■『おいしい!生地―スポンジ、パウンド、シフォン…焼きっぱなしで極上に』
ISBN:457920901X 単行本 小嶋 ルミ 文化出版局 2004/04 ¥1,575
「お菓子作りが趣味」といっても、求めるスタイルは人それぞれ。
1.時間をかけず簡単レシピで美味しく仕上げたい
2.お菓子作りの工程(行程)をひとつずつ楽しみながら、美味しく仕上げたい
3.材料・道具を探求、時間を惜しまずじっくりレシピ攻略、もっと美味しく仕上げたい
「1」→「2」と段階を踏んだ私は、現在「3」。最初はホットケーキミックスで作るパウンドケーキや蒸しパンで満足していたのに、ある程度できるようになったら、「もしかしてもっとできるかも?」という根拠のない自信が出て、ちょっとこだわってみたくなった、というクチ。
そしたらば、案の定、失敗の連続。
バターに卵を入れた途端に生地が分離する、スポンジケーキはまったく膨らまない、チーズケーキは表面が焦げる、シフォンケーキはボソボソ、バターは無塩?クーベルチュールってなんだー!?
とくにスポンジケーキはなかなか膨らまず、もう何度「モントンでいいや…あいむるーざー」と思ったことか。
それでも持ち前である興味のあることだけに発揮される反骨精神で以って、ケーキレシピ本数冊を勉強した結果、それなりに膨らむようにはなったけれど、やっぱり味がイマイチ、試食担当の家族もみな無言。これならホットケーキミックスで充分のような……
なにがいけないの?
なにか決定的にマズイことでもやってるの、私?
根拠のない自信に満ち満ちていたあの日から一転、挫折と模索の日々を過ごしていたところ――本屋さんで運命的に出会ったのが、本書『おいしい!生地』。
無塩発酵バターや極細グラニュー糖を使う意味。
ハンドミキサーの使い方と速度の違い。
粉を生地に入れる際のヘラ使いテクニック。
チーズケーキとシフォンケーキでは泡立て方が変わるメレンゲ。
すべてグラム単位の材料とデジタルはかり。
オーブンのクセと温度。
材料を入れるタイミング。
そっか!そういうことなのか!
他のレシピ本では教えてくれない道具の使い方、それぞれの状態にする(湯煎する・レンジでやわらかくする・冷やしてカチカチする)バターの意味、材料を入れるタイミング、100回近くまで混ぜ合わせるヘラ使いの重要性…を、一枚ずつ写真で説明、その通りのレシピで作ってみたら――いままでなんだったんだ!?と思うくらいの美味しさ!
シフォンケーキは、よくあるメレンゲ(卵白)重視のシフォンケーキとはまったく違う、卵黄によるしっとりさが感じられるのにフワっとした、「いままで食べたことがない、と云われる」のがよくわかる仕上がりに。
カスタードを入れたスフレチーズケーキは、レシピ通り「泡立て過ぎない細かいメレンゲを入れ、最後は火を消したオーブン」で焼いたら、「忘れられない味になります」と書かれたように口どけの良いホロリとした食感の見事なチーズケーキに。後日購入した、石橋かおり著『シンプルスタイルのチーズケーキ』のレシピで作ったチーズケーキと一緒に8人に出してみたら、8人全員、小嶋レシピケーキを選んだくらい、素晴らしかった。
小嶋さんの本は、「3」のステージに到りながら壁にぶち当たり、停滞していた私を前進させてくれたし、目の前の霧が晴れたことで、気分だけでなく頭の中も爽快になったし、お菓子作りの面白さとこだわり、固定観念を覆すオリジナリティとはなんぞや?を教えてくれた。作ったケーキはどれも定番なのに「いままで作った経験のない美味しさ」があった。感動したーー!
