雑誌「Number」に野っていた遠藤さんの記事がとても面白かったので、購入(この本は「Number」とは関係ない。文藝春秋から出てないし)。

イタリアに渡った遠藤友則さんが、歴史と伝統あるACミランのトレーナーとして過ごした16年間(現在も勤務中)を追った本。西洋医学が基礎にあるイタリアの地で、東洋医学をもとに治療(ストレッチなど)を施す日本人トレーナーが、最初はうさんくさく思われつつも次第に選手やチームに受けいられ、信頼されていく過程が描かれている。

(遠藤さんは著者ではない)

面白かったのは、「正直者であれ」と教育される日本と駆け引き文化であるイタリアとの違い、そしてACミランのレジェンドたちと遠藤さんとのやりとりか。膝を治すためにインザーギと「2点で50万」って話は、とっても「らしく」て笑った。

サッカーに対する姿勢やユース世代の教育に関しては、違って当たり前だと思っているので、日本のやり方に遠藤さんが批判的なのは想定通り予想通り。「ああ、そうだろうなあ」。それでもトレーナーとしては東洋医学的なアプローチは通用するし、「日本人であること」それこそが武器なんだよ、と書かれてある。ただ日本人であれば誰でもできるわけではなく、コツコツ勉強してきたことや経験で身に着けていった実力のほか、機転によるものも大きい、それは遠藤さんの器というか魅力もあったんだろうなあと感じた。

また数々のエピソードから、やっぱマルディーニは最高のキャプテンだったんだなあ、インザーギは泥くさいゴールの多い選手だったけれど、プロ意識の高い素晴らしい選手だったんだなあと感動。そして今、監督として苦労しているインザーギを見ていると、不憫に思えて仕方がない。監督としてキャリアを重ねる時間が必要だったのに、泥船ミランのためにいきなりユースからトップチームの監督就任したんだから。あんなにいい男だったのに、最近ものごっつシワが顔に刻まれてしまって、一気にフケた…。見ててマジつらいわ。

ちょっと残念だったのは、時系列がバラバラなところがあるので「16年」がわかりづらかったこと、そしてACミランの全盛期に近い時代の話と選手ばかりで、今現在のACミランのことはサッパリ書かれてないこと。わかっちゃいるけど、現役トレーナーである以上はやっぱり今の選手やチーム内のことは書けないか。とはいえ、できれば読んでみたかったので(…本田がいるから)、もうちょっと後に本が出てほしかったかな。

「遠藤なしに俺はピッチに立てなかった」 ACミラン、インザーギ監督

バロテッリ、インザーギ、マルディーニなどのレジェンドプレーヤーたちを支えた
ACミランの現役メディカルトレーナーの遠藤友則。

16年以上に渡って、選手とクラブを支えてきた“遠藤友則"がどのようにして
ミランの選手たちは信頼していったのか。また、イタリア最先端の理論と日本の違いや
名選手とのエピソードとを明かす。



●第1章 トレーナー遠藤友則 ・日本人初の世界制覇
●第2章 その国の形 ・最新鋭の医療施設ミランラボ
●第3章 日本の蹴球からイタリアカルチョへ ・選手が育つ環境とは
●第4章 山あり谷ありの海外経験
●第5章 勝利への黄金律
●第6章 適者生存

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