…とゆーわけで、感想第二弾です。「コーラス」編集部がやたらBLっぽい惹句やキャプションを狙ってつけているため、返す刀で(?)「私にはこう見えたんだけど?」秋林ヴィジョン表記も赤で書いておきます。「秋林さん…ソレ、逆なんじゃ?」と指摘されそう(とくに好みが真逆の方に)ですが、「私にはそう見えたの♪」ということで、ここはひとつ、よろしくお願いプリーズです♪
■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み
■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。
!以下、マジでネタバレ注意報!
■「マルセルの羽根」 柏屋コッコ
特集:女人禁制「ネオゴシック耽美もの」
扉惹句:世にも美しい少年の、グロテスクな肩の傷。彼の過去に秘められた残酷な物語とは――!?
美しい羽根と声を持つ少年マルセルは、伯爵に飼われ、城に閉じ込められた生活を送っている。下界の人間との接触は、城に週数回やってくるお抱え医師ハルビックのみ。ハルビックに惹かれているマルセルだったが、ある夜、伯爵の寝室に呼び出されてしまい――という、なんだかとーっても大昔の雰囲気なブラック耽美モノ。
「行きずりの男と一夜を共にした」という、のっけのモノローグに、「おいおいおいおーい、いきなりソレかよー」と思ったが、言葉だけでエロはナシ、朝チュンで始まる。その後、マルセルの羽根エピソードが描かれるのだが…これが魑魅魍魎の世界で引いた。柏屋さんはこーゆーのを描いてみたかったのだろうが、やはり浮きまくっていて、読む人・楽しめる人を選ぶこと必至、ストーリーだけでなく絵までレトロ風(ペンタッチはもちろん、見開き三白眼とか)なこともあって、なんだか需要の少なさそうな作品という印象だ。オチがむずかしいこの手の作品、どうやって終わるんだろう?と思ったら、オチなく終了。まるでジャンプ10週打ち切りを食らったようなラストだった。これなら本仁戻のほうが、ずっともっと何倍も面白い作品を描いてくれるだろう。
狙いすぎが逆に鼻につく、私にはまったくヒットしなかった1本。ごめんちゃい。
評価:★(お好きな人はどうぞ)
秋林好み度:ZERO STARS(私の琴線にかすりもしない)
BL誌に掲載されるなら?:マガジン・マガジン「コミックJUNE」(う〜ん…)
伯爵の目より歯茎に参った。ところで、羽根は背中に生えるものだと私は思っていたのだが、このマンガではガッチャマンのマントのように、肩…というより腕のコブあたりから生えてる。だからなのか、羽根がもげたら痛々しいはずなのに、グロいだけだった。そこまで狙わなくても…あ〜う〜。
■「世界を眠らせ、」 石井まゆみ
特集:女人禁制「リーマン・スーツもの」
扉惹句:ビシッと決まったスーツ姿のふたり。その関係って……!?
高校時代、バスケット部だった先輩・大倉を追って、同じ会社に中途で就職した和泉。大倉の卒業の際、告白したのに「誰だっけ?」と名前すら覚えてもらえなかった和泉だったが、またもや大倉は和泉を覚えていなかった。ある日、残業で家に帰れない可能性が出てきた大倉は、一緒に仕事をしていた和泉にマンションに泊めてくれと云い出す。嬉しくてたまらない和泉だったが――という、ノンケ←ゲイなリーマンBL王道モノ。
同好の士(=腐女子のみなさま)なら、もう何十本と読んでこられただろう、良く云えば安心感のある、悪しく云えば毒牙抜かれるほどヒネリのない、超王道片思い系リーマンBL。片思いで終わっているが(大倉が微妙)、ちゃんとチューまである。がしかし、石井まゆみなので、やっぱり絵柄がどこまでも「YOUNG YOU」(現在廃刊)、そのため「この系統の絵でリーマンBLの王道かあ」と、読んでいてなんだかフシギな感覚になった。現在のBL界には「YOUNG YOU」っぽい人いないもの。でもアナタ、坂井久仁江の『花盛りの庭』だって「YOUNG YOU」だったじゃん!…とツッコミを受けそうだが、坂井さんは当時から別格だったし、絵も「YOUNG YOU」系統じゃなかったしなあ。ただあの当時も、たしか「『YOUNG YOU』でこんなことやっていいのかー!?」と思ったことは事実で、なんだ集英社、歴史あるじゃん!…と、思わず思い出走馬灯ぐるぐるになってしまった。ただし、この作品にあのときのような衝撃はない。
