女人禁制感想 :総括
2008年5月30日 Rotten Sisters! コメント (2)■ここから「別冊コーラス」の掲載作品を少しだけ読めます。
http://www.s-manga.net/ladys/
(左の「別冊コーラス」をクリックして下さい)
もんでん先生の美しいカラー、警察手帳、マルセルの羽根の傷痕など、感想で描いたことがいろいろ確認できたりします。う〜む、重宝(ただし期間限定)!
■総括
というわけで、「別冊コーラス Spring」掲載作品の感想を5回に分けて9本、つらつらと書いてみました。
掲載作は大きく分けて4つのカテゴリに分かれたと思います。
★ BL未満の友情や職業男子を王道に描いたもの
「そして二度目の夏が来る」 もんでんあきこ
「愛と正義に関する一考察」 たまきちひろ
「Suitable」 宇野亜由美
「原色宝石図鑑 ―特別編―」 藤田律
「プリンス・オブ・フールズ」 桑田乃梨子
「キニナルキ」 ただりえこ
基本的に「マンガ力」のある作品が多く、フツーのマンガとして楽しめたカテゴリ。ただ正直云えば、めっちゃハンキー(意:たくましくセクシーな男性)を描くもんでん先生には、爽やか〜な高校野球ものより、スーツをビシッと着こなしたガチンコリーマンものを描いて欲しかったような…。だって!あのエロなもんでんさんですよ!?みなさん、大人の男を期待しませんでしたか!?(アタシはしたぞー!)
「コーラス」編集部さーん!
もし「女人禁制 PART2」があるならば、もんでん先生にはぜひハンキーなガチンコリーマンものを!
ところで、そのもんでん先生による「別冊コーラス」表紙。先生のブログによると、編集部より「男子更衣室で薄暗くて汗臭く!」という依頼があったそうです(やっぱ狙ってたってことじゃんよう!)。そして、「印刷だとどうしても色がくすんでしまう」とのことで、先生の公式サイト&ブログに画像がアップされていました。
↓もんでんあきこ公式サイト
http://akikomonden.com/
(ブラウザで見ると本当にキレイ。印刷はああも色をくすませるものなのか…)
たまきちひろ先生に関しては、ハナからBLっぽいものに合わない方だと思っていたので、純粋に友情モノとして読みました。数回に分けた連載のほうが絶対によい作品を、1本の読み切りとして描いてこられたので、かなり無理があり(とくにラスト)、ずいぶんと子どもっぽい性格の主人公だったのは、無理を補うために喜怒哀楽をハッキリさせたせいなのかな?という印象を受けました。「コーラス」には、もっと元気な人がいたほうがいいと思うので(「別マ」での故・多田かおる先生のポジションとゆーか)、できたら本誌で連載を読みたいです。
★ とりあえずBLっぽい要素を付け加えて友情を描いたもの
「ハイライフ」 北沢バンビ
「ヤバイ奴ら」 谷地恵美子
「乙女の祈り 男の花園」 松苗あけみ
「友情以上BL未満特集号」ということで、「いつもの自分のマンガにとりあえずBLっぽい要素を付け加えたんだろうな〜」という印象のカテゴリ。
谷地先生の作品に「すべて80年代で止まっているような作品」と辛口コメントをつけましたが、作品自体は駄作ではありません。ただその…たとえば裏表紙のカット。いまどきあんな服ありえないとゆーか、着てる人はいないでしょう。なので、思いっきり時代性を感じてしまいました。
★ かなりBLを意識して描かれたもの
「マルセルの羽根」 柏屋コッコ
「世界を眠らせ、」 石井まゆみ
「キミトボクロ」 常盤涼子
「コーラス」が「女人禁制」だなんて、どーせ友情で終わるくせに…と思う腐女子は多いと思います。もし友情だけだったら、こんなBLくさい作品は載らなかった/載せなかったはず。そんなことを思わせるカテゴリです。とくに石井まゆみ先生の作品は、リーマンBLの王道です。ただどの作品も、オチの付け方にかなり苦しいものがあり、果たしてそれは「コーラス」の限界なのか、それとも作家のストーリーテリング不足によるものなのか…判断が難しいところです。
★ 一般誌・BL誌どちらでも通用するBLを描いてきたもの
「へび苺の缶詰」 河内遙 @RECOMMEND@
飛び抜けて面白かったBL作品です。この作品にはある真実が隠されているのですが、伏線だの仕掛けだのという言葉でそれを表現すると、冒涜とまではいかないにしても、なんだか作品を陳腐なものにしてしまうようで、どうしても感想では使えませんでした。作家が「コーラス」掲載を充分に理解した上で描いてきたBLという印象で、「かなりBLを意識して描かれたもの」で挙げた、3作品のすべてのオチが大変苦しかったことを思えば、「こうやって描くこともできる/描けばいいんだよ」と云っているかのようでもあり、河内先生の非凡さを感じさせる1本となりました。こういうBLが増えてくれると、個人的にとても嬉しいですね。
■私的考察
今回「コーラス」が、別冊でこういう「なんとなーく腐女子狙い」な特集を組んできたことに、腐女子のみなさまの中でも、抵抗のある方、「BLじゃないよ」とバッサリ斬る方、隙間産業に過ぎないといわれる方…など、いろんな方がおられると思います。ちなみに私は「じゃあ、お試しでちょっと釣られてみようかな?…BLっぽいものをどんな風に読ませてくれるわけ?」と思ったクチ。「なにか新しいものを…」と餓えていたからというより、「コーラス」だったから興味があったわけで、たとえばもしこれが白泉社系の雑誌だったら、スルーしていたかもしれません。
私は10代の頃、マンガは「りぼん」「週マ」「別マ」「別コミ」(今の「ベツコミ」じゃないですよ)、そして一部少年誌を読んで過ごしました(白泉社系はよくわかりません)。池野恋「ときめきトゥナイト」、紡木たく「ホットロード」、吉田秋生「BANANA FISH」世代です。「コーラス」は、少女マンガの王道「りぼん」「週マ」「別マ」で描いていた作家が揃っていて、内容もレディコミのように「家庭と仕事の両立奮闘記」「育児もの」「すんごいエロマンガ」というよりは、「りぼん」や「別マ」を卒業した女性向きの少女マンガが載っている感じ、たとえば私は学生が主人公のマンガを、同世代的視点というより「あのとき自分はどうだっただろう?」という視点で読んでいます。…たぶん、そんな20〜30代の女性をターゲットにしているマンガ誌ではないでしょうか。
そんな王道「元少女向けのマンガ誌」で、男の子いっぱい特集号が出る――ソレっぽい作品を、もしかして集英社系の作家が描くの?
作家陣が似ているBL誌とは違い、一般マンガ誌では「この作家はここでしか読めない」ということが多いですから、BL誌で似たようなものを読むのなら、ちょっと違うものを一般誌で読んでみたい――代用食にしたいのではなく、単に私が雑食なだけなのだと思います。真性の腐女子というより、最末席組腐女子だから(なので私には負い目がある)抵抗が少ないということもあるでしょう。
もし私がマンガ家で、まったくBLに興味なくても、出版社から「BLっぽい特集をしたいので、アナタには〜な話を描いてもらいたいのですが」と云われたら、「依頼が来た!」とすんごい頑張って描くと思うんですよ。なので、「コーラス」の作家ならどう描くだろう?と気になったわけです。「ガッシュの人」によるサンデー編集批判を読むと、大手出版社の編集ってのはみんなあんな人かと思っちゃいます。そーなんですか?
そんなこんなの理由から、真剣に読み、真面目に感想を書いたんですけども。
せっかく「『別冊』コーラス」なんだから、もうちょっと冒険して、BLっぽいものを描いて欲しかったな…というのが、正直な感想です。いや違うな。「一般誌で勝負できるBL」を描いて欲しかったというべきか。そういう意味でいうなら、河内さんの作品は本当に素晴らしかったし、「BL未満の友情物語」作品はそれなりに楽しめたけど、「BL要素を追加しただけ」な作品にはガッカリさせられたし、「思いっきりBLを意識しているけどオチがつまらない」作品には限界を感じました。
「コーラス」編集部さん。もし同じような特集をまた組んで、腐女子を狙う気持ちがあるならば――「BL未満の友情物語」だけでなく、もうちょっと「一般マンガ誌的アプローチ」をしたBLな作品も載せて下さい。ちなみに、腐女子だけでなく女子は基本的にホモ好きだと思います、はい。
★参考:コーラスの発行部数
↓「コミック誌発行部数ランキング」
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3969.html
(「コーラス」のライバルは「のだめ」の「KISS」ということかな…)
■「女人禁制感想の前口上など」
http://diarynote.jp/d/25683/20080515.html
(感想を1本ずつ書いていきますよ〜という話)
■女人禁制感想 1:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080516.html
(もんでんあきこ/たまきちひろ/宇野亜由美)
■女人禁制感想 2:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080517.html
(柏屋コッコ/石井まゆみ/藤田律/北沢バンビ)
■女人禁制感想 3:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080518.html
(桑田乃梨子/谷地恵美子/常盤涼子)
■女人禁制感想 4:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080522.html
(河内遙)
■女人禁制感想 5:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080525.html
(松苗あけみ/ただりえこ)
http://www.s-manga.net/ladys/
(左の「別冊コーラス」をクリックして下さい)
もんでん先生の美しいカラー、警察手帳、マルセルの羽根の傷痕など、感想で描いたことがいろいろ確認できたりします。う〜む、重宝(ただし期間限定)!
■総括
というわけで、「別冊コーラス Spring」掲載作品の感想を5回に分けて9本、つらつらと書いてみました。
掲載作は大きく分けて4つのカテゴリに分かれたと思います。
★ BL未満の友情や職業男子を王道に描いたもの
「そして二度目の夏が来る」 もんでんあきこ
「愛と正義に関する一考察」 たまきちひろ
「Suitable」 宇野亜由美
「原色宝石図鑑 ―特別編―」 藤田律
「プリンス・オブ・フールズ」 桑田乃梨子
「キニナルキ」 ただりえこ
基本的に「マンガ力」のある作品が多く、フツーのマンガとして楽しめたカテゴリ。ただ正直云えば、めっちゃハンキー(意:たくましくセクシーな男性)を描くもんでん先生には、爽やか〜な高校野球ものより、スーツをビシッと着こなしたガチンコリーマンものを描いて欲しかったような…。だって!あのエロなもんでんさんですよ!?みなさん、大人の男を期待しませんでしたか!?(アタシはしたぞー!)
「コーラス」編集部さーん!
もし「女人禁制 PART2」があるならば、もんでん先生にはぜひハンキーなガチンコリーマンものを!
ところで、そのもんでん先生による「別冊コーラス」表紙。先生のブログによると、編集部より「男子更衣室で薄暗くて汗臭く!」という依頼があったそうです(やっぱ狙ってたってことじゃんよう!)。そして、「印刷だとどうしても色がくすんでしまう」とのことで、先生の公式サイト&ブログに画像がアップされていました。
↓もんでんあきこ公式サイト
http://akikomonden.com/
(ブラウザで見ると本当にキレイ。印刷はああも色をくすませるものなのか…)
たまきちひろ先生に関しては、ハナからBLっぽいものに合わない方だと思っていたので、純粋に友情モノとして読みました。数回に分けた連載のほうが絶対によい作品を、1本の読み切りとして描いてこられたので、かなり無理があり(とくにラスト)、ずいぶんと子どもっぽい性格の主人公だったのは、無理を補うために喜怒哀楽をハッキリさせたせいなのかな?という印象を受けました。「コーラス」には、もっと元気な人がいたほうがいいと思うので(「別マ」での故・多田かおる先生のポジションとゆーか)、できたら本誌で連載を読みたいです。
★ とりあえずBLっぽい要素を付け加えて友情を描いたもの
「ハイライフ」 北沢バンビ
「ヤバイ奴ら」 谷地恵美子
「乙女の祈り 男の花園」 松苗あけみ
「友情以上BL未満特集号」ということで、「いつもの自分のマンガにとりあえずBLっぽい要素を付け加えたんだろうな〜」という印象のカテゴリ。
谷地先生の作品に「すべて80年代で止まっているような作品」と辛口コメントをつけましたが、作品自体は駄作ではありません。ただその…たとえば裏表紙のカット。いまどきあんな服ありえないとゆーか、着てる人はいないでしょう。なので、思いっきり時代性を感じてしまいました。
★ かなりBLを意識して描かれたもの
「マルセルの羽根」 柏屋コッコ
「世界を眠らせ、」 石井まゆみ
「キミトボクロ」 常盤涼子
「コーラス」が「女人禁制」だなんて、どーせ友情で終わるくせに…と思う腐女子は多いと思います。もし友情だけだったら、こんなBLくさい作品は載らなかった/載せなかったはず。そんなことを思わせるカテゴリです。とくに石井まゆみ先生の作品は、リーマンBLの王道です。ただどの作品も、オチの付け方にかなり苦しいものがあり、果たしてそれは「コーラス」の限界なのか、それとも作家のストーリーテリング不足によるものなのか…判断が難しいところです。
★ 一般誌・BL誌どちらでも通用するBLを描いてきたもの
「へび苺の缶詰」 河内遙 @RECOMMEND@
飛び抜けて面白かったBL作品です。この作品にはある真実が隠されているのですが、伏線だの仕掛けだのという言葉でそれを表現すると、冒涜とまではいかないにしても、なんだか作品を陳腐なものにしてしまうようで、どうしても感想では使えませんでした。作家が「コーラス」掲載を充分に理解した上で描いてきたBLという印象で、「かなりBLを意識して描かれたもの」で挙げた、3作品のすべてのオチが大変苦しかったことを思えば、「こうやって描くこともできる/描けばいいんだよ」と云っているかのようでもあり、河内先生の非凡さを感じさせる1本となりました。こういうBLが増えてくれると、個人的にとても嬉しいですね。
■私的考察
今回「コーラス」が、別冊でこういう「なんとなーく腐女子狙い」な特集を組んできたことに、腐女子のみなさまの中でも、抵抗のある方、「BLじゃないよ」とバッサリ斬る方、隙間産業に過ぎないといわれる方…など、いろんな方がおられると思います。ちなみに私は「じゃあ、お試しでちょっと釣られてみようかな?…BLっぽいものをどんな風に読ませてくれるわけ?」と思ったクチ。「なにか新しいものを…」と餓えていたからというより、「コーラス」だったから興味があったわけで、たとえばもしこれが白泉社系の雑誌だったら、スルーしていたかもしれません。
私は10代の頃、マンガは「りぼん」「週マ」「別マ」「別コミ」(今の「ベツコミ」じゃないですよ)、そして一部少年誌を読んで過ごしました(白泉社系はよくわかりません)。池野恋「ときめきトゥナイト」、紡木たく「ホットロード」、吉田秋生「BANANA FISH」世代です。「コーラス」は、少女マンガの王道「りぼん」「週マ」「別マ」で描いていた作家が揃っていて、内容もレディコミのように「家庭と仕事の両立奮闘記」「育児もの」「すんごいエロマンガ」というよりは、「りぼん」や「別マ」を卒業した女性向きの少女マンガが載っている感じ、たとえば私は学生が主人公のマンガを、同世代的視点というより「あのとき自分はどうだっただろう?」という視点で読んでいます。…たぶん、そんな20〜30代の女性をターゲットにしているマンガ誌ではないでしょうか。
そんな王道「元少女向けのマンガ誌」で、男の子いっぱい特集号が出る――ソレっぽい作品を、もしかして集英社系の作家が描くの?
作家陣が似ているBL誌とは違い、一般マンガ誌では「この作家はここでしか読めない」ということが多いですから、BL誌で似たようなものを読むのなら、ちょっと違うものを一般誌で読んでみたい――代用食にしたいのではなく、単に私が雑食なだけなのだと思います。真性の腐女子というより、最末席組腐女子だから(なので私には負い目がある)抵抗が少ないということもあるでしょう。
もし私がマンガ家で、まったくBLに興味なくても、出版社から「BLっぽい特集をしたいので、アナタには〜な話を描いてもらいたいのですが」と云われたら、「依頼が来た!」とすんごい頑張って描くと思うんですよ。なので、「コーラス」の作家ならどう描くだろう?と気になったわけです。「ガッシュの人」によるサンデー編集批判を読むと、大手出版社の編集ってのはみんなあんな人かと思っちゃいます。そーなんですか?
そんなこんなの理由から、真剣に読み、真面目に感想を書いたんですけども。
せっかく「『別冊』コーラス」なんだから、もうちょっと冒険して、BLっぽいものを描いて欲しかったな…というのが、正直な感想です。いや違うな。「一般誌で勝負できるBL」を描いて欲しかったというべきか。そういう意味でいうなら、河内さんの作品は本当に素晴らしかったし、「BL未満の友情物語」作品はそれなりに楽しめたけど、「BL要素を追加しただけ」な作品にはガッカリさせられたし、「思いっきりBLを意識しているけどオチがつまらない」作品には限界を感じました。
「コーラス」編集部さん。もし同じような特集をまた組んで、腐女子を狙う気持ちがあるならば――「BL未満の友情物語」だけでなく、もうちょっと「一般マンガ誌的アプローチ」をしたBLな作品も載せて下さい。ちなみに、腐女子だけでなく女子は基本的にホモ好きだと思います、はい。
★参考:コーラスの発行部数
↓「コミック誌発行部数ランキング」
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3969.html
(「コーラス」のライバルは「のだめ」の「KISS」ということかな…)
■「女人禁制感想の前口上など」
http://diarynote.jp/d/25683/20080515.html
(感想を1本ずつ書いていきますよ〜という話)
■女人禁制感想 1:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080516.html
(もんでんあきこ/たまきちひろ/宇野亜由美)
■女人禁制感想 2:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080517.html
(柏屋コッコ/石井まゆみ/藤田律/北沢バンビ)
■女人禁制感想 3:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080518.html
(桑田乃梨子/谷地恵美子/常盤涼子)
■女人禁制感想 4:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080522.html
(河内遙)
■女人禁制感想 5:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080525.html
(松苗あけみ/ただりえこ)
…とゆーわけで、感想第五弾です。「コーラス」編集部がやたらBLっぽい惹句やキャプションを狙ってつけているため、返す刀で(?)「私にはこう見えたんだけど?」秋林ヴィジョン表記も赤で書いておきます。「秋林さん…ソレ、逆なんじゃ?」と指摘されそう(とくに好みが真逆の方に)ですが、「私にはそう見えたの♪」ということで、ここはひとつ、よろしくお願いプリーズです♪
■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み
■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。
■「乙女の祈り 男の花園」 松苗あけみ
特集:女人禁制「姫系男子もの」
禁断の恋の花咲く男子校ラブ★読切り
小さい頃は強くてカッコよかった愛三郎と高校で再会してみると、「女の子でいたい、お姫様になりたい」乙女になっていた。親友だった男の変貌にフクザツな思いのヒデト。だが愛三郎は、そんなヒデトにかまってもらいたくて――という、今BL界で流行のオトメ男子モノ。
作家陣に「松苗あけみ」の名前を見た瞬間、男子モノだろうが、こりゃ〜「服はゴージャスフリル、髪は巻き髪ロング、目は上目がちな三白眼、睫はバサバサお眠り人形、背景にバラやマーガレットの花が飛ぶキャラ」が出てきて、ハイテンションにワイワイと騒ぎまくり、でもちょっとしんみりさせて終わる話なんだろうな〜と思っていたら、扉カラーを含めて本当にそんな話だった。つまり、男子校だけど「松苗あけみによるいつもの女子高モノ」。「純情クレイジーチェリーズ」とでもいうか。ここまで「何を描いても一緒」を極められると、ヒネリがないだなんて逆に云えない、もう感心するしかない…ってか、結局そんな感心だけで終わってしまうのだが。
最近のBL界では、乙女BL(百合BL含む)が流行っているらしいので、実は最新モードだったりするかもしれない1本。
評価:★★☆(いつもの「松苗あけみ」モノ)
秋林好み度:★★☆(いつもの「松苗あけみ」モノだしなあ…)
BL誌に掲載されるなら?:集英社「ぶ〜け」(10年近く前に廃刊してます)
赤ふんどし(ちなみに六尺)を、性別を感じさせないように描いてきたあたりは、やっぱりさすが松苗あけみ。感心した。
「ふんどし(褌)」について。時代モノBLなどを読んでいると、「ふんどし(褌)」という単語がよく出てくる。漢字・ひらがな、どちらの表記にしても、あんまりBL向きな言葉じゃないよなあ…と思っていたら、最近たまたま何本か時代モノBLを読む機会があり、それらはすべて「下帯」という表現になっていた。ナルホド!その手があったか!…でも木原音瀬だけは絶対に「褌」と書いて欲しい。もちろん越中は不可、六尺で!…と希望出しても、越中選択しそうな人だよね。
■「キニナルキ」 ただりえこ
特集:女人禁制「同級生くされ縁もの」
扉惹句:親友にいきなり、彼女ができちゃった
幼なじみでの女ッ気のない菱川に彼女ができた。自分のほうが早く彼女ができると思っていた航は驚き、そして彼女の存在によって付き合いが悪くなっていく菱川に、イラついてしまう。幼稚園時代に一緒に植えた桜を見る恒例の花見も、菱川は忘れているようで――という、ごくフツーの幼なじみモノ。
「自分よりガキだと思っていた親友に、ちょっと置いてけぼりを食らったけれど、まったく変わったわけじゃないんだよ」という、仮にキャラを男子から女子に替えても、そのまま話が成立するだろう、ごくごくフツーの「大人階段上り系センシティブ青春モノ」であり、その話以外になにもないため、読んでいる私も「ああ、そうなんだよね、そういうこと誰にでもあるよね」だけで終了してしまった。
こういうセンシティブな話を、たとえば山田ユギが一般誌で描いてくれたら、もっともっと胸キュンストーリーになったような気がする。
ごくフツー、忘れちゃいそうな1本。
評価:★★☆(先が読めちゃう…いいんだか悪いんだか)
秋林好み度:★★☆(個性も感じられなくて、私にはイマイチ)
BL誌に掲載されるなら?:大洋図書「CRAFT」(あえて云うなら)
「うわ、めんどくせ!!」と云った航に、「アンタね、誰かと付き合うなんて『めんどくせ!!』の連続だっつーの!」と、紙面に向かってつい説教。自分の年齢を痛感してしまった。
「コーラス」側は「同級生くされ縁もの」としているけど、桜の木のエピソードは純粋にステキで、そこから続くふたりの縁は(作品を読んだ限り)別にくされてなどない、ごくフツーの男の子たちの友情だと思う。どこがくされてるの?…私、わかんなーい!
