←リバー・フェニックス最後の劇場公開作品。日本未公開作(ただし、リバーの死の直前93年秋、インターナショナルコンペティション作品として、東京国際映画祭にて上映)。この映画でリチャード・ハリスと共演できることに感動したリバーは、撮影でも彼にずっとくっついていたそうで、ハリスもリバーのことをたいへん気に入り、「彼は淋しがってないか?」といつも気にかけていたとか。さらに、リバーは自分に与えられたトレーラーを、メイクに時間がかかる共演の女優シーラ・トゥージーのために譲ってあげたそうで、スタッフいわく「そんなことを云い出した俳優はリバーだけだった」。優しい人だったんですよね…。

■「アメリカンレガシー」Silent Tongue(1994・仏/和蘭/米/英)
IMDb→http://us.imdb.com/title/tt0108135/
監督:サム・シェパード
脚本:サム・シェパード
出演:リチャード・ハリス、アラン・ベイツ、リバー・フェニックス、シーラ・トゥージー、他
上映時間:106分

ストーリー:
牧場を営むプレスコット(R・ハリス)は、息子タルボット(R・フェニックス)が、お産で死んだインディアンの血を引く妻アウバニー(S・トゥージー)の遺体から離れず、半狂乱になっている姿を見かね、今度はその妹を息子の嫁にもらおうと、薬売りの香具師一座の座長であるマックリー(A・ベイツ)のもとを訪れる。半ば拉致に近い状態で、妹を息子の前に連れて行くプレスコットだったが――。

本作の監督兼脚本家であるサム・シェパード――最近では「ステルス」「きみに読む物語」に出てた、脇役だけどちょこちょこ見かけるシブいおじさん俳優――が、実はピューリッツァー賞を受賞したこともある、たいへん有名な劇作家だったなんて、知らなかったよなあ。

そんなサム・シェパードが手がけた異色ウェスタン――彼が劇作家ということでピンときたんだけれども、これ……映画ではなく、戯曲(つまり舞台作)にしたほうがよかったんじゃないの?

舞台出身の俳優が多く、その演技は必要以上に芝居がかっているため、なんだか映画を観ているような気がしない。リバーは、髪は逆立ち、声は振るえ、本当に発狂しているように見え、怖い。そんな息子をなんとかしたいという、リチャード・ハリス演じる父親の気持ちがよく伝わってくる。

映像は美しい…けれど、香具師一座による興行シーンがとても長く、飽きてくる。これがちょっとつらいかな。

半狂乱のタルボットの前に、亡霊となって現れる妻。
なぜ彼女は、夫やその父、そして自分の妹まで呪うのか?

キリスト教徒である白人の驕(おご)りを前に描かれる、ネイティブアメリカンの精神、呪詛……う〜ん…。わからないということはないけれど、やっぱり解釈の嚥下が難しいと感じられる作品。

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