これでラブでエロなシーンがあれば、BL誌に載っていてもまーったくおかしくない作品。逆になんでこんな王道な話を石井まゆみが描いた(描けた)んだ?とギモンに思ったくらいである。
1.もともとBL好きで日ごろからよく読んでいたため、描けた。
2.「別冊コーラス」から、「ソフトBLっぽい特集するんだけど」という依頼がきたので、リーマンBLマンガを研究して、描いてみた。
たぶん2のような気がする。
「うんうん、頑張ったねえ」――そんな1本。
評価:★★★(王道だけど、ある意味新鮮だったかも)
秋林好み度:★★★(ラストでの大倉の言い分は、ご都合主義かな)
BL誌に掲載されるなら?:二見書房「Charade」(あ、シャレード廃刊してるか)
腐女子に嫌われない話だと思うけど、なにもかも王道なので、BLっぽいものを描こうとした姿勢があからさまだと感じて、嫌う腐女子はいるかも。「世界を眠らせ、」というタイトルもなあ…。「?読点の次はナニ?」と思っていたら、最後に続きが出てきたけど、やっぱり「また読点」みたいな感じで、「だからナニ!?」とイライラしてしまった。仕方ないよね、わかりやすいハッピーエンドでオチつくBL誌ではなく、「コーラス」なんだから。
あと惹句で「ビシッと決まったスーツ姿のふたり」とあったけれど、別にビシッとはしてなかった。そんなビシッと決まったスーツ男を、ビシッと描けそうな「コーラス」系作家は、もんでんあきこくらいのような。作品にビシッと決まる惹句を、ちゃんと考えて下さーい!>「コーラス」編集部の担当者さん
ところで。原稿用紙の模様って、カラーではあんなにくっきり見えちゃうものなんだ!…ちょっと驚いてしまった。
■「原色宝石図鑑 ―特別編―」 藤田律
特集:働く男子もの
扉惹句:仕立て屋店主の忘れられない一着…
昔は繁盛していたが、今は閑古鳥状態な仕立て屋「菊池テーラー」の老店主・菊池は、赤字続きのため店を畳もうと決心したある日、友人が経営する宝石店の販売員・孤野がやってきた。友人の命で来店したとわかっても、孤野のルックスと性格の良さから、最後の客として最高の仕事をしようと張り切るが――という、ある老仕立て屋の恋ハートウォーミングな老仕立て屋モノ。
うわー…マジで感動してしまった。
ポイントは「感動させられた」のではなく「感動した」、つまり嫌味のないハートウォーミングな作品で、BLでもこういう老紳士系の話はあるし、じーちゃん属性のある人にはたまらないんじゃないかと思う。ラストもいい感じだ。私も通勤時に、時間が止まったかのような仕立て屋さんの前を通るのだが、やっぱり気になる。そのお店に筋のよさそうな客がいようものならば、さらに「え!もしかしてこのお店って…」と思うだろう。
「スーツ・仕立て屋・客」という点で、宇野亜由美の「Suitable」とカブるが、どちらもショート作品としてよい出来、マンガとして純粋に面白い。イケメン客が入ってきたときの、「これまた伊達男がいらっしゃった」という菊池じーちゃんのセリフもいい。「いい男」じゃなくて「伊達男」。仕立て屋としての粋(すい)を感じた。
本誌で連載されている作品の特別編らしいので、ちょっとそっちのほうもチェックしてみようかな?という気になった。
評価:★★★★(心温まるね)
秋林好み度:★★★★(いやホント、心温まるんだって)
BL誌に掲載されるなら?:太田出版「エロティクス・エフ」(「広義の官能性」から)
「エロティクス・エフ」を選択したけれど、実際に掲載となると、エロというよりもっとフェチズムが必要だろうね。
ちなみに私は、映画「ロード・オブ・ザ・リング」で、世の腐女子がみな「アラゴルン×レゴラス♪」とか「サム×フロド♪」と云っているときに、ひとり「おじーちゃんがー!!(注:ガンダルフのこと)」「エントがー!!」と云っていたので、たぶんじーちゃん属性があると思われる。
■「ハイライフ」 北沢バンビ
特集:女人禁制「ゲイ×ノンケもの」
扉惹句:ジェンダーごちゃ混ぜテンション↑↑(アゲアゲ)ストーリー