ちなみに「CRAFT」を選択したのは、これをBL仕立てにしたらば、「航が菱川に恋をしていて悶々地獄、でもセンシティブ系だから絵も話も余韻もアッサリ」になりそうだからで、基本は少女マンガ作品。BLだったら、「キニナルキ」より「キニナルテ」か。♪この〜手なんの手〜気になる手〜♪…勝手に歌詞を変えないように!>秋林さん
■ほかにも新人さんやショート作品が載っていましたが、感想を書くのはただりえこさんの作品までにします。
■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み
■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。
■「乙女の祈り 男の花園」 松苗あけみ
特集:女人禁制「姫系男子もの」
禁断の恋の花咲く男子校ラブ★読切り
小さい頃は強くてカッコよかった愛三郎と高校で再会してみると、「女の子でいたい、お姫様になりたい」乙女になっていた。親友だった男の変貌にフクザツな思いのヒデト。だが愛三郎は、そんなヒデトにかまってもらいたくて――という、今BL界で流行のオトメ男子モノ。
作家陣に「松苗あけみ」の名前を見た瞬間、男子モノだろうが、こりゃ〜「服はゴージャスフリル、髪は巻き髪ロング、目は上目がちな三白眼、睫はバサバサお眠り人形、背景にバラやマーガレットの花が飛ぶキャラ」が出てきて、ハイテンションにワイワイと騒ぎまくり、でもちょっとしんみりさせて終わる話なんだろうな〜と思っていたら、扉カラーを含めて本当にそんな話だった。つまり、男子校だけど「松苗あけみによるいつもの女子高モノ」。「純情クレイジーチェリーズ」とでもいうか。ここまで「何を描いても一緒」を極められると、ヒネリがないだなんて逆に云えない、もう感心するしかない…ってか、結局そんな感心だけで終わってしまうのだが。
最近のBL界では、乙女BL(百合BL含む)が流行っているらしいので、実は最新モードだったりするかもしれない1本。
評価:★★☆(いつもの「松苗あけみ」モノ)
秋林好み度:★★☆(いつもの「松苗あけみ」モノだしなあ…)
BL誌に掲載されるなら?:集英社「ぶ〜け」(10年近く前に廃刊してます)
赤ふんどし(ちなみに六尺)を、性別を感じさせないように描いてきたあたりは、
「ふんどし(褌)」について。時代モノBLなどを読んでいると、「ふんどし(褌)」という単語がよく出てくる。漢字・ひらがな、どちらの表記にしても、あんまりBL向きな言葉じゃないよなあ…と思っていたら、最近たまたま何本か時代モノBLを読む機会があり、それらはすべて「下帯」という表現になっていた。ナルホド!その手があったか!…でも木原音瀬だけは絶対に「褌」と書いて欲しい。もちろん越中は不可、六尺で!…と希望出しても、越中選択しそうな人だよね。
■「キニナルキ」 ただりえこ
特集:女人禁制「同級生くされ縁もの」
扉惹句:親友にいきなり、彼女ができちゃった
幼なじみでの女ッ気のない菱川に彼女ができた。自分のほうが早く彼女ができると思っていた航は驚き、そして彼女の存在によって付き合いが悪くなっていく菱川に、イラついてしまう。幼稚園時代に一緒に植えた桜を見る恒例の花見も、菱川は忘れているようで――という、ごくフツーの幼なじみモノ。
「自分よりガキだと思っていた親友に、ちょっと置いてけぼりを食らったけれど、まったく変わったわけじゃないんだよ」という、仮にキャラを男子から女子に替えても、そのまま話が成立するだろう、ごくごくフツーの「大人階段上り系センシティブ青春モノ」であり、その話以外になにもないため、読んでいる私も「ああ、そうなんだよね、そういうこと誰にでもあるよね」だけで終了してしまった。
こういうセンシティブな話を、たとえば山田ユギが一般誌で描いてくれたら、もっともっと胸キュンストーリーになったような気がする。
ごくフツー、忘れちゃいそうな1本。
評価:★★☆(先が読めちゃう…いいんだか悪いんだか)
秋林好み度:★★☆(個性も感じられなくて、私にはイマイチ)
BL誌に掲載されるなら?:大洋図書「CRAFT」(あえて云うなら)
「うわ、めんどくせ!!」と云った航に、「アンタね、誰かと付き合うなんて『めんどくせ!!』の連続だっつーの!」と、紙面に向かってつい説教。自分の年齢を痛感してしまった。
「コーラス」側は「同級生くされ縁もの」としているけど、桜の木のエピソードは純粋にステキで、そこから続くふたりの縁は(作品を読んだ限り)別にくされてなどない、ごくフツーの男の子たちの友情だと思う。どこがくされてるの?…私、わかんなーい!
ちなみに「CRAFT」を選択したのは、これをBL仕立てにしたらば、「航が菱川に恋をしていて悶々地獄、でもセンシティブ系だから絵も話も余韻もアッサリ」になりそうだからで、基本は少女マンガ作品。BLだったら、「キニナルキ」より「キニナルテ」か。♪この〜手なんの手〜気になる手〜♪…勝手に歌詞を変えないように!>秋林さん
■ほかにも新人さんやショート作品が載っていましたが、感想を書くのはただりえこさんの作品までにします。
…とゆーわけで、感想第四弾です。
1本だけの感想になります。
■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み
■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。
■「へび苺の缶詰」 河内遙
特集:女人禁制「不法侵入者もの」
扉惹句:清く妖しいオトメな男心story
妻が仕事で不在中、4歳の息子・富士郎と自宅にいた池ノ上のもとに突然、後輩・浜田山が現れた。玄関ではなく庭からやってきた浜田山に、泥棒が来たと富士郎は怯えるが、池ノ上は暖かく浜田山を迎える。「先輩に会いたかった」という浜田山。そしてふたりは昔話をし出すが――という…という…という…一途な思いを貫き通した青年のせつない恋のお話。
これは絶対にネタバレできない。
いちおう一番わかりづらい表現を選んで書くと――どういう状況に置かれているか、ちゃんと本人たちが自覚/理解している「記憶の扉」モノ(これでも、どんな作品なのか1000人にひとりくらいの割合で、バレてしまうだろう)。何度も何度も読み直してしまった。その度に、作品が持つ奥の深さとやるせないせつなさで、うるうるしてしまう。
浜田山が池ノ上の家にやってきた時点では、たしかに「不法侵入者もの」。ごく普通の話に思える。だが、浜田山と池ノ上はそれぞれどういう立場で、どういう状況に置かれているのか、それらを示すあるエピソードが描かれたページにたどり着いたとき、読み手は「ああ…そういうことだったのか」と真実に気付く。そして、ページを前に戻したくなるだろう。
浜田山はなぜ、池ノ上に告白しなかったのか。
浜田山の思いが、ときめきに溢れた一途なものであるがゆえに、池ノ上には重すぎたから?
穏やかにゆっくりと流れていく時間。「へび苺」「ジャム」「やいたマシュマロ」――数々のキーワードの中に、突然ドキリとさせる「ペニバン」という言葉。ほんのり香り付けされたエロティシズム。4歳児の第三者的視点。送れなかった絵葉書。ボタン。
…涙が出そうになるほど感動しました。
キュンキュンになりました。
傑作です。
いますぐ読みに本屋さんへ行きましょう。
@RECOMMEND@
評価:★★★★★(なんて素晴らしい!ブリリアーント!★10コ付けたいくらい)
秋林好み度:★★★★★(トキメキとは別の胸キュンになりました)
BL誌に掲載されるなら?:茜新社「EDGE」(「OPERA」でもいいよ)
4歳児の視点が入ることで、ストーリーがよりピュアなものになる。上手いなあ。
しっかし…「コーラス」編集部による「不法侵入者もの」というジャンル分けが無粋極まりないよね。これにはガッカリ。ネタバレするわけにはいかないのはわかる、でももうちょっと考えられなかったものか。
それにしても…私はなにやってたんだか。「コーラス」は、どうしてもナナメ読みな立ち読みになってしまうので、河内さんに気付かなかった。なんてこと!
「コーラス」に掲載/連載されている一連の作品より、なんかこう…サブカル要素を感じるなあと思っていたら、別名義(河内遥)で、青林工藝舎「アックス」や、太田出版「エロティクス・エフ」に描いている方と知り、「だーかーらーかー!」と膝打ちしてしまった。いや〜、「女人禁制」買って読んでマジ良かった、でなきゃ河内さんに気付かなかったもの。
「BL誌に掲載されるなら?」で「EDGE」を選択、実際このまま「EDGE」に載ってもま〜ったくおかしくない作品だけど、別にこれは「OPERA」(同じ「茜新社」)でもいい。ただ「OPERA」は、今年もっともホットなBL作家である中村明日美子さんのイメージが強いので、あえて「EDGE」にしてみた。「BLはドン引きエロだけ」と思っている人に、「コレを読んでそう思うなら、そう云え!」と云いたいけれど、そうなると「EDGE」より世に知られているガッカン(小学館)「IKKI」のほうがいいか。青年誌だけど。う〜む。
で、その「EDGE」。最近出ないよな〜と思いながら、茜新社の公式サイト(男性向けエロも出してる会社なので、アクセスの際は気をつけて下さい)で調べてみたらば――なんと「EDGE VOL.3」に、柴田文明さんの作品が柴田フミアキというPNで載っていた!
ジェットアッパー!!!!
なんてことー!BL誌に掲載されていたのかー!…アタシ、多田由美チェックで「EDGE」はちゃんと見てたのよ、でもまったく柴田さんに気付かなかった…ってか、VOL.3は読んでなかったみたい…。慌てて「EDGE VOL.3」の在庫確認してみれば、4年も前の本なので、トーゼン「ナシ」。どんな作品だったのか気になる、どっかに売ってないものか…と、しばし考え、これこそヴィレッジ・ヴァンガードにあるんじゃ?という可能性を見出したものの、どうだかなあ…う〜ん…。
■昨年の今ごろ、本屋さんでギャラクティカ・ファントムを食らった話
http://diarynote.jp/d/25683/20070729.html
(「須賀邦彦と柴田文明だったら、断然柴田派」な10代を送った私)
1本だけの感想になります。
■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み
■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。
■「へび苺の缶詰」 河内遙
特集:女人禁制「不法侵入者もの」
扉惹句:清く妖しいオトメな男心story
妻が仕事で不在中、4歳の息子・富士郎と自宅にいた池ノ上のもとに突然、後輩・浜田山が現れた。玄関ではなく庭からやってきた浜田山に、泥棒が来たと富士郎は怯えるが、池ノ上は暖かく浜田山を迎える。「先輩に会いたかった」という浜田山。そしてふたりは昔話をし出すが――という…という…という…一途な思いを貫き通した青年のせつない恋のお話。
これは絶対にネタバレできない。
いちおう一番わかりづらい表現を選んで書くと――どういう状況に置かれているか、ちゃんと本人たちが自覚/理解している「記憶の扉」モノ(これでも、どんな作品なのか1000人にひとりくらいの割合で、バレてしまうだろう)。何度も何度も読み直してしまった。その度に、作品が持つ奥の深さとやるせないせつなさで、うるうるしてしまう。
浜田山が池ノ上の家にやってきた時点では、たしかに「不法侵入者もの」。ごく普通の話に思える。だが、浜田山と池ノ上はそれぞれどういう立場で、どういう状況に置かれているのか、それらを示すあるエピソードが描かれたページにたどり着いたとき、読み手は「ああ…そういうことだったのか」と真実に気付く。そして、ページを前に戻したくなるだろう。
浜田山はなぜ、池ノ上に告白しなかったのか。
浜田山の思いが、ときめきに溢れた一途なものであるがゆえに、池ノ上には重すぎたから?
穏やかにゆっくりと流れていく時間。「へび苺」「ジャム」「やいたマシュマロ」――数々のキーワードの中に、突然ドキリとさせる「ペニバン」という言葉。ほんのり香り付けされたエロティシズム。4歳児の第三者的視点。送れなかった絵葉書。ボタン。
…涙が出そうになるほど感動しました。
キュンキュンになりました。
傑作です。
いますぐ読みに本屋さんへ行きましょう。
@RECOMMEND@
評価:★★★★★(なんて素晴らしい!ブリリアーント!★10コ付けたいくらい)
秋林好み度:★★★★★(トキメキとは別の胸キュンになりました)
BL誌に掲載されるなら?:茜新社「EDGE」(「OPERA」でもいいよ)
4歳児の視点が入ることで、ストーリーがよりピュアなものになる。上手いなあ。
しっかし…「コーラス」編集部による「不法侵入者もの」というジャンル分けが無粋極まりないよね。これにはガッカリ。ネタバレするわけにはいかないのはわかる、でももうちょっと考えられなかったものか。
それにしても…私はなにやってたんだか。「コーラス」は、どうしてもナナメ読みな立ち読みになってしまうので、河内さんに気付かなかった。なんてこと!
「コーラス」に掲載/連載されている一連の作品より、なんかこう…サブカル要素を感じるなあと思っていたら、別名義(河内遥)で、青林工藝舎「アックス」や、太田出版「エロティクス・エフ」に描いている方と知り、「だーかーらーかー!」と膝打ちしてしまった。いや〜、「女人禁制」買って読んでマジ良かった、でなきゃ河内さんに気付かなかったもの。
「BL誌に掲載されるなら?」で「EDGE」を選択、実際このまま「EDGE」に載ってもま〜ったくおかしくない作品だけど、別にこれは「OPERA」(同じ「茜新社」)でもいい。ただ「OPERA」は、今年もっともホットなBL作家である中村明日美子さんのイメージが強いので、あえて「EDGE」にしてみた。「BLはドン引きエロだけ」と思っている人に、「コレを読んでそう思うなら、そう云え!」と云いたいけれど、そうなると「EDGE」より世に知られているガッカン(小学館)「IKKI」のほうがいいか。青年誌だけど。う〜む。
で、その「EDGE」。最近出ないよな〜と思いながら、茜新社の公式サイト(男性向けエロも出してる会社なので、アクセスの際は気をつけて下さい)で調べてみたらば――なんと「EDGE VOL.3」に、柴田文明さんの作品が柴田フミアキというPNで載っていた!
ジェットアッパー!!!!
なんてことー!BL誌に掲載されていたのかー!…アタシ、多田由美チェックで「EDGE」はちゃんと見てたのよ、でもまったく柴田さんに気付かなかった…ってか、VOL.3は読んでなかったみたい…。慌てて「EDGE VOL.3」の在庫確認してみれば、4年も前の本なので、トーゼン「ナシ」。どんな作品だったのか気になる、どっかに売ってないものか…と、しばし考え、これこそヴィレッジ・ヴァンガードにあるんじゃ?という可能性を見出したものの、どうだかなあ…う〜ん…。
■昨年の今ごろ、本屋さんでギャラクティカ・ファントムを食らった話
http://diarynote.jp/d/25683/20070729.html
(「須賀邦彦と柴田文明だったら、断然柴田派」な10代を送った私)
…とゆーわけで、感想第三弾です。「コーラス」編集部がやたらBLっぽい惹句やキャプションを狙ってつけているため、返す刀で(?)「私にはこう見えたんだけど?」秋林ヴィジョン表記も赤で書いておきます。「秋林さん…ソレ、逆なんじゃ?」と指摘されそう(とくに好みが真逆の方に)ですが、「私にはそう見えたの♪」ということで、ここはひとつ、よろしくお願いプリーズです♪
■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み
■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。
!以下、マジでネタバレ注意報!
■「プリンス・オブ・フールズ」 桑田乃梨子
特集:女人禁制「ちょっとお馬鹿(?)男子もの」
扉惹句:春なオツムの男子はいかが?
テイクアウトしても、オーダーとは別のものが入っていることが多いコーヒーショップ。確認したはずなのに間違っている――それは、バカの国からバカの修行にきている王子と側近が店員だから…という、脱力系バカ狙いモノ。いちおうコメディ。
脱力系バカを目指した気持ちはわかるんだが、冒頭のオーダーミスは、別に脱力感を誘うミスとは思えなかった。その時点で、私と桑田さんでは脱力の比重が違うと感じ、そのままページを進めて終了。コーヒーショップで凡ミスをしてバカを磨くなら、バカ田大学に入学したほうがいいと思う。
評価:★(桑田乃梨子ファンの方にはオススメ)
秋林好み度:★(もっと「女人禁制」して下さい)
BL誌に掲載されるなら?:ムリ
置いていかれた。
■「ヤバイ奴ら」 谷地恵美子
特集:女人禁制「変幻もの」
扉惹句:奇想天外☆変幻ストーリー!
お人よしの大学生・天乃は、階段から落ちた際に、ひとりの子どもを自分の中に入れてしまう。その子どもは人間界に住んでいる鬼の子・キリ。なかなか天乃から出て行かないキリを引っ張り出そうと、キリと一緒にいたフキは、鬼のボスであるクウヤのもとに連れて行くが――という、ちょっとフシギな人外モノ。
こういう人外モノでフシギな話は、他の作家も「YOUNG YOU」(廃刊)で描いていたような気がする(坂井さんとか石井さんとか)。「コーラス」以前の「少女マンガ誌を卒業したけど、レディコミにはいけない女性向けのマンガ誌」では、定番ネタだったのだろう。そんな昔を思わせるのは、これが絵からストーリーからタイトルからすべて80年代で止まっているような作品だからで、別にそれが悪いわけではなく、実際作品もそれなりに面白く読んだのが、たとえば谷地さんよりずっとキャリアが長いだろう一条ゆかりの作品は、いつ読んでも古臭くないことを思えば、やっぱ一条ゆかりはスゴイよなあ…などと、別の感慨にひたってしまった。
「友情以上、BL未満」として、それっぽいシーンを追加しただけの、安心して読める「レディコミにはいけない女性向けのマンガ」。残念ながら、私はもうそれで満足できない。
評価:★★☆(いい話だし、フツーのマンガとして読むならOK)
秋林好み度:★★☆(「それっぽいシーン」はムリしていると感じる)
BL誌に掲載されるなら?:やっぱり集英社「YOUNG YOU」(廃刊してます)
石井まゆみは頑張って描いてくれたのに、と思う。
■「キミトボクロ」 常盤涼子
特集:女人禁制「男のセクシーもの」
扉惹句:突然気付いてしまった、アイツの首筋のホクロ。その妙な艶かしさに…
学校で話をしている際、殿井は仲のいい友人・田川の首すじにホクロがあると気付く。なぜか殿井はそのホクロが気になり、田川を目で追い始める。そんなある日、部屋で田川とふたりきりになった殿井は、ついそのホクロに……という、思春期男子の「オレってホモ?ウソだろマジで!?」葛藤モノ。
突然、誌面が「MAGAZINE BE×BOY」もしくは「ディアプラス」になったとゆーか、BL誌でよく見かけるとゆーか、リブレなどBL誌編集部から即お声がかかりそうとゆーか、そんな絵柄だったので驚いた。「最初はホクロだった、でもいつしかアイツ自身が気になって…」というくだり、悶々した挙句についうっかりやらかしちゃった、アイツに嫌われた、ああオレどうしよう〜?という話も、「BE×BOY」に載ってそうである。私がリブレの人間だったら、「ウチでどうですか?」と、「女人禁制」を読んだ時点で声をかけることを考えるだろう(もしかして別名義で描いてる?)。そう思いませんか?>リブレ出版編集部さん
がしかし。ラストのオチ/落とし方が、石井まゆみ「世界を眠らせ、」 と同じ、投げられた思いをとりあえず受け止めてもキッチリと決着はつけず、「僕の気持ちはまだよくわからないけど、キミのことは特別だ、大切に思ってることには違いないんだよ」でエンド。BLのような「ふたりはラブラブになりましたとさ♪」では終わらない。この絵、この話でソレかいっ!?うおおお!「コーラス」女人禁制の壁は、なんとブ厚く高いことよ!
「ちゃんと『友情以上、BL未満』仕上がりになってるじゃないの」と云われれば、たしかにそうだよね…と、ブ厚く高い壁に向かって思わずひとりごちた1本。
評価:★★☆(「コーラス」だと存在感なさそう、忘れちゃいそう)
秋林好み度:★★★(好みからハズレてるけど、このままではもったいない)
BL誌に掲載されるなら?:リブレ出版「MAGAZINE BE×BOY」(ただし、ラブとエロ8割増しで)
「男のセクシーもの」とあるけど、セクシーという絵柄ではナイよなあ。それに「セクシーもの」というより「フェチもの」だよね。
そうそう、殿井くん、おねーさん思うんだけどさ、そんな深刻に悶々と悩むから、田川くんはビビってしまうのであって、やらかした直後に、軽い口調で「いま気付いたんだけど、オレってホクロフェチみたいだ、いや〜キモかった?悪かった!スマン!謝る!…ヘンタイじゃないから安心してくれ」とかなんとか云ったら、アッサリ許してくれたような気がするんだけどなあ…って、それだと話がそこで終わっちゃうか。ごめんちゃい。
女人禁制感想 4:「別冊コーラス Spring」に続く!
■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み
■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。
!以下、マジでネタバレ注意報!
■「プリンス・オブ・フールズ」 桑田乃梨子
特集:女人禁制「ちょっとお馬鹿(?)男子もの」
扉惹句:春なオツムの男子はいかが?
