…とゆーわけで感想です。ただし、「コーラス」編集部がやたらBLっぽい惹句やキャプションを狙ってつけているため、返す刀で(?)「私にはこう見えたんだけど?」秋林ヴィジョン表記もで書いておきます。「秋林さん…ソレ、逆なんじゃ?」と指摘されそう(とくに好みが真逆の方に)ですが、「私にはそう見えたの♪」ということで、ここはひとつ、よろしくお願いプリーズです♪

■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み

■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。

!以下、マジでネタバレ注意報!

■「そして二度目の夏が来る」 もんでんあきこ
特集:女人禁制「高校野球もの」
扉惹句:再びあの晴れ舞台に立ちたい。思いはひとつのはずだったが…!?

巻頭カラーは、高校最後の年に、全国制覇ピッチャーとバッテリーを組むことになって成長していく、キャッチャーの淡い恋心葛藤を描いた、天才×凡才、同級生モノ。

どんなジャンルだろうと、作画・ストーリーともに「マンガ力」のある作品に仕上げてくる、なんだって描けるだろう実力派のもんでん先生なので、巻頭カラーになるのは当たり前。ゆえにコッチも安心・納得しながら読んでいたのだが、天才ピッチャーのサトル(たぶん攻)の性格付けが、もんでん先生お得意のヒネくれクールで早熟、DT感ゼロな男の子だったので、「汗と涙と感動の青春巻頭カラー」とあっても、「感動」はともかく、「汗と涙の青春」はムリ?と思っていた。がしかし、さすがもんでん先生!やっぱりキッチリと仕上げてきた。キャッチャー・オグちゃん(たぶん受)の真摯な言動、そんなオグちゃんに対するサトルの年齢相応リアクションに、「汗と涙と感動の青春」ストーリーを感じた。説教臭くならないところもいい。

ただなんつーか、やっぱり作品的に少女マンガの「ちょっと感動モノ」域で終わっていて、これがたとえば、サトルがオグちゃんより学年1コ下、オグちゃんセンパイを熱い眼差しで見つめているのに、野球バカのオグちゃんはまったく気付かず、そのままあれこれとサトルにかまうもんだから、クールなサトルは悶々地獄…とかなんとかだったら、アタシの大ツボだったんだけど…ま、コーラスだし…ムリか。

あとひとつ注文つけるなら――もんでん先生!
野球部員のルックスがオッサン過ぎ!なんとかして下さーい!

評価:★★★☆(手堅すぎるけど上手いもん。なに描いたって)
秋林好み度:★★★(手堅すぎるけど上手いもん。なに描いたって)
BL誌に掲載されるなら?:やっぱり集英社「コーラス」(上手いけど、BL向きじゃない)
コーラスの看板作家では、なぜもんでんあきこ先生が女人禁制本にご登場?…って、そりゃーコーラス系の大御所作家でも、くらもちふさこや聖千秋に描かすわけにはいかない…ってか、描けないだろうしなあ…という話なんだろうが、実はもんでん先生、すんごいエッチで、エロ作品を青年誌で手がけている作家としても有名。同じ集英社「プレイボーイ・コミックス」(!)からは、『ワーキンガールH。』とか『その男、タカ ―加藤鷹ゴッドフィンガー伝説』とか出てます。「コーラス」でもラブシーンをキッチリ描いていて、私には「きじょーいの人」というイメージ(すみません)。

ちなみに、もんでん先生のエロは官能的だけど、レディースのような生々しさはなく、男性作家のようなグロさもない。その路線で描いてくれたらちょっと嬉しかったけど、「コーラス」で高校野球モノじゃムリか。ま、その分を「女人禁制」表紙――高校野球モノなのに、「グラウンドとユニフォームな野球少年」じゃなく、なぜか「ロッカー室で着替える流し目サトル(制服)と清純オグちゃん(半裸に絆創膏)」――という狙い過ぎ「釣り」構図で回収致しました、はい。

■「愛と正義に関する一考察」 たまきちひろ
特集:女人禁制「刑事&ヤクザもの」
扉惹句:熱いハートがぶつかりあう!善と悪のガチンコ・ストーリー!!