プロポーズした彼女にいきなりフラれて落ち込む情(ノンケ)を見かね、幼なじみの友(ゲイ)は、今夜閉店してしまうというクラブ「M」へ、気晴らしに行こうと誘う。「M」は情が友とクラブデビューした店であると同時に、元カノと初めて出会った場所。最初は乗り気でなかった情だったが――という、乙女系ゲイ&ガチムチノンケの幼なじみモノ。
それなりに面白く読んだのだが、「いままでオネエだと思っていた幼なじみに慰められて、やっぱコイツは俺の気持ちがわかるヤツだ、友情っていいよなあ、ヨシ、もうあの恋は終わったんだ、立ち直ろう」という話以外になにもないので、読んでいる私も「ああ、良かったね」だけで終了してしまった。
正直なところ、なにかもうひとつ味付けが欲しかった。そういう味を出せる人だと思うのだが、「コーラス」では限界なのかもしれない。
ただ、ガチムチなんていう、オークラ出版系な言葉が出てくるとは思わなかったので、北沢さんは今後「『コーラス』に初めてガチムチを持ち込んだ人」として、私の中で記憶されるだろう。
評価:★★★(可もなく不可もなく)
秋林好み度:★★★(可もなく不可もなく)
BL誌に掲載されるなら?:東京漫画社「カタログシリーズ」
「コーラス」では、浮いているとまではいわないけど、居心地悪そうな感じがするなあ。ペンネームといい、内容といい、なんだか東京漫画社の本に載ってそう…とゆーか、すでに単行本が出てそうな感じ。もしかしたら、東京漫画社のほうが北沢さんの個性を活かせるんじゃ?…でもホモは描けないのか…東京漫画社は、「ホモマンガ描いていない人にもアタックする」と云ってたけど…う〜ん。
ところで。「ゲイ×ノンケもの」と銘打ってるけど、これは「ゲイ&ノンケもの」。「×」の使い方が間違ってる。ちなみに小学館「IKKI」コミックス『青春ソバット』のオビには、ちゃんと「ゲイ&ノンケのチン道中」と書かれてある。青年誌である「IKKI」のほうが、よくわかってるっつーの!
■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み
■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。
!以下、マジでネタバレ注意報!
■「マルセルの羽根」 柏屋コッコ
特集:女人禁制「ネオゴシック耽美もの」
扉惹句:世にも美しい少年の、グロテスクな肩の傷。彼の過去に秘められた残酷な物語とは――!?
美しい羽根と声を持つ少年マルセルは、伯爵に飼われ、城に閉じ込められた生活を送っている。下界の人間との接触は、城に週数回やってくるお抱え医師ハルビックのみ。ハルビックに惹かれているマルセルだったが、ある夜、伯爵の寝室に呼び出されてしまい――という、なんだかとーっても大昔の雰囲気なブラック耽美モノ。
「行きずりの男と一夜を共にした」という、のっけのモノローグに、「おいおいおいおーい、いきなりソレかよー」と思ったが、言葉だけでエロはナシ、朝チュンで始まる。その後、マルセルの羽根エピソードが描かれるのだが…これが魑魅魍魎の世界で引いた。柏屋さんはこーゆーのを描いてみたかったのだろうが、やはり浮きまくっていて、読む人・楽しめる人を選ぶこと必至、ストーリーだけでなく絵までレトロ風(ペンタッチはもちろん、見開き三白眼とか)なこともあって、なんだか需要の少なさそうな作品という印象だ。オチがむずかしいこの手の作品、どうやって終わるんだろう?と思ったら、オチなく終了。まるでジャンプ10週打ち切りを食らったようなラストだった。これなら本仁戻のほうが、ずっともっと何倍も面白い作品を描いてくれるだろう。
狙いすぎが逆に鼻につく、私にはまったくヒットしなかった1本。ごめんちゃい。
評価:★(お好きな人はどうぞ)
秋林好み度:ZERO STARS(私の琴線にかすりもしない)
BL誌に掲載されるなら?:マガジン・マガジン「コミックJUNE」(う〜ん…)
伯爵の目より歯茎に参った。ところで、羽根は背中に生えるものだと私は思っていたのだが、このマンガではガッチャマンのマントのように、肩…というより腕のコブあたりから生えてる。だからなのか、羽根がもげたら痛々しいはずなのに、グロいだけだった。そこまで狙わなくても…あ〜う〜。
■「世界を眠らせ、」 石井まゆみ
特集:女人禁制「リーマン・スーツもの」
扉惹句:ビシッと決まったスーツ姿のふたり。その関係って……!?