テイクアウトしても、オーダーとは別のものが入っていることが多いコーヒーショップ。確認したはずなのに間違っている――それは、バカの国からバカの修行にきている王子と側近が店員だから…という、脱力系バカ狙いモノ。いちおうコメディ。
脱力系バカを目指した気持ちはわかるんだが、冒頭のオーダーミスは、別に脱力感を誘うミスとは思えなかった。その時点で、私と桑田さんでは脱力の比重が違うと感じ、そのままページを進めて終了。コーヒーショップで凡ミスをしてバカを磨くなら、バカ田大学に入学したほうがいいと思う。
評価:★(桑田乃梨子ファンの方にはオススメ)
秋林好み度:★(もっと「女人禁制」して下さい)
BL誌に掲載されるなら?:ムリ
置いていかれた。
■「ヤバイ奴ら」 谷地恵美子
特集:女人禁制「変幻もの」
扉惹句:奇想天外☆変幻ストーリー!
お人よしの大学生・天乃は、階段から落ちた際に、ひとりの子どもを自分の中に入れてしまう。その子どもは人間界に住んでいる鬼の子・キリ。なかなか天乃から出て行かないキリを引っ張り出そうと、キリと一緒にいたフキは、鬼のボスであるクウヤのもとに連れて行くが――という、ちょっとフシギな人外モノ。
こういう人外モノでフシギな話は、他の作家も「YOUNG YOU」(廃刊)で描いていたような気がする(坂井さんとか石井さんとか)。「コーラス」以前の「少女マンガ誌を卒業したけど、レディコミにはいけない女性向けのマンガ誌」では、定番ネタだったのだろう。そんな昔を思わせるのは、これが絵からストーリーからタイトルからすべて80年代で止まっているような作品だからで、別にそれが悪いわけではなく、実際作品もそれなりに面白く読んだのが、たとえば谷地さんよりずっとキャリアが長いだろう一条ゆかりの作品は、いつ読んでも古臭くないことを思えば、やっぱ一条ゆかりはスゴイよなあ…などと、別の感慨にひたってしまった。
「友情以上、BL未満」として、それっぽいシーンを追加しただけの、安心して読める「レディコミにはいけない女性向けのマンガ」。残念ながら、私はもうそれで満足できない。
評価:★★☆(いい話だし、フツーのマンガとして読むならOK)
秋林好み度:★★☆(「それっぽいシーン」はムリしていると感じる)
BL誌に掲載されるなら?:やっぱり集英社「YOUNG YOU」(廃刊してます)
石井まゆみは頑張って描いてくれたのに、と思う。
■「キミトボクロ」 常盤涼子
特集:女人禁制「男のセクシーもの」
扉惹句:突然気付いてしまった、アイツの首筋のホクロ。その妙な艶かしさに…
学校で話をしている際、殿井は仲のいい友人・田川の首すじにホクロがあると気付く。なぜか殿井はそのホクロが気になり、田川を目で追い始める。そんなある日、部屋で田川とふたりきりになった殿井は、ついそのホクロに……という、思春期男子の「オレってホモ?ウソだろマジで!?」葛藤モノ。
突然、誌面が「MAGAZINE BE×BOY」もしくは「ディアプラス」になったとゆーか、BL誌でよく見かけるとゆーか、リブレなどBL誌編集部から即お声がかかりそうとゆーか、そんな絵柄だったので驚いた。「最初はホクロだった、でもいつしかアイツ自身が気になって…」というくだり、悶々した挙句についうっかりやらかしちゃった、アイツに嫌われた、ああオレどうしよう〜?という話も、「BE×BOY」に載ってそうである。私がリブレの人間だったら、「ウチでどうですか?」と、「女人禁制」を読んだ時点で声をかけることを考えるだろう(もしかして別名義で描いてる?)。そう思いませんか?>リブレ出版編集部さん
がしかし。ラストのオチ/落とし方が、石井まゆみ「世界を眠らせ、」 と同じ、投げられた思いをとりあえず受け止めてもキッチリと決着はつけず、「僕の気持ちはまだよくわからないけど、キミのことは特別だ、大切に思ってることには違いないんだよ」でエンド。BLのような「ふたりはラブラブになりましたとさ♪」では終わらない。この絵、この話でソレかいっ!?うおおお!「コーラス」女人禁制の壁は、なんとブ厚く高いことよ!
「ちゃんと『友情以上、BL未満』仕上がりになってるじゃないの」と云われれば、たしかにそうだよね…と、ブ厚く高い壁に向かって思わずひとりごちた1本。
評価:★★☆(「コーラス」だと存在感なさそう、忘れちゃいそう)
秋林好み度:★★★(好みからハズレてるけど、このままではもったいない)
BL誌に掲載されるなら?:リブレ出版「MAGAZINE BE×BOY」(ただし、ラブとエロ8割増しで)
「男のセクシーもの」とあるけど、セクシーという絵柄ではナイよなあ。それに「セクシーもの」というより「フェチもの」だよね。
そうそう、殿井くん、おねーさん思うんだけどさ、そんな深刻に悶々と悩むから、田川くんはビビってしまうのであって、やらかした直後に、軽い口調で「いま気付いたんだけど、オレってホクロフェチみたいだ、いや〜キモかった?悪かった!スマン!謝る!…ヘンタイじゃないから安心してくれ」とかなんとか云ったら、アッサリ許してくれたような気がするんだけどなあ…って、それだと話がそこで終わっちゃうか。ごめんちゃい。
女人禁制感想 4:「別冊コーラス Spring」に続く!
…とゆーわけで、感想第二弾です。「コーラス」編集部がやたらBLっぽい惹句やキャプションを狙ってつけているため、返す刀で(?)「私にはこう見えたんだけど?」秋林ヴィジョン表記も赤で書いておきます。「秋林さん…ソレ、逆なんじゃ?」と指摘されそう(とくに好みが真逆の方に)ですが、「私にはそう見えたの♪」ということで、ここはひとつ、よろしくお願いプリーズです♪
■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み
■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。
!以下、マジでネタバレ注意報!
■「マルセルの羽根」 柏屋コッコ
特集:女人禁制「ネオゴシック耽美もの」
扉惹句:世にも美しい少年の、グロテスクな肩の傷。彼の過去に秘められた残酷な物語とは――!?
美しい羽根と声を持つ少年マルセルは、伯爵に飼われ、城に閉じ込められた生活を送っている。下界の人間との接触は、城に週数回やってくるお抱え医師ハルビックのみ。ハルビックに惹かれているマルセルだったが、ある夜、伯爵の寝室に呼び出されてしまい――という、なんだかとーっても大昔の雰囲気なブラック耽美モノ。
「行きずりの男と一夜を共にした」という、のっけのモノローグに、「おいおいおいおーい、いきなりソレかよー」と思ったが、言葉だけでエロはナシ、朝チュンで始まる。その後、マルセルの羽根エピソードが描かれるのだが…これが魑魅魍魎の世界で引いた。柏屋さんはこーゆーのを描いてみたかったのだろうが、やはり浮きまくっていて、読む人・楽しめる人を選ぶこと必至、ストーリーだけでなく絵までレトロ風(ペンタッチはもちろん、見開き三白眼とか)なこともあって、なんだか需要の少なさそうな作品という印象だ。オチがむずかしいこの手の作品、どうやって終わるんだろう?と思ったら、オチなく終了。まるでジャンプ10週打ち切りを食らったようなラストだった。これなら本仁戻のほうが、ずっともっと何倍も面白い作品を描いてくれるだろう。
狙いすぎが逆に鼻につく、私にはまったくヒットしなかった1本。ごめんちゃい。
評価:★(お好きな人はどうぞ)
秋林好み度:ZERO STARS(私の琴線にかすりもしない)
BL誌に掲載されるなら?:マガジン・マガジン「コミックJUNE」(う〜ん…)
伯爵の目より歯茎に参った。ところで、羽根は背中に生えるものだと私は思っていたのだが、このマンガではガッチャマンのマントのように、肩…というより腕のコブあたりから生えてる。だからなのか、羽根がもげたら痛々しいはずなのに、グロいだけだった。そこまで狙わなくても…あ〜う〜。
■「世界を眠らせ、」 石井まゆみ
特集:女人禁制「リーマン・スーツもの」
扉惹句:ビシッと決まったスーツ姿のふたり。その関係って……!?
高校時代、バスケット部だった先輩・大倉を追って、同じ会社に中途で就職した和泉。大倉の卒業の際、告白したのに「誰だっけ?」と名前すら覚えてもらえなかった和泉だったが、またもや大倉は和泉を覚えていなかった。ある日、残業で家に帰れない可能性が出てきた大倉は、一緒に仕事をしていた和泉にマンションに泊めてくれと云い出す。嬉しくてたまらない和泉だったが――という、ノンケ←ゲイなリーマンBL王道モノ。
同好の士(=腐女子のみなさま)なら、もう何十本と読んでこられただろう、良く云えば安心感のある、悪しく云えば毒牙抜かれるほどヒネリのない、超王道片思い系リーマンBL。片思いで終わっているが(大倉が微妙)、ちゃんとチューまである。がしかし、石井まゆみなので、やっぱり絵柄がどこまでも「YOUNG YOU」(現在廃刊)、そのため「この系統の絵でリーマンBLの王道かあ」と、読んでいてなんだかフシギな感覚になった。現在のBL界には「YOUNG YOU」っぽい人いないもの。でもアナタ、坂井久仁江の『花盛りの庭』だって「YOUNG YOU」だったじゃん!…とツッコミを受けそうだが、坂井さんは当時から別格だったし、絵も「YOUNG YOU」系統じゃなかったしなあ。ただあの当時も、たしか「『YOUNG YOU』でこんなことやっていいのかー!?」と思ったことは事実で、なんだ集英社、歴史あるじゃん!…と、思わず思い出走馬灯ぐるぐるになってしまった。ただし、この作品にあのときのような衝撃はない。
これでラブでエロなシーンがあれば、BL誌に載っていてもまーったくおかしくない作品。逆になんでこんな王道な話を石井まゆみが描いた(描けた)んだ?とギモンに思ったくらいである。
1.もともとBL好きで日ごろからよく読んでいたため、描けた。
2.「別冊コーラス」から、「ソフトBLっぽい特集するんだけど」という依頼がきたので、リーマンBLマンガを研究して、描いてみた。
たぶん2のような気がする。
「うんうん、頑張ったねえ」――そんな1本。
評価:★★★(王道だけど、ある意味新鮮だったかも)
秋林好み度:★★★(ラストでの大倉の言い分は、ご都合主義かな)
BL誌に掲載されるなら?:二見書房「Charade」(あ、シャレード廃刊してるか)
腐女子に嫌われない話だと思うけど、なにもかも王道なので、BLっぽいものを描こうとした姿勢があからさまだと感じて、嫌う腐女子はいるかも。「世界を眠らせ、」というタイトルもなあ…。「?読点の次はナニ?」と思っていたら、最後に続きが出てきたけど、やっぱり「また読点」みたいな感じで、「だからナニ!?」とイライラしてしまった。仕方ないよね、わかりやすいハッピーエンドでオチつくBL誌ではなく、「コーラス」なんだから。
あと惹句で「ビシッと決まったスーツ姿のふたり」とあったけれど、別にビシッとはしてなかった。そんなビシッと決まったスーツ男を、ビシッと描けそうな「コーラス」系作家は、もんでんあきこくらいのような。作品にビシッと決まる惹句を、ちゃんと考えて下さーい!>「コーラス」編集部の担当者さん
ところで。原稿用紙の模様って、カラーではあんなにくっきり見えちゃうものなんだ!…ちょっと驚いてしまった。
■「原色宝石図鑑 ―特別編―」 藤田律
特集:働く男子もの
扉惹句:仕立て屋店主の忘れられない一着…
昔は繁盛していたが、今は閑古鳥状態な仕立て屋「菊池テーラー」の老店主・菊池は、赤字続きのため店を畳もうと決心したある日、友人が経営する宝石店の販売員・孤野がやってきた。友人の命で来店したとわかっても、孤野のルックスと性格の良さから、最後の客として最高の仕事をしようと張り切るが――という、ある老仕立て屋の恋ハートウォーミングな老仕立て屋モノ。
うわー…マジで感動してしまった。
ポイントは「感動させられた」のではなく「感動した」、つまり嫌味のないハートウォーミングな作品で、BLでもこういう老紳士系の話はあるし、じーちゃん属性のある人にはたまらないんじゃないかと思う。ラストもいい感じだ。私も通勤時に、時間が止まったかのような仕立て屋さんの前を通るのだが、やっぱり気になる。そのお店に筋のよさそうな客がいようものならば、さらに「え!もしかしてこのお店って…」と思うだろう。
「スーツ・仕立て屋・客」という点で、宇野亜由美の「Suitable」とカブるが、どちらもショート作品としてよい出来、マンガとして純粋に面白い。イケメン客が入ってきたときの、「これまた伊達男がいらっしゃった」という菊池じーちゃんのセリフもいい。「いい男」じゃなくて「伊達男」。仕立て屋としての粋(すい)を感じた。
本誌で連載されている作品の特別編らしいので、ちょっとそっちのほうもチェックしてみようかな?という気になった。
評価:★★★★(心温まるね)
秋林好み度:★★★★(いやホント、心温まるんだって)
BL誌に掲載されるなら?:太田出版「エロティクス・エフ」(「広義の官能性」から)
「エロティクス・エフ」を選択したけれど、実際に掲載となると、エロというよりもっとフェチズムが必要だろうね。
ちなみに私は、映画「ロード・オブ・ザ・リング」で、世の腐女子がみな「アラゴルン×レゴラス♪」とか「サム×フロド♪」と云っているときに、ひとり「おじーちゃんがー!!(注:ガンダルフのこと)」「エントがー!!」と云っていたので、たぶんじーちゃん属性があると思われる。
■「ハイライフ」 北沢バンビ
特集:女人禁制「ゲイ×ノンケもの」
扉惹句:ジェンダーごちゃ混ぜテンション↑↑(アゲアゲ)ストーリー
プロポーズした彼女にいきなりフラれて落ち込む情(ノンケ)を見かね、幼なじみの友(ゲイ)は、今夜閉店してしまうというクラブ「M」へ、気晴らしに行こうと誘う。「M」は情が友とクラブデビューした店であると同時に、元カノと初めて出会った場所。最初は乗り気でなかった情だったが――という、乙女系ゲイ&ガチムチノンケの幼なじみモノ。
それなりに面白く読んだのだが、「いままでオネエだと思っていた幼なじみに慰められて、やっぱコイツは俺の気持ちがわかるヤツだ、友情っていいよなあ、ヨシ、もうあの恋は終わったんだ、立ち直ろう」という話以外になにもないので、読んでいる私も「ああ、良かったね」だけで終了してしまった。
正直なところ、なにかもうひとつ味付けが欲しかった。そういう味を出せる人だと思うのだが、「コーラス」では限界なのかもしれない。
ただ、ガチムチなんていう、オークラ出版系な言葉が出てくるとは思わなかったので、北沢さんは今後「『コーラス』に初めてガチムチを持ち込んだ人」として、私の中で記憶されるだろう。
評価:★★★(可もなく不可もなく)
秋林好み度:★★★(可もなく不可もなく)
BL誌に掲載されるなら?:東京漫画社「カタログシリーズ」
「コーラス」では、浮いているとまではいわないけど、居心地悪そうな感じがするなあ。ペンネームといい、内容といい、なんだか東京漫画社の本に載ってそう…とゆーか、すでに単行本が出てそうな感じ。もしかしたら、東京漫画社のほうが北沢さんの個性を活かせるんじゃ?…でもホモは描けないのか…東京漫画社は、「ホモマンガ描いていない人にもアタックする」と云ってたけど…う〜ん。
ところで。「ゲイ×ノンケもの」と銘打ってるけど、これは「ゲイ&ノンケもの」。「×」の使い方が間違ってる。ちなみに小学館「IKKI」コミックス『青春ソバット』のオビには、ちゃんと「ゲイ&ノンケのチン道中」と書かれてある。青年誌である「IKKI」のほうが、よくわかってるっつーの!
■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み
■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。
!以下、マジでネタバレ注意報!
■「マルセルの羽根」 柏屋コッコ
特集:女人禁制「ネオゴシック耽美もの」
扉惹句:世にも美しい少年の、グロテスクな肩の傷。彼の過去に秘められた残酷な物語とは――!?
美しい羽根と声を持つ少年マルセルは、伯爵に飼われ、城に閉じ込められた生活を送っている。下界の人間との接触は、城に週数回やってくるお抱え医師ハルビックのみ。ハルビックに惹かれているマルセルだったが、ある夜、伯爵の寝室に呼び出されてしまい――という、なんだかとーっても大昔の雰囲気なブラック耽美モノ。
「行きずりの男と一夜を共にした」という、のっけのモノローグに、「おいおいおいおーい、いきなりソレかよー」と思ったが、言葉だけでエロはナシ、朝チュンで始まる。その後、マルセルの羽根エピソードが描かれるのだが…これが魑魅魍魎の世界で引いた。柏屋さんはこーゆーのを描いてみたかったのだろうが、やはり浮きまくっていて、読む人・楽しめる人を選ぶこと必至、ストーリーだけでなく絵までレトロ風(ペンタッチはもちろん、見開き三白眼とか)なこともあって、なんだか需要の少なさそうな作品という印象だ。オチがむずかしいこの手の作品、どうやって終わるんだろう?と思ったら、オチなく終了。まるでジャンプ10週打ち切りを食らったようなラストだった。これなら本仁戻のほうが、ずっともっと何倍も面白い作品を描いてくれるだろう。
狙いすぎが逆に鼻につく、私にはまったくヒットしなかった1本。ごめんちゃい。
評価:★(お好きな人はどうぞ)
秋林好み度:ZERO STARS(私の琴線にかすりもしない)
BL誌に掲載されるなら?:マガジン・マガジン「コミックJUNE」(う〜ん…)
伯爵の目より歯茎に参った。ところで、羽根は背中に生えるものだと私は思っていたのだが、このマンガではガッチャマンのマントのように、肩…というより腕のコブあたりから生えてる。だからなのか、羽根がもげたら痛々しいはずなのに、グロいだけだった。そこまで狙わなくても…あ〜う〜。
■「世界を眠らせ、」 石井まゆみ
特集:女人禁制「リーマン・スーツもの」
扉惹句:ビシッと決まったスーツ姿のふたり。その関係って……!?
