2006年上半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー 5
2006年8月20日 年度別フェイバリット10映画
「2006年度上半期映画ちょっとだけ感想&デキゴトロジー」です。これは私が今年上半期に鑑賞した映画の中で、ちょっとだけ感想を書いておきたい、感想は別に書いたけどそれに補足をしておきたい、映画館でトンデモ事件に遭遇したので報告しておきたい…など、基本的に簡単な感想と、ヨタ話を記したものです。ただし、観た映画すべてを書くことは絶対ムリ!不可能!なので、一部だけとなっております。
(前口上、終わり)
今回の「5」は、ちょっとだけ感想がメインです。
基本的に「ちょっとだけ感想」は、しょーもない内容ばかりなので・なので・なので…。
■「リバティーン」
梅毒になると鼻が落ちるってのは本当だったんだ!
ジョニーの顔があれほど醜くなった映画は、過去あったでしょーか?…ルパート・フレンドもなあ……白塗りにボーボー眉毛で妙に赤いくちびる(と思う)だったもんだから、出てきた瞬間、大笑いしちゃったナリよ。しっかし…劇中劇に出てくるあのでっかい彫刻は、昔8号線沿いにあった秘宝館(中に入ったことはない。だって小学生だったし)を思い出させる…。
■「Vフォー・ヴェンデッタ」
ファシズム国家となった英国が舞台の近未来モノ。冒頭のナタリー・ポートマンによるボイスオーバーが終わり、シェー!の人みたいな仮面をかぶったVさんが登場した時点でイヤな予感がした。そして彼が喋り出して数秒経過後――「ダメだ、こりゃ」。スタイリッシュにしたかったのか、キッチュにしたかったのか。ダサイなあ、もう!
ナタリー・ポートマンをいったいどうしたかったのか、最後までわからなかった。国家に対して恨みを持っているVが、個人の怨恨からどう「民衆のための革命」を起こそうと思うに至るのかも、わからなかった。革命ならばなんだって許されるの?…説得力不足だから娯楽映画として片付けられなかった。たとえ私が英国民だったとしても、あんなVには踊らされないね。そもそもファシズム糾弾の仕方やサトラー議長という単純なネーミングからして米国的、英国が舞台なんて信じられないよ!
途中退場を真剣に考えたのに我慢したのは、どーしてもナタリー・ポートマンが丸刈りになるシーンが見たかったから。でもそのシーンときたら、ずいぶんあとになってからじゃないと出てこなくて……トホホ…。
原作者が「クレジットから自分の名前を外して欲しい」というくらいなんだから、しょせんその程度の映画なんでしょうね。
↓「映画『Vフォー・ヴェンデッタ』でムーアがDCと決別」(planetcomics.jp)
http://www.planetcomics.jp/index.php?itemid=283
(ここまで嫌がるなんて。かわいそう…)
■「ニュー・ワールド」
寡作で有名なテレンス・マリック監督によるアメリカ建国伝説。英国人ジョン・スミスとポカホンタスの悲恋のお話。ジョン・スミス役にコリン・ファレル、ポカホンタス役に新人のクオリアンカ・キルヒャー、ジョン・ロルフ役にクリスチャン・ベイル。
愛した男を忘れられないポカホンタス、そんなポカホンタスを愛し、彼女に愛されるのをただひたすら待つジョン・ロルフ――って、やっぱりここは遠くのコリンより近くのクリスチャンだろう!>ポカホンタス…とつい思ってしまうあたり、ナイスな配役です!>監督
主演がコリンなだけに、ポカホンタスとのラブシーンはさぞ濃厚だろうと思ったら、実に詩的なシーンになっていて、そんな下世話な想像をした自分を恥じちゃった。そう――本作はそんな映画じゃないのよね、ゴメンなさい>監督
監督の前作「シン・レッド・ライン」は私にとってイマイチだったけど、これは良かったなあ。映像美と哲学的なモノローグでストーリーが展開する映画を作るテレンス・マリックは、戦争モノよりスピリチュアルな題材のほうが合ってると思う。
■「アンダーワールド:エヴォリューション」
ヴァンパイアvs.ライカン(狼男)だった前作に、ハイブリッド(混血種)が参戦した、モンスター種族間における「仁義なき戦い」。熱狂的なファンがついている「アンダーワールド」の続編。
