつーかその…チャイナドレス姿の女性をたいへん美しく撮る人なので、出演している女優さんの美人度は他作の1.5倍だし、男女の絡みもなるほど相変わらず色っぽいし、それほど綺麗ではないホテルの中でも、トニー・レオンは常にスーツ着、髪の毛なでつけ、となりの部屋を覗き見るような感覚とゆーか…乱雑な中で繰り広げられる、見目良い男女の恋愛模様に、独特な映像美、そして雰囲気メーカーの大御所たる所以を感じさせるのですが。
だ〜か〜ら〜、ムードと映像スタイルだけではお腹いっぱいになれないって云ってるじゃんよう!
え〜、映画の内容を端的(=ロマンなし)に云いますと、「恋愛のタイミングをハズした男の一大抒情詩」ってことですか?…男の人はロマンチストでいいですね…なんて云ってやるもんかっ!
愛の放浪者トニー・レオンと、彼の内面を映すミステリートレインの中の木村拓哉――「2046」がどんな場所で、どーして木村くん(とりあえず「くん」付け…ジャニーズファンより指南)が「2046」から出てきたのか、もう説明はいらないですよ。だって「どう感じるかは人それぞれ。アナタの心の中に2046がある」んでしょうから。
それにしても、本作の男どもはみな諦めのいいヤツばかり。そんなに相手より自分が大切なんでしょうか。感情むき出しで泥だらけになって女を求めるのはヤボなんでしょうか。チャン・ツィイーのどこが悪いんでしょ?「本当に愛した人はあの人だけ」ってそんなの、思い出とともにトニーの中でさらに美化されていくんでしょうね。
「木村拓哉、最悪」とかなんとか云われてそうですが、私はそれほど彼が悪いとは思えず――だって、彼って基本的に「見目良いキムタク」…つまりその雰囲気とルックスを求められてるはず。そう思えば今回の抜擢はよくわかるけどなあ。本気で演技を求められてるなら、彼が主演したっておかしくないし、日本語だけで通さず広東語を話すことだって求められてただろうし。なので、彼は彼の役割を云われたとおりに果たしているかと。
綺麗に撮れても、トニーをめぐる女性たちの印象があまり残らない。東洋人の顔の見分けがつかない西洋人や、香港映画をあまり観ない人には、女優さんの名前と顔が一致せずツライかも。ちょっとしたスター集合映画だと思うのに、なんだかそれではもったいない。
ドラマがありそうでない、独特の映像とムードで展開されていくストーリー――見目ばかり、観る側の負担率が必要以上に高すぎ、そして俳優陣を没個性化させてまでそれらを重視するのはいかがなものかと、改めて思った作品。ただ、映画評論家やアーティストの間では評価が高そうですね。一般的には「ストーリーを楽しまないでも、映像とムードだけでご飯三杯はいけます」という人向け…かな?
しかし…肖像権に対するジャニーズの力ってスゴイですね。日本公式サイトのコンテンツ「キャスト紹介」に、木村拓哉という項目はあれども写真はナシだもん(海外版サイトにはあります)。
とりあえず話題の「2046」を観に行ってきました。
「2046」2046(2004・中/仏/独/香港)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0212712/
日本公式サイト→http://www.2046.jp/
監督:ウォン・カーウァイ
脚本:ウォン・カーウァイ
出演:トニー・レオン、木村拓哉、コン・リー、チャン・ツィイー、フェイ・ウォン、他
ストーリー:
1960年代香港。心から愛した女性スー・ツェンリー(G・リー)と破局後、シンガポールから戻ってきたチャン(T・レオン)は、あるホテルの一室を借り、さまざまな女性と遊びの恋を楽しみながら、「2046」という近未来SF小説を書いていた。舞台はなにも変わらない場所「2046」を行き来する列車の中。ある日本人の男(木村拓哉)が、客室乗務員のアンドロイド(F・ウォン)に恋をする。彼は誰もそこから帰ってくることがないという「2046」から戻ってきた唯一の男だった――。