高校時代、バスケット部だった先輩・大倉を追って、同じ会社に中途で就職した和泉。大倉の卒業の際、告白したのに「誰だっけ?」と名前すら覚えてもらえなかった和泉だったが、またもや大倉は和泉を覚えていなかった。ある日、残業で家に帰れない可能性が出てきた大倉は、一緒に仕事をしていた和泉にマンションに泊めてくれと云い出す。嬉しくてたまらない和泉だったが――という、ノンケ←ゲイなリーマンBL王道モノ。
同好の士(=腐女子のみなさま)なら、もう何十本と読んでこられただろう、良く云えば安心感のある、悪しく云えば毒牙抜かれるほどヒネリのない、超王道片思い系リーマンBL。片思いで終わっているが(大倉が微妙)、ちゃんとチューまである。がしかし、石井まゆみなので、やっぱり絵柄がどこまでも「YOUNG YOU」(現在廃刊)、そのため「この系統の絵でリーマンBLの王道かあ」と、読んでいてなんだかフシギな感覚になった。現在のBL界には「YOUNG YOU」っぽい人いないもの。でもアナタ、坂井久仁江の『花盛りの庭』だって「YOUNG YOU」だったじゃん!…とツッコミを受けそうだが、坂井さんは当時から別格だったし、絵も「YOUNG YOU」系統じゃなかったしなあ。ただあの当時も、たしか「『YOUNG YOU』でこんなことやっていいのかー!?」と思ったことは事実で、なんだ集英社、歴史あるじゃん!…と、思わず思い出走馬灯ぐるぐるになってしまった。ただし、この作品にあのときのような衝撃はない。
これでラブでエロなシーンがあれば、BL誌に載っていてもまーったくおかしくない作品。逆になんでこんな王道な話を石井まゆみが描いた(描けた)んだ?とギモンに思ったくらいである。
1.もともとBL好きで日ごろからよく読んでいたため、描けた。
2.「別冊コーラス」から、「ソフトBLっぽい特集するんだけど」という依頼がきたので、リーマンBLマンガを研究して、描いてみた。
たぶん2のような気がする。
「うんうん、頑張ったねえ」――そんな1本。
評価:★★★(王道だけど、ある意味新鮮だったかも)
秋林好み度:★★★(ラストでの大倉の言い分は、ご都合主義かな)
BL誌に掲載されるなら?:二見書房「Charade」(あ、シャレード廃刊してるか)
腐女子に嫌われない話だと思うけど、なにもかも王道なので、BLっぽいものを描こうとした姿勢があからさまだと感じて、嫌う腐女子はいるかも。「世界を眠らせ、」というタイトルもなあ…。「?読点の次はナニ?」と思っていたら、最後に続きが出てきたけど、やっぱり「また読点」みたいな感じで、「だからナニ!?」とイライラしてしまった。仕方ないよね、わかりやすいハッピーエンドでオチつくBL誌ではなく、「コーラス」なんだから。
あと惹句で「ビシッと決まったスーツ姿のふたり」とあったけれど、別にビシッとはしてなかった。そんなビシッと決まったスーツ男を、ビシッと描けそうな「コーラス」系作家は、もんでんあきこくらいのような。作品にビシッと決まる惹句を、ちゃんと考えて下さーい!>「コーラス」編集部の担当者さん
ところで。原稿用紙の模様って、カラーではあんなにくっきり見えちゃうものなんだ!…ちょっと驚いてしまった。
■「原色宝石図鑑 ―特別編―」 藤田律
特集:働く男子もの
扉惹句:仕立て屋店主の忘れられない一着…
昔は繁盛していたが、今は閑古鳥状態な仕立て屋「菊池テーラー」の老店主・菊池は、赤字続きのため店を畳もうと決心したある日、友人が経営する宝石店の販売員・孤野がやってきた。友人の命で来店したとわかっても、孤野のルックスと性格の良さから、最後の客として最高の仕事をしようと張り切るが――という、
うわー…マジで感動してしまった。
ポイントは「感動させられた」のではなく「感動した」、つまり嫌味のないハートウォーミングな作品で、BLでもこういう老紳士系の話はあるし、じーちゃん属性のある人にはたまらないんじゃないかと思う。ラストもいい感じだ。私も通勤時に、時間が止まったかのような仕立て屋さんの前を通るのだが、やっぱり気になる。そのお店に筋のよさそうな客がいようものならば、さらに「え!もしかしてこのお店って…」と思うだろう。
「スーツ・仕立て屋・客」という点で、宇野亜由美の「Suitable」とカブるが、どちらもショート作品としてよい出来、マンガとして純粋に面白い。イケメン客が入ってきたときの、「これまた伊達男がいらっしゃった」という菊池じーちゃんのセリフもいい。「いい男」じゃなくて「伊達男」。仕立て屋としての粋(すい)を感じた。
本誌で連載されている作品の特別編らしいので、ちょっとそっちのほうもチェックしてみようかな?という気になった。
評価:★★★★(心温まるね)
秋林好み度:★★★★(いやホント、心温まるんだって)
BL誌に掲載されるなら?:太田出版「エロティクス・エフ」(「広義の官能性」から)
「エロティクス・エフ」を選択したけれど、実際に掲載となると、エロというよりもっとフェチズムが必要だろうね。
ちなみに私は、映画「ロード・オブ・ザ・リング」で、世の腐女子がみな「アラゴルン×レゴラス♪」とか「サム×フロド♪」と云っているときに、ひとり「おじーちゃんがー!!(注:ガンダルフのこと)」「エントがー!!」と云っていたので、たぶんじーちゃん属性があると思われる。
■「ハイライフ」 北沢バンビ
特集:女人禁制「ゲイ×ノンケもの」
扉惹句:ジェンダーごちゃ混ぜテンション↑↑(アゲアゲ)ストーリー
プロポーズした彼女にいきなりフラれて落ち込む情(ノンケ)を見かね、幼なじみの友(ゲイ)は、今夜閉店してしまうというクラブ「M」へ、気晴らしに行こうと誘う。「M」は情が友とクラブデビューした店であると同時に、元カノと初めて出会った場所。最初は乗り気でなかった情だったが――という、乙女系ゲイ&ガチムチノンケの幼なじみモノ。
それなりに面白く読んだのだが、「いままでオネエだと思っていた幼なじみに慰められて、やっぱコイツは俺の気持ちがわかるヤツだ、友情っていいよなあ、ヨシ、もうあの恋は終わったんだ、立ち直ろう」という話以外になにもないので、読んでいる私も「ああ、良かったね」だけで終了してしまった。
正直なところ、なにかもうひとつ味付けが欲しかった。そういう味を出せる人だと思うのだが、「コーラス」では限界なのかもしれない。
ただ、ガチムチなんていう、オークラ出版系な言葉が出てくるとは思わなかったので、北沢さんは今後「『コーラス』に初めてガチムチを持ち込んだ人」として、私の中で記憶されるだろう。
評価:★★★(可もなく不可もなく)
秋林好み度:★★★(可もなく不可もなく)
BL誌に掲載されるなら?:東京漫画社「カタログシリーズ」
「コーラス」では、浮いているとまではいわないけど、居心地悪そうな感じがするなあ。ペンネームといい、内容といい、なんだか東京漫画社の本に載ってそう…とゆーか、すでに単行本が出てそうな感じ。もしかしたら、東京漫画社のほうが北沢さんの個性を活かせるんじゃ?…でもホモは描けないのか…東京漫画社は、「ホモマンガ描いていない人にもアタックする」と云ってたけど…う〜ん。
ところで。「ゲイ×ノンケもの」と銘打ってるけど、これは「ゲイ&ノンケもの」。「×」の使い方が間違ってる。ちなみに小学館「IKKI」コミックス『青春ソバット』のオビには、ちゃんと「ゲイ&ノンケのチン道中」と書かれてある。青年誌である「IKKI」のほうが、よくわかってるっつーの!
…とゆーわけで感想です。ただし、「コーラス」編集部がやたらBLっぽい惹句やキャプションを狙ってつけているため、返す刀で(?)「私にはこう見えたんだけど?」秋林ヴィジョン表記も赤で書いておきます。「秋林さん…ソレ、逆なんじゃ?」と指摘されそう(とくに好みが真逆の方に)ですが、「私にはそう見えたの♪」ということで、ここはひとつ、よろしくお願いプリーズです♪
■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み
■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。
!以下、マジでネタバレ注意報!
■「そして二度目の夏が来る」 もんでんあきこ
特集:女人禁制「高校野球もの」
扉惹句:再びあの晴れ舞台に立ちたい。思いはひとつのはずだったが…!?
巻頭カラーは、高校最後の年に、全国制覇ピッチャーとバッテリーを組むことになって成長していく、キャッチャーの淡い恋心葛藤を描いた、天才×凡才、同級生モノ。
どんなジャンルだろうと、作画・ストーリーともに「マンガ力」のある作品に仕上げてくる、なんだって描けるだろう実力派のもんでん先生なので、巻頭カラーになるのは当たり前。ゆえにコッチも安心・納得しながら読んでいたのだが、天才ピッチャーのサトル(たぶん攻)の性格付けが、もんでん先生お得意のヒネくれクールで早熟、DT感ゼロな男の子だったので、「汗と涙と感動の青春巻頭カラー」とあっても、「感動」はともかく、「汗と涙の青春」はムリ?と思っていた。がしかし、さすがもんでん先生!やっぱりキッチリと仕上げてきた。キャッチャー・オグちゃん(たぶん受)の真摯な言動、そんなオグちゃんに対するサトルの年齢相応リアクションに、「汗と涙と感動の青春」ストーリーを感じた。説教臭くならないところもいい。
ただなんつーか、やっぱり作品的に少女マンガの「ちょっと感動モノ」域で終わっていて、これがたとえば、サトルがオグちゃんより学年1コ下、オグちゃんセンパイを熱い眼差しで見つめているのに、野球バカのオグちゃんはまったく気付かず、そのままあれこれとサトルにかまうもんだから、クールなサトルは悶々地獄…とかなんとかだったら、アタシの大ツボだったんだけど…ま、コーラスだし…ムリか。
あとひとつ注文つけるなら――もんでん先生!
野球部員のルックスがオッサン過ぎ!なんとかして下さーい!
評価:★★★☆(手堅すぎるけど上手いもん。なに描いたって)
秋林好み度:★★★(手堅すぎるけど上手いもん。なに描いたって)
BL誌に掲載されるなら?:やっぱり集英社「コーラス」(上手いけど、BL向きじゃない)
コーラスの看板作家では、なぜもんでんあきこ先生が女人禁制本にご登場?…って、そりゃーコーラス系の大御所作家でも、くらもちふさこや聖千秋に描かすわけにはいかない…ってか、描けないだろうしなあ…という話なんだろうが、実はもんでん先生、すんごいエッチで、エロ作品を青年誌で手がけている作家としても有名。同じ集英社「プレイボーイ・コミックス」(!)からは、『ワーキンガールH。』とか『その男、タカ ―加藤鷹ゴッドフィンガー伝説』とか出てます。「コーラス」でもラブシーンをキッチリ描いていて、私には「きじょーいの人」というイメージ(すみません)。
ちなみに、もんでん先生のエロは官能的だけど、レディースのような生々しさはなく、男性作家のようなグロさもない。その路線で描いてくれたらちょっと嬉しかったけど、「コーラス」で高校野球モノじゃムリか。ま、その分を「女人禁制」表紙――高校野球モノなのに、「グラウンドとユニフォームな野球少年」じゃなく、なぜか「ロッカー室で着替える流し目サトル(制服)と清純オグちゃん(半裸に絆創膏)」――という狙い過ぎ「釣り」構図で回収致しました、はい。
■「愛と正義に関する一考察」 たまきちひろ
特集:女人禁制「刑事&ヤクザもの」
扉惹句:熱いハートがぶつかりあう!善と悪のガチンコ・ストーリー!!
正義感溢れる刑事・東雲には、どうしても忘れられない友人がいる。その友人とは、捜査対象である暴力団の組長・桂木。大学時代、東雲はその正義感ゆえに、同じ大学に通うヤクザの息子・桂木の存在が許せず、桂木も東雲を見下していた。取っ組み合いのケンカがきっかけで、ふたりは少しずつ仲良くなっていくが、卒業とともに道がわかれてしまい――という、BLでは定番の惹かれ合ってはいけないヤクザ×刑事モノ。「×」は秋林願望っス。
上手いなあ。私はもともとから、たまきちひろの絵や作風が好きなので、どうやったって贔屓目が出てしまうのだが、要所をしっかりと押さえた作画とか、「絵が動いている」構図とか、読み手をぐいぐい引っ張っていくストーリーテリングの小気味良さとか、丁寧なキャラの心情描写とか、パンチラインのキレの良さとか――素晴らしいし、引き込まれる。もっと知られて、もっと売れていい作家だと思う。これまた「マンガ力」のある1本。学生時代のエピソード回想を展開しながら、15年続く愛友情ってのがイイね。大ツボ。
惜しむらくはラストシーンか。「キメセリフを云った東雲の大コマ→暗転コマ→エンド」ってのがちょっとなあ。東雲の言葉を聞いたあとの桂木のリアクションは、必須だったんじゃ?…たとえば、桂木が「なんだ『オレ法典』か?」とかなんとか切りかえして、ふたりが笑って、最後は東雲のモノローグでオワリ、とか。そんな感じで終わったほうが良かったのに。作品のキレの良さが、最後で鈍ってしまった。あーなんてもったいない!…ページが足りなかったのかな…。
評価:★★★★(ラストでマイナス★1コ)
私の好み度:★★★★☆(キャラがいいねー好きだ!)
BL誌に掲載されるなら?:芳文社「花音」(いや、なんとなく…)
ラストがちょっとなあ…と書いたけど、暗転コマが続いているからまだよくて、これがダメな作家だったら、東雲大コマひとつで終わってただろうな。
「コーラス」編集部さん!
私は、たまきちひろさんの作品をもっと読みたいです。
本誌登場をお願いします。
ところで。公式サイトを見たら、なんでか「刑事&泥棒もの」となっていた(5/19現在)。最初は泥棒という設定だったけれど、編集担当者から「たまき先生!BLでは、刑事の相手は泥棒じゃなくてヤクザなんですよ、だからヤクザにしましょう!」と云われた…とか?(←考えすぎです!>秋林さん)あと、いまは「マル暴」じゃなく「組対」(「組織犯罪対策部」の略)、腐女子は「組対」慣れしているので、そっちのほうがよかったような。でもまあ…BL誌じゃなく「コーラス」だから仕方ない、読者層的に「組対」がわからない人のほうが多いか。あと警察手帳は、現在あんな感じじゃないと思う。米国のように、身分証明を重視したバッジケースタイプになっているはず。そこらへんBLの挿絵ではしっかり押さえてあって、たとえば奈良画伯は、バッジケースタイプでイラストつけているよね。いいかげんなものもあるけど、ちゃんと描いている人だっている。BL系の絵師やマンガ家、腐女子を舐めたらアカンよ。
そーいえば、つい先日、奈央さんに「トキメキとキュンキュンにあふれたBLは、私も好きなんですよ」と云ったら、「秋林先輩は骨太BLがお好きなのかと思っていました…!男の男の火花!ぶつかりあうプライド!みたいな」と云われたので、「やっぱり信じてもらえなかったー!(大爆笑)」と思ったけど、結局この作品に★4つ半つけているあたり、火花好きだということなんでしょう。さすが奈央さん、しっかり見抜いてますネ♪てへ♪
■「Suitable」 宇野亜由美
特集:女人禁制「テーラー男子もの」
扉惹句:貴方に似合う服、お探しします★スーツオタク男子のワンダフル・ショート!
スーツ仕立て屋(売り場?)で働く茂木は、スタイルと好みにピッタリ合うスーツを見立て、お客に満足してもらうことが生きがい。そんな茂木の前に、ある日、素晴らしく見目のいい男が現れる。この人を一流の男に仕立てたい!と奮起する茂木だが、お客はちょっと変わった趣味で――というスーツ萌え男による職業モノほのぼのコメディ。
職業モノらしく、「仕事へのこだわり」と「失敗のあとの喜び」がちゃんと描かれているし、茂木のスーツへの萌えっぷりがとにかく面白く、それに反比例するお客の天然ぶりも笑える。こんな店員と客、実際にいそうだ〜わははは♪
ショートコメディとして出来が良く、一般・BL誌、どちらに載ってもおかしくない。BL誌だったら、どっかにエロが必要かもしれないが、別にこのままでもOKだろう。ほのぼのと楽しめる1本。
評価:★★★★(職業モノのポイントはしっかり押さえられている)
秋林好み度:★★★★(職業モノはプライドガチ系でもあり…)
BL誌に掲載されるなら?:リブレ出版「b-BOY Phoenix スーツ特集」(エロはないけどスーツにラブ、ということで)
茂木のセンスはなかなかいいと思うが、スーツフェチな私としては、あの客が靴までコーディネートを考えているか心配だ。そこらへんもちゃんとアドバイスした?>茂木
女人禁制感想 2:「別冊コーラス Spring」に続く!
↓女人禁制感想 2:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080517.html
■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み
■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。
!以下、マジでネタバレ注意報!
■「そして二度目の夏が来る」 もんでんあきこ
特集:女人禁制「高校野球もの」
扉惹句:再びあの晴れ舞台に立ちたい。思いはひとつのはずだったが…!?
巻頭カラーは、高校最後の年に、全国制覇ピッチャーとバッテリーを組むことになって成長していく、キャッチャーの
どんなジャンルだろうと、作画・ストーリーともに「マンガ力」のある作品に仕上げてくる、なんだって描けるだろう実力派のもんでん先生なので、巻頭カラーになるのは当たり前。ゆえにコッチも安心・納得しながら読んでいたのだが、天才ピッチャーのサトル(たぶん攻)の性格付けが、もんでん先生お得意のヒネくれクールで早熟、DT感ゼロな男の子だったので、「汗と涙と感動の青春巻頭カラー」とあっても、「感動」はともかく、「汗と涙の青春」はムリ?と思っていた。がしかし、さすがもんでん先生!やっぱりキッチリと仕上げてきた。キャッチャー・オグちゃん(たぶん受)の真摯な言動、そんなオグちゃんに対するサトルの年齢相応リアクションに、「汗と涙と感動の青春」ストーリーを感じた。説教臭くならないところもいい。
ただなんつーか、やっぱり作品的に少女マンガの「ちょっと感動モノ」域で終わっていて、これがたとえば、サトルがオグちゃんより学年1コ下、オグちゃんセンパイを熱い眼差しで見つめているのに、野球バカのオグちゃんはまったく気付かず、そのままあれこれとサトルにかまうもんだから、クールなサトルは悶々地獄…とかなんとかだったら、アタシの大ツボだったんだけど…ま、コーラスだし…ムリか。
あとひとつ注文つけるなら――もんでん先生!
野球部員のルックスがオッサン過ぎ!なんとかして下さーい!
評価:★★★☆(手堅すぎるけど上手いもん。なに描いたって)
秋林好み度:★★★(手堅すぎるけど上手いもん。なに描いたって)
BL誌に掲載されるなら?:やっぱり集英社「コーラス」(上手いけど、BL向きじゃない)
コーラスの看板作家では、なぜもんでんあきこ先生が女人禁制本にご登場?…って、そりゃーコーラス系の大御所作家でも、くらもちふさこや聖千秋に描かすわけにはいかない…ってか、描けないだろうしなあ…という話なんだろうが、実はもんでん先生、すんごいエッチで、エロ作品を青年誌で手がけている作家としても有名。同じ集英社「プレイボーイ・コミックス」(!)からは、『ワーキンガールH。』とか『その男、タカ ―加藤鷹ゴッドフィンガー伝説』とか出てます。「コーラス」でもラブシーンをキッチリ描いていて、私には「きじょーいの人」というイメージ(すみません)。
ちなみに、もんでん先生のエロは官能的だけど、レディースのような生々しさはなく、男性作家のようなグロさもない。その路線で描いてくれたらちょっと嬉しかったけど、「コーラス」で高校野球モノじゃムリか。ま、その分を「女人禁制」表紙――高校野球モノなのに、「グラウンドとユニフォームな野球少年」じゃなく、なぜか「ロッカー室で着替える流し目サトル(制服)と清純オグちゃん(半裸に絆創膏)」――という狙い過ぎ「釣り」構図で回収致しました、はい。
■「愛と正義に関する一考察」 たまきちひろ
特集:女人禁制「刑事&ヤクザもの」
扉惹句:熱いハートがぶつかりあう!善と悪のガチンコ・ストーリー!!
正義感溢れる刑事・東雲には、どうしても忘れられない友人がいる。その友人とは、捜査対象である暴力団の組長・桂木。大学時代、東雲はその正義感ゆえに、同じ大学に通うヤクザの息子・桂木の存在が許せず、桂木も東雲を見下していた。取っ組み合いのケンカがきっかけで、ふたりは少しずつ仲良くなっていくが、卒業とともに道がわかれてしまい――という、BLでは定番の惹かれ合ってはいけないヤクザ×刑事モノ。「×」は秋林願望っス。
上手いなあ。私はもともとから、たまきちひろの絵や作風が好きなので、どうやったって贔屓目が出てしまうのだが、要所をしっかりと押さえた作画とか、「絵が動いている」構図とか、読み手をぐいぐい引っ張っていくストーリーテリングの小気味良さとか、丁寧なキャラの心情描写とか、パンチラインのキレの良さとか――素晴らしいし、引き込まれる。もっと知られて、もっと売れていい作家だと思う。これまた「マンガ力」のある1本。学生時代のエピソード回想を展開しながら、15年続く
惜しむらくはラストシーンか。「キメセリフを云った東雲の大コマ→暗転コマ→エンド」ってのがちょっとなあ。東雲の言葉を聞いたあとの桂木のリアクションは、必須だったんじゃ?…たとえば、桂木が「なんだ『オレ法典』か?」とかなんとか切りかえして、ふたりが笑って、最後は東雲のモノローグでオワリ、とか。そんな感じで終わったほうが良かったのに。作品のキレの良さが、最後で鈍ってしまった。あーなんてもったいない!…ページが足りなかったのかな…。
評価:★★★★(ラストでマイナス★1コ)
私の好み度:★★★★☆(キャラがいいねー好きだ!)
BL誌に掲載されるなら?:芳文社「花音」(いや、なんとなく…)
ラストがちょっとなあ…と書いたけど、暗転コマが続いているからまだよくて、これがダメな作家だったら、東雲大コマひとつで終わってただろうな。
「コーラス」編集部さん!
私は、たまきちひろさんの作品をもっと読みたいです。
本誌登場をお願いします。
ところで。公式サイトを見たら、なんでか「刑事&泥棒もの」となっていた(5/19現在)。最初は泥棒という設定だったけれど、編集担当者から「たまき先生!BLでは、刑事の相手は泥棒じゃなくてヤクザなんですよ、だからヤクザにしましょう!」と云われた…とか?(←考えすぎです!>秋林さん)あと、いまは「マル暴」じゃなく「組対」(「組織犯罪対策部」の略)、腐女子は「組対」慣れしているので、そっちのほうがよかったような。でもまあ…BL誌じゃなく「コーラス」だから仕方ない、読者層的に「組対」がわからない人のほうが多いか。あと警察手帳は、現在あんな感じじゃないと思う。米国のように、身分証明を重視したバッジケースタイプになっているはず。そこらへんBLの挿絵ではしっかり押さえてあって、たとえば奈良画伯は、バッジケースタイプでイラストつけているよね。いいかげんなものもあるけど、ちゃんと描いている人だっている。BL系の絵師やマンガ家、腐女子を舐めたらアカンよ。
そーいえば、つい先日、奈央さんに「トキメキとキュンキュンにあふれたBLは、私も好きなんですよ」と云ったら、「秋林先輩は骨太BLがお好きなのかと思っていました…!男の男の火花!ぶつかりあうプライド!みたいな」と云われたので、「やっぱり信じてもらえなかったー!(大爆笑)」と思ったけど、結局この作品に★4つ半つけているあたり、火花好きだということなんでしょう。さすが奈央さん、しっかり見抜いてますネ♪てへ♪
■「Suitable」 宇野亜由美
特集:女人禁制「テーラー男子もの」
扉惹句:貴方に似合う服、お探しします★スーツオタク男子のワンダフル・ショート!
スーツ仕立て屋(売り場?)で働く茂木は、スタイルと好みにピッタリ合うスーツを見立て、お客に満足してもらうことが生きがい。そんな茂木の前に、ある日、素晴らしく見目のいい男が現れる。この人を一流の男に仕立てたい!と奮起する茂木だが、お客はちょっと変わった趣味で――というスーツ萌え男による職業モノほのぼのコメディ。
職業モノらしく、「仕事へのこだわり」と「失敗のあとの喜び」がちゃんと描かれているし、茂木のスーツへの萌えっぷりがとにかく面白く、それに反比例するお客の天然ぶりも笑える。こんな店員と客、実際にいそうだ〜わははは♪
ショートコメディとして出来が良く、一般・BL誌、どちらに載ってもおかしくない。BL誌だったら、どっかにエロが必要かもしれないが、別にこのままでもOKだろう。ほのぼのと楽しめる1本。
評価:★★★★(職業モノのポイントはしっかり押さえられている)
秋林好み度:★★★★(職業モノはプライドガチ系でもあり…)
BL誌に掲載されるなら?:リブレ出版「b-BOY Phoenix スーツ特集」(エロはないけどスーツにラブ、ということで)
茂木のセンスはなかなかいいと思うが、スーツフェチな私としては、あの客が靴までコーディネートを考えているか心配だ。そこらへんもちゃんとアドバイスした?>茂木
女人禁制感想 2:「別冊コーラス Spring」に続く!