いや〜、2作目になってもその世界観にまったく揺るぎがないことに感心してしまった。ツッコミどころはあれど、ワイズマン監督によって完全に構築されている世界とゆーか。人間界なんざ二の次三の次四の次五の次、闇に生きるモンスターたちのお家騒動――本作ではヴァンパイアの種の起源について――が、「神」ではなく「彼らの神」視点でストイックに描かれ、アクションは水ドバ〜!血ドバ〜!、モンスターの弱点や変身シーンはレトロなのに、「紫外線銃」といったアイデア満載な最先端な銃器類が出てくる…というユニークな個性はぜんぜん変わらない。セリーンの強さは自己完結的なゆえに、恋人でハイブリッドになりたてのマイケルはお荷物同然、彼が活躍するのは彼女の大ピンチのときだけ…と、そんなところまで変わらないときたもんだ。脱帽。ストイックで強いセリーンはクールだよね、でも最後は男に助けられるあたり、また男心をそそるんだろうな。
■「ブロークン・フラワーズ」
ビル・マーレイを主役に据えてる時点でもうすでに反則でしょ!な、ジム・ジャームッシュ監督による、ほんのり哀愁オヤジロードムービー。昔プレイボーイだった男に、ある日「あなたには19歳になる息子がいる」という無記名の手紙が届く。どうやら昔の彼女からの手紙らしいが、果たしていったいどの女なのか。とりあえずピンクの花束を持って、ひとりひとり訪ねてみよう――。ふむ。ジャームッシュ映画のわりには比較的とっつきやすいかな。
昔の恋人を訪ね歩くことは、ちょっと気まずい。いい思い出ばかりとは限らないし、歓迎されない場合がほとんどのはず(私だったら、住所調べられて来られるなんてヤダ)。さらに昔はゴージャスだった恋人たちの現在の姿を見ることで、自分の老い加減とショボさ具合を痛感させられ、ふと自分の人生を振り返ってせつなくなる――哀愁だよねえ。世のお父さんたちの共感を得そう。でも演じるのはビル・マーレイなので、どこかしらファニーでキュート、漂うのもちょっとスカした哀愁で…とゆーか、間の埋め合わせをどうしていいかわからず、オタオタする(でも無表情)バツの悪さがよく出ているのはさすが。思い出めぐりで終わるかと思いきや、最後で痛い目に遭うシーンに至っては、大爆笑しちゃったよ。
核心はサラリ、たいした場面じゃないだろうと思われるシーンのほうが丁寧――とっつきやすくても、そこらへんはやっぱりジャームッシュか。変わんないね。ただし、彼の映画に対して普段なら「ふ〜ん」で終わる私でも、本作は純粋に楽しめたっス。
■「イーオン・フラックス」
駄作扱いされている本作。シャーリーズ・セロンがちゃんと体張ってアクションをこなしてるところは、ほかの「人気女優によるヒーローもの」よりずっと評価できる…けど、なんでこれがダメなのか?…たぶん、世界観がしっかりしてないからなのと、最後に明かされる秘密にでっかい穴がポッカリ開いているからなんだと思う。
一切の自由が奪われた近未来…って、レンジスタンスがいるほど、国民たちが圧制に苦しんでいるようにはてんで見えないし、イーオン・フラックスを始めとするレジスタンスたちの格好ときたら、オシャレを楽しんでいるかのよう。近未来SFなので、それ相応の衣装になっていて、なおかつそれをシャーリーズが着ることが、見所のひとつになっているのはわかるけどさ、冒頭の顔が半分見えないあの衣装――国に目を付けられてるレジスタンスがあんなの着てたら…目立ってしょーがないじゃん!
それからね――(以下、ネタバレあり)
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ワクチンの副作用で人類は子供を自然妊娠することができなくなったから、DNAを再利用してクローンを作っている…ここまではわかる。でもいつの間にか自然治癒して妊娠可能になった人間が出てくるようになった…ってのはちょっといいかげんだし、国民を牛耳るために妊娠可能になった人間を殺しておきながら、そのDNAを再使用するなんて――イタチごっこじゃないの?…妊娠できないようDNA操作をする説明はなかったし……ちょっとねえ?
