←この人がボビー・ダーリン。50年代にデビュー、歌手だけでなく映画俳優やバラエティ番組の司会などもこなし、当時全米でたいへんな人気を博したというエンターテイナーです。でも37歳の若さで亡くなったのだとか。で、彼の大ファンだったという俳優のケビン・スペイシーが、企画・構想・着手に10年、歌のレッスンに4年も費やして、昨年、彼の生涯をミュージカル風に映画化。私めも「ケビンが吹替ナシでノリノリに歌ってるらしい」「しかもたいへん上手いらしい」と聞きまして、ホンマかいな?と公開初日にイソイソと映画を観に行ったんですけど、これが本当に上手くてビックリ仰天。後日、ボビー・ダーリンのCDを参考に聴いてみたら、ケビン・スペイシーのほうが上手かったというオチまで付き――ボビーを演じるには年を取り過ぎてたとは云え、ケビンさんの情熱と歌唱力には極東女子も頭が下がりましたです、はい。ただし、映画の出来は別の話になりますけどね。

…というわけで、歌って踊るミュージカルの世界の人とは到底思えない、演技派だけど胡散臭さがプンプンする俳優ケビン・スペイシーが、いったいどんな姿でスクリーンに映ってるのか気になり、彼自身が製作・監督・脚本・主演したという入魂の一作とやらを観に行ってきました。

↓劇中、マイクを手に持ちノリノリで歌っているケビン・スペイシーさん(IMDb)
http://us.imdb.com/gallery/ss/0363473/02_300dpi.jpg
(ルックスも本物と似てますね)

■「ビヨンド the シー 夢見るように歌えば」Beyond the Sea(2004・米)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0363473/
日本公式サイト→http://www.gaga.ne.jp/beyondthesea/
監督:ケビン・スペイシー
脚本:ケビン・スペイシー、ルイス・コリック
出演:ケビン・スペイシー、ケイト・ボスワース、ジョン・グッドマン、ボブ・ホスキンス、他
上映時間:118分

ストーリー:
40年代の米国NY・ブロンクス。長くは生きられないと宣告された少年ボビーは、母ポリーの指導で音楽を習う。年月が流れ、青年となったボビー(K・スペイシー)は、「ボビー・ダーリン」としてデビュー、売れっ子スターとなり人気を博す。歌・映画ともにヒットを重ね、映画で共演したアイドルのサンドラ(K・ボスワース)と電撃結婚、順風満帆と思われたボビーだったが、やがて時代が変わり、彼もその影響を受けていく――。

…ごめんなさい。
ケビン・スペイシーの歌って躍る姿に、途中ですっかり飽きがきてしまいました。

公開時期も重なり、幸か不幸か「Ray」と比較されがちな本作。たしかにともに実在したアーティストを取り扱った作品とはいえ、前者のジェイミー・フォックスの場合は、レイ・チャールズがまるで憑依したかのような熱演ぶり(ただし、ラスト10分ほどの展開はあんまり好きになれなかった)で、彼を通してレイ・チャールズを観ている気持ちになったのに対し、本作のケビン・スペイシーは――熱演してるんですよ、でもスクリーンに映るのは、あくまでもボビー・ダーリンを演じているケビン・スペイシーであり、まるでCXの「新春かくし芸大会」を観ているような気分になってしまいました。マチャアキ入魂のかくし芸とでも云うか。

そして全体的にワンマンな印象がとっても強く、またボビー・ダーリンを演じるには、ケビンじゃフケ過ぎてるかと。それをカバーするためか、ケビン演じるボビーが自伝映画に出るという演出を仕掛けてあり、実際に「あなたでは年を取り過ぎている」と云われる場面があるのですが、ミュージカル仕立てなためか、白昼夢度が高く、人によっては説明不足で混乱を招きそうな感じ。ボビー・ダーリンをまったく知らない上、ミュージカルがさほど好みではない私には、なにがなにやらでツラかったっス。

内容としては、前半は歌って踊るケビン三昧とゆーか、破竹の勢いなボビー・ダーリンが描かれ――

↓黄色のスーツに黒のシャツで踊るケビン・スペイシーさん(IMDb)
http://us.imdb.com/gallery/ss/0363473/04_300dpi.jpg
(一緒に踊っているのは、サンドラ役のケイト・ボスワース)

…と、このままの状態であと1時間続いたらどうしよう、マジでゲップが出ちゃうかもと心配していたら、後半はシリアスな内容に変わっていって、一気にトーンダウン。白昼夢な前半に飽きていたところだったので、この展開は嬉しかったのですが――今度はエピソードが盛りだくさん過ぎてゴーインになってしまい、気が付いてみれば、エンドクレジットが(ケビンの歌つきで)始まっていました。

しっかし…サンドラ役のケイト・ボスワース。まるでお人形さんのように愛らしいサンドラそのまんまの雰囲気だったので、ケビン・スペイシーと一緒にいると、まるで彼の毒牙にかかろうとしているお姫様かのよう。騙されたらアカンで!…と何度思ったことか。そしてやっぱりとゆーか、相変わらずケビンさんは女性と絡んでも色気がなく(私は彼がいつかクローゼットから出てくるだろう**だと思ってますよ、はい)、年齢だけでなく、この点もボビーを演じるとしてはツライところだったかもなと。でも踊りはともかく、歌は絶品だったので、この際出来や評価うんぬんは置いといて、俳優としての彼の努力と根性、器用さを称えたいです。監督としての評価は保留。

1本通して観てみれば、バランス悪くてたしかに出来がいいとは思えない――でもケビン・スペイシーが好きな人には充分に楽しめるだろう、ケビンのケビンによるケビン(とファン)のための映画。

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