GWチューリップ記念:BLちょっとだけ感想&デキゴトロジー
2008年5月11日 Rotten Sisters!
今年のGWにチューリップを観るため、T山までおでかけした際、立ち寄った「イオンモールT岡」内の喜久屋書店で購入したBL小説4冊のうち、3冊の感想とデキゴトロジーをボチボチと書くことにしました。チューリップ記念感想文ですね。ちなみに、あと1冊はとても面白かったので、ピンで感想をUPしたいと思っています。
それにしてもT岡の人はいいなあ。ヴィレッジ・ヴァンガードの横に、あんなBLの品揃えのいい本屋さんがあるなんて。JRで行けない距離じゃないし、暇な土日は、鉄っちゃん気分でおでかけしてみようかと真剣に考えましたよ(しかも映画館併設)。駅前からイオンまでお出迎えバス出てるみたいだし。それくらい魅力のある、地方の書店としては立派な品揃えでした。いや〜、あのコーナーの担当者さんを本気でホメたいです。
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
!以下、ネタバレ注意報!
■『そして、裏切りの夜が始まる』 いとう由貴
ISBN10:4813011721 挿絵:佐々木久美子 大洋図書 2008/4/26
評価:★(論外なので本当はZERO STARS。星は絵師の佐々木さんに)
母子家庭で育った翔は、母親と死別後、事故に遭って2年間意識のない弟(異父兄弟)・俊樹を助けるため、入院しているのは翔で自分は俊樹と嘘をつき、実子を亡くしたばかりの俊樹の実父に近づく。だが、叔父・信威に見破られ、手ごめにされる――という、一途で健気な主人公が、鬼畜な叔父(他人)にひどい目に遭わされる、鬼畜(年上)×健気(年下)な姦計モノ。叔父が32歳で翔は18歳、というところで「しまった、こりゃ私向きじゃない」と思ったんだけども、いちおう読了。
――あの?
オチてないんですが?
なんだこれは。私向きじゃないことは、この際もうどーだっていい。空っぽなストーリーが大問題。ラストを読み手に委ね、ぼや〜んとして終わりならまだしも、「起承転結」のうち「起」「承」のみ、10代の男の子に鬼畜三昧、いつの間にかラブが生まれ、そして突然終わっているじゃないの。タイトル通り「裏切りの夜が始まる」だけ。本末転倒、弟はどうするのよ?>翔
「毎日たくさんご飯作って、一緒に洗濯して、掃除して、一緒に暮らそうよ(受)」?…で、「料理や身体に飽きない(攻)」?それもこれも「運命共同体だから」って…いいかげんにしろー!!――佐々木久美子さんの絵が泣く。もったいない。
■『非保護者』 椎崎 夕
ISBN10:4813011713 挿絵:北畠あけ乃 大洋図書 2008/4/26
評価:★★★(不器用悶々ラブがお好きな人にオススメ)
小さい頃、兄のように慕っていた瀬尾(攻)と再会、父親の命で自分のお目付け役となった彼と同居をし始めた征(受)だが、過去と家庭の問題から、瀬尾の前では素直になれない。瀬尾は、征に負い目があるため、自分の思いは秘めたまま、なにも語らない。互いが気になるはずなのにすれ違い――という、不器用ラブの最王道モノ。
母親との確執、ふたりの過去など、バックグラウンドが丁寧に描かれているので、征→瀬尾、瀬尾→征、どちらの悶々もわかりやすい。丁寧語を使っているが、すべて受に従順とは限らない攻のキャラがとてもいいし、受がスネ夫のままではなく、自分のやりたいことを見つけ、新しい道を歩き出すところも好感度大だ。ただ、キャラの性格や設定、ストーリーがあまりに王道・定番過ぎて、逆に思ったほどふたりに感情移入できなかったことが、ちょっと残念か。結ばれたのち、互いの思いと過去を話し合ってエンドというラストも、そのあとに続く攻視点の短編がなければ、さらに凡庸な印象を強めてしまっていたかもしれない。年下攻が好きな私にはあまりヒットしなかったが、安心して読める1本。絵師の北畠さんは(たぶんお得意路線だろう)ピッタリだった。
しっかし、「未成年者相手の淫行に踏み切る度胸はなかったのですが…」という瀬尾の言葉に、思わず「おお!もっともなこと云うじゃない!」と感心したものの、「色事と無縁でいられるほど清廉潔白な人間でもありませんでしたので」と、BL的にもっともらしいセリフがその後に続いたため、「そーだよな、アタシだってBL読んでるんだから清廉潔白じゃないもんな」と、妙なところで納得、共感してしまった。
■『薔薇の掟』 ゆりの菜櫻
ISBN10:4872579267 挿絵:元春子 イースト・プレス 2008/5
評価:★★(「してもいい、とは、しなくてもいい」ということ?誰か教えて下さーい!)
