■ここから「別冊コーラス」の掲載作品を少しだけ読めます。
http://www.s-manga.net/ladys/
(左の「別冊コーラス」をクリックして下さい)


もんでん先生の美しいカラー、警察手帳、マルセルの羽根の傷痕など、感想で描いたことがいろいろ確認できたりします。う〜む、重宝(ただし期間限定)!

■総括
というわけで、「別冊コーラス Spring」掲載作品の感想を5回に分けて9本、つらつらと書いてみました。

掲載作は大きく分けて4つのカテゴリに分かれたと思います。

★ BL未満の友情や職業男子を王道に描いたもの
「そして二度目の夏が来る」 もんでんあきこ
「愛と正義に関する一考察」 たまきちひろ
「Suitable」 宇野亜由美
「原色宝石図鑑 ―特別編―」 藤田律
「プリンス・オブ・フールズ」 桑田乃梨子
「キニナルキ」 ただりえこ


基本的に「マンガ力」のある作品が多く、フツーのマンガとして楽しめたカテゴリ。ただ正直云えば、めっちゃハンキー(意:たくましくセクシーな男性)を描くもんでん先生には、爽やか〜な高校野球ものより、スーツをビシッと着こなしたガチンコリーマンものを描いて欲しかったような…。だって!あのエロなもんでんさんですよ!?みなさん、大人の男を期待しませんでしたか!?(アタシはしたぞー!)

「コーラス」編集部さーん!
もし「女人禁制 PART2」があるならば、もんでん先生にはぜひハンキーなガチンコリーマンものを!

ところで、そのもんでん先生による「別冊コーラス」表紙。先生のブログによると、編集部より「男子更衣室で薄暗くて汗臭く!」という依頼があったそうです(やっぱ狙ってたってことじゃんよう!)。そして、「印刷だとどうしても色がくすんでしまう」とのことで、先生の公式サイト&ブログに画像がアップされていました。

↓もんでんあきこ公式サイト
http://akikomonden.com/
(ブラウザで見ると本当にキレイ。印刷はああも色をくすませるものなのか…)

たまきちひろ先生に関しては、ハナからBLっぽいものに合わない方だと思っていたので、純粋に友情モノとして読みました。数回に分けた連載のほうが絶対によい作品を、1本の読み切りとして描いてこられたので、かなり無理があり(とくにラスト)、ずいぶんと子どもっぽい性格の主人公だったのは、無理を補うために喜怒哀楽をハッキリさせたせいなのかな?という印象を受けました。「コーラス」には、もっと元気な人がいたほうがいいと思うので(「別マ」での故・多田かおる先生のポジションとゆーか)、できたら本誌で連載を読みたいです。

★ とりあえずBLっぽい要素を付け加えて友情を描いたもの
「ハイライフ」 北沢バンビ
「ヤバイ奴ら」 谷地恵美子
「乙女の祈り 男の花園」 松苗あけみ


「友情以上BL未満特集号」ということで、「いつもの自分のマンガにとりあえずBLっぽい要素を付け加えたんだろうな〜」という印象のカテゴリ。

谷地先生の作品に「すべて80年代で止まっているような作品」と辛口コメントをつけましたが、作品自体は駄作ではありません。ただその…たとえば裏表紙のカット。いまどきあんな服ありえないとゆーか、着てる人はいないでしょう。なので、思いっきり時代性を感じてしまいました。

★ かなりBLを意識して描かれたもの
「マルセルの羽根」 柏屋コッコ
「世界を眠らせ、」 石井まゆみ
「キミトボクロ」 常盤涼子


「コーラス」が「女人禁制」だなんて、どーせ友情で終わるくせに…と思う腐女子は多いと思います。もし友情だけだったら、こんなBLくさい作品は載らなかった/載せなかったはず。そんなことを思わせるカテゴリです。とくに石井まゆみ先生の作品は、リーマンBLの王道です。ただどの作品も、オチの付け方にかなり苦しいものがあり、果たしてそれは「コーラス」の限界なのか、それとも作家のストーリーテリング不足によるものなのか…判断が難しいところです。

★ 一般誌・BL誌どちらでも通用するBLを描いてきたもの
「へび苺の缶詰」 河内遙
@RECOMMEND@

飛び抜けて面白かったBL作品です。この作品にはある真実が隠されているのですが、伏線だの仕掛けだのという言葉でそれを表現すると、冒涜とまではいかないにしても、なんだか作品を陳腐なものにしてしまうようで、どうしても感想では使えませんでした。作家が「コーラス」掲載を充分に理解した上で描いてきたBLという印象で、「かなりBLを意識して描かれたもの」で挙げた、3作品のすべてのオチが大変苦しかったことを思えば、「こうやって描くこともできる/描けばいいんだよ」と云っているかのようでもあり、河内先生の非凡さを感じさせる1本となりました。こういうBLが増えてくれると、個人的にとても嬉しいですね。

■私的考察
今回「コーラス」が、別冊でこういう「なんとなーく腐女子狙い」な特集を組んできたことに、腐女子のみなさまの中でも、抵抗のある方、「BLじゃないよ」とバッサリ斬る方、隙間産業に過ぎないといわれる方…など、いろんな方がおられると思います。ちなみに私は「じゃあ、お試しでちょっと釣られてみようかな?…BLっぽいものをどんな風に読ませてくれるわけ?」と思ったクチ。「なにか新しいものを…」と餓えていたからというより、「コーラス」だったから興味があったわけで、たとえばもしこれが白泉社系の雑誌だったら、スルーしていたかもしれません。