↓女人禁制感想 2:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080517.html
本日の「女人禁制感想の前口上など」
2008年5月15日 Rotten Sisters!■「2008年6月15日増刊号 別冊コーラスspring 特集『女人禁制』」
↓「別冊コーラス」公式サイト
http://chorus.shueisha.co.jp/extra/index.html
(「××もの」「男子まみれ」など、いちいちBL風に書いてあるあたり意気込みを感じる)
■前口上
「コーラス」といえば、同じ集英社から出ている「りぼん」「週刊少女マーガレット」「別冊マーガレット」を卒業した世代がターゲット読者層(たぶん)、「レディコミではない、トンがってたりオタクっぽくもない、ちょい上世代狙いな王道の少女マンガ系」作品が連載・掲載され、ラインナップ作家として一条ゆかりやもんでんあきこ、くらもちふさこなどの大御所が名を連ね、この数年では、羽海野チカ「ハチミツとクローバー」で有名になった月刊マンガ雑誌である。ライバル誌は(たぶん)小学館の「月刊flowers」。
そんな「コーラス」から、突然BLっぽい特集「女人禁制」を組んだ「別冊コーラス(コーラス増刊号)」が出た。雑誌が売れない昨今、ちょっとでもニオイがしようものなら、素晴らしい食いつきを見せる腐女子をターゲットにすればいいんじゃ?…という目論み(いわゆる「釣り」)なのかはわからないが、マンガ出版界最大手の1社で、尾崎南を「週マ」に引っ張ってきた実績過去のある集英社からソレっぽいものが出た以上は、たとえBL作品でなくてもチェックしておかねばなるまい!……というわけで、1本ずつ掲載作の感想を。
ちなみに密林ではお取り扱いナシ(5/17現在)。
気になる方は、アナタの街の本屋さんでご購入下さーい。
■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み
■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。
女人禁制感想 1:「別冊コーラス Spring」に続く!
↓女人禁制感想 1:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080516.html
(もんでんあきこ/たまきちひろ/宇野亜由美)
【特集】 女人禁制
コーラスが史上最高に“男子色”に染まりますv
【特別企画】
◆東村アキコ × テニミュキャスト座談会
(ミュージカル『テニスの王子様』)
Part1 Part2
◆一条ゆかりセレクト
「私が好きな男キャラコレクション」!!
◆コーラス読者が選ぶ
一条ゆかり作品好きな男ベスト20!!
◆吉住 渉 ドラマ『ごくせん』突撃レポ
■青春バッテリー物語
そして二度目の夏が来る
もんでんあきこ、他
↓「別冊コーラス」公式サイト
http://chorus.shueisha.co.jp/extra/index.html
(「××もの」「男子まみれ」など、いちいちBL風に書いてあるあたり意気込みを感じる)
■前口上
「コーラス」といえば、同じ集英社から出ている「りぼん」「週刊少女マーガレット」「別冊マーガレット」を卒業した世代がターゲット読者層(たぶん)、「レディコミではない、トンがってたりオタクっぽくもない、ちょい上世代狙いな王道の少女マンガ系」作品が連載・掲載され、ラインナップ作家として一条ゆかりやもんでんあきこ、くらもちふさこなどの大御所が名を連ね、この数年では、羽海野チカ「ハチミツとクローバー」で有名になった月刊マンガ雑誌である。ライバル誌は(たぶん)小学館の「月刊flowers」。
そんな「コーラス」から、突然BLっぽい特集「女人禁制」を組んだ「別冊コーラス(コーラス増刊号)」が出た。雑誌が売れない昨今、ちょっとでもニオイがしようものなら、素晴らしい食いつきを見せる腐女子をターゲットにすればいいんじゃ?…という目論み(いわゆる「釣り」)なのかはわからないが、マンガ出版界最大手の1社で、尾崎南を「週マ」に引っ張ってきた
ちなみに密林ではお取り扱いナシ(5/17現在)。
気になる方は、アナタの街の本屋さんでご購入下さーい。
■作品評価について
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■秋林好み度について
ZERO STARS … さようなら
★ … カンベン
★★ … ニガテ
★★★ … まあまあ
★★★★ … なかなか好み
★★★★★ … たいへん好み
■BL誌に掲載されるなら?
ラブとエロは足りないだろうが、もし掲載されるなら、どの出版社のどのBL誌にあっているか、秋林個人の視点と裁量で選択。
女人禁制感想 1:「別冊コーラス Spring」に続く!
↓女人禁制感想 1:「別冊コーラス Spring」
http://diarynote.jp/d/25683/20080516.html
(もんでんあきこ/たまきちひろ/宇野亜由美)
GWチューリップ記念:BLちょっとだけ感想&デキゴトロジー
2008年5月11日 Rotten Sisters!
今年のGWにチューリップを観るため、T山までおでかけした際、立ち寄った「イオンモールT岡」内の喜久屋書店で購入したBL小説4冊のうち、3冊の感想とデキゴトロジーをボチボチと書くことにしました。チューリップ記念感想文ですね。ちなみに、あと1冊はとても面白かったので、ピンで感想をUPしたいと思っています。
それにしてもT岡の人はいいなあ。ヴィレッジ・ヴァンガードの横に、あんなBLの品揃えのいい本屋さんがあるなんて。JRで行けない距離じゃないし、暇な土日は、鉄っちゃん気分でおでかけしてみようかと真剣に考えましたよ(しかも映画館併設)。駅前からイオンまでお出迎えバス出てるみたいだし。それくらい魅力のある、地方の書店としては立派な品揃えでした。いや〜、あのコーナーの担当者さんを本気でホメたいです。
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
!以下、ネタバレ注意報!
■『そして、裏切りの夜が始まる』 いとう由貴
ISBN10:4813011721 挿絵:佐々木久美子 大洋図書 2008/4/26
評価:★(論外なので本当はZERO STARS。星は絵師の佐々木さんに)
母子家庭で育った翔は、母親と死別後、事故に遭って2年間意識のない弟(異父兄弟)・俊樹を助けるため、入院しているのは翔で自分は俊樹と嘘をつき、実子を亡くしたばかりの俊樹の実父に近づく。だが、叔父・信威に見破られ、手ごめにされる――という、一途で健気な主人公が、鬼畜な叔父(他人)にひどい目に遭わされる、鬼畜(年上)×健気(年下)な姦計モノ。叔父が32歳で翔は18歳、というところで「しまった、こりゃ私向きじゃない」と思ったんだけども、いちおう読了。
――あの?
オチてないんですが?
なんだこれは。私向きじゃないことは、この際もうどーだっていい。空っぽなストーリーが大問題。ラストを読み手に委ね、ぼや〜んとして終わりならまだしも、「起承転結」のうち「起」「承」のみ、10代の男の子に鬼畜三昧、いつの間にかラブが生まれ、そして突然終わっているじゃないの。タイトル通り「裏切りの夜が始まる」だけ。本末転倒、弟はどうするのよ?>翔
「毎日たくさんご飯作って、一緒に洗濯して、掃除して、一緒に暮らそうよ(受)」?…で、「料理や身体に飽きない(攻)」?それもこれも「運命共同体だから」って…いいかげんにしろー!!――佐々木久美子さんの絵が泣く。もったいない。
■『非保護者』 椎崎 夕
ISBN10:4813011713 挿絵:北畠あけ乃 大洋図書 2008/4/26
評価:★★★(不器用悶々ラブがお好きな人にオススメ)
小さい頃、兄のように慕っていた瀬尾(攻)と再会、父親の命で自分のお目付け役となった彼と同居をし始めた征(受)だが、過去と家庭の問題から、瀬尾の前では素直になれない。瀬尾は、征に負い目があるため、自分の思いは秘めたまま、なにも語らない。互いが気になるはずなのにすれ違い――という、不器用ラブの最王道モノ。
母親との確執、ふたりの過去など、バックグラウンドが丁寧に描かれているので、征→瀬尾、瀬尾→征、どちらの悶々もわかりやすい。丁寧語を使っているが、すべて受に従順とは限らない攻のキャラがとてもいいし、受がスネ夫のままではなく、自分のやりたいことを見つけ、新しい道を歩き出すところも好感度大だ。ただ、キャラの性格や設定、ストーリーがあまりに王道・定番過ぎて、逆に思ったほどふたりに感情移入できなかったことが、ちょっと残念か。結ばれたのち、互いの思いと過去を話し合ってエンドというラストも、そのあとに続く攻視点の短編がなければ、さらに凡庸な印象を強めてしまっていたかもしれない。年下攻が好きな私にはあまりヒットしなかったが、安心して読める1本。絵師の北畠さんは(たぶんお得意路線だろう)ピッタリだった。
しっかし、「未成年者相手の淫行に踏み切る度胸はなかったのですが…」という瀬尾の言葉に、思わず「おお!もっともなこと云うじゃない!」と感心したものの、「色事と無縁でいられるほど清廉潔白な人間でもありませんでしたので」と、BL的にもっともらしいセリフがその後に続いたため、「そーだよな、アタシだってBL読んでるんだから清廉潔白じゃないもんな」と、妙なところで納得、共感してしまった。
■『薔薇の掟』 ゆりの菜櫻
ISBN10:4872579267 挿絵:元春子 イースト・プレス 2008/5
評価:★★(「してもいい、とは、しなくてもいい」ということ?誰か教えて下さーい!)
「ほら、『しあわせにできる』が全巻あるよ!」とDさんに云われ、シャレード文庫の棚を見たらば、谷崎泉の現在入手可能な作品がすべて(「君好き」の一部まで!)揃っていたり、SHYノベルスがどど〜んとあったり(エダさんの『権力の花』まで!)、絶版間近(…ごめんなさい)な黒娜さかき『恋の口火』があったりと、地方の一般書店なのに品揃えが良いことから、いきなり喜久屋書店さんを信頼し出した秋林、新刊コーナーで見たことのない絵師のノベルスを発見し――
私:「この人(絵)、見たことある?」
Dさん:「ない」
…と、絵師未確認を確認し、本作を購入。
スーパーメイルモデルの鼎は、パリ滞在中にマフィアの抗争に巻き込まれてしまうが、すんでのところで、契約ブランドのデザイナーのスポンサーであるアンドレアに助けられる。だが、実はそのアンドレアこそ、イタリアンマフィアのボス。狙われることになった鼎を守ると約束しながら、アンドレアは鼎をほぼ拉致の状態で、イタリアに連れて去ってしまう――というのが、大まかなあらすじのイタリアンマフィアもの…らしい。
パリだローマだ、殺人だ、変装だ…と、ストーリーが破綻しまくりの中でいろいろ事件が起こるんだが、極東女子から捕らわれた鼎へひとつアドバイス。とりあえず警察に連絡して、日本大使館に駆け込んだほうがいいんじゃ?
終了。
ところで、私はゆりのセンセの本を今回初めて読んだけれども、なんか…日本語が…ちょっとその…この使い方おっけー?と(自分棚上げで)思うことしばしば、たとえば冒頭の「目は口ほどに物を言う」――あの引用でいいの?…あれ?あれれれれれれ?…そしてアンドレアの「フッ…」の連発には参った、まさかBLで車田正美が読めるとは思ってなかったよー。
しっかし、出会っていきなりチューしたり、「美人を間近に見て、触らなかったら失礼にあたるだろう?」だなんてそんな、おまわりさーん!この人チカンでーす!…いまどきジローラモでもジョージ・クルーニーでも云わないって、セクハラで訴えられるっつーの!…でもオビ惹句に「ケダモノだよ、私は。」と書かれてるしなあ、そっかケダモノかあ、イタリア男じゃなくケダモノだったら仕方がないよね、そっかそっか。
ツッコミで疲れてみたい方に、オススメの1本。
以上、「GWチューリップ記念:BLちょっとだけ感想&デキゴトロジー」でした♪
それにしてもT岡の人はいいなあ。ヴィレッジ・ヴァンガードの横に、あんなBLの品揃えのいい本屋さんがあるなんて。JRで行けない距離じゃないし、暇な土日は、鉄っちゃん気分でおでかけしてみようかと真剣に考えましたよ(しかも映画館併設)。駅前からイオンまでお出迎えバス出てるみたいだし。それくらい魅力のある、地方の書店としては立派な品揃えでした。いや〜、あのコーナーの担当者さんを本気でホメたいです。
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
!以下、ネタバレ注意報!
■『そして、裏切りの夜が始まる』 いとう由貴
ISBN10:4813011721 挿絵:佐々木久美子 大洋図書 2008/4/26
評価:★(論外なので本当はZERO STARS。星は絵師の佐々木さんに)
母子家庭で育った翔は、母親と死別後、事故に遭って2年間意識のない弟(異父兄弟)・俊樹を助けるため、入院しているのは翔で自分は俊樹と嘘をつき、実子を亡くしたばかりの俊樹の実父に近づく。だが、叔父・信威に見破られ、手ごめにされる――という、一途で健気な主人公が、鬼畜な叔父(他人)にひどい目に遭わされる、鬼畜(年上)×健気(年下)な姦計モノ。叔父が32歳で翔は18歳、というところで「しまった、こりゃ私向きじゃない」と思ったんだけども、いちおう読了。
――あの?
オチてないんですが?
なんだこれは。私向きじゃないことは、この際もうどーだっていい。空っぽなストーリーが大問題。ラストを読み手に委ね、ぼや〜んとして終わりならまだしも、「起承転結」のうち「起」「承」のみ、10代の男の子に鬼畜三昧、いつの間にかラブが生まれ、そして突然終わっているじゃないの。タイトル通り「裏切りの夜が始まる」だけ。本末転倒、弟はどうするのよ?>翔
「毎日たくさんご飯作って、一緒に洗濯して、掃除して、一緒に暮らそうよ(受)」?…で、「料理や身体に飽きない(攻)」?それもこれも「運命共同体だから」って…いいかげんにしろー!!――佐々木久美子さんの絵が泣く。もったいない。
■『非保護者』 椎崎 夕
ISBN10:4813011713 挿絵:北畠あけ乃 大洋図書 2008/4/26
評価:★★★(不器用悶々ラブがお好きな人にオススメ)
小さい頃、兄のように慕っていた瀬尾(攻)と再会、父親の命で自分のお目付け役となった彼と同居をし始めた征(受)だが、過去と家庭の問題から、瀬尾の前では素直になれない。瀬尾は、征に負い目があるため、自分の思いは秘めたまま、なにも語らない。互いが気になるはずなのにすれ違い――という、不器用ラブの最王道モノ。
母親との確執、ふたりの過去など、バックグラウンドが丁寧に描かれているので、征→瀬尾、瀬尾→征、どちらの悶々もわかりやすい。丁寧語を使っているが、すべて受に従順とは限らない攻のキャラがとてもいいし、受がスネ夫のままではなく、自分のやりたいことを見つけ、新しい道を歩き出すところも好感度大だ。ただ、キャラの性格や設定、ストーリーがあまりに王道・定番過ぎて、逆に思ったほどふたりに感情移入できなかったことが、ちょっと残念か。結ばれたのち、互いの思いと過去を話し合ってエンドというラストも、そのあとに続く攻視点の短編がなければ、さらに凡庸な印象を強めてしまっていたかもしれない。年下攻が好きな私にはあまりヒットしなかったが、安心して読める1本。絵師の北畠さんは(たぶんお得意路線だろう)ピッタリだった。
しっかし、「未成年者相手の淫行に踏み切る度胸はなかったのですが…」という瀬尾の言葉に、思わず「おお!もっともなこと云うじゃない!」と感心したものの、「色事と無縁でいられるほど清廉潔白な人間でもありませんでしたので」と、BL的にもっともらしいセリフがその後に続いたため、「そーだよな、アタシだってBL読んでるんだから清廉潔白じゃないもんな」と、妙なところで納得、共感してしまった。
■『薔薇の掟』 ゆりの菜櫻
ISBN10:4872579267 挿絵:元春子 イースト・プレス 2008/5
評価:★★(「してもいい、とは、しなくてもいい」ということ?誰か教えて下さーい!)
「ほら、『しあわせにできる』が全巻あるよ!」とDさんに云われ、シャレード文庫の棚を見たらば、谷崎泉の現在入手可能な作品がすべて(「君好き」の一部まで!)揃っていたり、SHYノベルスがどど〜んとあったり(エダさんの『権力の花』まで!)、絶版間近(…ごめんなさい)な黒娜さかき『恋の口火』があったりと、地方の一般書店なのに品揃えが良いことから、いきなり喜久屋書店さんを信頼し出した秋林、新刊コーナーで見たことのない絵師のノベルスを発見し――
私:「この人(絵)、見たことある?」
Dさん:「ない」
…と、絵師未確認を確認し、本作を購入。
スーパーメイルモデルの鼎は、パリ滞在中にマフィアの抗争に巻き込まれてしまうが、すんでのところで、契約ブランドのデザイナーのスポンサーであるアンドレアに助けられる。だが、実はそのアンドレアこそ、イタリアンマフィアのボス。狙われることになった鼎を守ると約束しながら、アンドレアは鼎をほぼ拉致の状態で、イタリアに連れて去ってしまう――というのが、大まかなあらすじのイタリアンマフィアもの…らしい。
パリだローマだ、殺人だ、変装だ…と、ストーリーが破綻しまくりの中でいろいろ事件が起こるんだが、極東女子から捕らわれた鼎へひとつアドバイス。とりあえず警察に連絡して、日本大使館に駆け込んだほうがいいんじゃ?
終了。
ところで、私はゆりのセンセの本を今回初めて読んだけれども、なんか…日本語が…ちょっとその…この使い方おっけー?と(自分棚上げで)思うことしばしば、たとえば冒頭の「目は口ほどに物を言う」――あの引用でいいの?…あれ?あれれれれれれ?…そしてアンドレアの「フッ…」の連発には参った、まさかBLで車田正美が読めるとは思ってなかったよー。
しっかし、出会っていきなりチューしたり、「美人を間近に見て、触らなかったら失礼にあたるだろう?」だなんてそんな、おまわりさーん!この人チカンでーす!…いまどきジローラモでもジョージ・クルーニーでも云わないって、セクハラで訴えられるっつーの!…でもオビ惹句に「ケダモノだよ、私は。」と書かれてるしなあ、そっかケダモノかあ、イタリア男じゃなくケダモノだったら仕方がないよね、そっかそっか。
ツッコミで疲れてみたい方に、オススメの1本。
以上、「GWチューリップ記念:BLちょっとだけ感想&デキゴトロジー」でした♪
紆余曲折を経て、ようやく「自分の好み」が把握できるようになってきたという話の続き。
はいはい、なんとなく好みはわかりました、でも一般人にはわかりにくいんじゃ?…ならば、わかりやすいように「スラムダンク」のキャラで書いてみようじゃないの!(なぜ、それぞれ緑と赤の字に分けたのかは、訊かないで下さい)
■好きなキャラ
1.花道
2.牧
3.流川
だから云ったでしょ、「ハンキーが好き」「不器用が好き」「ややオヤジが好き」って。仙道より牧だってばー!
■好きなキャラ
1.三井
2.流川
3.(1・2からかなり離れて)藤真
あれ?あれれれれれ?…げ!元ヤンがいる!…まあ、基本はみんな「不器用」タイプかと。…そーゆーことにしておいて下さい。プリーズ。
基本的に雑食でなんでも読んでいた私ですが、上記の順位ゆえ、よしながふみだけはどーしても読めなかったです。しっかし、もし「スラムダンク」がなかったら、そのよしながふみはもちろん、新田祐克や羽海野チカや寿たらこや黒娜さかきやファインダーシリーズの人や語シスコもいなかったかもしれないと思うと、やっぱ「スラムダンク」はスゴイ作品だったんだなーって、そんな理由で「スゴイ」と語って、いいんだか悪いんだか。
以上、「なんの話?」「え〜っと、好みのキャラの話です…」でした♪
はいはい、なんとなく好みはわかりました、でも一般人にはわかりにくいんじゃ?…ならば、わかりやすいように「スラムダンク」のキャラで書いてみようじゃないの!(なぜ、それぞれ緑と赤の字に分けたのかは、訊かないで下さい)
■好きなキャラ
1.花道
2.牧
3.流川
だから云ったでしょ、「ハンキーが好き」「不器用が好き」「ややオヤジが好き」って。仙道より牧だってばー!
■好きなキャラ
1.三井
2.流川
3.(1・2からかなり離れて)藤真
あれ?あれれれれれ?…げ!元ヤンがいる!…まあ、基本はみんな「不器用」タイプかと。…そーゆーことにしておいて下さい。プリーズ。
基本的に雑食でなんでも読んでいた私ですが、上記の順位ゆえ、よしながふみだけはどーしても読めなかったです。しっかし、もし「スラムダンク」がなかったら、そのよしながふみはもちろん、新田祐克や羽海野チカや寿たらこや黒娜さかきやファインダーシリーズの人や語シスコもいなかったかもしれないと思うと、やっぱ「スラムダンク」はスゴイ作品だったんだなーって、そんな理由で「スゴイ」と語って、いいんだか悪いんだか。
以上、「なんの話?」「え〜っと、好みのキャラの話です…」でした♪
好みを書いてみよう 〜キャラ編〜
2008年5月8日 Rotten Sisters!我がニッポンには、さまざまな好みを持つ腐女子が、さまざまなスタイルで生息しております。
たとえば私は、アニメがまったくわからないし、小説やマンガもあまり読まないし、基本的に映画ばっかり観ているタイプです。本棚は本よりDVDのほうが多いです。BLを読むことはシュミのひとつとはいえ、月に何十冊と買い込むほどではありません(5〜6冊くらい?)。ただし、映画だろうとBLだろうと、面白いものなら徹底的に追及するし、そのための努力(?)は惜しみません。それでもやはり、どっぷりというのではなく「つかず離れず」で来たためか、専門用語がイマイチわからず、好みがどうであるかの自覚もあやしげ、とくにこの1年は何度も辛酸を舐め、さまざまな返り討ちを食らってきました。
そんな紆余曲折を経て、ようやく「自分の好み」が把握できるようになってきたので、いきなりですが「好みを書いて、おのれを知ろう!」キャンペーンの一環として、まずは「キャラの好み」を書いてみたいと思います。
■攻キャラ
@オヤジ(萌え度:★★★☆)
もちろんオッケー。いま「時代は(攻も受も)オヤジ」なんじゃ?…気になるのは何歳からオヤジなのかということ。私は「40代」という認識ですが?…え?30代からなの?うっそー!そんなあー!
