←いろいろご意見はありましょうが、数あるハリソン・フォード主演作でも、演技の素晴らしさなら上から数えたほうが断然早い、86年公開(日本は87年。春ごろに観た覚えが…あれ?)映画「モスキート・コースト」。ハリソンの長男チャーリー役として、リバーが出演してますが、ピーター・ウィアー監督は当初、「設定年齢より上だから」という理由で、推薦のあったリバーではなく、ウィル・ウィートン(「スタンド・バイ・ミー」のゴールディ)を考えていたそうです。ところが、リバーの生い立ちがチャーリーと驚くほどそっくりで、両親は世間からドロップアウト、一家は米国や俗世間から離れて暮らしていたと知るや、リバーを選出。がしかし、ジャングルロケに同伴したリバーのお父さんは、自分たちとあまりに似ている設定にひどく気分を害され、その反動なのか、リバーはハリソンを父親のように慕い、ハリソンもまたリバーをたいへん可愛がったそうです。う〜ん…。

■「モスキート・コースト」The Mosquito Coast(1986・米)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0091557/
監督:ピーター・ウィアー
脚本:ポール・シュレイダー
出演:ハリソン・フォード、ヘレン・ミレン、リバー・フェニックス、コンラッド・ロバーツ、マーサ・プリンプトン、他
上映時間:117分

ストーリー:
病める米国に嫌気がさした発明家のアリー(H・フォード)は、妻(H・ミレン)と息子チャーリー(R・フェニックス)ら一家を連れて、中米ホンジュラスのジャングルへと移り住む。さまざまな困難を経験しながら、なんとかコミュニティを築き上げた一家だったが、アリーのエゴは日増しに強くなっていく。それでもそんな父を絶対視するチャーリー。ところがある日、コミュニティーにある人物が訪れ、異変が起こり始める――。

「誰よりもアメリカを愛していたから、私たちはアメリカを離れたのです」
(当時のチラシより)

……痛烈な批判であり、また皮肉でもあり。

どんなに追い求めても、崩壊してしまう理想。
絶対視していた父が狂気に走ったとしか思えない状況下、否応なく、大人にならなければいけないと知る息子。

ハリソン・フォード演じるアリーがあまりにも自己中心的で、その姿に嫌気がさしてしまう人もいるでしょう。でもいったいなにが、アリーをそこまでの文明嫌いにさせてしまったのか。歪んでいるのはアリーなのか、それとも文明なのか――観ているうちにわからなくなってきてしまう。

ただわかるのは、理想と現実は大きな差があり、その差を認めずに生きることは難しく、とても厳しいということ。拒否だけでは絶対に生きてはいけない。

ハリソン・フォードの鬼気迫る姿は何度観ても素晴らしく、いまや出演作は似たようなものばかりで、表情も毎回同じ、なんだか俳優としてサエない印象のハリソン・フォードなのに、昔はこんな前衛的な映画に出てたんだよなあ、と再見しながら思わずひとりごち。

エンタテイメント映画じゃないし、誰にでも薦められる面白い内容だとは決して云えないし、問題を描いているのに、真理を追求するように仕向けられてはいないという、摩訶不思議な作品。チャーリーの視点で描かれているために、物語の皮肉さと悲哀が最小限度に抑えられているところが、ちょっとした特徴になるか…な?

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