私は10代の頃、マンガは「りぼん」「週マ」「別マ」「別コミ」(今の「ベツコミ」じゃないですよ)、そして一部少年誌を読んで過ごしました(白泉社系はよくわかりません)。池野恋「ときめきトゥナイト」、紡木たく「ホットロード」、吉田秋生「BANANA FISH」世代です。「コーラス」は、少女マンガの王道「りぼん」「週マ」「別マ」で描いていた作家が揃っていて、内容もレディコミのように「家庭と仕事の両立奮闘記」「育児もの」「すんごいエロマンガ」というよりは、「りぼん」や「別マ」を卒業した女性向きの少女マンガが載っている感じ、たとえば私は学生が主人公のマンガを、同世代的視点というより「あのとき自分はどうだっただろう?」という視点で読んでいます。…たぶん、そんな20〜30代の女性をターゲットにしているマンガ誌ではないでしょうか。

そんな王道「元少女向けのマンガ誌」で、男の子いっぱい特集号が出る――ソレっぽい作品を、もしかして集英社系の作家が描くの?

作家陣が似ているBL誌とは違い、一般マンガ誌では「この作家はここでしか読めない」ということが多いですから、BL誌で似たようなものを読むのなら、ちょっと違うものを一般誌で読んでみたい――代用食にしたいのではなく、単に私が雑食なだけなのだと思います。真性の腐女子というより、最末席組腐女子だから(なので私には負い目がある)抵抗が少ないということもあるでしょう。

もし私がマンガ家で、まったくBLに興味なくても、出版社から「BLっぽい特集をしたいので、アナタには〜な話を描いてもらいたいのですが」と云われたら、「依頼が来た!」とすんごい頑張って描くと思うんですよ。なので、「コーラス」の作家ならどう描くだろう?と気になったわけです。「ガッシュの人」によるサンデー編集批判を読むと、大手出版社の編集ってのはみんなあんな人かと思っちゃいます。そーなんですか?

そんなこんなの理由から、真剣に読み、真面目に感想を書いたんですけども。

せっかく「『別冊』コーラス」なんだから、もうちょっと冒険して、BLっぽいものを描いて欲しかったな…というのが、正直な感想です。いや違うな。「一般誌で勝負できるBL」を描いて欲しかったというべきか。そういう意味でいうなら、河内さんの作品は本当に素晴らしかったし、「BL未満の友情物語」作品はそれなりに楽しめたけど、「BL要素を追加しただけ」な作品にはガッカリさせられたし、「思いっきりBLを意識しているけどオチがつまらない」作品には限界を感じました。

「コーラス」編集部さん。もし同じような特集をまた組んで、腐女子を狙う気持ちがあるならば――「BL未満の友情物語」だけでなく、もうちょっと「一般マンガ誌的アプローチ」をしたBLな作品も載せて下さい。ちなみに、腐女子だけでなく女子は基本的にホモ好きだと思います、はい。

★参考:コーラスの発行部数
↓「コミック誌発行部数ランキング」
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3969.html
(「コーラス」のライバルは「のだめ」の「KISS」ということかな…)


■「女人禁制感想の前口上など」
http://diarynote.jp/d/25683/20080515.html
(感想を1本ずつ書いていきますよ〜という話)

■女人禁制感想 1:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080516.html
(もんでんあきこ/たまきちひろ/宇野亜由美)

■女人禁制感想 2:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080517.html
(柏屋コッコ/石井まゆみ/藤田律/北沢バンビ)

■女人禁制感想 3:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080518.html
(桑田乃梨子/谷地恵美子/常盤涼子)

■女人禁制感想 4:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080522.html
(河内遙)

■女人禁制感想 5:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080525.html
(松苗あけみ/ただりえこ)

コメント

奈央
奈央
2008年6月11日21:08

おつかれさまでした〜!
さすがすごいです!
秋林先輩は正統派なのに独特で、しかも魂の双子なのです(?)
「わたしもそう思った・・・!」とガクガク頷き続けていました。
そして個人的には宇野亜由美が一番好きでした。

こういうの読むと、やっぱりBL誌ってすごいな力強いなと思います。
わたしはやっぱり「BL」が好きだしなんだかんだでマ○ビー信者なんだなー・・・と思い知らされた一冊です・笑

ほんとにおつかれさまでしたありがとうございました!

秋林 瑞佳
秋林 瑞佳
2008年6月12日0:38

おおおおお!生き別れの姉妹よ!(←わははは♪)

>そして個人的には宇野亜由美が一番好きでした。
私も好きです、3番目くらいかな?基本的にマンガとして読める作品が多い中でも、やっぱ笑わせてくれるものは評価大です!

>こういうの読むと、やっぱりBL誌ってすごいな力強いなと思います。
わかります、それ。一般誌のマンガって、けっこうキレイにまとめたがりますよね。

>わたしはやっぱり「BL」が好きだしなんだかんだでマ○ビー信者なんだなー
リブレに対してなんだかんだと文句云ってるように、思われるかもしれませんが、いつまでもポップに華やかであって欲しいレーベルですよ、ホント。

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