ちなみにオヤジが攻の場合、受はその同世代以下を希望。ただし、10代の男の子ってのは正直キツイっス。秋林倫理委員会のシグナルが点灯するため、できれば避けたい。
@ショタ(萌え度:zero stars)
は?ショタ攻?小学生同士とかそんなの?
秋林倫理委員会のシグナル点灯。
@鬼畜(萌え度:★★★)
ダイジョブ。ただし道具を使われると萎える。言葉攻めも好きじゃないけど、大人の範囲(?)ならオッケー。
@ヘタレ(萌え度:★★★)
オッケー。最近だと『それを食べてはいけません。』の直幸かな?…って、あれはヘタレではなくヘナチョコか。
@ワンコ(萌え度:★★★)
大型ワンコ希望。ワンコをそどみ〜だと思ってた一年前の私が、いちばん倫理に引っかかるっつーの。
@ワイルド(萌え度:★★★★)
ハンキー(英語「hunky」たくましく魅力的な男性という意)は、かなり好き。筋肉隆々というより、白Tシャツや黒Vネックシャツがさりげなく映えたり、デニムやスーツを着ていて足が長く見えるタイプ。ヒュー・ジャックマンとかね、イナバさんとかね、嫌味じゃないハンキー希望。
@ツンデレ(萌え度:★★)
これは攻というより受によるなあ。クールビューティ受は好みじゃないので、それ以外なら。
@不器用(萌え度:★★★★)
好き好き♪…恋に不器用なのってカワイイよね♪
@健気(萌え度:★★★☆)
健気な攻?…それってつまり「思いを打ち明けられず、悶々としながら、タイラント(暴君)な受に尽くす」ってこと?…それなら、嫌いではないけどさほど好みでもない…と思ったんだけど、やっぱ好きかも。
@メガネ(萌え度:★)
「メガネかけているからダメ」ということはまったくナイのだけど、だからといって「なにがなんでもメガネ」ということもなく…。
@ヤンキー(萌え度:★)
ヤンキーによる。個人的にオッケー出せるヤンキーを書いてくれているのは、いまのところ松田美優くらいかな。それ以外になると、かなりキビシイ。
@極道(萌え度:★★★★)
けっして嫌いではないことを、この1年で自覚しました。
@セレブ(萌え度:★★★)
けっこう好きかも。「嗜虐性が抜けた久遠寺(『しあわせにできる』)はいい」と思ってるので。ただし、作家のセレブの書き方次第なところも大きく、ただただゴージャスなのは逆に陳腐に思える。
@触手(萌え度:判定不能)
読んだことないからわからない。でも触手が受にラブを感じているのならばイケる?…って、そんなのあります?…矢城米花が触手モノを書いてるらしいので(ラブが介在しているかは不明)、万年青コーナーのチャレンジャーとして、ここはひとつ、お試しで読んでみようかな…気が向いたら。
@金髪・碧眼(萌え度:★★★☆)
私、受より攻がそうであるほうが好きみたい。現実では、絶対にブルネット・ブラウンアイズのほうが好きなんだけどー。
@総括
たぶん、基本的に「ハンキーで不器用な攻」、「少年より青年、青年よりややオヤジ」が好みなんだと思いマス。
キャラを挙げるなら、シドニー・ホプキンス(『硝子の街にて』)かな。10年経っても、シドニー以上の攻キャラは結局出てこなかったし、これからも出てこないような気がする。あとは菅生威士(『最後のテロリスト』)。「うお!谷崎泉がこんな攻キャラ書けるなんて!」と、どれだけ感動したことか。あと再読していて、やっぱ宗近(『エス』)がなんだかんだいって好きかもー、と思ったり。
■受キャラ
@オヤジ(萌え度:★★★☆)
あんまりオヤジ過ぎても困りますが、オッケーです。ええ、美味しく頂けますとも!
@ショタ(萌え度:zero stars)
たぶんダメ。20歳以上離れているとキビシイ。秋林倫理委員会が騒ぎ出します。
@女王様(萌え度:★★)
これって、たとえば鷹秋なんか該当するの?(新川が鷹秋のことを「女王様」と云ってたので)…鷹秋ならオッケー出せます。「春抱き」より「ホスト」のほうが好きだったしー。
@誘い受(萌え度:★★★★)
流されるより、仕掛けるほうがいいもの♪
@襲い受(萌え度:★★)
イマイチわかってない。これって英田兄貴の『さよならを言う気はない』の泰雅が該当するの?…だったら、う〜ん…あまり…。
@ワンコ(萌え度:★)
「健気とワンコ」の境界線がイマイチわかってない。ワンコのほうがウザったいような。堪えることのないキャラは、あまり好みじゃない。
@ワイルド(萌え度:★★★☆)
男らしいのはいいね!
@ツンデレ(萌え度:★★)
クールビューティは好みじゃなくて、夫婦漫才できるくらいならオッケー…って、かなり設定に限定が入ってしまう。
@健気(萌え度:★★★★)
最近、好きだと気が付いた。ただし、「鬼畜な攻に対して健気」なのはこれに該当しなくて、誤解や不遇に流されるけど、けっして諦めない健気なタイプ、というのが好き。
@不器用(萌え度:★★★★)
好きだな〜♪…恋に臆病だったりするとツボ。
@メガネ(萌え度:★)
「メガネかけているからダメ」ということはまったくナイのだけど、だからといって「なにがなんでもメガネ」ということもなく…。
@セレブ(萌え度:★★)
受より攻がセレブなほうが需要が大きいんじゃ?…って、世の腐女子の需要よりもアナタ自身の好みはどーなんですか?…と云われそう。そーだな〜…セレブな受にするのならば、下克上モノで。だってセレブ同志はつまんないもーん。
@ヤンキー(萌え度:★)
興味ないみたい。
@極道(萌え度:★★★)
受の場合、できれば経済ヤクザで。ただし、ショボいピンサロ支配人受は困る。
@総括
「普段はちょっとおすましさん?でも実は…」「不器用で強がり」とか、ワケアリが好きみたい。
キャラを挙げるなら、凪(『最後のテロリスト』)。たぶんとーぶん、凪以上は出てこないような気がする。あとやっぱ山内(『聖なる黒夜』)か。その絡みで、椎ちゃん(『エス』)も。
…こんな感じかな?
うむ。今後の自分のため、書いたことを覚えておかねば。
たとえば私は、アニメがまったくわからないし、小説やマンガもあまり読まないし、基本的に映画ばっかり観ているタイプです。本棚は本よりDVDのほうが多いです。BLを読むことはシュミのひとつとはいえ、月に何十冊と買い込むほどではありません(5〜6冊くらい?)。ただし、映画だろうとBLだろうと、面白いものなら徹底的に追及するし、そのための努力(?)は惜しみません。それでもやはり、どっぷりというのではなく「つかず離れず」で来たためか、専門用語がイマイチわからず、好みがどうであるかの自覚もあやしげ、とくにこの1年は何度も辛酸を舐め、さまざまな返り討ちを食らってきました。
そんな紆余曲折を経て、ようやく「自分の好み」が把握できるようになってきたので、いきなりですが「好みを書いて、おのれを知ろう!」キャンペーンの一環として、まずは「キャラの好み」を書いてみたいと思います。
■攻キャラ
@オヤジ(萌え度:★★★☆)
もちろんオッケー。いま「時代は(攻も受も)オヤジ」なんじゃ?…気になるのは何歳からオヤジなのかということ。私は「40代」という認識ですが?…え?30代からなの?うっそー!そんなあー!
ちなみにオヤジが攻の場合、受はその同世代以下を希望。ただし、10代の男の子ってのは正直キツイっス。秋林倫理委員会のシグナルが点灯するため、できれば避けたい。
@ショタ(萌え度:zero stars)
は?ショタ攻?小学生同士とかそんなの?
秋林倫理委員会のシグナル点灯。
@鬼畜(萌え度:★★★)
ダイジョブ。ただし道具を使われると萎える。言葉攻めも好きじゃないけど、大人の範囲(?)ならオッケー。
@ヘタレ(萌え度:★★★)
オッケー。最近だと『それを食べてはいけません。』の直幸かな?…って、あれはヘタレではなくヘナチョコか。
@ワンコ(萌え度:★★★)
大型ワンコ希望。ワンコをそどみ〜だと思ってた一年前の私が、いちばん倫理に引っかかるっつーの。
@ワイルド(萌え度:★★★★)
ハンキー(英語「hunky」たくましく魅力的な男性という意)は、かなり好き。筋肉隆々というより、白Tシャツや黒Vネックシャツがさりげなく映えたり、デニムやスーツを着ていて足が長く見えるタイプ。ヒュー・ジャックマンとかね、イナバさんとかね、嫌味じゃないハンキー希望。
@ツンデレ(萌え度:★★)
これは攻というより受によるなあ。クールビューティ受は好みじゃないので、それ以外なら。
@不器用(萌え度:★★★★)
好き好き♪…恋に不器用なのってカワイイよね♪
@健気(萌え度:★★★☆)
健気な攻?…それってつまり「思いを打ち明けられず、悶々としながら、タイラント(暴君)な受に尽くす」ってこと?…それなら、嫌いではないけどさほど好みでもない…と思ったんだけど、やっぱ好きかも。
@メガネ(萌え度:★)
「メガネかけているからダメ」ということはまったくナイのだけど、だからといって「なにがなんでもメガネ」ということもなく…。
@ヤンキー(萌え度:★)
ヤンキーによる。個人的にオッケー出せるヤンキーを書いてくれているのは、いまのところ松田美優くらいかな。それ以外になると、かなりキビシイ。
@極道(萌え度:★★★★)
けっして嫌いではないことを、この1年で自覚しました。
@セレブ(萌え度:★★★)
けっこう好きかも。「嗜虐性が抜けた久遠寺(『しあわせにできる』)はいい」と思ってるので。ただし、作家のセレブの書き方次第なところも大きく、ただただゴージャスなのは逆に陳腐に思える。
@触手(萌え度:判定不能)
読んだことないからわからない。でも触手が受にラブを感じているのならばイケる?…って、そんなのあります?…矢城米花が触手モノを書いてるらしいので(ラブが介在しているかは不明)、万年青コーナーのチャレンジャーとして、ここはひとつ、お試しで読んでみようかな…気が向いたら。
@金髪・碧眼(萌え度:★★★☆)
私、受より攻がそうであるほうが好きみたい。現実では、絶対にブルネット・ブラウンアイズのほうが好きなんだけどー。
@総括
たぶん、基本的に「ハンキーで不器用な攻」、「少年より青年、青年よりややオヤジ」が好みなんだと思いマス。
キャラを挙げるなら、シドニー・ホプキンス(『硝子の街にて』)かな。10年経っても、シドニー以上の攻キャラは結局出てこなかったし、これからも出てこないような気がする。あとは菅生威士(『最後のテロリスト』)。「うお!谷崎泉がこんな攻キャラ書けるなんて!」と、どれだけ感動したことか。あと再読していて、やっぱ宗近(『エス』)がなんだかんだいって好きかもー、と思ったり。
■受キャラ
@オヤジ(萌え度:★★★☆)
あんまりオヤジ過ぎても困りますが、オッケーです。ええ、美味しく頂けますとも!
@ショタ(萌え度:zero stars)
たぶんダメ。20歳以上離れているとキビシイ。秋林倫理委員会が騒ぎ出します。
@女王様(萌え度:★★)
これって、たとえば鷹秋なんか該当するの?(新川が鷹秋のことを「女王様」と云ってたので)…鷹秋ならオッケー出せます。「春抱き」より「ホスト」のほうが好きだったしー。
@誘い受(萌え度:★★★★)
流されるより、仕掛けるほうがいいもの♪
@襲い受(萌え度:★★)
イマイチわかってない。これって英田兄貴の『さよならを言う気はない』の泰雅が該当するの?…だったら、う〜ん…あまり…。
@ワンコ(萌え度:★)
「健気とワンコ」の境界線がイマイチわかってない。ワンコのほうがウザったいような。堪えることのないキャラは、あまり好みじゃない。
@ワイルド(萌え度:★★★☆)
男らしいのはいいね!
@ツンデレ(萌え度:★★)
クールビューティは好みじゃなくて、夫婦漫才できるくらいならオッケー…って、かなり設定に限定が入ってしまう。
@健気(萌え度:★★★★)
最近、好きだと気が付いた。ただし、「鬼畜な攻に対して健気」なのはこれに該当しなくて、誤解や不遇に流されるけど、けっして諦めない健気なタイプ、というのが好き。
@不器用(萌え度:★★★★)
好きだな〜♪…恋に臆病だったりするとツボ。
@メガネ(萌え度:★)
「メガネかけているからダメ」ということはまったくナイのだけど、だからといって「なにがなんでもメガネ」ということもなく…。
@セレブ(萌え度:★★)
受より攻がセレブなほうが需要が大きいんじゃ?…って、世の腐女子の需要よりもアナタ自身の好みはどーなんですか?…と云われそう。そーだな〜…セレブな受にするのならば、下克上モノで。だってセレブ同志はつまんないもーん。
@ヤンキー(萌え度:★)
興味ないみたい。
@極道(萌え度:★★★)
受の場合、できれば経済ヤクザで。ただし、ショボいピンサロ支配人受は困る。
@総括
「普段はちょっとおすましさん?でも実は…」「不器用で強がり」とか、ワケアリが好きみたい。
キャラを挙げるなら、凪(『最後のテロリスト』)。たぶんとーぶん、凪以上は出てこないような気がする。あとやっぱ山内(『聖なる黒夜』)か。その絡みで、椎ちゃん(『エス』)も。
…こんな感じかな?
うむ。今後の自分のため、書いたことを覚えておかねば。
■『傷だらけの愛羅武勇』 彩景でりこ
ISBN:4904101111 ソフトライン東京漫画社 2008/04
東京漫画社のアンソロジー「カタログシリーズ」で、作品が連載されていた彩景でりこさん初の単行本。
東京漫画社は、レーベル名「マーブルコミックス」そのまま、独自の配色によって独自の模様を染め付けた作品を楽しませてくれる、ここ数年で注目され出したBL系出版社。昨年、『くいもの処 明楽』で大ブレイクしたヤマシタトモコは記憶に新しいが、そのほかにも、草間さかえ・黒娜さかき ・ヤマダサクラコ・えすとえむ・蛇龍どくろ・日の本也…といった、作画が本当に上手い作家、上手いのかへタなのかよくわからない作家、ペンネームも真面目なのか不真面目なのかわからない作家――と、個性豊かとしかいえない作家を揃えており、掲載作品の特色としては、「基本的に大人で、フツーのマンガだったら青年誌でも通用しそう」で、BL系出版社のポジションとしては、「セレブとイケメン、ポップでエッチ」なリブレ出版の対極に位置していると思われる。リブレのように「××特集」というアンソロジーを出していても、「東京出版社から出ているアンソロジー」と聞くと、腐女子は「萌えキュン♪より、シブくて大人で変わったものが読めそうだな」と思うだろう。そんな出版社である。
!以下、大したネタバレはしてませんが、いちおう注意報!
最近、BLでもチラホラ見かけるようになったヤンキーものをメインに持ってきた短編集。
ヤンキーはヤンキーでも、彩景さんの場合、女性向けBL誌というより「週刊少年サンデー」に載ってそうな絵柄(「マガジン」ではない。「サンデー」掲載作のほうがスッキリ描線に思えるから)だし、「ボトムをつかんだらパンツまで脱げちゃいました」なベタギャグはもちろん、ボコボコケンカシーンは何回も出てくるし、スネ毛もしっかり描かれてあるので、BLマンガを読んでいる気がしない。でもボーイズラブでエロなシーンはある。それゆえ、「少年誌に出てくる純情路線の本職ヤンキーさん、でもBLなの♪」という感じで、「ああやっぱり、ひと味違う東京漫画社だよね」な印象に落ち着く。
基本的に、表題作以外の作品も充分読める仕上がりになっていて、新人としては及第点以上なため、どこが良くてどこがイマイチ、どうすればどういいのか…といった、新人作家の作品に対する書評となると、実はあまり書くことがない。書くことがあるとすれば、「アナタの好みに合いますか?」「これ、好きですか?」。つまり、絵はスッキリ、キャラはイマドキ、でも読む人…じゃないな、楽しめる人を選ぶ作品なんだと思う。
実は私にはニガテな作風で、思ってたよりも、自分はBLマンガに「少女マンガ」を求めてしまうタイプなんだな、という自覚を促す結果となってしまった。しかも「あ〜、攻と受が逆か〜…」と思わせる作品がほとんどで、とくに百合BL「恋のうずまき」には本気で参った。白旗、降参、ゴメンナサイ。「恋のうずまき」がツボで面白いと感じる人は、東京漫画社が起こした新しい波に乗れるだろう。私は波というより調子に乗って、滑って転んでアイタタタ、あくまでも自分向きでなかっただけ、彩景さんと東京漫画社が悪いのではない。
ただし。滑って転んでアイタタタ…をしても、ずっと転んだまま痛がってたわけではなく、収録作「教習所男」は面白く、立ち上がって大笑いしてしまった。これが一番とっつきやすい内容だったかな。オヤジ属性のある人ならイケるだろう。オススメである。
「とりあえず東京漫画社から出ている本はチェック」派な方、ご自身の目と感性で、この作品をお確かめ下さい。
評価:★★☆(ツボに入る人には★★★★★な作品)
青年誌ではなく少年誌っぽいと書いたのは、113ページの顔アップに、某少年誌掲載作品を思い出させるものがあったから。マジで怖い。かと思ったら、70ページの顔アップは、まるで樹なつみ。よくわかんない。やっぱ「白旗、降参、ゴメンナサイ」か。
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
ISBN:4904101111 ソフトライン東京漫画社 2008/04
喧嘩上等のヤンキー・神田は、負けても懲りずに対マン勝負を挑んでくる1つ年上の上坂サンが大好き★ホントは好きって言いたいのに、素直になれず出るのはいつも拳と暴言ばかり。ついには告白どころか強引に初モノを頂こうとしちゃって!?波乱の初デートから爆走の初Hまで、アホなヤンキー神田とピュア(童貞)で硬派な上坂サンのハイテンションラブコメディー!
東京漫画社のアンソロジー「カタログシリーズ」で、作品が連載されていた彩景でりこさん初の単行本。
東京漫画社は、レーベル名「マーブルコミックス」そのまま、独自の配色によって独自の模様を染め付けた作品を楽しませてくれる、ここ数年で注目され出したBL系出版社。昨年、『くいもの処 明楽』で大ブレイクしたヤマシタトモコは記憶に新しいが、そのほかにも、草間さかえ・黒娜さかき ・ヤマダサクラコ・えすとえむ・蛇龍どくろ・日の本也…といった、作画が本当に上手い作家、上手いのかへタなのかよくわからない作家、ペンネームも真面目なのか不真面目なのかわからない作家――と、個性豊かとしかいえない作家を揃えており、掲載作品の特色としては、「基本的に大人で、フツーのマンガだったら青年誌でも通用しそう」で、BL系出版社のポジションとしては、「セレブとイケメン、ポップでエッチ」なリブレ出版の対極に位置していると思われる。リブレのように「××特集」というアンソロジーを出していても、「東京出版社から出ているアンソロジー」と聞くと、腐女子は「萌えキュン♪より、シブくて大人で変わったものが読めそうだな」と思うだろう。そんな出版社である。
!以下、大したネタバレはしてませんが、いちおう注意報!
最近、BLでもチラホラ見かけるようになったヤンキーものをメインに持ってきた短編集。
ヤンキーはヤンキーでも、彩景さんの場合、女性向けBL誌というより「週刊少年サンデー」に載ってそうな絵柄(「マガジン」ではない。「サンデー」掲載作のほうがスッキリ描線に思えるから)だし、「ボトムをつかんだらパンツまで脱げちゃいました」なベタギャグはもちろん、ボコボコケンカシーンは何回も出てくるし、スネ毛もしっかり描かれてあるので、BLマンガを読んでいる気がしない。でもボーイズラブでエロなシーンはある。それゆえ、「少年誌に出てくる純情路線の本職ヤンキーさん、でもBLなの♪」という感じで、「ああやっぱり、ひと味違う東京漫画社だよね」な印象に落ち着く。
基本的に、表題作以外の作品も充分読める仕上がりになっていて、新人としては及第点以上なため、どこが良くてどこがイマイチ、どうすればどういいのか…といった、新人作家の作品に対する書評となると、実はあまり書くことがない。書くことがあるとすれば、「アナタの好みに合いますか?」「これ、好きですか?」。つまり、絵はスッキリ、キャラはイマドキ、でも読む人…じゃないな、楽しめる人を選ぶ作品なんだと思う。
実は私にはニガテな作風で、思ってたよりも、自分はBLマンガに「少女マンガ」を求めてしまうタイプなんだな、という自覚を促す結果となってしまった。しかも「あ〜、攻と受が逆か〜…」と思わせる作品がほとんどで、とくに百合BL「恋のうずまき」には本気で参った。白旗、降参、ゴメンナサイ。「恋のうずまき」がツボで面白いと感じる人は、東京漫画社が起こした新しい波に乗れるだろう。私は波というより調子に乗って、滑って転んでアイタタタ、あくまでも自分向きでなかっただけ、彩景さんと東京漫画社が悪いのではない。
ただし。滑って転んでアイタタタ…をしても、ずっと転んだまま痛がってたわけではなく、収録作「教習所男」は面白く、立ち上がって大笑いしてしまった。これが一番とっつきやすい内容だったかな。オヤジ属性のある人ならイケるだろう。オススメである。
「とりあえず東京漫画社から出ている本はチェック」派な方、ご自身の目と感性で、この作品をお確かめ下さい。
評価:★★☆(ツボに入る人には★★★★★な作品)
青年誌ではなく少年誌っぽいと書いたのは、113ページの顔アップに、某少年誌掲載作品を思い出させるものがあったから。マジで怖い。かと思ったら、70ページの顔アップは、まるで樹なつみ。よくわかんない。やっぱ「白旗、降参、ゴメンナサイ」か。
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
今週の現状報告と「捕らぬ狸の皮算用」
2008年4月27日 Rotten Sisters!マトモな日記をここしばらく書いていない、あれ?どうやって書いてたっけ?とかなんとか素で思っている自分に、ショックを受けております。1ヶ月にこれだけ更新しなかった月はかつてなかったので、その思いは倍率ドン!さらに倍!そしてガーン!
