■『DEADSHOT』
ISBN:4199004408 英田サキ 徳間書店 2007/06/23 ¥560
ディックを復讐の連鎖から解放したい――。
宿敵コルブスの逮捕を誓い、捜査を続けるFBI捜査官のユウト。次のテロ現場はどこか、背後に潜むアメリカ政府の巨大な影とは……? ついに決定的証拠を掴んだユウトは、コルブスと対峙する!! ところがそこに現れたディックがコルブスの銃弾に倒れ……!? 執念と憎悪と恋情――刑務所から始まった三人のドラマが決着を迎える、衝撃のラストステージ!!

刑務所の囚人からFBI特別捜査官&CIAエージェント、という激しいジョブチェンジな展開を見せる本編を、絵師・高階佑による表紙カバー絵で見事表現している、個人的にいまだ攻の名前に抵抗が残るディック&ユウト「デッドなんちゃら」シリーズにして、ビックリジャングル大作戦!な第3巻(最終巻)である。

↓1〜2巻の感想はこちら
http://diarynote.jp/d/25683/20070621.html
(マジメに書いたつもりなんだけど…)

!マジでネタバレ注意報!

やー、参った、参った。コルブス追って、舞台はタックス着用セレブで煌びやかなパーティから、ナパーム弾炸裂のコロンビアジャングルへ!…ディック&ユウトのラブの行方、政治家の企みと麻薬問題、米軍にCIAにFBI、そしてドハデなドンパチ――英田兄貴が広げた風呂敷のあまりのデカさに、腐女子もビックリ!な展開を見せる最終巻である。

南米情勢と米国の関係(正直云えば、ツッコミたいところはあるのだが)、臨場感のある戦闘シーンなど、ソッチ系オタク向きにならないようあくまでも対象はBL読者、わかりやすい絶妙な書き込み具合ゆえに、トンチキかつトンデモな印象にならず、コルブスの最期は強引で唐突ではあったが、いちおう風呂敷(≒ストーリー)は畳まれた。しかも甘〜く終わっている(ディックに白のサマーサーターを着せるなんざ反則だー!腐女子を喜ばせるのが上手いなあ)。さすが英田兄貴と感心した。ただ、「私だったらラストシーンはあの場所、ワンコが出てきて、そしてあのセリフで終わらせるな〜、読み手にはナイショ、ふたりだけのヒミツ〜♪」などと思いながら読んでいたら、本当にそんなラストだったのには驚いた。時差テレパシーか。

しっかしなあ…BLだから甘く終わるのはわかるのだけども、あれほどの重傷を負ったディックに対し、ユウトはなぜ再会の際に「身体の具合はどうだ、大丈夫か」と尋ねなかったのか。そんなの再会してみりゃわかるじゃん、と云われても私には理解できない。ラブと仕事は比べられないと思うのだが、ユウトのラブ最重視なところは、どうしてもついていけない。FBI捜査官として中途半端に終わった上、刑事となる予定もどうなんだかという状況に対し、大して考えを持っていない、成長がみられないというのも引っかかる。そんな引っかかり感じる私は、腐女子の最末席組だろう。うん…これはそう思う私が悪い。「ごめんちゃい」だな。

絵師の高階佑は、最終巻の内容にはちょっとタッチが繊細かな?と思うけど、相変わらずカラーが綺麗。ただジェシカの絵があったらよかったなあ。綺麗な女性に描いてくれただろうに…と、これまた腐女子最末席からひとりごち。ジェシカと云えば、彼女は絶対にディックがゲイだと見抜いているね。女は敏感だから。

ラブまっしぐら!ハーレクインでハデめのストーリーが好きなお若い人にオススメのシリーズ。

そういえば兄貴――ユウトの父の死因は事故死?病死?どっちなの?

評価:★★★☆(なかなか面白い。英田兄貴が一生懸命書いていると伝わってきたのでプラス半星)
教授の口八丁ぶりに感動(手八丁にはとっくの昔に感動した)。新しい恋を見つけたようだし…あ〜よかった、よかった♪

ところで。私が引っかかってるもうひとつの理由は、攻が「優秀な元軍人・クール・ゲイ・金髪・碧眼・高身長・超ハンサム」、受が「日系米国人・信じられないくらい純粋・モラトリアム持ち・黒髪・黒眼・美形」、舞台が米国という設定、そして著者のリサーチ力が感じられる文章という点。どうしてもその…柏枝真郷『硝子の街にて』シリーズを思い出してしまう(タイムリーなことに夜霧さんが感想を書いておられたー!)。キャラの性格やストーリーなんかはまったく違うのに――と思ってたら、本作でこんな表現が出てきた。
ハリウッド女優も裸足で逃げ出しそうなすごい美女……(P103)
…………。
私ね、「映画スターも裸足で逃げ出しそうなハンサム」さんが好きだったの(注)――ううん、いまでも好きなのよ。「〜裸足で逃げ出しそうな〜」というのは、私がいっとき某所で大騒ぎした、絶対に忘れられないフレーズ。いままでこの表現をした作家は(私が知る限り)ひとりだけ。英田兄貴、『硝子の街にて』シリーズを読んでいたでしょ?…なんとなくそうじゃないかな〜と思っただけ。別に責めてないし、責めるような話でもないし。

NO STAR … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまんない。
★★★ … 退屈はしないしけっこう面白い。
★★★★ … 面白い。佳作/秀作。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。

(注)「ハリウッドスター」ではなく「映画スター」でした。『虹』『友』で確認。ぐは!

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