「セルラー」
2005年3月8日
←クリス・エヴァンス演じる青年ライアンが使用しているケータイはノキア製(Nokia 6600)。ノキアは米国…というより欧米でたいへんなシェアを誇る北欧スオミのメーカーです。そのほか人気があるメーカーとして、エリクソン(スウェーデン)やモトローラ(米国)など挙げられますが、基本的に海の向こうの皆さんはストラップをつけるという文化をお持ちでナイため、それ用の穴がついてない機種がほとんど。アクセサリーでオシャレするというより、最初から本体にガラを付いているものが多く、たとえばノキアだったら、ゴルフ柄だの牛柄だのサンセット柄だの…日本じゃ誰も使わないだろうな〜というものがいっぱいあります。実は日本でも10年近く前でしょうか、そんな柄のノキア製ケータイが売られたことがありました。見事にホコリかぶってましたけどね…。いくら「ヨーロピアンデザイン」がウリでも、重さ450g(当時)は、日本市場じゃ致命的だって。
2月最大の拾いモノ、「セルラー」を観に行ってきました。
■「セルラー」Cellular(2004・米)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0337921/
日本公式サイト→http://www.herald.co.jp/official/cellular/index.shtml
監督:デヴィッド・R・エリス
脚本:ラリー・コーエン
出演:キム・ベイシンガー、クリス・エヴァンス、ウィリアム・H・メイシー、ジェイソン・ステイサム、他
上映時間:95分
ストーリー:
高校生物教師のジェシカ(K・ベイシンガー)は、理由もわからないまま数人の男たちによって自宅から連れ出され、ある場所に監禁される。そして、閉じ込められた薄暗い部屋の中で電話機を見つけるが、男によって破壊されてしまう。壊れた電話機で必死に交信を試みるジェシカ。するとライアン(C・エヴァンス)という青年の携帯電話に繋がり、ジェシカは必死に助けを求める。だがイタズラ電話だと思ったライアンは、その電話を切ろうとする――。
いや〜…このムダのない引き締まった演出に、ぐいぐいとリードされる心地良さときたら!
最近はドンデン返しのためのドンデン返し、狙いすぎて逆にウンザリしてしまう映画が多いためか、こういったアクはないけどダレることもなく一気に引き込まれ、その上、基本的なことはしっかり押さえてある、観る側の心地よさを優先してくれてる映画ってのは、なんつーか…たいへん清々しいっスね。私もロジャー・エバートと同じで、「フォーン・ブース」よりこっちのほうが断然好きです。いや〜、見逃した人、残念っ!…そして鑑賞できた人、超ラッキー♪いぇ〜い♪
B級王ラリー・コーエンが「フォーン・ブース」に続く電話ネタで書いた脚本を、スタントコーディネーター出身のデヴィッド・R・エリス(「デッドコースター」)が演出した本作は、ナルホド、たしかに「デッドコースター」のサクサク感を思い出す仕上がり。脚本はラリー・コーエンとだけクレジットされてるようですが、実は「デッドコースター」を書いたJ・マッキー・グルーバーとエリック・ブレスがリライトを担当したそうで、さらに納得してしまいましたよ。だってラリー・コーエン(御年66歳)だけじゃあ、いまどきの若いもんの描写はキビシイでしょうし。
で、そのいまどきの若いもんことライアンを演じたクリス・エヴァンス。私初めてこの映画で彼を見ましたが、いや〜カワイイじゃないの♪…チャラついてるヤツかと思ったら、実は正義感の強い好青年なんて、観る側が好みそうな役柄だったから余計にそう思ったのかもしれませんけど。でも、助けを求めるジェシカの声になんとか応えようと、ケータイを手にしながら車をぶっ飛ばしたりビックリ行動をしでかしたり…その姿はなかなか等身大で、共感を得られそうなキャラでしたね。肝心要なときに「電池が切れるぅ〜〜!」――みんな一度は経験あるはず。
本作はスリラー映画だけじゃなく、カーアクション映画としてもちゃんと成り立っていて、タイトな演出を殺さない、サクサクとしたスタントはさらに心地良さを助長してたんでしょう、たいへん楽しく観れました。ちなみにクリスくんは、すべてノースタントで車を運転したらしく(L.Aのスタント学校で5週間お勉強したそうな)、だからスピンターンをキメたとき、あんなに心底嬉しそうな顔をしていたのか、あれは地だったんだなとしみじみ納得してしまいました。やるじゃん♪感心感心♪
拉致監禁されてしまう人妻・生物教師にキム・べイシンガー。アップになるとさすがにフケたなと感じるんですが(いやだって、もうエミネムの母親役やる年なんだし)、観ていて思った…というか思い出したのは、あそっか、この人もシャーリーズ・セロンやハリ・ベリーと同じで殴られると映える女優だったんだということ。涙で濡れる頬、震える唇、泣き叫ぶ声、破れたストッキングに傷ついた脚…なんと色っぽいことよ!