「ほら、『しあわせにできる』が全巻あるよ!」とDさんに云われ、シャレード文庫の棚を見たらば、谷崎泉の現在入手可能な作品がすべて(「君好き」の一部まで!)揃っていたり、SHYノベルスがどど〜んとあったり(エダさんの『権力の花』まで!)、絶版間近(…ごめんなさい)な黒娜さかき『恋の口火』があったりと、地方の一般書店なのに品揃えが良いことから、いきなり喜久屋書店さんを信頼し出した秋林、新刊コーナーで見たことのない絵師のノベルスを発見し――
私:「この人(絵)、見たことある?」
Dさん:「ない」
…と、絵師未確認を確認し、本作を購入。
スーパーメイルモデルの鼎は、パリ滞在中にマフィアの抗争に巻き込まれてしまうが、すんでのところで、契約ブランドのデザイナーのスポンサーであるアンドレアに助けられる。だが、実はそのアンドレアこそ、イタリアンマフィアのボス。狙われることになった鼎を守ると約束しながら、アンドレアは鼎をほぼ拉致の状態で、イタリアに連れて去ってしまう――というのが、大まかなあらすじのイタリアンマフィアもの…らしい。
パリだローマだ、殺人だ、変装だ…と、ストーリーが破綻しまくりの中でいろいろ事件が起こるんだが、極東女子から捕らわれた鼎へひとつアドバイス。とりあえず警察に連絡して、日本大使館に駆け込んだほうがいいんじゃ?
終了。
ところで、私はゆりのセンセの本を今回初めて読んだけれども、なんか…日本語が…ちょっとその…この使い方おっけー?と(自分棚上げで)思うことしばしば、たとえば冒頭の「目は口ほどに物を言う」――あの引用でいいの?…あれ?あれれれれれれ?…そしてアンドレアの「フッ…」の連発には参った、まさかBLで車田正美が読めるとは思ってなかったよー。
しっかし、出会っていきなりチューしたり、「美人を間近に見て、触らなかったら失礼にあたるだろう?」だなんてそんな、おまわりさーん!この人チカンでーす!…いまどきジローラモでもジョージ・クルーニーでも云わないって、セクハラで訴えられるっつーの!…でもオビ惹句に「ケダモノだよ、私は。」と書かれてるしなあ、そっかケダモノかあ、イタリア男じゃなくケダモノだったら仕方がないよね、そっかそっか。
ツッコミで疲れてみたい方に、オススメの1本。
以上、「GWチューリップ記念:BLちょっとだけ感想&デキゴトロジー」でした♪
それにしてもT岡の人はいいなあ。ヴィレッジ・ヴァンガードの横に、あんなBLの品揃えのいい本屋さんがあるなんて。JRで行けない距離じゃないし、暇な土日は、鉄っちゃん気分でおでかけしてみようかと真剣に考えましたよ(しかも映画館併設)。駅前からイオンまでお出迎えバス出てるみたいだし。それくらい魅力のある、地方の書店としては立派な品揃えでした。いや〜、あのコーナーの担当者さんを本気でホメたいです。
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
!以下、ネタバレ注意報!
■『そして、裏切りの夜が始まる』 いとう由貴
ISBN10:4813011721 挿絵:佐々木久美子 大洋図書 2008/4/26
評価:★(論外なので本当はZERO STARS。星は絵師の佐々木さんに)
母子家庭で育った翔は、母親と死別後、事故に遭って2年間意識のない弟(異父兄弟)・俊樹を助けるため、入院しているのは翔で自分は俊樹と嘘をつき、実子を亡くしたばかりの俊樹の実父に近づく。だが、叔父・信威に見破られ、手ごめにされる――という、一途で健気な主人公が、鬼畜な叔父(他人)にひどい目に遭わされる、鬼畜(年上)×健気(年下)な姦計モノ。叔父が32歳で翔は18歳、というところで「しまった、こりゃ私向きじゃない」と思ったんだけども、いちおう読了。
――あの?
オチてないんですが?