正義感溢れる刑事・東雲には、どうしても忘れられない友人がいる。その友人とは、捜査対象である暴力団の組長・桂木。大学時代、東雲はその正義感ゆえに、同じ大学に通うヤクザの息子・桂木の存在が許せず、桂木も東雲を見下していた。取っ組み合いのケンカがきっかけで、ふたりは少しずつ仲良くなっていくが、卒業とともに道がわかれてしまい――という、BLでは定番の惹かれ合ってはいけないヤクザ×刑事モノ。「×」は秋林願望っス。

上手いなあ。私はもともとから、たまきちひろの絵や作風が好きなので、どうやったって贔屓目が出てしまうのだが、要所をしっかりと押さえた作画とか、「絵が動いている」構図とか、読み手をぐいぐい引っ張っていくストーリーテリングの小気味良さとか、丁寧なキャラの心情描写とか、パンチラインのキレの良さとか――素晴らしいし、引き込まれる。もっと知られて、もっと売れていい作家だと思う。これまた「マンガ力」のある1本。学生時代のエピソード回想を展開しながら、15年続く友情ってのがイイね。大ツボ。

惜しむらくはラストシーンか。「キメセリフを云った東雲の大コマ→暗転コマ→エンド」ってのがちょっとなあ。東雲の言葉を聞いたあとの桂木のリアクションは、必須だったんじゃ?…たとえば、桂木が「なんだ『オレ法典』か?」とかなんとか切りかえして、ふたりが笑って、最後は東雲のモノローグでオワリ、とか。そんな感じで終わったほうが良かったのに。作品のキレの良さが、最後で鈍ってしまった。あーなんてもったいない!…ページが足りなかったのかな…。

評価:★★★★(ラストでマイナス★1コ)
私の好み度:★★★★☆(キャラがいいねー好きだ!)
BL誌に掲載されるなら?:芳文社「花音」(いや、なんとなく…)
ラストがちょっとなあ…と書いたけど、暗転コマが続いているからまだよくて、これがダメな作家だったら、東雲大コマひとつで終わってただろうな。

「コーラス」編集部さん!
私は、たまきちひろさんの作品をもっと読みたいです。
本誌登場をお願いします。

ところで。公式サイトを見たら、なんでか「刑事&泥棒もの」となっていた(5/19現在)。最初は泥棒という設定だったけれど、編集担当者から「たまき先生!BLでは、刑事の相手は泥棒じゃなくてヤクザなんですよ、だからヤクザにしましょう!」と云われた…とか?(←考えすぎです!>秋林さん)あと、いまは「マル暴」じゃなく「組対」(「組織犯罪対策部」の略)、腐女子は「組対」慣れしているので、そっちのほうがよかったような。でもまあ…BL誌じゃなく「コーラス」だから仕方ない、読者層的に「組対」がわからない人のほうが多いか。あと警察手帳は、現在あんな感じじゃないと思う。米国のように、身分証明を重視したバッジケースタイプになっているはず。そこらへんBLの挿絵ではしっかり押さえてあって、たとえば奈良画伯は、バッジケースタイプでイラストつけているよね。いいかげんなものもあるけど、ちゃんと描いている人だっている。BL系の絵師やマンガ家、腐女子を舐めたらアカンよ。

そーいえば、つい先日、奈央さんに「トキメキとキュンキュンにあふれたBLは、私も好きなんですよ」と云ったら、「秋林先輩は骨太BLがお好きなのかと思っていました…!男の男の火花!ぶつかりあうプライド!みたいな」と云われたので、「やっぱり信じてもらえなかったー!(大爆笑)」と思ったけど、結局この作品に★4つ半つけているあたり、火花好きだということなんでしょう。さすが奈央さん、しっかり見抜いてますネ♪てへ♪

■「Suitable」 宇野亜由美
特集:女人禁制「テーラー男子もの」
扉惹句:貴方に似合う服、お探しします★スーツオタク男子のワンダフル・ショート!

スーツ仕立て屋(売り場?)で働く茂木は、スタイルと好みにピッタリ合うスーツを見立て、お客に満足してもらうことが生きがい。そんな茂木の前に、ある日、素晴らしく見目のいい男が現れる。この人を一流の男に仕立てたい!と奮起する茂木だが、お客はちょっと変わった趣味で――というスーツ萌え男による職業モノほのぼのコメディ。

職業モノらしく、「仕事へのこだわり」と「失敗のあとの喜び」がちゃんと描かれているし、茂木のスーツへの萌えっぷりがとにかく面白く、それに反比例するお客の天然ぶりも笑える。こんな店員と客、実際にいそうだ〜わははは♪

ショートコメディとして出来が良く、一般・BL誌、どちらに載ってもおかしくない。BL誌だったら、どっかにエロが必要かもしれないが、別にこのままでもOKだろう。ほのぼのと楽しめる1本。

評価:★★★★(職業モノのポイントはしっかり押さえられている)
秋林好み度:★★★★(職業モノはプライドガチ系でもあり…)
BL誌に掲載されるなら?:リブレ出版「b-BOY Phoenix スーツ特集」(エロはないけどスーツにラブ、ということで)
茂木のセンスはなかなかいいと思うが、スーツフェチな私としては、あの客が靴までコーディネートを考えているか心配だ。そこらへんもちゃんとアドバイスした?>茂木

女人禁制感想 2:「別冊コーラス Spring」に続く!

↓女人禁制感想 2:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080517.html

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