ただし、初心者にはちょっとキビシイ内容かも。材料は1グラム単位なのでデジタルはかりが必要だし、材料にもこだわりがあるし、指定と手順は細かい。その時点で敷居が高いと感じる人、「1」のままでいいそれ以上は望まないわ、という人には向かないので注意。
味評価:★★★★★(美味しい!素晴らしい!)
レシピ:★★★★★(ナルホドの連続)
本の作り:★★★(写真が細かい、字が多いので注意)
後日、この本が絶賛されていることを知り、納得した。本に対する思いはみな同じ、いままでの本にはなかった「1工程に対するプロのコツ」が写真付きで書かれてあり、目からウロコが落ちた。自分の中でレベルアップの音が聞こえてくる本。
「固定観念を覆すオリジナリティ」と簡単に書いたけど、小嶋さんはたぶん――試行錯誤を重ねたというか、いままで「したらいけない」と云われていたことまで試して(最近出た『知りたがりの、お菓子レシピ』にあったカスタードクリームレシピなんか、まさにそう)、「いままで食べたことがないと云われる」お菓子を作り出したんだろうな。料理研究家はみなそうなのかもしれない、でも小嶋さんにはスペシャルな情熱を感じる。そしてそのオリジナルレシピを、写真付きの丁寧な説明で書かれた1500円ほどの本で、一般人に教えてくれたことに感謝したい。
ISBN:457920901X 単行本 小嶋 ルミ 文化出版局 2004/04 ¥1,575
「お菓子作りが趣味」といっても、求めるスタイルは人それぞれ。
1.時間をかけず簡単レシピで美味しく仕上げたい
2.お菓子作りの工程(行程)をひとつずつ楽しみながら、美味しく仕上げたい
3.材料・道具を探求、時間を惜しまずじっくりレシピ攻略、もっと美味しく仕上げたい
「1」→「2」と段階を踏んだ私は、現在「3」。最初はホットケーキミックスで作るパウンドケーキや蒸しパンで満足していたのに、ある程度できるようになったら、「もしかしてもっとできるかも?」という根拠のない自信が出て、ちょっとこだわってみたくなった、というクチ。
そしたらば、案の定、失敗の連続。
バターに卵を入れた途端に生地が分離する、スポンジケーキはまったく膨らまない、チーズケーキは表面が焦げる、シフォンケーキはボソボソ、バターは無塩?クーベルチュールってなんだー!?
とくにスポンジケーキはなかなか膨らまず、もう何度「モントンでいいや…あいむるーざー」と思ったことか。
それでも持ち前である興味のあることだけに発揮される反骨精神で以って、ケーキレシピ本数冊を勉強した結果、それなりに膨らむようにはなったけれど、やっぱり味がイマイチ、試食担当の家族もみな無言。これならホットケーキミックスで充分のような……
なにがいけないの?
なにか決定的にマズイことでもやってるの、私?
根拠のない自信に満ち満ちていたあの日から一転、挫折と模索の日々を過ごしていたところ――本屋さんで運命的に出会ったのが、本書『おいしい!生地』。
無塩発酵バターや極細グラニュー糖を使う意味。
ハンドミキサーの使い方と速度の違い。
粉を生地に入れる際のヘラ使いテクニック。
チーズケーキとシフォンケーキでは泡立て方が変わるメレンゲ。
すべてグラム単位の材料とデジタルはかり。
オーブンのクセと温度。
材料を入れるタイミング。
そっか!そういうことなのか!
他のレシピ本では教えてくれない道具の使い方、それぞれの状態にする(湯煎する・レンジでやわらかくする・冷やしてカチカチする)バターの意味、材料を入れるタイミング、100回近くまで混ぜ合わせるヘラ使いの重要性…を、一枚ずつ写真で説明、その通りのレシピで作ってみたら――いままでなんだったんだ!?と思うくらいの美味しさ!
