2006年上半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー 2
2006年8月15日 年度別フェイバリット10映画
「2006年度上半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が今年上半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。
(前口上、終わり)
今回の「2」も、デキゴトロジーよりちょっとだけ感想がメインでーす。
■「ジャーヘッド」
出演作選びが上手いよなあと思う、旬の若手俳優ジェイク・ギレンホール主演による湾岸戦争モノ。訓練に耐えてイラクに派兵されてみたら、まったく出番がなく、そのまま終戦をむかえてしまった兵士たち――そんな彼らによる現地待機の日々を描いた作品。
メディアを通した戦争しか知らないまま、訓練所で殺人マシーンに仕立て上げられ、いざ現地へと派兵されれば、実戦がない。があああっと水飲んでは、先の見えない訓練三昧、ひとりになれば自家発電――延々その繰り返し。戦場に立っていても、どこかバーチャル。ふむ。私は米国人ではないけれど、基本的に主人公たちと同じジェネレーションX(いわゆるテレビ世代。米国ベビーブーム世代の子供で、60年代半ばから70年代半ばに生まれ、高度成長期に育った世代の若者のこと。ダグラス・クープランドの小説『ジェネレーションX』が語源。無気力で責任感のない若者として否定的にいわれる)になるので、とにかく興味深かった。「ベトナム戦争じゃないから、ドアーズはやめろ!」というセリフが世代を象徴してたな。主な登場人物がそんなジェネレーションXばかり、彼らの視点で終始語られる映画はいろいろあるけど、戦争モノは初めてなんじゃ?
前半がびっくりするくらいキューブリックの「フルメタル・ジャケット」に似ていて、皮肉だよねえ。同じ「ジワリジワリと人間が非人間性を帯びてくる狂気」が描かれていても、「ジャーヘッド」の主人公たちは、職務をまっとうできない葛藤で人間性を失いそうになる。ストーンズの「黒くぬれ!」か、カニエ・ウエストの「Jesus Walks」か。…ミッキーマウスのテーマは本編のラストでした。ごめんちゃい。監督のサム・メンデスもキューブリックと同じ英国人だから、米国が引き起こした(それに関してはいろいろご意見はありましょうが)戦争について、ストレートに反戦を主張しない、こういう一風変わった映画をちょっと冷めた視線で撮れるのかな…。
私イチオシのジェイク・ギレンホール――あの「ロケットボーイズ」の高校生くんが、よくあんな格好をした!大人になったねえ…(遠い目)。BBMと合わせて。おねーさん、感動感心しちゃったじゃない。女子から絶賛大人気中♪な若手俳優があーゆー格好すんのは、「栄光のエンブレム」での「ロブ・ロウ、サポーター姿になる」以来じゃないの?…そしてピーター・サースガード。どんなジャンルの映画でも、なにゆえ彼はあれほどの色気を放つのか――誰か教えて下さい。
↓色気にヤラれた話
http://diarynote.jp/d/25683/20060225.html
(「愛についてのキンゼイ・レポート」のところね)
■「ある子供」
ダルデンヌ兄弟が監督した2005年カンヌパルムドール受賞作。生まれた自分の子供を売ってしまおうとするほど金銭的・精神的に貧しい、父親になれない/なろうとしない青年ブリュノの話。自分のことで精一杯、それに関しては呆れかえるくらいたくましい自己中な若者ってのは、普遍的にゴロゴロいそう。いつものダルデンヌ兄弟節よろしく、主人公の行動をスケッチしながら、ドキュメンタリー調にストーリーは流れていく。「人間ってのはね…」と淡々と映像で語られる95分。赤ちゃんよりブリュノに明日がない、そして感情のない青年のままで終わるのかと思ったら――そうきたか。やっぱりダルデンヌ兄弟は優しいね。
■「歓びを歌にのせて」
スウェーデン映画。一線を退いた世界的な天才的マエストロが、幼いころ過ごした田舎へと引っ越す。仕方なく地元の聖歌隊を指導することになったものの、住民たちと交流することで音楽の素晴らしさを再認識、人間性を取り戻していく。う〜む、人種や習慣は違えど、田舎ではしがらみが多すぎて、問題が起きてもうやむやになってしまうところは、スウェーデンも同じなのね。極東日本でもありえそうな人間関係だなあ。それにしても、レナ役のフリーダ・ハルグレン!なんてかわいいの♪…彼女の笑顔を見てるだけで、ほんわかしちゃったナリ。
■「灯台守の恋」
閉鎖的な島の小さな村にやって来たヨソ者の青年。そして人妻と許されぬ恋に落ちる――直球ど真ん中なメロドラマ。ベタ?凡作?ありきたり?すべて想像つく?…いいじゃないの、これはこれで。とても丁寧に作られてるし、ちょっと枯れた味わいがまたgood。所帯疲れしてるけど美しい人妻、島の男とは違うやさしい青年――不倫は許されない、夫が大切だと充分わかってる、でも…。女性ってのはいつまでも恋をしていたい、愛じゃなく恋を求めたい――そんなときってあるんじゃない?
