■『パリ発!朝食から夜食まで パウンドケーキ大好き』
ISBN:4579209540 大型本 島本 薫 文化出版局 2005/09 ¥1,470
パウンドケーキの基本と云われる「カトルカール(quatre-quarts)」は、材料である「バター・砂糖・小麦粉・卵」が1/4ずつ同分量なもの。ところが、日本で好まれているパウンドケーキの場合、その配合は同じではなく、レシピもバターに砂糖を練り加えることから始まる。
じゃあ「カトルカール」って、どんなケーキでどんな味でどんなレシピ、よくあるパウンドケーキとはどう違うの?
…というギモンに回答してくれるのが、本場パリで修業されたという島本薫さんがお書きになった、この『パリ発!朝食から夜食まで パウンドケーキ大好き』。
日本で好まれるパウンドケーキというのは、以前レビューした小嶋ルミさんの本『おいしい!生地』に書かれてあるように、「キメ細やかでフワっとした食感」なもので、パターをフワフワに泡立てて気泡を作り、粉を入れたあとはつややかな生地に仕上がるように混ぜていき、ベーキングパウダーの力も借りてふっくら焼き上げる――というレシピが基本。ところが本書によると、本場のカトルカールはバターに空気はあまり入れない…というより、まず卵を温めながら泡立てることから始まり、バターは溶かしバター、粉を入れたあとでも半分また入れるという、日本ではイレギュラーな手順を踏んでいるし、ベーキングパウダーも使わない。つまり卵の泡立てが命なレシピと云える。
さらに、日本のパウンドケーキレシピで「やらなきゃいけない」ことが「やっちゃいけない」し、「新鮮な卵であるべき」が「新しからず、古からず」だったりする。その理由にも納得できる。カトルカールってのはそういうことなのねと、ちょっとお勉強になった。ナルホドなあ、「郷に入りては郷ひろみ」というのは、こういうことか(違います>秋林さん)。
基本のカトルカールを作ってみて思ったのは、バターに気泡を入れないだけあって、パウンドケーキ以上に、卵の泡立て方がシビアだということ。卵を温める重要性、そして「どこまで卵を泡立てればどう膨らむか」という感覚は、共立て(全卵)スポンジケーキが作れる人じゃないとピンこないと思う。カトルカール攻略の前に、小嶋レシピでスポンジケーキを焼けるようになっていて、ホント良かった。じゃないと、絶対に失敗していたと思う。
またパウンドケーキでは、型にクッキングペーパーを敷くようにレシピでは書かれてあるけれど、カトルカールの島本レシピでは「溶かしバターを塗り、強力粉をまぶした型を冷蔵庫に入れておく」。それによって、たしかに「外側がカリっとしたケーキ」に仕上がった。ナルホド。
出来上がりと見た目は、「真ん中が盛り上がってモコっとした、田舎風で垢抜けない、いかにもパウンドケーキ」という感じではなく、本の表紙にあるように「スレンダーで都会的、こざっぱりとしてお洒落なケーキ」という印象。日本でよく売られている型(18cm×8cm×7cm)じゃない、仏産型(21.2cm×9.1cm×7cm)なこともあってか、スッキリして小洒落てるんだよなあ。ちなみに秋林家で使ってる型は、フランス産の型とほぼ同じなので、仕上がりも写真通りになって大満足。ただし、密林批評で「こんな日本で買えないサイズの型を使われてもね」といった評をチラホラと見るので、レシピや雰囲気を楽しむより実用性だ!という人には向かないかも。
味については、ふわっとした美味しさはないけど、なんていうのかな――外側がカリっとした「これぞ舶来モノ」という食感と素朴さがある。パサついているとは思わなかった。たぶん…バターの風味も出ているからだと思う。また、ケーキにナイフを入れて切るときの感覚も、パウンドケーキよりサクっとしていて「うわ〜!違うなあ!」。そしてカトルカールの最大の特長は、作ったその日から食べられること。パウンドケーキは1日以上経ってからのほうが美味しいのです。
本に書かれているレシピ通りに作っても、たぶん本場パリで味わうものより、湿度が高いケーキになってるんだろうな。ただそれでも、「なんちゃってパリ」な気分が味わえたし、日曜日の昼下がりにはピッタリなレシピかと。
味評価:★★★(素朴)
レシピ:★★★★(けっこうわかりやすい)
本の作り:★★★★(お洒落です)
問題はレシピより材料。ミモレットとかトラブリとかカソナードだなんて、田舎ではまず手に入らないよー。かといって、代用品を使うと雰囲気でないし、「日本で仕入れているところから通販せよ」と云われても、そこまでしようとは思えない。う〜ん…パリのエスプリまで道のりはキビシイ。
今度は「ピスタチオとサンタナレーズンのケーキ」を作ろうっと♪ でも「サンタナレーズン」ってナニ?日本で手に入るの?フツーのレーズンとはじゃダメ?…やっぱ和の精神ではムリ?
