「ウィンブルドン」

2005年6月15日
←トップビリングはキルスティン・ダンストに譲れど、主演はポール・ベタニーさん(34歳)な本作。彼の定番イメージといえば、「ガリガリでギリギリでギラギラ、銃とナタを持たせりゃ世界一、背負わせるなら薔薇より曼珠沙華、俺は血まみれ素っ裸ギャングスター!」ですよね。ギャングでない役、たとえばDr.マチュリン役も素晴らしかったですけど…って、あれも血まみれだったか。そんな彼が、なんとビックリ「ノッティング・ヒルの恋人」「ラブ・アクチュアリー」で有名な、ワーキングタイトル(以下、WT社)製作のスポコン系ラブコメ映画に出演!…これにはさすがの私も驚きました。まあたしかにテニスプレイヤーらしいルックスはしてますよ、でも日の光より影のほうが似合う俳優だと思うんだけどなあ…。

とゆーわけで、あのポール・ベタニーが、目に痛いほど真っ白なテニスウェアを身にまとい、うっすら筋肉をつけ、日焼けをし、ラケットを振りまわしているならば、こりゃなんとしてでも観に行かねば、え〜いとめてくれるな、おっかさん!…これまたユナイテッド・シネマ系列(ほぼ)独占公開作のため、最寄りユナイテッド・シネマまで観に行って来ました。「プライド」とハシゴ。

■「ウィンブルドン」WIMBLEDON(2004・英/仏)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0360201/
日本公式サイト→http://www.uipjapan.com/wimbledon/index.htm
監督:リチャード・ロンクレイン
脚本:アダム・ブルックス、ジェニファー・フラケット&マーク・レヴィン
出演:ポール・ベタニー、キルスティン・ダンスト、ニコライ・コスター・ワルドウ、サム・ニール、他
上映時間:99分

ストーリー:
英国ウィンブルドン大会が開催。世界ランク11位だったのは過去のこと、現在はもはや落ち目のベテラン選手でしかないピーター(P・ベタニー)は、ワイルドカードでなんとか出場権を得たものの、今大会で引退を決意していた。ところが宿泊先のホテルで、人気実力ともにある米国出身のリジー(K・ダンスト)と出会い、思いがけず恋に落ちてしまう。リジーとの恋によって、勢いがついたピーター。どんどん大会を勝ち進む彼だったが、ふたりの関係が世に知られてしまい――。

テニスムービーと云えばたしかにそうだけれども、実際は「よく見りゃけっこういい男なくせに、実はヘタレでしがないひとりの男が、高嶺の花に恋してジタバタオロオロ、ところがどっこい、ひょんなことから一発大逆転、なんだかトントン拍子でこりゃいい感じ?」な、「ノッティング・ヒルの恋人」がどうにも脳裏にチラついてしまう(「ノッティング〜」がジュリア・ロバーツではなくヒュー・グラントの映画だったように、これもキルスティン・ダンストではなくポール・ベタニーの映画になる)、WT社製お得意の英国ドリーム&うっちゃりオサレ感覚満載のスポーツ系ラブコメ。

なので、「テニスシーンに迫力ないじゃないか!」だの、「ボールがすべてCGなんてナメとんのか!?」だの、「キルスティン・ダンストのサーブポーズがヒドすぎる!」だの、「そんな恋の邪念パワーだけでそこまで勝てるか!」だの、「テニスは孤独なスポーツのはず!」だの、本気で文句云わないように。だって、これはWT社製ラブコメなんだから。…つまり、免罪符映画ってこと。

と弁護しつつも、残念ながらキャスティングの時点で、ものすご〜くハンデを背負っている本作。

まずポール・ベタニー。米国では無名に近く集客力の点でキビしい俳優だという以前に、オロオロ・ジタバタする男はどうやったって似合わないでしょ。ビビってサーブミスしたり、勝負パンツはどれにするか悩んでたり、「どーせオレはダメな男なんだ」とヘタレてる姿が、サマになってないんだもん。こーゆーのは、ヒュー・グラントのような俳優が演じてこそ映えるキャラなのであって、ポールではムリがある…ってか、彼の場合、敵役として登場、コートでギラギラしているキャラを演じてこそ映えるタイプ。キュートなデイジーではなく、やはり彼は曼珠沙華(彼岸花)かと。でも頑張ったよね、ポール。ヘタレ男を一生懸命演じてるその姿が、私には目に眩しかったっス。

そしてキルスティン・ダンスト。スポコン青春モノ「チアーズ!」で素晴らしかったのは、彼女があくまでもフツーの女の子を演じたからで、シャラボアのように人気実力ともに若手ダントツ、常に一目置かれるトッププレイヤーにはどうやったって見えないでしょ。こーゆーのは、たとえばスカーレット・ヨハンソンあたりが演じてこそ映えるのであって、キルスティンの場合、トップ目指して地道に頑張ってる、隣のお姉ちゃんプレイヤーを演じてこそ映えるタイプ。美しく凛と咲く薔薇ではなく、やはり彼女はタンポポかと。そんなタンポポが、新作映画でマリー・アントワネットを演じていいわけ!?気に食わん!…ファンだったら満足でしょうが、私にはお手軽な配役だとしか思えない。

でもなあ…WT社のラブコメである以上、そこまで云うのはナンセンスになるかも。おカタイこと云わずに楽しめればいい、みたいな。でもポール&キルスティンの間にケミストリーが感じられなかったのは事実。いっそのこと、恋愛抜きの「ピーターの一発逆転ストーリー」or「リジーのサクセスストーリー」にしたほうが面白かったような…。う〜ん…。

で、そんなこと考えて観ていたら、思わぬ大発見をしてしまいました。

ピーターと仲良し、ゲイのドイツ人プレイヤーのディーター……誰よ誰誰!?いったい誰!?このイケメンはぁああっ!?

↓ポールの横にいる人ね(IMDb)
http://us.imdb.com/gallery/ss/0360201/1271.jpg

演じたのは、ニコライ・コスター・ワルドウというデンマーク出身の俳優さんなのですが――うっわ〜、ひっさしぶりに好みのど真ん中ストレートを突かれてしまったナリ。秋林、思わず撃沈。次回作でもポールと共演するらしく――こりゃ要チェックや!…つい、「リジーじゃなく、ディーターとどうにかなってくれ、ピーター!」と思ったじゃないの。まさかWT社のラブコメで、腐女子のツボを直押しされるとは。私の目も相当腐ってきたか。

ヒュー・グラントが(ほぼ)不在となった今、WT社の「ラブコメ、もう作らないもんね〜」発言が、なんとなくわかったような気がした1作。

↓WT社が「ラブコメを撮らないもんね」と語る
http://diarynote.jp/d/25683/20041128.html

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

日記内を検索