高校時代、バスケット部だった先輩・大倉を追って、同じ会社に中途で就職した和泉。大倉の卒業の際、告白したのに「誰だっけ?」と名前すら覚えてもらえなかった和泉だったが、またもや大倉は和泉を覚えていなかった。ある日、残業で家に帰れない可能性が出てきた大倉は、一緒に仕事をしていた和泉にマンションに泊めてくれと云い出す。嬉しくてたまらない和泉だったが――という、ノンケ←ゲイなリーマンBL王道モノ。
同好の士(=腐女子のみなさま)なら、もう何十本と読んでこられただろう、良く云えば安心感のある、悪しく云えば毒牙抜かれるほどヒネリのない、超王道片思い系リーマンBL。片思いで終わっているが(大倉が微妙)、ちゃんとチューまである。がしかし、石井まゆみなので、やっぱり絵柄がどこまでも「YOUNG YOU」(現在廃刊)、そのため「この系統の絵でリーマンBLの王道かあ」と、読んでいてなんだかフシギな感覚になった。現在のBL界には「YOUNG YOU」っぽい人いないもの。でもアナタ、坂井久仁江の『花盛りの庭』だって「YOUNG YOU」だったじゃん!…とツッコミを受けそうだが、坂井さんは当時から別格だったし、絵も「YOUNG YOU」系統じゃなかったしなあ。ただあの当時も、たしか「『YOUNG YOU』でこんなことやっていいのかー!?」と思ったことは事実で、なんだ集英社、歴史あるじゃん!…と、思わず思い出走馬灯ぐるぐるになってしまった。ただし、この作品にあのときのような衝撃はない。
これでラブでエロなシーンがあれば、BL誌に載っていてもまーったくおかしくない作品。逆になんでこんな王道な話を石井まゆみが描いた(描けた)んだ?とギモンに思ったくらいである。
1.もともとBL好きで日ごろからよく読んでいたため、描けた。
2.「別冊コーラス」から、「ソフトBLっぽい特集するんだけど」という依頼がきたので、リーマンBLマンガを研究して、描いてみた。
たぶん2のような気がする。
「うんうん、頑張ったねえ」――そんな1本。
評価:★★★(王道だけど、ある意味新鮮だったかも)
秋林好み度:★★★(ラストでの大倉の言い分は、ご都合主義かな)
BL誌に掲載されるなら?:二見書房「Charade」(あ、シャレード廃刊してるか)
腐女子に嫌われない話だと思うけど、なにもかも王道なので、BLっぽいものを描こうとした姿勢があからさまだと感じて、嫌う腐女子はいるかも。「世界を眠らせ、」というタイトルもなあ…。「?読点の次はナニ?」と思っていたら、最後に続きが出てきたけど、やっぱり「また読点」みたいな感じで、「だからナニ!?」とイライラしてしまった。仕方ないよね、わかりやすいハッピーエンドでオチつくBL誌ではなく、「コーラス」なんだから。
あと惹句で「ビシッと決まったスーツ姿のふたり」とあったけれど、別にビシッとはしてなかった。そんなビシッと決まったスーツ男を、ビシッと描けそうな「コーラス」系作家は、もんでんあきこくらいのような。作品にビシッと決まる惹句を、ちゃんと考えて下さーい!>「コーラス」編集部の担当者さん
ところで。原稿用紙の模様って、カラーではあんなにくっきり見えちゃうものなんだ!…ちょっと驚いてしまった。
■「原色宝石図鑑 ―特別編―」 藤田律
特集:働く男子もの
扉惹句:仕立て屋店主の忘れられない一着…
昔は繁盛していたが、今は閑古鳥状態な仕立て屋「菊池テーラー」の老店主・菊池は、赤字続きのため店を畳もうと決心したある日、友人が経営する宝石店の販売員・孤野がやってきた。友人の命で来店したとわかっても、孤野のルックスと性格の良さから、最後の客として最高の仕事をしようと張り切るが――という、
うわー…マジで感動してしまった。