なんだこれは。私向きじゃないことは、この際もうどーだっていい。空っぽなストーリーが大問題。ラストを読み手に委ね、ぼや〜んとして終わりならまだしも、「起承転結」のうち「起」「承」のみ、10代の男の子に鬼畜三昧、いつの間にかラブが生まれ、そして突然終わっているじゃないの。タイトル通り「裏切りの夜が始まる」だけ。本末転倒、弟はどうするのよ?>翔
「毎日たくさんご飯作って、一緒に洗濯して、掃除して、一緒に暮らそうよ(受)」?…で、「料理や身体に飽きない(攻)」?それもこれも「運命共同体だから」って…いいかげんにしろー!!――佐々木久美子さんの絵が泣く。もったいない。
■『非保護者』 椎崎 夕
ISBN10:4813011713 挿絵:北畠あけ乃 大洋図書 2008/4/26
評価:★★★(不器用悶々ラブがお好きな人にオススメ)
小さい頃、兄のように慕っていた瀬尾(攻)と再会、父親の命で自分のお目付け役となった彼と同居をし始めた征(受)だが、過去と家庭の問題から、瀬尾の前では素直になれない。瀬尾は、征に負い目があるため、自分の思いは秘めたまま、なにも語らない。互いが気になるはずなのにすれ違い――という、不器用ラブの最王道モノ。
母親との確執、ふたりの過去など、バックグラウンドが丁寧に描かれているので、征→瀬尾、瀬尾→征、どちらの悶々もわかりやすい。丁寧語を使っているが、すべて受に従順とは限らない攻のキャラがとてもいいし、受がスネ夫のままではなく、自分のやりたいことを見つけ、新しい道を歩き出すところも好感度大だ。ただ、キャラの性格や設定、ストーリーがあまりに王道・定番過ぎて、逆に思ったほどふたりに感情移入できなかったことが、ちょっと残念か。結ばれたのち、互いの思いと過去を話し合ってエンドというラストも、そのあとに続く攻視点の短編がなければ、さらに凡庸な印象を強めてしまっていたかもしれない。年下攻が好きな私にはあまりヒットしなかったが、安心して読める1本。絵師の北畠さんは(たぶんお得意路線だろう)ピッタリだった。
しっかし、「未成年者相手の淫行に踏み切る度胸はなかったのですが…」という瀬尾の言葉に、思わず「おお!もっともなこと云うじゃない!」と感心したものの、「色事と無縁でいられるほど清廉潔白な人間でもありませんでしたので」と、BL的にもっともらしいセリフがその後に続いたため、「そーだよな、アタシだってBL読んでるんだから清廉潔白じゃないもんな」と、妙なところで納得、共感してしまった。
■『薔薇の掟』 ゆりの菜櫻
ISBN10:4872579267 挿絵:元春子 イースト・プレス 2008/5
評価:★★(「してもいい、とは、しなくてもいい」ということ?誰か教えて下さーい!)
「ほら、『しあわせにできる』が全巻あるよ!」とDさんに云われ、シャレード文庫の棚を見たらば、谷崎泉の現在入手可能な作品がすべて(「君好き」の一部まで!)揃っていたり、SHYノベルスがどど〜んとあったり(エダさんの『権力の花』まで!)、絶版間近(…ごめんなさい)な黒娜さかき『恋の口火』があったりと、地方の一般書店なのに品揃えが良いことから、いきなり喜久屋書店さんを信頼し出した秋林、新刊コーナーで見たことのない絵師のノベルスを発見し――
私:「この人(絵)、見たことある?」
Dさん:「ない」
…と、絵師未確認を確認し、本作を購入。
スーパーメイルモデルの鼎は、パリ滞在中にマフィアの抗争に巻き込まれてしまうが、すんでのところで、契約ブランドのデザイナーのスポンサーであるアンドレアに助けられる。だが、実はそのアンドレアこそ、イタリアンマフィアのボス。狙われることになった鼎を守ると約束しながら、アンドレアは鼎をほぼ拉致の状態で、イタリアに連れて去ってしまう――というのが、大まかなあらすじのイタリアンマフィアもの…らしい。
パリだローマだ、殺人だ、変装だ…と、ストーリーが破綻しまくりの中でいろいろ事件が起こるんだが、極東女子から捕らわれた鼎へひとつアドバイス。とりあえず警察に連絡して、日本大使館に駆け込んだほうがいいんじゃ?
終了。
ところで、私はゆりのセンセの本を今回初めて読んだけれども、なんか…日本語が…ちょっとその…この使い方おっけー?と(自分棚上げで)思うことしばしば、たとえば冒頭の「目は口ほどに物を言う」――あの引用でいいの?…あれ?あれれれれれれ?…そしてアンドレアの「フッ…」の連発には参った、まさかBLで車田正美が読めるとは思ってなかったよー。
しっかし、出会っていきなりチューしたり、「美人を間近に見て、触らなかったら失礼にあたるだろう?」だなんてそんな、おまわりさーん!この人チカンでーす!…いまどきジローラモでもジョージ・クルーニーでも云わないって、セクハラで訴えられるっつーの!…でもオビ惹句に「ケダモノだよ、私は。」と書かれてるしなあ、そっかケダモノかあ、イタリア男じゃなくケダモノだったら仕方がないよね、そっかそっか。
ツッコミで疲れてみたい方に、オススメの1本。
以上、「GWチューリップ記念:BLちょっとだけ感想&デキゴトロジー」でした♪
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