■「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」
主演のホアキン・フェニックス自身、インタビューで否定しているように、自らの過去に縛られてはいない、俳優としてジョニー・キャッシュを演じているってことくらい、私だってよくわかってたし、自分にそういい聞かせてた。でも、ジョニーの幼少時代エピソード、彼が頭を壁に打ち付けるシーンやドラッグが出てくると、スクリーンを見てられなかった。911にコールする彼の声、キャッシュ兄弟のように仲睦ましいふたりの写真がフラッシュバックして……どうしよう、どうしよう、そんなんじゃないのよ、これは!と頭の中がぐるぐるぐるぐるぐるぐる。またお兄ちゃん役のルーカス・ティルくんが似ていてね…うううう…こんなはずじゃ…。
■「アサルト13 要塞警察」
「スズメバチ」はフランス映画で設定が違ってたよね?じゃあ本作が「ジョン・カーペンターの要塞警察」の正式リメイクになるの?…って、これも監督がフランス人なんだ!…と驚いた作品。それなりに楽しめたのに、なんだろうこの物足りなさ、もったいなさは。あ〜ん、上手く云えないよう!…ところで、精神カウンセラー役のマリア・ベロ。どうしてみんな彼女の髪を美しく撮ってくれないの?…どの作品(「シークレットウインドウ」「ヒストリー・オブ・バイオレンス」など)も髪が痛んでいてツヤがなく、疲れてるように見える。実際に痛んでいたとしても、なんとかして欲しかったナリ。
■「ファイナル・カット」
お久しぶりのロビン・ウィリアムズ主演による近未来SF。「ゾーイ」と呼ばれるマイクロ・チップを脳に移植することで、全人生の記憶がそれに記録される近未来。死後、記憶はカッター(編集者)によって、親族の希望通りに美しく編集され、上映会で披露される。記憶は都合よく編集されていいのものなのか?そもそもチップ自体、許されていいのか?…そしてもしチップが自分に移植されていると知らなかったら?…と、プロットは実に私好みで魅力がいっぱい。
監督&脚本はこれでデビューのオマー・ナイム。おお!とうとうヴィンチェンゾ・ナタリ系の若手が現れたか!と喜んだらば、ラスト15分で超カッガリ(ジム・カヴィーゼルのつまらないセリフに愕然)。なんでそーなるの!?…もったいない!同じプロットでヴィンチェンゾ・ナタリ、もしくはアンドリュー・ニコルが脚本&監督していれば、ラストだって「やられた〜!」と思わせてくれて、もっと面白くなったでしょうに。カルト作になり損ねちゃった、残念。目が離せないほどの緊張感や、アイロニーまみれな展開を過度に期待した私も私か。
…「3」に続きます。
(前口上、終わり)
今回の「2」も、デキゴトロジーよりちょっとだけ感想がメインでーす。
■「ジャーヘッド」
出演作選びが上手いよなあと思う、旬の若手俳優ジェイク・ギレンホール主演による湾岸戦争モノ。訓練に耐えてイラクに派兵されてみたら、まったく出番がなく、そのまま終戦をむかえてしまった兵士たち――そんな彼らによる現地待機の日々を描いた作品。
メディアを通した戦争しか知らないまま、訓練所で殺人マシーンに仕立て上げられ、いざ現地へと派兵されれば、実戦がない。があああっと水飲んでは、先の見えない訓練三昧、ひとりになれば自家発電――延々その繰り返し。戦場に立っていても、どこかバーチャル。ふむ。私は米国人ではないけれど、基本的に主人公たちと同じジェネレーションX(いわゆるテレビ世代。米国ベビーブーム世代の子供で、60年代半ばから70年代半ばに生まれ、高度成長期に育った世代の若者のこと。ダグラス・クープランドの小説『ジェネレーションX』が語源。無気力で責任感のない若者として否定的にいわれる)になるので、とにかく興味深かった。「ベトナム戦争じゃないから、ドアーズはやめろ!」というセリフが世代を象徴してたな。主な登場人物がそんなジェネレーションXばかり、彼らの視点で終始語られる映画はいろいろあるけど、戦争モノは初めてなんじゃ?