SFを強調してるトレイラーが流れていたので、それを期待して観に行ってみれば、SFというよりはSF風味――いや、「男女の駆け引きってのはある意味SFだもんね〜」と云われれば、そりゃ云ったもんのひとり勝ちでしょ!としか云いようがない、カーウァイ監督作における逃げ口上(と書くと、ファンにめちゃ怒られそう)「どう感じるかは人それぞれ。アナタの心の中に××がある」が、相変わらずそのまんま提供される映画でした。なので、↑で私が書いたストーリーは、あんまりアテにしないで下さいまし。
鑑賞必須であろう木村拓哉ファンの場合、そのほとんどがカーウァイ監督作初鑑賞となると思われますので、「木村くんさえ見れればいいの!」だけじゃない、映画もできるだけ楽しみたいという方は、数年前公開されたカーウァイ監督の「花様年華」あたりを観てから、「2046」を鑑賞したほうがよいかもしれません。面白いかどうかはともかく、「全体に独特なムードが漂い、浮遊感がある覗き見風な映像とストーリー」「どう感じるかは人それぞれ。アナタの心の中に××がある」「見目良い男女の恋愛模様」ってのは感じられると。必ずしも予習が必要だと云いたいわけではなく、カーウァイ監督作の場合「合う/合わない」が顕著なので、過去の作品でパッチテストしてみるのもひとつの手かなと思っただけです。
で、ある程度のカーウァイ免疫を持ってる私の場合ですと――
なんつーかその…チャイナドレス姿の女性をたいへん美しく撮る人なので、出演している女優さんの美人度は他作の1.5倍だし、男女の絡みもなるほど相変わらず色っぽいし、それほど綺麗ではないホテルの中でも、トニー・レオンは常にスーツ着、髪の毛なでつけ、となりの部屋を覗き見るような感覚とゆーか…乱雑な中で繰り広げられる、見目良い男女の恋愛模様に、独特な映像美、そして雰囲気メーカーの大御所たる所以を感じさせるのですが。
だ〜か〜ら〜、ムードと映像スタイルだけではお腹いっぱいになれないって云ってるじゃんよう!
え〜、映画の内容を端的(=ロマンなし)に云いますと、「恋愛のタイミングをハズした男の一大抒情詩」ってことですか?…男の人はロマンチストでいいですね…なんて云ってやるもんかっ!
愛の放浪者トニー・レオンと、彼の内面を映すミステリートレインの中の木村拓哉――「2046」がどんな場所で、どーして木村くん(とりあえず「くん」付け…ジャニーズファンより指南)が「2046」から出てきたのか、もう説明はいらないですよ。だって「どう感じるかは人それぞれ。アナタの心の中に2046がある」んでしょうから。
それにしても、本作の男どもはみな諦めのいいヤツばかり。そんなに相手より自分が大切なんでしょうか。感情むき出しで泥だらけになって女を求めるのはヤボなんでしょうか。チャン・ツィイーのどこが悪いんでしょ?「本当に愛した人はあの人だけ」ってそんなの、思い出とともにトニーの中でさらに美化されていくんでしょうね。
「木村拓哉、最悪」とかなんとか云われてそうですが、私はそれほど彼が悪いとは思えず――だって、彼って基本的に「見目良いキムタク」…つまりその雰囲気とルックスを求められてるはず。そう思えば今回の抜擢はよくわかるけどなあ。本気で演技を求められてるなら、彼が主演したっておかしくないし、日本語だけで通さず広東語を話すことだって求められてただろうし。なので、彼は彼の役割を云われたとおりに果たしているかと。
綺麗に撮れても、トニーをめぐる女性たちの印象があまり残らない。東洋人の顔の見分けがつかない西洋人や、香港映画をあまり観ない人には、女優さんの名前と顔が一致せずツライかも。ちょっとしたスター集合映画だと思うのに、なんだかそれではもったいない。
ドラマがありそうでない、独特の映像とムードで展開されていくストーリー――見目ばかり、観る側の負担率が必要以上に高すぎ、そして俳優陣を没個性化させてまでそれらを重視するのはいかがなものかと、改めて思った作品。ただ、映画評論家やアーティストの間では評価が高そうですね。一般的には「ストーリーを楽しまないでも、映像とムードだけでご飯三杯はいけます」という人向け…かな?
しかし…肖像権に対するジャニーズの力ってスゴイですね。日本公式サイトのコンテンツ「キャスト紹介」に、木村拓哉という項目はあれども写真はナシだもん(海外版サイトにはあります)。
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