シフォンケーキは、よくあるメレンゲ(卵白)重視のシフォンケーキとはまったく違う、卵黄によるしっとりさが感じられるのにフワっとした、「いままで食べたことがない、と云われる」のがよくわかる仕上がりに。
カスタードを入れたスフレチーズケーキは、レシピ通り「泡立て過ぎない細かいメレンゲを入れ、最後は火を消したオーブン」で焼いたら、「忘れられない味になります」と書かれたように口どけの良いホロリとした食感の見事なチーズケーキに。後日購入した、石橋かおり著『シンプルスタイルのチーズケーキ』のレシピで作ったチーズケーキと一緒に8人に出してみたら、8人全員、小嶋レシピケーキを選んだくらい、素晴らしかった。
小嶋さんの本は、「3」のステージに到りながら壁にぶち当たり、停滞していた私を前進させてくれたし、目の前の霧が晴れたことで、気分だけでなく頭の中も爽快になったし、お菓子作りの面白さとこだわり、固定観念を覆すオリジナリティとはなんぞや?を教えてくれた。作ったケーキはどれも定番なのに「いままで作った経験のない美味しさ」があった。感動したーー!
ただし、初心者にはちょっとキビシイ内容かも。材料は1グラム単位なのでデジタルはかりが必要だし、材料にもこだわりがあるし、指定と手順は細かい。その時点で敷居が高いと感じる人、「1」のままでいいそれ以上は望まないわ、という人には向かないので注意。
味評価:★★★★★(美味しい!素晴らしい!)
レシピ:★★★★★(ナルホドの連続)
本の作り:★★★(写真が細かい、字が多いので注意)
後日、この本が絶賛されていることを知り、納得した。本に対する思いはみな同じ、いままでの本にはなかった「1工程に対するプロのコツ」が写真付きで書かれてあり、目からウロコが落ちた。自分の中でレベルアップの音が聞こえてくる本。
「固定観念を覆すオリジナリティ」と簡単に書いたけど、小嶋さんはたぶん――試行錯誤を重ねたというか、いままで「したらいけない」と云われていたことまで試して(最近出た『知りたがりの、お菓子レシピ』にあったカスタードクリームレシピなんか、まさにそう)、「いままで食べたことがないと云われる」お菓子を作り出したんだろうな。料理研究家はみなそうなのかもしれない、でも小嶋さんにはスペシャルな情熱を感じる。そしてそのオリジナルレシピを、写真付きの丁寧な説明で書かれた1500円ほどの本で、一般人に教えてくれたことに感謝したい。
コメント
でも作らないけど…(おい)いま台所の狭いとこに住んでるのと、時間があいたらしたいのはほかの事だったりするので…。でもこういう本、欲しい。その昔、実家に住んでた頃はお菓子作り好きでした。小麦粉も二度ふるいにかけたりして。で、電動ミキサーがなくて、スポンジケーキを作るときの卵の泡立てがスゴイつらかったもんです。で、共立てのほうが腕力が必要できついのでいつも別立てするレシピで作ってたんですけど、どっちがいいのかとか、そういうのもこの本でわかるかしら。
……でも作ったことない(苦笑)。
Dさんがお菓子作り…よかった、「誰も信じちゃくれない、だけど実はケーキ作りの趣味を持つ」のは私だけじゃない♪←なにげにすっごい失礼
>共立てのほうが腕力が必要できついのでいつも別立てするレシピで作ってたんですけど、どっちがいいのか
えっとですね、別立てだと白っぽいケーキになるので、失敗したくなくて、かつ、美しく仕上げたいときにいいみたいです。小嶋さんのレシピは共立てですね。よってミキサーは必須アイテムです。いまは1500円くらいで売ってるので買ったほうがいいですよ。別立てや失敗したくない場合、石橋かおりさんの『絶対に失敗しないスポンジケーキ』という本がオススメです。ただやっぱり、「失敗しないけどスポンジケーキ自体の味が淡白」です。
>夜霧のネオンサインさん
なんで持っておられるのですか!?(わはははははは!)
今度、小嶋レシピのお菓子を作って持って行きますので、おうちでゆっくり…コーヒーとBL本のおともにゼヒ。