■『しあわせにできる 7』
ISBN:4576050648 文庫 谷崎泉(挿絵:陸裕千景子) 二見書房 2005/04/29 ¥560
白金の家への引っ越しも無事完了し、不本意ながらも久遠寺との公認同居生活を始めた本田。3課連中の花見場所まで提供し嵐は過ぎ去ったかに思えたが、美和の頼み事の件で望まぬ出会いをした昴が再び本田の前に現れる。時期を同じくして、日芳上層部では本田を1課へ異動させようという動きが見え始め、久遠寺には北京転勤の噂が…偶然とは思えない展開、さらに追い討ちをかけるようにパーティの招待状と久遠寺とのキスシーン写真を手渡してきた昴の目的は?兄弟の確執の板挟みになりながらも、久遠寺にそれを告げられない本田の選択は―。書き下ろしには久遠寺の高校時代、渡米直前のエピソードを収録。緊張のシリーズ第7巻。

シャレード文庫は基本的に惹句付きオビを付けておらず、その代わり、表紙見返し部分に作品のパンチライン(決め台詞/オチ)と思われる文章を抜き出してある。必ずしもラブシーンのそれとは限らないのだが、7巻の選択は、6巻の流れを汲んでいてとてもいい。ここをどの文章にするかは…作家が決めるの?それとも編集部?

!以下、ネタバレ注意報!

「同居スタート&昴再登場」編(「しあわせ13」)と「マリーナデート」編(「しあわせ14」)に、文庫用書下ろし番外編「まゆりひとすじに生きる!(by堂島)」(←そんなタイトルではありません!「等分のしあわせ」)収録。

一軒家で晴れて同居生活スタート、新婚さんの雰囲気の醸すふたりに天敵再登場、ついうっかりあんなところでちゅーしたばっかりに、昴が出てきちゃったよ〜、あ〜あ、せっかくいい雰囲気だったのに。簡単にはいかない、若さと自惚れってのは怖いねえ?>殿

もともとこのシリーズは、「本田or殿が深夜に帰宅→風呂(先に帰ったほうが湯を張っている)→どっちか入る→話す(でもすれ違いが多く、なかなかその機会に恵まれない)→寝る(文字通りの場合→殿が先に寝る…いや違うな、やっぱ本田だ、そっちの場合→本田、殿にクタクタにさせられ、気を失うように寝る)→本田5つの目覚まし&殿によって起床→出勤」と、騒動はいろいろ起きても、基本的にごくごくフツーの日常が繰り返されているのだが、なんつーか…住まいが一軒家になって、さらに本田が殿を意識し出すと、そのルーチンワークが一気に新婚さん風になるなあ。

でもそうは問屋…じゃなく昴がおろさず、なにやら会社絡みの工作が始まってる模様。なぜ昴はあからさまな邪魔をしてでも、殿を陥れたいのか。いったい過去になにがあったのか。書き下ろし番外編で、久遠寺家の長兄(昴)と三男(殿)の確執が生まれたわけがちらりと描かれている。なるほど、そっかそっか、そーゆーことか。10年経ってもまだ根に持ってるなんざ、昴は相当暗いヤツだな。血が繋がってるだけに、余計忘れられない…とか?「思い出に変わるまで」と、簡単にはいかないようだ。

嵐の前の本田・久遠寺邸という印象の7巻。

評価:★★★(サクサク読める。しあわせはまだちょっと遠いね)
昴もなあ…「弟が本気で驚いた」って、そんな本気うんぬんよりまず、弟の相手が男だという事実に驚かないか、フツー?…あ、久遠寺家だから長兄もフツーの感覚を持っていないってことか。そっかそっか。それにしても谷崎センセは攻キャラの不法侵入ネタをよくお書きになる。殿も本田邸(寮)に不法侵入した過去を持つが、今度は昴まで本田邸に侵入だ。さすが兄弟である…って、ちゃんと靴脱いだんでしょうね?>昴…だってフツーじゃないし。

ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまんない。
★★★ … 退屈はしないしけっこう面白い。
★★★★ … 面白い。佳作/秀作。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。

■表紙キャラは「久遠寺昴」(久遠寺皇の兄。久遠寺家の長兄)

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