この「黄昏に花」のCD、ドラマCDにしておくには惜しいくらい、音楽がよくできています。そこらへんのTVドラマよりハイクオリティ。

原作がもともと短編なせいか、エピソードの端折りはないです。つまりドラマCD化でありがちの、「なんであのエピソード/セリフを削るのよー!?」ということはなく、かなり原作に忠実なストーリーになっています。

声優さんもそのまんまのイメージとゆーか、原作通りに演技されていて、そのピタリ具合に恐ろしさを感じたほどです。岩井課長は人生の戦いの場から降りた、哀愁漂う(でもルックスは若くて品がある)枯れオヤジなんですけど、実は原作の文体も、いつもの樹生かなめさんのそれとは違う、木枯らしが吹くような、センテンス短めのせつなーい文体なのです。宮林さんはそのまんま演技されています。そしてかなめさんの枯れた文章、槇さんのスタイリッシュな挿絵、ギャップのある枯れた岩井課長に熱い年下男の小田原、という不思議な調和を見せる原作を、見事CDドラマ化したと思います。

超エリートのイケメンリーマンでゴリ押しの小田原は、最初は恋よりも仕事なエリートリーマンだったのに、岩井課長を好きになってしまう…というところまでがCD化されていて、その後、押して押して押し捲る恋に燃える熱い男になっていきます。…だけど、岩井課長は天下無敵の枯れ男、その熱い男の猛攻をうっちゃろうとする…んですけど、これが上手くいかない。小田原は小田原でゴリ押しする…んですけど、これもまた上手くいかない。強引なくせに、岩井課長にちょっとでも優しくされたら…嬉しくてたまんなーい♪って感じで可愛くなる――そういうギャップのある設定の小田原を、平川さんがまた上手く演じているんですよね。「平川さん、上手いんだから!」(←と、フリートークで宮林さんもおっしゃってた)。


というわけで、「続き出ないかな~」と熱望するドラマCD「黄昏に花」なのでした。


ただその…個人的に大問題なのはリアル小田原をひとり知っていることでして、原作読んだりCD聞いていたりすると、たまにいたたまれなくなります。ヤツは小田原そのまんまです。本人いわく「とても他人事には思えません。この『黄昏に花』はバイブルです」。

千代田中央銀行のエリートコースからドロップアウト、子会社のビルカム・チヨダの業務課課長・岩井。特性、不能。癖の強い部下に振り回され、かつてのライバルには嘲笑われながらも、毎日を淡々と過ごしている。そんな岩井の前に、エリートコース邁進中、全女性社員の憧れの的・小田原が現れた。しかも小田原から猛烈アプローチを受けることに!?熱く迫る小田原も不能には適わないかと思いきや、情熱は増すばかり!?枯れた男と燃える男の熱い恋の物語登場。

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