とゆーわけで、楽天、bk1&amazonから本が届きました。
マンガの感想を書いたことがナイので、映画感想のようにはいかないと思いますが、足りぬところは、なにとぞご容赦シクヨロでお願い致しまする。押忍!
■『いつか雨が降るように』
ISBN:4812464757 国枝 彩香 竹書房 2006/06/17 ¥590
坂井久仁江の国枝彩香名義による、ちょっと暗めなシリアス短編集(5編)。
手に取った際、まずオビの返しの「麗人」ロゴに気付いてビックリ。これも「麗人」レーベルだったのか!…おかげで読み始める際、身構えてページめくっちゃったじゃないの!…って、秋林さん、いったい「麗人」にどーゆーイメージを持ってるんですか?…ぼそ。
で、感想なんですが――ふむ。「拾った/拾われた少年」「秘密と嘘」「双子」というモチーフといい、ちっとも垢抜けないベタなタイトルといい、湿り気のある内容といい、日常の中の非日常、「幸せ」というより「倖せ」、ニンベン漢字(たとえば「偬」とか「?」とか「倩」…読みがフツーでも見た目で一気に常用外になるあたり、ニンベンはインビだよね)がよく似合う雰囲気といい、ちょっとこれはBLというより往年のJUNEのかほりがする。忘れかけてたよ、この感覚。懐かしいね。思いがけず中学時代の同窓生に再会してしまったような感じ。まだあげ初めし前髪少女だった頃、なんでかその手の本を手に取ることになって、禁断の果実をかじってしまった――そう、あの頃のマンガだわ。
国枝彩香はコメディ抜きの暗いストーリーを描かすと、本当に暗く仕上げてくる。先が見えない、見えてくるのは倖せというより破滅なんじゃないかと思える話に、ギャグをちりばめると、リズムが狂って肝心のラブシーンがまったくしまらないものになることをちゃんとわかっていて、ギャクで逃げずに、暗さと重さをしっとりとした大人の描線で描いてくれるから、読んでいるこちらも、つい騙されて読んでしまう。それを感じさせるのが、表題作である「いつか雨が降るように」と、リーマン愛憎モノ「秘密と嘘」かな。よって私は、収録5編中この2編が好き。逆に、コメディ路線でギャグをちりばめながらあっさりキレイに終わる話が好きな人には、他の3編のほうがしっくりくるでしょう。
ただ、描き手として「騙されて」読まれることに物足りなさを感じているのか、あるいはもっとヒネリを加えることだってできるんだよと云いたいのか、クライマックスで明かされる真実の後に、もうひとつビッグサプライズをもってくる――つまり二段落とし(二段オチじゃないよ〜)な作品を昔から好んで描く作家なために、そこらへんで読む人の好みがわかれちゃうような気がする。先が暗そうでもキレイに終わって欲しい人と、残されるしこりを好む人との。こういう二段落としをする作家では、ほかに水城せとながいるけど、より余韻がJUNEなのは国枝彩香だよね。あと、夢か幻はたまた怪談かという話を得意としたり、クライマックスで盛り上げといて、もうページがないから仕方がないんですと云いたげなゴーインなラストも、「この作家ならでは」かな。
それにしても国枝彩香の男性裸体はキレイだ(とくに背中)。彼女と総領冬実の描く裸体は、オゾンの映画に出てくる俳優に匹敵するね。うん。そしてまた表題作のキスシーンがたいそう素敵で…ウットリしちゃった。
さらにその表題作の攻氏による――
「今日は…逃げないんだな。知らねぇぞ、もう嫌がったって、やめてやんねぇからな」
…というセリフで完全にツボをつかれ、アタクシ…悶絶死しました!(←そーゆーの大好きな人)
評価:★★★★
国枝彩香は、手堅くまとめられているという印象が強くて、上手いんだけど「これぞ!」というサムシングが足りない。上手いんですよ、ホントーに上手いんですけどね…う〜ん。「花盛りの庭」「架空の園」が素晴らしかっただけに、そんな印象を持ってしまうのが至極残念。
NO STAR … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまんない。
★★★ … 退屈はしないしけっこう面白い。
★★★★ … 面白い。佳作/秀作。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。
オビ惹句「憎しみと恋は同じ、相手を強く想うココロ―――…」
評価:★★(可もなく不可もなく)
マンガでは星評価をしてみることにしました。自分の品位(…)と趣味を、星で表してみようかなと。あと惹句評論家として某所で活躍した経験上、惹句がついてる作品についてもその評価をしてみたいと思います。
マンガの感想を書いたことがナイので、映画感想のようにはいかないと思いますが、足りぬところは、なにとぞご容赦シクヨロでお願い致しまする。押忍!