ポイントは「感動させられた」のではなく「感動した」、つまり嫌味のないハートウォーミングな作品で、BLでもこういう老紳士系の話はあるし、じーちゃん属性のある人にはたまらないんじゃないかと思う。ラストもいい感じだ。私も通勤時に、時間が止まったかのような仕立て屋さんの前を通るのだが、やっぱり気になる。そのお店に筋のよさそうな客がいようものならば、さらに「え!もしかしてこのお店って…」と思うだろう。
「スーツ・仕立て屋・客」という点で、宇野亜由美の「Suitable」とカブるが、どちらもショート作品としてよい出来、マンガとして純粋に面白い。イケメン客が入ってきたときの、「これまた伊達男がいらっしゃった」という菊池じーちゃんのセリフもいい。「いい男」じゃなくて「伊達男」。仕立て屋としての粋(すい)を感じた。
本誌で連載されている作品の特別編らしいので、ちょっとそっちのほうもチェックしてみようかな?という気になった。
評価:★★★★(心温まるね)
秋林好み度:★★★★(いやホント、心温まるんだって)
BL誌に掲載されるなら?:太田出版「エロティクス・エフ」(「広義の官能性」から)
「エロティクス・エフ」を選択したけれど、実際に掲載となると、エロというよりもっとフェチズムが必要だろうね。
ちなみに私は、映画「ロード・オブ・ザ・リング」で、世の腐女子がみな「アラゴルン×レゴラス♪」とか「サム×フロド♪」と云っているときに、ひとり「おじーちゃんがー!!(注:ガンダルフのこと)」「エントがー!!」と云っていたので、たぶんじーちゃん属性があると思われる。
■「ハイライフ」 北沢バンビ
特集:女人禁制「ゲイ×ノンケもの」
扉惹句:ジェンダーごちゃ混ぜテンション↑↑(アゲアゲ)ストーリー
プロポーズした彼女にいきなりフラれて落ち込む情(ノンケ)を見かね、幼なじみの友(ゲイ)は、今夜閉店してしまうというクラブ「M」へ、気晴らしに行こうと誘う。「M」は情が友とクラブデビューした店であると同時に、元カノと初めて出会った場所。最初は乗り気でなかった情だったが――という、乙女系ゲイ&ガチムチノンケの幼なじみモノ。
それなりに面白く読んだのだが、「いままでオネエだと思っていた幼なじみに慰められて、やっぱコイツは俺の気持ちがわかるヤツだ、友情っていいよなあ、ヨシ、もうあの恋は終わったんだ、立ち直ろう」という話以外になにもないので、読んでいる私も「ああ、良かったね」だけで終了してしまった。
正直なところ、なにかもうひとつ味付けが欲しかった。そういう味を出せる人だと思うのだが、「コーラス」では限界なのかもしれない。
ただ、ガチムチなんていう、オークラ出版系な言葉が出てくるとは思わなかったので、北沢さんは今後「『コーラス』に初めてガチムチを持ち込んだ人」として、私の中で記憶されるだろう。
評価:★★★(可もなく不可もなく)
秋林好み度:★★★(可もなく不可もなく)
BL誌に掲載されるなら?:東京漫画社「カタログシリーズ」
「コーラス」では、浮いているとまではいわないけど、居心地悪そうな感じがするなあ。ペンネームといい、内容といい、なんだか東京漫画社の本に載ってそう…とゆーか、すでに単行本が出てそうな感じ。もしかしたら、東京漫画社のほうが北沢さんの個性を活かせるんじゃ?…でもホモは描けないのか…東京漫画社は、「ホモマンガ描いていない人にもアタックする」と云ってたけど…う〜ん。
ところで。「ゲイ×ノンケもの」と銘打ってるけど、これは「ゲイ&ノンケもの」。「×」の使い方が間違ってる。ちなみに小学館「IKKI」コミックス『青春ソバット』のオビには、ちゃんと「ゲイ&ノンケのチン道中」と書かれてある。青年誌である「IKKI」のほうが、よくわかってるっつーの!
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