半券語り:「マイ・プライベート・アイダホ」
←クリックするともっと画像は大きくなります(半券横の写真は「スーパーワンダフリャジャケット」です)。今年はもうさんざっぱらこの映画の話を書いておりますが…半券もちゃんと残ってますよん♪…って、あれ?あれれれれれれ?半券のリバー・フェニックス――これもしかして、映画と全然カンケーない写真を使ってないですかっ!?今ごろ気付いた!ガーン!……ちなみに半券に書かれている惹句は、「晴れた日のアイダホの空には天使たちが見える」。手元にある当時のチラシに書かれている惹句は、「天使たちは愛を売って幸せを探す」「アメリカの優しい風景に抱かれた美少年たちのロードムービー」。こりゃ絶対、誤解される…そんな優しい映画ではな〜〜いっ!とっつきやすい映画でもな〜〜いっ!

リバー主演作ではありますが、まずキアヌ寄りの視点でヨタ話をば。

え〜…この「マイ・プライベート・アイダホ」(以下、MOPI)が公開された年は、面白い映画が多かった当たり年だったと同時に、毛色がまったく違うキアヌ・リーブス主演/出演作(MOPI、「ハートブルー」「ビル&テッド」)が三本立て続けに公開され、「キアヌをいったいどう売りたいのだ!?>アーウィン・ストフ」と、私をたいへん困惑させた年でもあります。

それでもその三本のキアヌ出演作を、友人Rちゃん(大学時代の同級生。80年代後半に「危険な関係」を観て、キアヌに惚れたという珍しいファン…とゆーか、中毒者。ヤツ主演の舞台「ハムレット」を観るためにカナダまで行き、3公演も観たというツワモノ。とーぜんドッグスターツアーにも行っている。どんなに好きでも、ホテルやお店までの追っかけ行為は絶対にしないというのが彼女のポリシー。私は彼女以上のファン…とゆーか、中毒者を見たことがありませんっ!)と一緒に、すべてきっかり観に行ったくせに、残ってる半券はリバー主演のMOPIだけっつーあたりが、実に私らしい話ですね♪てへ♪

↓「マイ・プライベート・アイダホ」の感想
http://diarynote.jp/d/25683/20050501.html
(Rちゃんと観に行ったときの話も書いてます)

↓「ハートブルー」の舞台挨拶に行こうとRちゃんに誘われ、断ったときの話
http://diarynote.jp/d/25683/20040424.html
(MOPIのときにリバーと一緒に来日してれば、一石二鳥だったものを…)

以上、公開当時のヨタ話はこれくらいにしておいて、先月、リバー出演作の感想を書いた際に、MOPIがいかにして撮影されたかといった裏話を書きそびれたので、今回はそれについて(私が知り限り)語ってみたいと思います。参考文献は『Lost in Hollywood』John Glatt(1995)、『Gus Van Sant: An Unauthorized Biography』James Robert Parish(2001)、その他お取り寄せ洋雑誌のインタビュー記事、そしてRちゃんと私の記憶。

↓まずは一枚の写真から(amazon)
http://images.amazon.com/images/G/01/video/stills/cast.jpg

左から、リバー・フェニックス、キアヌ・リーブス、ロドニー・ハーベイ、ウド・キア、マイケル・パーカーで、場所は(たぶん)本編中に出てきたポートランドのお店、撮影の合間に収められたショットだと思われます。

もともとこのMOPIは、ポートランドのアッパーミドルクラスのボンだったガス・ヴァン・サントが、数年前まで実際にハスラー(男娼)として街頭で立ちんぼしていたという、写真一番右のマイケル・パーカーをモデルに脚本を書いた作品です。

当初はそのマイケル・パーカー主演で撮影する予定が、マット・ディロン主演「ドラッグストア・カウボーイ」の成功によって予算が付き、「ならばマイク役はリバー・フェニックス、スコット役はキアヌ・リーブスで」と、そんな夢のキャスティングに向かって、ヴァン・サントが彼らにアプローチできることになりました。

がしかし。

MOPIを観たことがある方はご存知だと思いますが、マイクもスコットも20歳そこそこのハスラー、オヤジ相手に体売ったり、3*したりと、かなりのヨゴレ役なため、リバーとキアヌ、それぞれのエージェントに脚本を送ったところで、イメージが崩れるのを恐れた彼らが、本人たちに脚本を渡すわけがありません。

そこでヴァン・サントは、まずキアヌに直接電話をかけて脚本を送り、内容を気に入ったキアヌの出演承諾を得ます。その際、キアヌに「相手役はリバー・フェニックスが最適で、彼しかいないと思っている」と伝えると、リバーの親友であるキアヌは、その脚本を自ら彼に渡すと云い出し、自分の住むカナダから(当時ヤツはカナダ在住)、リバーの住むフロリダ州のゲインズヴィルへ、バイク(キアヌだからノートンのオールドバイクでしょうね、たぶん)で向かいます。

キアヌから脚本を受け取り、一読したリバーは主役のマイクにたいへん共感し、「君が出るなら僕も出る。君が出ないなら僕も出ない」と云い、キアヌと握手して出演が決まります。出来すぎた話みたいですが、実際にインタビューでリバー自身が語った内容です。

メイン撮影はポートランドで行われ、主演ふたりのほか、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのベーシストであるフリー、マイケル・パーカー、スコット・グリーン、ロドニー・ハーベイらが、ヴァン・サント宅のガレージに寝泊りし、合宿状態のようになります。そのときのであろう写真が、スペシャルフォトグラファーとして参加していたブルース・ウェバーによって、撮影されてます。

端役で出演しているスコット・グリーンは、キアヌが演じた市長の息子スコット役のモデルであり、良家の坊ちゃんのくせにホームレスのごとくフラフラしていて、当時はヴァン・サントのアシスタントをしていた人です(現在もヴァン・サントのもとで仕事してる…「エレファント」「ラストデイズ」でクレジットあり)。

マイケルとスコットはインタビューで、リバーとキアヌをポートランドのハスラーたちがたむろする場所へ何度も連れて行き、とくにマイケルは役作りのため、彼らに客引きのポイントを教えたと話しています。ストリートキッズと一緒にいたリバーの服装は、ドレスダウンというよりはグランジそのまま、誰も彼だと気付かなかったそうです。

この映画で、リバーはヴェネツィア国際映画祭の主演男優賞を受賞しますが、MOPIの世界に入り込み過ぎて、本格的にドラッグに染まってしまったと云われています。もちろん、要因はほかにもあるでしょうが――とにかくそれが残念で仕方ありません。

MOPIは、グランジがクールだと云われた頃の作品です。ですが、あの映画に映し出されているすべてのものが汚れているなんて、私には到底思えません。

あんまり人には薦められない映画だけれども、私の心の中ではいつまでも特別な位置にある――半券を見るたび、いろいろな思いが交錯する……そんな作品です。

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