■『いつか雨が降るように』
ISBN:4812464757 国枝 彩香 竹書房 2006/06/17 ¥590
真木匡一が雨の日に拾った少年は、すべての記憶を失くしていた。匡一は成り行きからその少年を「シロ」と名づけ、一緒に暮らし始める。シロと過ごす穏やかな日々の中で、孤独に荒んだ匡一は少しずつ人間らしい優しさを取り戻していくが、その幸せな日々が壊される瞬間が近づいていた…。先が読めないストーリー、思いがけない結末…衝撃の表題作他、5編を収録した待望の作品集!!嬉しい描き下ろし付き!!
坂井久仁江の国枝彩香名義による、ちょっと暗めなシリアス短編集(5編)。
手に取った際、まずオビの返しの「麗人」ロゴに気付いてビックリ。これも「麗人」レーベルだったのか!…おかげで読み始める際、身構えてページめくっちゃったじゃないの!…って、秋林さん、いったい「麗人」にどーゆーイメージを持ってるんですか?…ぼそ。
で、感想なんですが――ふむ。「拾った/拾われた少年」「秘密と嘘」「双子」というモチーフといい、ちっとも垢抜けないベタなタイトルといい、湿り気のある内容といい、日常の中の非日常、「幸せ」というより「倖せ」、ニンベン漢字(たとえば「偬」とか「?」とか「倩」…読みがフツーでも見た目で一気に常用外になるあたり、ニンベンはインビだよね)がよく似合う雰囲気といい、ちょっとこれはBLというより往年のJUNEのかほりがする。忘れかけてたよ、この感覚。懐かしいね。思いがけず中学時代の同窓生に再会してしまったような感じ。まだあげ初めし前髪少女だった頃、なんでかその手の本を手に取ることになって、禁断の果実をかじってしまった――そう、あの頃のマンガだわ。
国枝彩香はコメディ抜きの暗いストーリーを描かすと、本当に暗く仕上げてくる。先が見えない、見えてくるのは倖せというより破滅なんじゃないかと思える話に、ギャグをちりばめると、リズムが狂って肝心のラブシーンがまったくしまらないものになることをちゃんとわかっていて、ギャクで逃げずに、暗さと重さをしっとりとした大人の描線で描いてくれるから、読んでいるこちらも、つい騙されて読んでしまう。それを感じさせるのが、表題作である「いつか雨が降るように」と、リーマン愛憎モノ「秘密と嘘」かな。よって私は、収録5編中この2編が好き。逆に、コメディ路線でギャグをちりばめながらあっさりキレイに終わる話が好きな人には、他の3編のほうがしっくりくるでしょう。
ただ、描き手として「騙されて」読まれることに物足りなさを感じているのか、あるいはもっとヒネリを加えることだってできるんだよと云いたいのか、クライマックスで明かされる真実の後に、もうひとつビッグサプライズをもってくる――つまり二段落とし(二段オチじゃないよ〜)な作品を昔から好んで描く作家なために、そこらへんで読む人の好みがわかれちゃうような気がする。先が暗そうでもキレイに終わって欲しい人と、残されるしこりを好む人との。こういう二段落としをする作家では、ほかに水城せとながいるけど、より余韻がJUNEなのは国枝彩香だよね。あと、夢か幻はたまた怪談かという話を得意としたり、クライマックスで盛り上げといて、もうページがないから仕方がないんですと云いたげなゴーインなラストも、「この作家ならでは」かな。
それにしても国枝彩香の男性裸体はキレイだ(とくに背中)。彼女と総領冬実の描く裸体は、オゾンの映画に出てくる俳優に匹敵するね。うん。そしてまた表題作のキスシーンがたいそう素敵で…ウットリしちゃった。
さらにその表題作の攻氏による――
「今日は…逃げないんだな。知らねぇぞ、もう嫌がったって、やめてやんねぇからな」
…というセリフで完全にツボをつかれ、アタクシ…悶絶死しました!(←そーゆーの大好きな人)
評価:★★★★
国枝彩香は、手堅くまとめられているという印象が強くて、上手いんだけど「これぞ!」というサムシングが足りない。上手いんですよ、ホントーに上手いんですけどね…う〜ん。「花盛りの庭」「架空の園」が素晴らしかっただけに、そんな印象を持ってしまうのが至極残念。
NO STAR … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまんない。
★★★ … 退屈はしないしけっこう面白い。
★★★★ … 面白い。佳作/秀作。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。
オビ惹句「憎しみと恋は同じ、相手を強く想うココロ―――…」
評価:★★(可もなく不可もなく)
マンガでは星評価をしてみることにしました。自分の品位(…)と趣味を、星で表してみようかなと。あと惹句評論家として某所で活躍した経験上、惹句がついてる作品についてもその評価をしてみたいと思います。
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