その他、いかにも「らしい」悪役にジェイソン・ステイサム、ごくフツーな仕事ぶりで人が良さそうなんだろう引退間近な警察官にウィリアム・H・メイシー、車を強奪されるお約束キャラにリック・ホフマン…と、B級立ち俳優をキャステリングしているあたり、上手いよなあ。
基本を押さえた脚本とキャラ設定――たとえば観る側に「たぶんこうなるんだろうな〜」と思わせながら、まあ実際そうなってよくある流れ(≒お約束)に導かれるんだけれども、登場人物たちがみなキャラ立ちしていること、そのキャラに合った配役していること、オーソドックスな悪役に対して等身大なキャラを活躍させ、観る側に共感/応援させること、小粋なセリフをちりばめてること、サスペンスとアクションの比率が良いこと、携帯電話という現在コミュニケーションの手段として、多くの人々に使用されてる身近な媒体で親近感と臨場感を倍増させていること(日本人には、米国人も「バッテリー切れ」だの「話中」だの「電波弱」だの「着信履歴」だのと、まんま同じケータイ事情なんだな、ただし機能が同じでも日本のケータイとは好まれるルックスが違うんだな…と思うことでしょう)、そしてそれらをタイトな演出でまとめることに成功している――う〜む、上手いよなあ…って云うか、アクション系のサスペンスとして基本中の基本、お手本な映画を見せてもらったということでしょうか。
スリリングでサクサクな心地良さに騙されたせいか、観終わってからいくつかおかしいところ(ケータイが完全**してるのに、なんで**できるわけ?とか、着信履歴を自慢する前になんで****の****を知ってるの?とか)に気付き――それでも「ま、いっか〜、出来に免じて騙されたまんまでいてやろうじゃないの♪」という気にさせられた、小粋でB級スピリットに溢れる面白い作品。オススメです。
追記:スオミとはフィンランドのことです。
2月最大の拾いモノ、「セルラー」を観に行ってきました。
■「セルラー」Cellular(2004・米)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0337921/
日本公式サイト→http://www.herald.co.jp/official/cellular/index.shtml
監督:デヴィッド・R・エリス
脚本:ラリー・コーエン
出演:キム・ベイシンガー、クリス・エヴァンス、ウィリアム・H・メイシー、ジェイソン・ステイサム、他
上映時間:95分
ストーリー:
高校生物教師のジェシカ(K・ベイシンガー)は、理由もわからないまま数人の男たちによって自宅から連れ出され、ある場所に監禁される。そして、閉じ込められた薄暗い部屋の中で電話機を見つけるが、男によって破壊されてしまう。壊れた電話機で必死に交信を試みるジェシカ。するとライアン(C・エヴァンス)という青年の携帯電話に繋がり、ジェシカは必死に助けを求める。だがイタズラ電話だと思ったライアンは、その電話を切ろうとする――。
いや〜…このムダのない引き締まった演出に、ぐいぐいとリードされる心地良さときたら!