前半がびっくりするくらいキューブリックの「フルメタル・ジャケット」に似ていて、皮肉だよねえ。同じ「ジワリジワリと人間が非人間性を帯びてくる狂気」が描かれていても、「ジャーヘッド」の主人公たちは、職務をまっとうできない葛藤で人間性を失いそうになる。ストーンズの「黒くぬれ!」か、カニエ・ウエストの「Jesus Walks」か。…ミッキーマウスのテーマは本編のラストでした。ごめんちゃい。監督のサム・メンデスもキューブリックと同じ英国人だから、米国が引き起こした(それに関してはいろいろご意見はありましょうが)戦争について、ストレートに反戦を主張しない、こういう一風変わった映画をちょっと冷めた視線で撮れるのかな…。
私イチオシのジェイク・ギレンホール――あの「ロケットボーイズ」の高校生くんが、よくあんな格好をした!大人になったねえ…(遠い目)。BBMと合わせて。おねーさん、
↓色気にヤラれた話
http://diarynote.jp/d/25683/20060225.html
(「愛についてのキンゼイ・レポート」のところね)
■「ある子供」
ダルデンヌ兄弟が監督した2005年カンヌパルムドール受賞作。生まれた自分の子供を売ってしまおうとするほど金銭的・精神的に貧しい、父親になれない/なろうとしない青年ブリュノの話。自分のことで精一杯、それに関しては呆れかえるくらいたくましい自己中な若者ってのは、普遍的にゴロゴロいそう。いつものダルデンヌ兄弟節よろしく、主人公の行動をスケッチしながら、ドキュメンタリー調にストーリーは流れていく。「人間ってのはね…」と淡々と映像で語られる95分。赤ちゃんよりブリュノに明日がない、そして感情のない青年のままで終わるのかと思ったら――そうきたか。やっぱりダルデンヌ兄弟は優しいね。
■「歓びを歌にのせて」
スウェーデン映画。一線を退いた世界的な天才的マエストロが、幼いころ過ごした田舎へと引っ越す。仕方なく地元の聖歌隊を指導することになったものの、住民たちと交流することで音楽の素晴らしさを再認識、人間性を取り戻していく。う〜む、人種や習慣は違えど、田舎ではしがらみが多すぎて、問題が起きてもうやむやになってしまうところは、スウェーデンも同じなのね。極東日本でもありえそうな人間関係だなあ。それにしても、レナ役のフリーダ・ハルグレン!なんてかわいいの♪…彼女の笑顔を見てるだけで、ほんわかしちゃったナリ。
■「灯台守の恋」
閉鎖的な島の小さな村にやって来たヨソ者の青年。そして人妻と許されぬ恋に落ちる――直球ど真ん中なメロドラマ。ベタ?凡作?ありきたり?すべて想像つく?…いいじゃないの、これはこれで。とても丁寧に作られてるし、ちょっと枯れた味わいがまたgood。所帯疲れしてるけど美しい人妻、島の男とは違うやさしい青年――不倫は許されない、夫が大切だと充分わかってる、でも…。女性ってのはいつまでも恋をしていたい、愛じゃなく恋を求めたい――そんなときってあるんじゃない?
■「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」
主演のホアキン・フェニックス自身、インタビューで否定しているように、自らの過去に縛られてはいない、俳優としてジョニー・キャッシュを演じているってことくらい、私だってよくわかってたし、自分にそういい聞かせてた。でも、ジョニーの幼少時代エピソード、彼が頭を壁に打ち付けるシーンやドラッグが出てくると、スクリーンを見てられなかった。911にコールする彼の声、キャッシュ兄弟のように仲睦ましいふたりの写真がフラッシュバックして……どうしよう、どうしよう、そんなんじゃないのよ、これは!と頭の中がぐるぐるぐるぐるぐるぐる。またお兄ちゃん役のルーカス・ティルくんが似ていてね…うううう…こんなはずじゃ…。
■「アサルト13 要塞警察」
「スズメバチ」はフランス映画で設定が違ってたよね?じゃあ本作が「ジョン・カーペンターの要塞警察」の正式リメイクになるの?…って、これも監督がフランス人なんだ!…と驚いた作品。それなりに楽しめたのに、なんだろうこの物足りなさ、もったいなさは。あ〜ん、上手く云えないよう!…ところで、精神カウンセラー役のマリア・ベロ。どうしてみんな彼女の髪を美しく撮ってくれないの?…どの作品(「シークレットウインドウ」「ヒストリー・オブ・バイオレンス」など)も髪が痛んでいてツヤがなく、疲れてるように見える。実際に痛んでいたとしても、なんとかして欲しかったナリ。
■「ファイナル・カット」
お久しぶりのロビン・ウィリアムズ主演による近未来SF。「ゾーイ」と呼ばれるマイクロ・チップを脳に移植することで、全人生の記憶がそれに記録される近未来。死後、記憶はカッター(編集者)によって、親族の希望通りに美しく編集され、上映会で披露される。記憶は都合よく編集されていいのものなのか?そもそもチップ自体、許されていいのか?…そしてもしチップが自分に移植されていると知らなかったら?…と、プロットは実に私好みで魅力がいっぱい。
監督&脚本はこれでデビューのオマー・ナイム。おお!とうとうヴィンチェンゾ・ナタリ系の若手が現れたか!と喜んだらば、ラスト15分で超カッガリ(ジム・カヴィーゼルのつまらないセリフに愕然)。なんでそーなるの!?…もったいない!同じプロットでヴィンチェンゾ・ナタリ、もしくはアンドリュー・ニコルが脚本&監督していれば、ラストだって「やられた〜!」と思わせてくれて、もっと面白くなったでしょうに。カルト作になり損ねちゃった、残念。目が離せないほどの緊張感や、アイロニーまみれな展開を過度に期待した私も私か。
…「3」に続きます。
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