…「6」に続きます。
(前口上、終わり)
今回の「5」は、ちょっとだけ感想がメインです。
基本的に「ちょっとだけ感想」は、しょーもない内容ばかりなので・なので・なので…。
■「リバティーン」
梅毒になると鼻が落ちるってのは本当だったんだ!
ジョニーの顔があれほど醜くなった映画は、過去あったでしょーか?…ルパート・フレンドもなあ……白塗りにボーボー眉毛で妙に赤いくちびる(と思う)だったもんだから、出てきた瞬間、大笑いしちゃったナリよ。しっかし…劇中劇に出てくるあのでっかい彫刻は、昔8号線沿いにあった秘宝館(中に入ったことはない。だって小学生だったし)を思い出させる…。
■「Vフォー・ヴェンデッタ」
ファシズム国家となった英国が舞台の近未来モノ。冒頭のナタリー・ポートマンによるボイスオーバーが終わり、シェー!の人みたいな仮面をかぶったVさんが登場した時点でイヤな予感がした。そして彼が喋り出して数秒経過後――「ダメだ、こりゃ」。スタイリッシュにしたかったのか、キッチュにしたかったのか。ダサイなあ、もう!
ナタリー・ポートマンをいったいどうしたかったのか、最後までわからなかった。国家に対して恨みを持っているVが、個人の怨恨からどう「民衆のための革命」を起こそうと思うに至るのかも、わからなかった。革命ならばなんだって許されるの?…説得力不足だから娯楽映画として片付けられなかった。たとえ私が英国民だったとしても、あんなVには踊らされないね。そもそもファシズム糾弾の仕方やサトラー議長という単純なネーミングからして米国的、英国が舞台なんて信じられないよ!
途中退場を真剣に考えたのに我慢したのは、どーしてもナタリー・ポートマンが丸刈りになるシーンが見たかったから。でもそのシーンときたら、ずいぶんあとになってからじゃないと出てこなくて……トホホ…。
原作者が「クレジットから自分の名前を外して欲しい」というくらいなんだから、しょせんその程度の映画なんでしょうね。
↓「映画『Vフォー・ヴェンデッタ』でムーアがDCと決別」(planetcomics.jp)
http://www.planetcomics.jp/index.php?itemid=283
(ここまで嫌がるなんて。かわいそう…)
■「ニュー・ワールド」
寡作で有名なテレンス・マリック監督によるアメリカ建国伝説。英国人ジョン・スミスとポカホンタスの悲恋のお話。ジョン・スミス役にコリン・ファレル、ポカホンタス役に新人のクオリアンカ・キルヒャー、ジョン・ロルフ役にクリスチャン・ベイル。
愛した男を忘れられないポカホンタス、そんなポカホンタスを愛し、彼女に愛されるのをただひたすら待つジョン・ロルフ――って、やっぱりここは遠くのコリンより近くのクリスチャンだろう!>ポカホンタス…とつい思ってしまうあたり、ナイスな配役です!>監督
主演がコリンなだけに、ポカホンタスとのラブシーンはさぞ濃厚だろうと思ったら、実に詩的なシーンになっていて、そんな下世話な想像をした自分を恥じちゃった。そう――本作はそんな映画じゃないのよね、ゴメンなさい>監督
監督の前作「シン・レッド・ライン」は私にとってイマイチだったけど、これは良かったなあ。映像美と哲学的なモノローグでストーリーが展開する映画を作るテレンス・マリックは、戦争モノよりスピリチュアルな題材のほうが合ってると思う。
■「アンダーワールド:エヴォリューション」
ヴァンパイアvs.ライカン(狼男)だった前作に、ハイブリッド(混血種)が参戦した、モンスター種族間における「仁義なき戦い」。熱狂的なファンがついている「アンダーワールド」の続編。