…というわけで、今回も箇条書きブログです。
■『死ぬまで純愛』(鹿住槙/日本文芸社)を、なんとか書き終えました。
こちら→http://diarynote.jp/d/25683/20080324.html
感想に肝心なこと書くのを忘れたため追記しました(4/28)。
すっごい長いので注意が必要です。途中で読む気がなくなったら、すみません。感想が書かれているブログをほかに見つけることができなかったので、参考になればと思い、真剣に書いたんですけど…よくよく考えてみれば、盛大にネタバレしてるので、作品を読むかどうかの参考にはならないですよね。役立たず。しまったー!
■日本文芸社の「KAREN文庫(Mシリーズ)」は、往年の作品をいろいろ引っ張ってくるレーベルなんですけども、それはたぶん、下請けで編集している秋水社に、昔BL系の雑誌に携わっていた(フリーランス?)編集者の方がいらっしゃって、「まだ文庫化されてないあの作品/絶版した名作を引っ張ってこよう」と、各出版社および作家に、いろいろと交渉してるからなんじゃないでしょうか。JUNEとイマージュ掲載作品が多いようですね。
■…となると、「JUNE系で絶版→再販が望まれているタイトル」の筆頭は、たぶん、エダさんの『魚住くんシリーズ』。ただ…これなあ、絶対に売れるタイトルだと思うし、あんまりKAREN文庫ってイメージじゃないので、引っ張ってこれないような気がする(←大きなお世話)。う〜む。須和雪里さんの『サミア』、佐々木禎子さんの『野菜畑で会うならば』あたりはどうでしょ?…KAREN文庫に合いそうなんだけどなあ>日本文芸社&秋水社さん
■あとは、柏枝先生の『DESPERADOシリーズ』と『厄介な連中』かな?…でも仮に『DESPERADOシリーズ』がKAREN文庫から出るとして、これが本屋さんにタイトル順で棚に並ぶとなると、やっぱ『奴隷船』の隣になるの?……むむ…って、いまからそんな心配を(しかも勝手に)したってアナタ、という話ですね。すみません。
■ちなみに今月は、立花一樹さん『ローマ、残照の記』(平成8年9年?にイマージュクラブ掲載)という作品が出たんですけどね、読んでみて思ったのは――ローマ帝国モノも、やっぱテンプレになるんだな、ということ。ただし、出来自体は昨年の『SASRA』ローマ編より、かなり上です。
■それにしても、KAREN文庫のやることはまったく読めない。ときどき「誰…この人?」という作家の作品を出してくるので、読んでみれば、これが基本的に(某作家の作品以外は)どれもしっかりとした文章を持ったウェルメイドな作品で、しかもなかなかに読ませるんですよね(好みかどうかは別として)。今現在、別ペンネームでなにか書いてるんじゃないかと思うほど。とくに昨年の七宮エリカさん(『淫花』)は、あのしっかりとしたストーリーラインとまとめ方は絶対にプロ、別ペンネームで別ジャンルの活動をしておられるでしょう。どっから引っ張ってくるんだか…。
■外部コメント受付可にしてみました。スパムが来ても手動で削除します。1週間くらいならできるかな。
■英田兄貴の「エス」北米版、洋書密林でただいま予約受付中、現在のレートで915円(税込)…ってなにィ!?日本のSHYノベルスだと903円、たった12円の差!?…そっかそうなのか…メリケンでもその値段なのか。
■佐々木久美子さんのお仕事で気になったこと。今月SHYから出る、いとう由貴さん『そして、裏切りの夜が始まる』と、小説リンクス夜光花さんの『愛されたくない』扉絵の構図がソックリというか、同じなんですが?…二作品とも、佐々木さんが挿絵担当でいらっしゃるので、別にいいんですけど…。
■アンソニー・ミンゲラ監督が三月に亡くなられたと、昨日知りました。まだお若いのに…。ご冥福をお祈りいたします。
■今年の(個人的)目玉大作映画は「インディ4」と「ダークナイト」くらい…あとはウォシャウスキー兄弟の「スピードレーサー」かな、ほかの注目作はなんだかすべて来年、2009年公開作ばかりのように思えます。その来年公開作でまずは「ターミネーター4」、今度のジョン・コナーはクリスチャン・ベイル。彼とさほど年齢が変わらないはずのエドワード・ファーロングは、なにやってんだか…。「G.Iジョー」は、あのチャニング・テイタムくんが主演(たぶん)。もともと彼の役はサム・ワシントンだったそう。ジェイムズ・キャメロンの「Avatar」を選んだので、降板したみたい(でも「ターミネーター4」にも名前がある)。で、その「Avatar」は、果たして2009年にブジ公開できるのでしょうか?
■ジュード・ロウのあの件に関する続報。
↓「ジュード、生え際後退問題を専門家に相談」(ムービーウォーカー)
http://www.walkerplus.com/tokyo/latestmovie/news/news4002.html
(「ロード・トゥ・パーディション」で、あんな役作りしたことを後悔しているに違いない!)
…というわけで、今回も箇条書きブログです。
■『死ぬまで純愛』(鹿住槙/日本文芸社)を、なんとか書き終えました。
こちら→http://diarynote.jp/d/25683/20080324.html
感想に肝心なこと書くのを忘れたため追記しました(4/28)。
すっごい長いので注意が必要です。途中で読む気がなくなったら、すみません。感想が書かれているブログをほかに見つけることができなかったので、参考になればと思い、真剣に書いたんですけど…よくよく考えてみれば、盛大にネタバレしてるので、作品を読むかどうかの参考にはならないですよね。役立たず。しまったー!
■日本文芸社の「KAREN文庫(Mシリーズ)」は、往年の作品をいろいろ引っ張ってくるレーベルなんですけども、それはたぶん、下請けで編集している秋水社に、昔BL系の雑誌に携わっていた(フリーランス?)編集者の方がいらっしゃって、「まだ文庫化されてないあの作品/絶版した名作を引っ張ってこよう」と、各出版社および作家に、いろいろと交渉してるからなんじゃないでしょうか。JUNEとイマージュ掲載作品が多いようですね。
■…となると、「JUNE系で絶版→再販が望まれているタイトル」の筆頭は、たぶん、エダさんの『魚住くんシリーズ』。ただ…これなあ、絶対に売れるタイトルだと思うし、あんまりKAREN文庫ってイメージじゃないので、引っ張ってこれないような気がする(←大きなお世話)。う〜む。須和雪里さんの『サミア』、佐々木禎子さんの『野菜畑で会うならば』あたりはどうでしょ?…KAREN文庫に合いそうなんだけどなあ>日本文芸社&秋水社さん
■あとは、柏枝先生の『DESPERADOシリーズ』と『厄介な連中』かな?…でも仮に『DESPERADOシリーズ』がKAREN文庫から出るとして、これが本屋さんにタイトル順で棚に並ぶとなると、やっぱ『奴隷船』の隣になるの?……むむ…って、いまからそんな心配を(しかも勝手に)したってアナタ、という話ですね。すみません。
■ちなみに今月は、立花一樹さん『ローマ、残照の記』(平成8年9年?にイマージュクラブ掲載)という作品が出たんですけどね、読んでみて思ったのは――ローマ帝国モノも、やっぱテンプレになるんだな、ということ。ただし、出来自体は昨年の『SASRA』ローマ編より、かなり上です。
■それにしても、KAREN文庫のやることはまったく読めない。ときどき「誰…この人?」という作家の作品を出してくるので、読んでみれば、これが基本的に(某作家の作品以外は)どれもしっかりとした文章を持ったウェルメイドな作品で、しかもなかなかに読ませるんですよね(好みかどうかは別として)。今現在、別ペンネームでなにか書いてるんじゃないかと思うほど。とくに昨年の七宮エリカさん(『淫花』)は、あのしっかりとしたストーリーラインとまとめ方は絶対にプロ、別ペンネームで別ジャンルの活動をしておられるでしょう。どっから引っ張ってくるんだか…。
■外部コメント受付可にしてみました。スパムが来ても手動で削除します。1週間くらいならできるかな。
■英田兄貴の「エス」北米版、洋書密林でただいま予約受付中、現在のレートで915円(税込)…ってなにィ!?日本のSHYノベルスだと903円、たった12円の差!?…そっかそうなのか…メリケンでもその値段なのか。
■佐々木久美子さんのお仕事で気になったこと。今月SHYから出る、いとう由貴さん『そして、裏切りの夜が始まる』と、小説リンクス夜光花さんの『愛されたくない』扉絵の構図がソックリというか、同じなんですが?…二作品とも、佐々木さんが挿絵担当でいらっしゃるので、別にいいんですけど…。
■アンソニー・ミンゲラ監督が三月に亡くなられたと、昨日知りました。まだお若いのに…。ご冥福をお祈りいたします。
■今年の(個人的)目玉大作映画は「インディ4」と「ダークナイト」くらい…あとはウォシャウスキー兄弟の「スピードレーサー」かな、ほかの注目作はなんだかすべて来年、2009年公開作ばかりのように思えます。その来年公開作でまずは「ターミネーター4」、今度のジョン・コナーはクリスチャン・ベイル。彼とさほど年齢が変わらないはずのエドワード・ファーロングは、なにやってんだか…。「G.Iジョー」は、あのチャニング・テイタムくんが主演(たぶん)。もともと彼の役はサム・ワシントンだったそう。ジェイムズ・キャメロンの「Avatar」を選んだので、降板したみたい(でも「ターミネーター4」にも名前がある)。で、その「Avatar」は、果たして2009年にブジ公開できるのでしょうか?
■ジュード・ロウのあの件に関する続報。
↓「ジュード、生え際後退問題を専門家に相談」(ムービーウォーカー)
http://www.walkerplus.com/tokyo/latestmovie/news/news4002.html
(「ロード・トゥ・パーディション」で、あんな役作りしたことを後悔しているに違いない!)
■「2007年ちょっとだけ映画感想&デキゴトロジー」に着手しようかと思ったら、いきなり「AmazonのWebServiceの仕様変更により現在対応中です」で、密林画像出ず。やる気がふっ飛びました。せっかくのやる気がー!どーしてくれるー!こちとら気分屋でーいっ!
■個人的に大ファン、いつも楽しい映画感想をお書きになっている「シネマの風」の蛍風さんが、ビデオ屋さんをお辞めになったそうで、大変ビックリ致しました。お会いしたことも、店内で騒ぐお子様や、商品を元の棚に戻さないお客様に振り回されながらお仕事されているお姿を拝見したこともありませんでしたが、なんだかちょっぴり淋しい気持ちになっている私です。長い間(ですよね?)、本当にお疲れ様でした。でも感想をお書きになるのは、おやめにならないで下さいねー!…って、最近映画感想(および映画ネタ)を、あまり書かなくなった私が云っても…。あ、「007とロブ・シュナイダーとお城がお好きなスウィートテンダイアモンド鉄ちゃん」の相方さんと、キュートなワンコ(はなちゃん?ハナちゃん?HANAちゃん?)にもよろしくお伝え下さーい!…ファンだからけっこう詳しい私。
■夜霧さんはご多忙中なのでしょうか…。
「バトルくん、優勝おめでとー♪」(…とお伝えしたかった)
…ら、お元気のご様子。よかったよかった♪
■Dさんはご多忙中ですねー、罰ゲーム、楽しみです♪(…ひとごとだからって…)
■海外からのコメントスパムが止まらず、ここ数日は「朝起きて10件削除、帰宅して10件削除」の繰り返しでした。1日20件だけで力尽きてしまい、現在は「Dairy Noteユーザーのみコメント受付」中になっています。外部の方、なにかご連絡がございましたら、すみません、秋林堂までお願いします。
■『死ぬまで純愛』『帝都万華鏡 梔子香る夜を束ねて』は、日曜日書きます。時間作ったもんねー!うおー!
■『青春♂ソバット』重版出来。現在、密林や楽天でも買えます(確認しました!押忍!)。「秋林さん、『ソバット』の感想はアップしないの?」と訊かれましたが、密林画像が出たら書こうかなあ…という感じです。ところで、第2刷ってオビついてるの?ついてなきゃヤダー!
■その『青春♂ソバット』を大絶賛しているのは、私というより実はオッシーのほうで、ヤツいわく「この本に描かれているのは僕、まさに僕の青春ですっ!」。まあ、私も似たような青い春を送ったような気も…ってそれより…ちょっとちょっと!ねえ!オッシーはどっちだったの?有田?やっぱ白洲? ←「やっぱ」ってなんだー!?
■今日、本屋さんで木原音瀬の新刊『FRAGILE』を購入したら、ピカピカ&キラキラピンクのオビが巻かれてあり「電撃+b-boy 創刊」の文字が。で…でんげき!?b-boy(リブレ)とのコラボ!?…アスキー・メディアワークスからBLレーベル「B‐PRINCE文庫」誕生、BL界に「電撃」参入!…アタシこの前、←でリンクしているボースンさんに「私は電撃系のライトノベルは読まないのですが」と云ったばかりだったのにー!…しっかし、創刊のラインナップに「木原音瀬」と「南原兼」が並ぶとは。幅広い層狙い?…って、何万光年離れた層なんだか。
■その木原さんの新刊、オビに助けられますので、みなさんオビを取らないように(ちょうど隠れるんですってば!)。いや違うな、オビが巻かれてある新刊のうちにご購入を。しっかし、本屋さんで手にとって確認しながら買ったというのに、「木原音瀬の本を私は買った」という実感がなかなかわかず、「??なんでだ?なぜ手ごたえがないのだ??」とレジに並びながら、しばし考えてしまったんですけどね、1分間考えて出た答えが――「(たぶん)文庫だから」。いっつも800円以上のノベルス装丁ですもの、木原さんの本は。文庫では違和感があるんですよー(私だけ?)。
■なお、『FRAGILE』に続いて今月コノハラノベルスHolly Novelsから出る予定だった『NOW HERE(仮)』は、5月に延期だそうです。
■『FRAGILE』を読了。↑で「『木原音瀬の本を私は買った』という実感がなかなかわかない」と書きましたが、読んでみて「こんなの、木原音瀬しか書かねーよ!(書けねーよ、ではなく)」と、後頭部を思いっきり殴られたような気分を味わったのでした。恐るべし。どんな局面を迎えようと結局はホレたほうが負けなのよね、っつー話でした。はい。「行為はSでも心はM」(合言葉です。声を出して読みましょう)、不器用ラブ模様にフレキシブルな対応(≒「あーキミたち、わかったわかった、一生そうやってなさい」)が可能で、あとがきを読まなくても最後の一行を理解できるという自負のあるアダルトなアナタに。電車の中で立って読む際は、挿絵カバーのハガキを忘れずに。
■木原さん関連でもうひとつ。←でリンクしている砂姫さんと『美しいこと』に関する感想を語り合ってます。楽しいです♪
ご興味のある方は←サイドバーで砂姫さんのブログまでお訪ね下さいませ。
■参考「木原作品のイメージと感想」
http://diarynote.jp/d/25683/20070712.html
(けっこう長い感想です。キラキラ表紙のアレなんですけどね)
■←のサイドバーにある「Rotten Sisters!(BL系)」をクリックして頂くと、いろいろBLレビューやデキゴトロジーが出てきます。新人作家作品は意図してレビュー(批評)風、既成作家作品は感想がメイン、というスタンスで書いています。
■個人的に大ファン、いつも楽しい映画感想をお書きになっている「シネマの風」の蛍風さんが、ビデオ屋さんをお辞めになったそうで、大変ビックリ致しました。お会いしたことも、店内で騒ぐお子様や、商品を元の棚に戻さないお客様に振り回されながらお仕事されているお姿を拝見したこともありませんでしたが、なんだかちょっぴり淋しい気持ちになっている私です。長い間(ですよね?)、本当にお疲れ様でした。でも感想をお書きになるのは、おやめにならないで下さいねー!…って、最近映画感想(および映画ネタ)を、あまり書かなくなった私が云っても…。あ、「007とロブ・シュナイダーとお城がお好きなスウィートテンダイアモンド鉄ちゃん」の相方さんと、キュートなワンコ(はなちゃん?ハナちゃん?HANAちゃん?)にもよろしくお伝え下さーい!…ファンだからけっこう詳しい私。
■夜霧さんはご多忙中なのでしょうか…。
「バトルくん、優勝おめでとー♪」(…とお伝えしたかった)
…ら、お元気のご様子。よかったよかった♪
■Dさんはご多忙中ですねー、罰ゲーム、楽しみです♪(…ひとごとだからって…)
■海外からのコメントスパムが止まらず、ここ数日は「朝起きて10件削除、帰宅して10件削除」の繰り返しでした。1日20件だけで力尽きてしまい、現在は「Dairy Noteユーザーのみコメント受付」中になっています。外部の方、なにかご連絡がございましたら、すみません、秋林堂までお願いします。
■『死ぬまで純愛』『帝都万華鏡 梔子香る夜を束ねて』は、日曜日書きます。時間作ったもんねー!うおー!
■『青春♂ソバット』重版出来。現在、密林や楽天でも買えます(確認しました!押忍!)。「秋林さん、『ソバット』の感想はアップしないの?」と訊かれましたが、密林画像が出たら書こうかなあ…という感じです。ところで、第2刷ってオビついてるの?ついてなきゃヤダー!
■その『青春♂ソバット』を大絶賛しているのは、私というより実はオッシーのほうで、ヤツいわく「この本に描かれているのは僕、まさに僕の青春ですっ!」。まあ、私も似たような青い春を送ったような気も…ってそれより…ちょっとちょっと!ねえ!オッシーはどっちだったの?有田?やっぱ白洲? ←「やっぱ」ってなんだー!?
■今日、本屋さんで木原音瀬の新刊『FRAGILE』を購入したら、ピカピカ&キラキラピンクのオビが巻かれてあり「電撃+b-boy 創刊」の文字が。で…でんげき!?b-boy(リブレ)とのコラボ!?…アスキー・メディアワークスからBLレーベル「B‐PRINCE文庫」誕生、BL界に「電撃」参入!…アタシこの前、←でリンクしているボースンさんに「私は電撃系のライトノベルは読まないのですが」と云ったばかりだったのにー!…しっかし、創刊のラインナップに「木原音瀬」と「南原兼」が並ぶとは。幅広い層狙い?…って、何万光年離れた層なんだか。
■その木原さんの新刊、オビに助けられますので、みなさんオビを取らないように(ちょうど隠れるんですってば!)。いや違うな、オビが巻かれてある新刊のうちにご購入を。しっかし、本屋さんで手にとって確認しながら買ったというのに、「木原音瀬の本を私は買った」という実感がなかなかわかず、「??なんでだ?なぜ手ごたえがないのだ??」とレジに並びながら、しばし考えてしまったんですけどね、1分間考えて出た答えが――「(たぶん)文庫だから」。いっつも800円以上のノベルス装丁ですもの、木原さんの本は。文庫では違和感があるんですよー(私だけ?)。
■なお、『FRAGILE』に続いて今月
■『FRAGILE』を読了。↑で「『木原音瀬の本を私は買った』という実感がなかなかわかない」と書きましたが、読んでみて「こんなの、木原音瀬しか書かねーよ!(書けねーよ、ではなく)」と、後頭部を思いっきり殴られたような気分を味わったのでした。恐るべし。どんな局面を迎えようと結局はホレたほうが負けなのよね、っつー話でした。はい。「行為はSでも心はM」(合言葉です。声を出して読みましょう)、不器用ラブ模様にフレキシブルな対応(≒「あーキミたち、わかったわかった、一生そうやってなさい」)が可能で、あとがきを読まなくても最後の一行を理解できるという自負のあるアダルトなアナタに。電車の中で立って読む際は、挿絵カバーのハガキを忘れずに。
■木原さん関連でもうひとつ。←でリンクしている砂姫さんと『美しいこと』に関する感想を語り合ってます。楽しいです♪
ご興味のある方は←サイドバーで砂姫さんのブログまでお訪ね下さいませ。
■参考「木原作品のイメージと感想」
http://diarynote.jp/d/25683/20070712.html
(けっこう長い感想です。キラキラ表紙のアレなんですけどね)
■←のサイドバーにある「Rotten Sisters!(BL系)」をクリックして頂くと、いろいろBLレビューやデキゴトロジーが出てきます。新人作家作品は意図してレビュー(批評)風、既成作家作品は感想がメイン、というスタンスで書いています。
『青春♂ソバット』重版のお知らせ
2008年3月30日 Rotten Sisters! コメント (5)
■『青春♂ソバット 』
ISBN:4091884040 コミック 黒娜 さかき 小学館 2008/02 ¥590
♪ぴんぽんぱんぽ〜ん♪
突然ですが、お知らせです。
このまますんごい傑作が突然現れなければ、「秋林の2008年上半期BLコミックNo.1作品」になりそう、そして今年もっともホットなBLとして(たぶん)話題になりそうな『青春♂ソバット』が、4月1日重版だそうです。ちゃんと小学館IKKI公式サイトで確認しました。黒娜さんのブログによると「発行は4/6」だそう。
↓黒娜さかきさんのブログ『namakurameme』
http://namakurameme.jugem.jp/
(微力ながら、私も販促お手伝いします!押忍!)
