←これを観に行こうと思った理由は、「セルラー」の感想でも書いたように、監督&脚本が個人的に注目しているエリック・ブレス&J・マッキー・グルーバーだということ、そして若手俳優のアシュトン・カッチャーが、得意のバカチン系ではなく、お悩み青年系で大マジメな演技をしているらしい…と小耳に挟んだからです。やっぱね、急にバカチンくんがシリアスorアクション映画に出るとね、私としてはどうしてもチェックしたくなるんですよ。…むか〜し、バカチン青春モノに立て続けに出てたある若手俳優が、いっきなりアクション映画でFBI特別捜査官を演じたときだって、「ヘイ、デュード…いったいどうした!?」と、ビックリ仰天させられたし…って、まあ今回は、あのときほど驚きはしませんでしたが。免疫ができたからでしょう。

…というわけで、日本でもブジ公開された「バタフライ・エフェクト」を観に行ってきました。

■「バタフライ・エフェクト」The Butterfly Effect(2004・米)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0289879/
日本公式サイト→http://www.butterflyeffect.jp/
監督:エリック・ブレス&J・マッキー・グルーバー
脚本:エリック・ブレス&J・マッキー・グルーバー
出演:アシュトン・カッチャー、エイミー・スマート、ウィリアム・リー・スコット、エルデン・ヘンソン、他
上映時間:114分

ストーリー:
ときどきぽっかりと記憶を失くしてしまうエヴァン(A・カッチャー)は、幼い頃、医者の勧めで日記をつけていた。だが、引越しをすることになり、記憶があやふやなままでエヴァンは大学生となってしまう。ある日、彼は13歳の頃に書いていた日記を見つけ、忘れていた過去、幼なじみのケイリー(E・スマート)を思い出す。日記を読むことで過去に戻れることを知ったエヴァンは、愛するケイリーの運命を変えるために、ある選択をするが――。

「もしあのとき〜してたら〜だったろうに」。

自分が現在置かれているこの好ましくない状況は、過去の自分の行動に問題があったからで、もしあのとき別の選択をしていたならば、今とはまったく違う、それどころかもっと良い人生を歩めていたんじゃなかろうか――通常であれば、嘆きやグチとともに思い描くだけで終わるはずの反実仮想を、自らのタイムスリップ能力と記憶によって、思いがけず実現させてしまった青年のお話。

(以下、鑑賞済みの人向けに「私はこう思った/感じたんだけれども、あなたはどうでした?」という話になります。つまりネタバレ上等!…お気をつけ下さいませ)

…あ〜あ、ガッカリ。

エヴァンが何度も繰り返す、「現在の状況を良くするためのタイムスリップ」――その理由に説得力がなく、いくらでも魅力的&等身大に描けたはずの主人公が自分勝手な青二才としか見えず、私にはツライものがあったナリ。この映画を観るには、自分が年くい過ぎてたからでしょうかね?別の意味でせつないナリ。

悲惨なケイリーを助けたいのはわかる。だけどね、いくら過去の記憶がないと云ったって、大学生になるまで彼女のことをコロっと忘れてたくせに、突然「君を救うためなら、僕は何度だってタイムスリップするよ」と云われてもなあ。

彼女への狂おしい思い、恋焦がれる姿――そういったものをちゃんと描いて下さいよ。

別にエヴァンの片思いだっていい、とにかく…エヴァンが青い青いロマンスに悶える青年として描かれてないもんだから、ケイリーとの関係に、そして「君を救うためなら、僕は何度だってタイムスリップするよ」に、説得力がまったくないじゃない。

タイムスリップを何度も繰り返した結果、最終的に「彼女を*******」を選択した主人公、そして向えるあのラストシーン――もし、青く狂おしい恋が描かれていたならば。オアシスの「Stop Crying Your Heart Out」が感動的に流れる中、その若さゆえの行動、タイムスリップを繰り返した彼への代償、最終的な決断に対し、私だって胸が締め付けられ、せつなくなったのに。ああ、なんともったいない。

ただし。前述したように、エヴァンは何度もタイプスリップして、(自分に)良かれと思って過去を変えるわけだけど、現代に戻ってみれば、そのほとんどにダークな結果が待っているし、しかもみな救いがないしで、そりゃこんな結果になるんだったら誰だって何度もタイムスリップしたくなるわな、という気持ちにはなる。うん。ただ、この妙にダークなエピソードの連続に、不快さを感じる人は多そうだ。

あと、せっかく「バタフライ・エフェクト」(カオス理論「ある場所で蝶が羽ばたくと、地球の反対側で竜巻が起こる」…公式サイトより)というタイトルつけてるんだから、そんな自分周りのエフェクトばかりじゃなく、若さゆえの行動で過去を変えてみれば、思いがけず全世界まで狂わせてしまった――「ああ!僕はなんてとり返しのつかないことをしてしまったんだ!」と、主人公が頭を抱えて絶望する――という、代償の規模が大きいダークな青春残酷物語にすればよかったのに。なんであんな小奇麗にまとめたわけ?…私なんかはその小奇麗さが鼻につく。でも、小奇麗なラストだからこそ、あのオアシスの曲が効果的に響くのかもしれない。

で、いろいろと話題の若手バカチン俳優アシュトン・カッチャーなんですが。

私、けっこう彼出演の映画を観ているんですけどね、本作で初めて彼はシリアス演技をしたそうですが――ウマヘタ以前の問題として、その…なにゆえ彼は、ものすご〜くスクリーンから浮いて見えるの?

調べてみたら、幼なじみを演じた他の俳優たちとさほど年齢差はない。でも、彼らの中にいるとものすごく浮く。皆に比べて個性や存在感、演技力があるとはいえないし…ここまで違和感があるならば、やっぱりミスキャストだったのでは?…でも、じゃあ誰が適役よ?と訊かれると、すぐに名前が出ない。そうだな、イーサン・ホークがあと15歳ほど若かったら似合ってたかも。う〜ん…。

若さゆえの行動――その「神にも許されない行為」への代償が、思っていた以上にちゃっちく感じる、主人公がもっと絶望するラストにしたっていいんじゃないか、プロットは個性的で面白いけど、小奇麗にまとめようとしてるあたりに中途半端さを感じる、でもハマる人はかなりハマってしまうんじゃないか、そんなちょっとカルトな位置に属する作品。いくらDVDのディレクターズ・カット版に、別ラスト(私が云う規模のでかい絶望感)が用意されてるって云われても、私は食指が動きましぇん。

しっかし…ケイリーのパパ役でエリック・ストルツ(懐かしいよう!)が出てましたけど、「ルールズ・オブ・アトラクション」に続いて、あーゆー役を演じるんだもんなあ…定番役にならなきゃいいけど。

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