2005年度下半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー 7
「2005年度下半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が昨年下半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に映画ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリなので、一部だけになっております。

なお「ちょっとだけ感想とデキゴトロジー」は、マジメな感想とは違い、基本的にしょーもないことばかり書くようにしてます。

それでは以下、ちょっとだけ感想とデキゴトロジーです。

■「イン・ハー・シューズ」
上手い。カーティス・ハンソンは本当に上手い。彼の監督作にハズレはないよなあ。コンプレックス持ちの姉(トニ・コレット)、美人だけどフラフラしてる妹(キャメロン・ディアス)――正反対なふたりの「自分探し」ストーリーを展開させてるところは、たしかにありがちといえばありがち。でもこの映画がただのウェルメイド作品じゃないのは、おばあちゃん役であるシャーリー・マクレーンの存在。ふたりだけでは終わらない、この3人目のキャラクターが映画を面白くしてたと思う。そして、3人のキャラクターひとりひとりに「自分と同じかも」と、観る側に思わせる説得力――それはたぶん…女優さんがみなピッタリで、キッチリ「彼女たちの身になって」いた(タイトル「In Her shoes」の意味がまさにそう)、そしてハンソンの女性演出の上手さからくるんだろうな…。鼻につかないウェルメイド作品ってのは貴重だよ。

キャメロン・ディアスは、ああいう役を演じさせると上手い。イメージぴったりだし、女子から反感買いそうなあたりはさすが。本編中、トニから「男は若い女が好きなのよ。若いうちはいいけど、年を取ったらどうするの?」と云われていて、実際、着ている服は若々しく、本人のスタイルもバツグンだというのに、濃いメイク・顔の小じわ・弾力が感じられない肌は、やはり年齢を感じさせたので、私の目にはリアルに映ったナリ。

気になったのはトニの彼氏か。寿司通を気取っていたくせに、店で注文したものは軍艦巻きばっか。お箸の使い方は(ガイジンさんにしては)まあまあだけど、通を気取るなら――お箸はもう少し上を持った思ったほうが良いよ?

■「愛の神、エロス」
カンヌを制した3人の監督(ウォン・カーウァイ、スティーブン・ソダーバーグ、ミケランジェロ・アントニオーニ)が「愛とエロス」をテーマに競作した、オムニバス映画。今年94歳(!)になるという、ミケランジェロ・アントニオーニの三本目がなあ…。スゴイもの観ちゃったとゆーか…クライマックス、浜辺で女性が全裸になって急に踊り出すのには参った。イタタタ。「ダンスがエロティシズムを表現してる」ってこと?……。小娘な私は、巨匠のエロスについていけず、ゴー・ウェント・ゴーン、あっけにとられて置いてけぼりを食らった1本。

■「青い棘」
うっわ〜〜〜…なんと貴重なことよ!
21世紀の世に、再びこの手の映画を観ることができようとは。まっこと由緒正しき欧州産耽美映画とゆーか、ここまで正統派なのは「アナザー・カントリー」「モーリス」以来じゃないの?…いやホント、大げさじゃなくマジで。劇中に出てくる「緑の液体」ことアブサンが、あれほど効果的に使われていたのも実に久しぶり…ってか、雰囲気によく合ってたこと自体、貴重。

完全ノーマークだった作品だったけれど、映画館前に貼られていた公式ポスターのデザイン(麦畑の中に若いにーちゃんふたり)、ちょっとイタリックがかった明朝体な邦題(しかも画数の多い漢字使用)、惹句「僕らは一番美しい瞬間にこの世を去るべきだと思わないか?」を見た瞬間、「こ…これはもしや?」と腐女子的第六感がビビっと働き、そのままチケットを買い求め、席について本編を観たらば――うおおおおおおおおおおおお!

若さゆえの傲慢、極端な真理追求――ティーンエイジャーってのは大げさに考えるもんだし、答えはひとつしかないと思いがちだし、まわりだってなかなか見えてこない…ゲーテも云ってるように「若さとは、ワインを飲まずして酔っている状態」。人生のうち、ほんのひとときであろうその状態を、儚く美しく描いてるよなあ。ハリウッドじゃ絶対に製作されない、まさに欧州の香り漂う仕上がり。

主演のダニエル・ブリュール(「グッバイ、レーニン!」の子ですよう!)くんは、ここのところよく見かける、ドイツの若手俳優さん。彼のように「イノセントなルックスで能面演技」ができるタイプは貴重で、昔から需要と人気が高い。米国俳優で例えるならトビー・マグワイア…は、ちょっと年取ったしスパイディのイメージが強いから、今だとジェイク・ギレンホールか――とにかく、「この子を使ってみたい」とご指名を受けるサムシングがあるんだろうなあ。

でも印象的だったのは、実は彼でなく同級生ギュンター役のアウグスト・ディールのほう。だって彼…ポール・ベタニーに激似なんだもん。ポールの若い頃はこんな風だったに違いない!と思いながら、つい観てしまったナリ。

1920年代のドイツが舞台。親が金持ちな学生によるパーティ風景ってのは、今も昔も大して変わんない。ただ、ロケンロールやヒップポップがなかった時代なためか、彼らの時の流れが余計にゆっくりと感じられた。ゆっくりと流れる時間、だけれども青い春を謳歌するとなると短い――刹那的な美を見事デカダンに切り取った作品。

ああ!淀川長治先生に観て頂きたかった!

「8」に続きます。

コメント

ふるやとしみ
ふるやとしみ
2006年4月14日0:13

青い棘のギュンターくん 似てましたねぇぇ! 同じコトを書こうとしてました(笑)ベタニーさんをちょいと面長にした感じ… いいねぇ 彼+

秋林 瑞佳
秋林 瑞佳
2006年4月15日23:52

いいですよねえ、彼♪
髪型がまたポールにソックリだったので、余計にそう感じたんでしょうけど、私ったら完全に「若い頃のポール」として観てました。ひえええええ!です。

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