最近はドンデン返しのためのドンデン返し、狙いすぎて逆にウンザリしてしまう映画が多いためか、こういったアクはないけどダレることもなく一気に引き込まれ、その上、基本的なことはしっかり押さえてある、観る側の心地よさを優先してくれてる映画ってのは、なんつーか…たいへん清々しいっスね。私もロジャー・エバートと同じで、「フォーン・ブース」よりこっちのほうが断然好きです。いや〜、見逃した人、残念っ!…そして鑑賞できた人、超ラッキー♪いぇ〜い♪
B級王ラリー・コーエンが「フォーン・ブース」に続く電話ネタで書いた脚本を、スタントコーディネーター出身のデヴィッド・R・エリス(「デッドコースター」)が演出した本作は、ナルホド、たしかに「デッドコースター」のサクサク感を思い出す仕上がり。脚本はラリー・コーエンとだけクレジットされてるようですが、実は「デッドコースター」を書いたJ・マッキー・グルーバーとエリック・ブレスがリライトを担当したそうで、さらに納得してしまいましたよ。だってラリー・コーエン(御年66歳)だけじゃあ、いまどきの若いもんの描写はキビシイでしょうし。
で、そのいまどきの若いもんことライアンを演じたクリス・エヴァンス。私初めてこの映画で彼を見ましたが、いや〜カワイイじゃないの♪…チャラついてるヤツかと思ったら、実は正義感の強い好青年なんて、観る側が好みそうな役柄だったから余計にそう思ったのかもしれませんけど。でも、助けを求めるジェシカの声になんとか応えようと、ケータイを手にしながら車をぶっ飛ばしたりビックリ行動をしでかしたり…その姿はなかなか等身大で、共感を得られそうなキャラでしたね。肝心要なときに「電池が切れるぅ〜〜!」――みんな一度は経験あるはず。
本作はスリラー映画だけじゃなく、カーアクション映画としてもちゃんと成り立っていて、タイトな演出を殺さない、サクサクとしたスタントはさらに心地良さを助長してたんでしょう、たいへん楽しく観れました。ちなみにクリスくんは、すべてノースタントで車を運転したらしく(L.Aのスタント学校で5週間お勉強したそうな)、だからスピンターンをキメたとき、あんなに心底嬉しそうな顔をしていたのか、あれは地だったんだなとしみじみ納得してしまいました。やるじゃん♪感心感心♪
拉致監禁されてしまう人妻・生物教師にキム・べイシンガー。アップになるとさすがにフケたなと感じるんですが(いやだって、もうエミネムの母親役やる年なんだし)、観ていて思った…というか思い出したのは、あそっか、この人もシャーリーズ・セロンやハリ・ベリーと同じで殴られると映える女優だったんだということ。涙で濡れる頬、震える唇、泣き叫ぶ声、破れたストッキングに傷ついた脚…なんと色っぽいことよ!
その他、いかにも「らしい」悪役にジェイソン・ステイサム、ごくフツーな仕事ぶりで人が良さそうなんだろう引退間近な警察官にウィリアム・H・メイシー、車を強奪されるお約束キャラにリック・ホフマン…と、B級立ち俳優をキャステリングしているあたり、上手いよなあ。
基本を押さえた脚本とキャラ設定――たとえば観る側に「たぶんこうなるんだろうな〜」と思わせながら、まあ実際そうなってよくある流れ(≒お約束)に導かれるんだけれども、登場人物たちがみなキャラ立ちしていること、そのキャラに合った配役していること、オーソドックスな悪役に対して等身大なキャラを活躍させ、観る側に共感/応援させること、小粋なセリフをちりばめてること、サスペンスとアクションの比率が良いこと、携帯電話という現在コミュニケーションの手段として、多くの人々に使用されてる身近な媒体で親近感と臨場感を倍増させていること(日本人には、米国人も「バッテリー切れ」だの「話中」だの「電波弱」だの「着信履歴」だのと、まんま同じケータイ事情なんだな、ただし機能が同じでも日本のケータイとは好まれるルックスが違うんだな…と思うことでしょう)、そしてそれらをタイトな演出でまとめることに成功している――う〜む、上手いよなあ…って云うか、アクション系のサスペンスとして基本中の基本、お手本な映画を見せてもらったということでしょうか。
スリリングでサクサクな心地良さに騙されたせいか、観終わってからいくつかおかしいところ(ケータイが完全**してるのに、なんで**できるわけ?とか、着信履歴を自慢する前になんで****の****を知ってるの?とか)に気付き――それでも「ま、いっか〜、出来に免じて騙されたまんまでいてやろうじゃないの♪」という気にさせられた、小粋でB級スピリットに溢れる面白い作品。オススメです。
追記:スオミとはフィンランドのことです。
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