ISBN:4579209540 大型本 島本 薫 文化出版局 2005/09 ¥1,470
パウンドケーキの基本と云われる「カトルカール(quatre-quarts)」は、材料である「バター・砂糖・小麦粉・卵」が1/4ずつ同分量なもの。ところが、日本で好まれているパウンドケーキの場合、その配合は同じではなく、レシピもバターに砂糖を練り加えることから始まる。
じゃあ「カトルカール」って、どんなケーキでどんな味でどんなレシピ、よくあるパウンドケーキとはどう違うの?
…というギモンに回答してくれるのが、本場パリで修業されたという島本薫さんがお書きになった、この『パリ発!朝食から夜食まで パウンドケーキ大好き』。
日本で好まれるパウンドケーキというのは、以前レビューした小嶋ルミさんの本『おいしい!生地』に書かれてあるように、「キメ細やかでフワっとした食感」なもので、パターをフワフワに泡立てて気泡を作り、粉を入れたあとはつややかな生地に仕上がるように混ぜていき、ベーキングパウダーの力も借りてふっくら焼き上げる――というレシピが基本。ところが本書によると、本場のカトルカールはバターに空気はあまり入れない…というより、まず卵を温めながら泡立てることから始まり、バターは溶かしバター、粉を入れたあとでも半分また入れるという、日本ではイレギュラーな手順を踏んでいるし、ベーキングパウダーも使わない。つまり卵の泡立てが命なレシピと云える。
さらに、日本のパウンドケーキレシピで「やらなきゃいけない」ことが「やっちゃいけない」し、「新鮮な卵であるべき」が「新しからず、古からず」だったりする。その理由にも納得できる。カトルカールってのはそういうことなのねと、ちょっとお勉強になった。ナルホドなあ、「郷に入りては郷ひろみ」というのは、こういうことか(違います>秋林さん)。
基本のカトルカールを作ってみて思ったのは、バターに気泡を入れないだけあって、パウンドケーキ以上に、卵の泡立て方がシビアだということ。卵を温める重要性、そして「どこまで卵を泡立てればどう膨らむか」という感覚は、共立て(全卵)スポンジケーキが作れる人じゃないとピンこないと思う。カトルカール攻略の前に、小嶋レシピでスポンジケーキを焼けるようになっていて、ホント良かった。じゃないと、絶対に失敗していたと思う。
またパウンドケーキでは、型にクッキングペーパーを敷くようにレシピでは書かれてあるけれど、カトルカールの島本レシピでは「溶かしバターを塗り、強力粉をまぶした型を冷蔵庫に入れておく」。それによって、たしかに「外側がカリっとしたケーキ」に仕上がった。ナルホド。
出来上がりと見た目は、「真ん中が盛り上がってモコっとした、田舎風で垢抜けない、いかにもパウンドケーキ」という感じではなく、本の表紙にあるように「スレンダーで都会的、こざっぱりとしてお洒落なケーキ」という印象。日本でよく売られている型(18cm×8cm×7cm)じゃない、仏産型(21.2cm×9.1cm×7cm)なこともあってか、スッキリして小洒落てるんだよなあ。ちなみに秋林家で使ってる型は、フランス産の型とほぼ同じなので、仕上がりも写真通りになって大満足。ただし、密林批評で「こんな日本で買えないサイズの型を使われてもね」といった評をチラホラと見るので、レシピや雰囲気を楽しむより実用性だ!という人には向かないかも。
味については、ふわっとした美味しさはないけど、なんていうのかな――外側がカリっとした「これぞ舶来モノ」という食感と素朴さがある。パサついているとは思わなかった。たぶん…バターの風味も出ているからだと思う。また、ケーキにナイフを入れて切るときの感覚も、パウンドケーキよりサクっとしていて「うわ〜!違うなあ!」。そしてカトルカールの最大の特長は、作ったその日から食べられること。パウンドケーキは1日以上経ってからのほうが美味しいのです。
本に書かれているレシピ通りに作っても、たぶん本場パリで味わうものより、湿度が高いケーキになってるんだろうな。ただそれでも、「なんちゃってパリ」な気分が味わえたし、日曜日の昼下がりにはピッタリなレシピかと。
味評価:★★★(素朴)
レシピ:★★★★(けっこうわかりやすい)
本の作り:★★★★(お洒落です)
問題はレシピより材料。ミモレットとかトラブリとかカソナードだなんて、田舎ではまず手に入らないよー。かといって、代用品を使うと雰囲気でないし、「日本で仕入れているところから通販せよ」と云われても、そこまでしようとは思えない。う〜ん…パリのエスプリまで道のりはキビシイ。
今度は「ピスタチオとサンタナレーズンのケーキ」を作ろうっと♪ でも「サンタナレーズン」ってナニ?日本で手に入るの?フツーのレーズンとはじゃダメ?…やっぱ和の精神ではムリ?
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