いや〜、2作目になってもその世界観にまったく揺るぎがないことに感心してしまった。ツッコミどころはあれど、ワイズマン監督によって完全に構築されている世界とゆーか。人間界なんざ二の次三の次四の次五の次、闇に生きるモンスターたちのお家騒動――本作ではヴァンパイアの種の起源について――が、「神」ではなく「彼らの神」視点でストイックに描かれ、アクションは水ドバ〜!血ドバ〜!、モンスターの弱点や変身シーンはレトロなのに、「紫外線銃」といったアイデア満載な最先端な銃器類が出てくる…というユニークな個性はぜんぜん変わらない。セリーンの強さは自己完結的なゆえに、恋人でハイブリッドになりたてのマイケルはお荷物同然、彼が活躍するのは彼女の大ピンチのときだけ…と、そんなところまで変わらないときたもんだ。脱帽。ストイックで強いセリーンはクールだよね、でも最後は男に助けられるあたり、また男心をそそるんだろうな。
■「ブロークン・フラワーズ」
ビル・マーレイを主役に据えてる時点でもうすでに反則でしょ!な、ジム・ジャームッシュ監督による、ほんのり哀愁オヤジロードムービー。昔プレイボーイだった男に、ある日「あなたには19歳になる息子がいる」という無記名の手紙が届く。どうやら昔の彼女からの手紙らしいが、果たしていったいどの女なのか。とりあえずピンクの花束を持って、ひとりひとり訪ねてみよう――。ふむ。ジャームッシュ映画のわりには比較的とっつきやすいかな。
昔の恋人を訪ね歩くことは、ちょっと気まずい。いい思い出ばかりとは限らないし、歓迎されない場合がほとんどのはず(私だったら、住所調べられて来られるなんてヤダ)。さらに昔はゴージャスだった恋人たちの現在の姿を見ることで、自分の老い加減とショボさ具合を痛感させられ、ふと自分の人生を振り返ってせつなくなる――哀愁だよねえ。世のお父さんたちの共感を得そう。でも演じるのはビル・マーレイなので、どこかしらファニーでキュート、漂うのもちょっとスカした哀愁で…とゆーか、間の埋め合わせをどうしていいかわからず、オタオタする(でも無表情)バツの悪さがよく出ているのはさすが。思い出めぐりで終わるかと思いきや、最後で痛い目に遭うシーンに至っては、大爆笑しちゃったよ。
核心はサラリ、たいした場面じゃないだろうと思われるシーンのほうが丁寧――とっつきやすくても、そこらへんはやっぱりジャームッシュか。変わんないね。ただし、彼の映画に対して普段なら「ふ〜ん」で終わる私でも、本作は純粋に楽しめたっス。
■「イーオン・フラックス」
駄作扱いされている本作。シャーリーズ・セロンがちゃんと体張ってアクションをこなしてるところは、ほかの「人気女優によるヒーローもの」よりずっと評価できる…けど、なんでこれがダメなのか?…たぶん、世界観がしっかりしてないからなのと、最後に明かされる秘密にでっかい穴がポッカリ開いているからなんだと思う。
一切の自由が奪われた近未来…って、レンジスタンスがいるほど、国民たちが圧制に苦しんでいるようにはてんで見えないし、イーオン・フラックスを始めとするレジスタンスたちの格好ときたら、オシャレを楽しんでいるかのよう。近未来SFなので、それ相応の衣装になっていて、なおかつそれをシャーリーズが着ることが、見所のひとつになっているのはわかるけどさ、冒頭の顔が半分見えないあの衣装――国に目を付けられてるレジスタンスがあんなの着てたら…目立ってしょーがないじゃん!
それからね――(以下、ネタバレあり)
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ワクチンの副作用で人類は子供を自然妊娠することができなくなったから、DNAを再利用してクローンを作っている…ここまではわかる。でもいつの間にか自然治癒して妊娠可能になった人間が出てくるようになった…ってのはちょっといいかげんだし、国民を牛耳るために妊娠可能になった人間を殺しておきながら、そのDNAを再使用するなんて――イタチごっこじゃないの?…妊娠できないようDNA操作をする説明はなかったし……ちょっとねえ?
…「6」に続きます。
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