アンケート申し込まなきゃーきゃーきゃー♪…だって応募者全員に、「ソバット版『サルでも描ける801教室』という有田、白洲のショートコントマンガw」配布なんだもーん。ちなみにそのアンケートで笑ったのは、設問「青春ソバット1の購入動機は」と「今後気になるのはやっぱり」。「まさかBL本だとは思わず間違えて買った」という方、いそうです。
それにしても、IKKIはあなどれません。
「友情と欲情の間で揺れる男子高校生たちのチン道中をボーイズ・ラブ界の精鋭が描く、イッキ発BL道!!」(IKKI公式サイトより)
いちおうIKKIは創刊時代からチェックしてましたが(茶屋町さんのサイン本『あざ』持ってるもん!「あきりんさんへ」ってちゃんと書いてあるもん!)、黒娜さんの作品が載るとは思っていなかったので、第1回を見たときはビックリしましたよ(捨井さんや語さんじゃないところがIKKIらしいけど)。IKKIは(オノさんや小野塚カホリがお描きになっているとはいえ)基本的に青年誌ですから。あ、でも「コダワリ青年誌」になるか…ま、いいや。女性作家の起用が多いし、BL作家まで引っ張ってくるので、IKKI編集部(あと東京漫画社も)はマジであなどれませ−ん。
男性にBLをオススメする気はナイけれど、ちょっと見てみたいという方には、この『青春♂ソバット』を。IKKIだと手に取りやすいですしね、ソッチ系が載ってるとは思われないだろうし。
で、私め、考えたんですけど…
「青年誌でBLを読めるのはIKKIだけ!」
…っつーのを、『青春♂ソバット』のハシラ惹句にどうですか?>小学館IKKI編集部担当さん
というわけで、「品切れで買えない!」と嘆いていた方、重版ですよ、「ヤフオクなんかで買ったりしないで」待ちましょう、というお知らせでした。
ISBN:4091884040 コミック 黒娜 さかき 小学館 2008/02 ¥590
純情王道童貞男子×ゲイ達者男子の可愛くもギリギリの青春譜。友情と欲情の間で揺れる男子高校生たちのチン道中をボーイズ・ラブ界の精鋭が描く、イッキ発BL道!!
▼第1話/ボディー・ブロー▼第2話/ネリチャギ▼第3話/サマーソルトキックI▼第4話/サマーソルトキックII▼第5話/サマーソルトキックIII▼第6話/エスキーヴァ
●主な登場人物/有田悠人(この春、桜学園に入学した高校1年生。男子。ハーレムを夢見ていたのだが…)、白洲雅寛(有田の同級生。真性のゲイだが、オッサン趣味らしい)
●あらすじ/今年から男女共学になったばかりの元お嬢さん高校・桜学園。そんな“女の園”に男子学生の一期生として入学した有田悠人は、憧れのハーレム生活を思い描くも、特にモテることもない残念な日常を過ごしていた。そんなある日、自分が恋のキューピッドのつもりになっていた男女の前で、よりによって♂のほうの同級生・白洲に突然チューされたことから…?(第1話)
●本巻の特徴/誰もが恋の予感にときめく高校1年生。でもそこに、1人のゲイが加わると…!? 純情童貞男子・有田とクールなゲイ達者・白州が織りなす、つむじ曲がりな青春模様、第1集!!
♪ぴんぽんぱんぽ〜ん♪
突然ですが、お知らせです。
このまますんごい傑作が突然現れなければ、「秋林の2008年上半期BLコミックNo.1作品」になりそう、そして今年もっともホットなBLとして(たぶん)話題になりそうな『青春♂ソバット』が、4月1日重版だそうです。ちゃんと小学館IKKI公式サイトで確認しました。黒娜さんのブログによると「発行は4/6」だそう。
↓黒娜さかきさんのブログ『namakurameme』
http://namakurameme.jugem.jp/
(微力ながら、私も販促お手伝いします!押忍!)
アンケート申し込まなきゃーきゃーきゃー♪…だって応募者全員に、「ソバット版『サルでも描ける801教室』という有田、白洲のショートコントマンガw」配布なんだもーん。ちなみにそのアンケートで笑ったのは、設問「青春ソバット1の購入動機は」と「今後気になるのはやっぱり」。「まさかBL本だとは思わず間違えて買った」という方、いそうです。
それにしても、IKKIはあなどれません。
「友情と欲情の間で揺れる男子高校生たちのチン道中をボーイズ・ラブ界の精鋭が描く、イッキ発BL道!!」(IKKI公式サイトより)
いちおうIKKIは創刊時代からチェックしてましたが(茶屋町さんのサイン本『あざ』持ってるもん!「あきりんさんへ」ってちゃんと書いてあるもん!)、黒娜さんの作品が載るとは思っていなかったので、第1回を見たときはビックリしましたよ(捨井さんや語さんじゃないところがIKKIらしいけど)。IKKIは(オノさんや小野塚カホリがお描きになっているとはいえ)基本的に青年誌ですから。あ、でも「コダワリ青年誌」になるか…ま、いいや。女性作家の起用が多いし、BL作家まで引っ張ってくるので、IKKI編集部(あと東京漫画社も)はマジであなどれませ−ん。
男性にBLをオススメする気はナイけれど、ちょっと見てみたいという方には、この『青春♂ソバット』を。IKKIだと手に取りやすいですしね、ソッチ系が載ってるとは思われないだろうし。
で、私め、考えたんですけど…
「青年誌でBLを読めるのはIKKIだけ!」
…っつーのを、『青春♂ソバット』のハシラ惹句にどうですか?>小学館IKKI編集部担当さん
というわけで、「品切れで買えない!」と嘆いていた方、重版ですよ、「ヤフオクなんかで買ったりしないで」待ちましょう、というお知らせでした。
■『帝都万華鏡 梔子香る夜を束ねて』 鳩かなこ
ISBN:4062865173 挿絵:今 市子 講談社 2008/03/03 ¥630
ある程度読み進めれば、おのずと展開の予想はついてしまう、美しい予定調和をみせていくストーリーを追っかけるよりは、その絡みついてくる独特な文章による場面描写を読んでいるほうが断然面白い、鳩かなこさんのデビュー作『帝都万華鏡 桜の頃を過ぎても』に、脇キャラとして登場した春洋が主人公のスピンオフ作品。
前作を読んだとき、琢馬視点での京介描写がひどく冷たく(琢馬が鈍感だから余計?)、「なんだ京介ってヤツは、自分の興味のない人間は視界に入ってこない男なのか」と思ってしまい、いくらあとになって「誤解されがちだが、実は情の深い男」とわかっても、京介が琢馬の才能に気付かなければ、その存在すら背景にしていたのか、才能がすべてというのも残酷な話だよなと、のっけから京介→琢馬に萎えてしまった。その代わりというか、ふたりの共通の友人として登場した画家の春洋がひどく魅力的で、「ああ、この人の話が読みたいなあ」と思ってたら、やっぱり出た。
前作では京介と琢馬の視点チェンジがあったが、本作では春洋視点のみ。ストーリーは、勘違いから出会った紘彦に、いつしか恋をしていく春洋の心の移り変わり、そして、鳩さんの頭の中にある美しい大正浪漫(というより「大正ファンタジィ」といったほうが近いような)の世界に生きる人々を描いた大河風ドラマで、相変わらず霞のかかった美しさが出来上がっている時代ものである。
前作同様、ワンジャンルオンリーな大正浪漫、しかもすべてが「鳩かなこ様式」に則った、どこまでも美しい世界。個性的といえば個性的だし、文章も上手いといえば上手いんだけれども、そのぶんを差し引くかのようにストーリーは凡庸で、「春洋と紘彦はこの先どうなるの?」という、ページを急いで捲りたくなるような恋が描かれているわけではない。簡単に云ってしまうと、「ああ、よくできてるなあ、でもいつかどこかで読んだような話、安心して眺めていられる」。独特な文章と大正浪漫は好みの問題になるので、評価の分かれ目はそこにあるような気がする。
いまどきのBLと比較して珍しいと思うのは、独特の文章より、主人公の視点と視線にゆるぎがないこと。京介と琢馬の間でフラフラしていた1作目より、ずっといい。フツーのBLに慣れていると「紘彦の心情がよくわからない、もっと描いて欲しい」と思うところだろうが、鳩さんは「自分の中の大正浪漫に棲む、恋する春洋」を大フィーチャーしたかったのではないかと思うので、紘彦の気持ちがよく見えないのは仕方がないというか、実はそれがもっともリアルな片思い(=一方だけが相手を恋い慕うこと)描写なんじゃないだろうか。本当は両思いなのに、ちょっとひねくれて素直になれない春洋を読んでいて、私は楽しかった。
歴史的には激動だったとしても、大正時代の人々の暮らしや考え方は、情報に溢れ、西洋文化が入り組んだいまの時代より、純日本的かつゆっくりとしていたものだと思うので、「見えないじれったさ」「ふたりの間の距離」が、全体によく表れていた作品といえる。私は大正ロマニストではないが、そんな時代と人々を美しいと感じ、憧れ、描きたいと思う鳩さんの気持ちがわかる気がする(だから「箱庭的」「霞がかった美しさ」で作品が出来上がっている。いい意味での「ウェルメイド」)。たとえ史実と違う大正だったとしても…それはそれでいいじゃないの。大正浪漫萌えしたもん勝ちだ。
鳩さんの描く人物はみな大人である。後半、春洋となにやら関係のあった恩師(BL風にいうと当て馬)が突然出てくるが、さら〜っとしか描かれない。ここも人によっては「もっとちゃんと当て馬との過去を書いてよ」と思うところだろうが、私はいいじゃないのそれで、と思う。「昔、いろいろありました」――大人なんだから、そんなことのひとつやふたつ、あるでしょ?…他人にベラベラと語りたくないことが、ね。
今後の問題と不安は、鳩さんの発表する作品がずっとこの路線なのかということ。もしそうならば、熱狂的なファンを生むと同時に、読者層を限定してしまい、「入り込めない」と一度読んで終わってしまう読み手も出てくるはず。ちょっともったいない。文章が独特なわりにストーリーが凡庸なのも、悪い意味でウェルメイドな印象を与えるので気になる。そして最大の不安は、好きなものを夢中で書いているのはわかる、でもどこまで読み手を意識しているのかなあ、ということ。こういう作家は――そうだな、他の作家なら松田美優あたりにも感じる――書きたいものがなくなったら、どうするのだろう?…寡作でもいいので、できれば長く活動して欲しい――余計なお世話かもしれないが。
絵師の今市子さんについて少し。今センセは、ホクリークを代表する漫画家(富山ご出身)であり、私も鼻高々、BL・非BL問わず作品は面白く、その画力と麗しさは素晴らしい!と常々思っているのだが、BL挿絵師となると……どの作品もピンとこない。表紙カバー絵は美しいのだが、挿画はフツー、可もなく不可もなくというレベル。う〜ん。まあ今回は、鳩さんが新人ながらもひっじょーに筆力のある作家なので、文章にマッチする挿絵を描ける絵師はもともといない、今センセの麗しさを以ってしてもむずかしいんだよ、という話なのかもしれない。
評価:★★★★(1作目より面白い。今後に不安はあるけれど)
新刊時に巻かれているオビ。色を指定するのは担当さん?それとも作家?…鳩さんの作品は、タイトル通り「万華鏡」的に、古式ゆかしき大和色の鮮やかさがあり(私の、そしてたぶん鳩さんの頭の中で)、春洋については「男が身につけない色を頓着なく身につけるから、珍しい感性だと、同級生に腐されたこともある」と出てくる。その色が薄桃色(襦袢)で、とても印象的だった。そして読了後、本にぴたりと巻かれているオビが、まさにその薄桃色であることに気が付いた。深読みしすぎかもしれないけれど、もし狙ってその色にしたのならば、指摘されると嬉しいんじゃないかと思うので、いい感じ、グッジョブだったと書いておく。
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■『帝都万華鏡 桜の頃を過ぎても』の感想
こちら→http://diarynote.jp/d/25683/20080202.html
ISBN:4062865173 挿絵:今 市子 講談社 2008/03/03 ¥630
すべては勘違いからはじまった――。
ときは大正。女たちがひしめき合う吉原遊廓で生まれ育った横山春洋は、帝都の一高をやめ、いまは京都で絵画を学ぶ身。久しぶりの実家で座敷にあがった春洋は、馴染み客の息子・岡野紘彦と出逢う。紘彦からのまっすぐで無垢な求愛に、心惑わされる春洋。惹かれ合うもすれ違うふたりは――。濃艶な文体で綴られる、切ない恋物語。待望のシリーズ第2弾!
ある程度読み進めれば、おのずと展開の予想はついてしまう、美しい予定調和をみせていくストーリーを追っかけるよりは、その絡みついてくる独特な文章による場面描写を読んでいるほうが断然面白い、鳩かなこさんのデビュー作『帝都万華鏡 桜の頃を過ぎても』に、脇キャラとして登場した春洋が主人公のスピンオフ作品。
前作を読んだとき、琢馬視点での京介描写がひどく冷たく(琢馬が鈍感だから余計?)、「なんだ京介ってヤツは、自分の興味のない人間は視界に入ってこない男なのか」と思ってしまい、いくらあとになって「誤解されがちだが、実は情の深い男」とわかっても、京介が琢馬の才能に気付かなければ、その存在すら背景にしていたのか、才能がすべてというのも残酷な話だよなと、のっけから京介→琢馬に萎えてしまった。その代わりというか、ふたりの共通の友人として登場した画家の春洋がひどく魅力的で、「ああ、この人の話が読みたいなあ」と思ってたら、やっぱり出た。
前作では京介と琢馬の視点チェンジがあったが、本作では春洋視点のみ。ストーリーは、勘違いから出会った紘彦に、いつしか恋をしていく春洋の心の移り変わり、そして、鳩さんの頭の中にある美しい大正浪漫(というより「大正ファンタジィ」といったほうが近いような)の世界に生きる人々を描いた大河風ドラマで、相変わらず霞のかかった美しさが出来上がっている時代ものである。
前作同様、ワンジャンルオンリーな大正浪漫、しかもすべてが「鳩かなこ様式」に則った、どこまでも美しい世界。個性的といえば個性的だし、文章も上手いといえば上手いんだけれども、そのぶんを差し引くかのようにストーリーは凡庸で、「春洋と紘彦はこの先どうなるの?」という、ページを急いで捲りたくなるような恋が描かれているわけではない。簡単に云ってしまうと、「ああ、よくできてるなあ、でもいつかどこかで読んだような話、安心して眺めていられる」。独特な文章と大正浪漫は好みの問題になるので、評価の分かれ目はそこにあるような気がする。
いまどきのBLと比較して珍しいと思うのは、独特の文章より、主人公の視点と視線にゆるぎがないこと。京介と琢馬の間でフラフラしていた1作目より、ずっといい。フツーのBLに慣れていると「紘彦の心情がよくわからない、もっと描いて欲しい」と思うところだろうが、鳩さんは「自分の中の大正浪漫に棲む、恋する春洋」を大フィーチャーしたかったのではないかと思うので、紘彦の気持ちがよく見えないのは仕方がないというか、実はそれがもっともリアルな片思い(=一方だけが相手を恋い慕うこと)描写なんじゃないだろうか。本当は両思いなのに、ちょっとひねくれて素直になれない春洋を読んでいて、私は楽しかった。
歴史的には激動だったとしても、大正時代の人々の暮らしや考え方は、情報に溢れ、西洋文化が入り組んだいまの時代より、純日本的かつゆっくりとしていたものだと思うので、「見えないじれったさ」「ふたりの間の距離」が、全体によく表れていた作品といえる。私は大正ロマニストではないが、そんな時代と人々を美しいと感じ、憧れ、描きたいと思う鳩さんの気持ちがわかる気がする(だから「箱庭的」「霞がかった美しさ」で作品が出来上がっている。いい意味での「ウェルメイド」)。たとえ史実と違う大正だったとしても…それはそれでいいじゃないの。大正浪漫萌えしたもん勝ちだ。
鳩さんの描く人物はみな大人である。後半、春洋となにやら関係のあった恩師(BL風にいうと当て馬)が突然出てくるが、さら〜っとしか描かれない。ここも人によっては「もっとちゃんと当て馬との過去を書いてよ」と思うところだろうが、私はいいじゃないのそれで、と思う。「昔、いろいろありました」――大人なんだから、そんなことのひとつやふたつ、あるでしょ?…他人にベラベラと語りたくないことが、ね。
今後の問題と不安は、鳩さんの発表する作品がずっとこの路線なのかということ。もしそうならば、熱狂的なファンを生むと同時に、読者層を限定してしまい、「入り込めない」と一度読んで終わってしまう読み手も出てくるはず。ちょっともったいない。文章が独特なわりにストーリーが凡庸なのも、悪い意味でウェルメイドな印象を与えるので気になる。そして最大の不安は、好きなものを夢中で書いているのはわかる、でもどこまで読み手を意識しているのかなあ、ということ。こういう作家は――そうだな、他の作家なら松田美優あたりにも感じる――書きたいものがなくなったら、どうするのだろう?…寡作でもいいので、できれば長く活動して欲しい――余計なお世話かもしれないが。
絵師の今市子さんについて少し。今センセは、ホクリークを代表する漫画家(富山ご出身)であり、私も鼻高々、BL・非BL問わず作品は面白く、その画力と麗しさは素晴らしい!と常々思っているのだが、BL挿絵師となると……どの作品もピンとこない。表紙カバー絵は美しいのだが、挿画はフツー、可もなく不可もなくというレベル。う〜ん。まあ今回は、鳩さんが新人ながらもひっじょーに筆力のある作家なので、文章にマッチする挿絵を描ける絵師はもともといない、今センセの麗しさを以ってしてもむずかしいんだよ、という話なのかもしれない。
評価:★★★★(1作目より面白い。今後に不安はあるけれど)
新刊時に巻かれているオビ。色を指定するのは担当さん?それとも作家?…鳩さんの作品は、タイトル通り「万華鏡」的に、古式ゆかしき大和色の鮮やかさがあり(私の、そしてたぶん鳩さんの頭の中で)、春洋については「男が身につけない色を頓着なく身につけるから、珍しい感性だと、同級生に腐されたこともある」と出てくる。その色が薄桃色(襦袢)で、とても印象的だった。そして読了後、本にぴたりと巻かれているオビが、まさにその薄桃色であることに気が付いた。深読みしすぎかもしれないけれど、もし狙ってその色にしたのならば、指摘されると嬉しいんじゃないかと思うので、いい感じ、グッジョブだったと書いておく。
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■『帝都万華鏡 桜の頃を過ぎても』の感想
こちら→http://diarynote.jp/d/25683/20080202.html
■『死ぬまで純愛』 鹿住 槙
ISBN:4537141174 挿絵:津寺里可子 日本文芸社 2008/03 ¥630
10代の頃の自分はいったいどんなことを考え、なにに感動し、笑い、怒り、そして泣いたのか。学校の友だちと交わした、たぶん他愛もなかっただろう話題は、なんだったのか――存外遠くなってしまった昔日の日々に、ふと思いを馳せるときがある。
私の好きな1冊『ぼくは勉強ができない』のあとがきで、作者の山田詠美が、「私は、同時代性というものを信じない。時代のまっただなかにいる者に、その時代を読み取ることは難しい。叙情は常に遅れてやって来た客観性の中に存在するし、自分の内なる倫理は過去の積木の隙間に潜むものではないだろうか。私にとっての高校時代は、もう既に、はるか昔のことである」と書いていて、それを読んだとき、まったく以ってその通り、なんて至極もっともなことだと思った。
続けて山田詠美は、「進歩しなくてもいい領域を知るのが大人になること」であり、それを『ぼくは勉強ができない』で書きたかったと書いていて、ああ、なるほど、たしかに『ぼくは〜』はそんな話、じゃあ、たった10数年しか生きていない高校生の、大人の視点でみれば青くてつたないのだけれども、本人たちはいたって本気、狭くて浅いそれがすべての領域だったという、テンポラリーに「切った」話はないだろうか、と思っていたら、日本文芸社からズバリそれをついた、鹿住槙の『死ぬまで純愛』が出た。一般小説とBLを比較するな、と云われるかもしれないが、私はいたって真面目にそう思っている。
!以下、盛大にネタバレ注意報!
「僕があいつであいつが僕で」、いわゆる人格・身体入れ替わりモノ。ポイントは、主人公の認が入れ替わるのは男の子ではなく女の子、しかも親友で憧れを抱いていた同級生・高志の彼女という設定。なぜ入れ替わったのか。湖で溺れたふたりのどちらかを助けてやろうと云われ(つまりどちらかは死ぬことになる)、高志がとっさに望んだのは「心は認、体は楡崎(彼女)」、そのため、目覚めてみれば認は女の子になっていたという、入れ替わりの理由付けに、寓話「金の斧・銀の斧」を引用した話である。
認の一人称でストーリーが進行するため、高志が認をどう思っているのかは、わからないことになっているが(しかも高志は彼女持ちである)、「どちらかを選べない」と云いながら「心は認、体は楡崎(彼女)」と願いを乞うた時点で、高志は認を好きなのだと読み手は気がつくだろう。湖の精(?)を信じて願ったあたりは子供っぽく純粋なのだが、のちに高志も告白するように、「認が女になってしまえば、男同士というハードルは乗り越えられる」と咄嗟に打算が働いたわけで、彼女なのに心を否定された楡崎と、男なのに女を強いられることになる認には、たいへん残酷な仕打ちである。
あらすじを読むと、高志が残酷で鬼畜な少年であり、認をひどい目に遭わせるだけの、黒さと痛さに満ちた青春残酷ストーリーのように思えるが、そうではない。たしかに、混乱する認に高志はあるひどい行為をするし、その言動も身勝手なものではある。がしかし、認は認でやられっぱなしなわけではなく、真剣に楡崎の死について考え、高志に問い、10代で逝ってしまった彼女の存在意義を語り、高志は高志で「自分が好きなのは、残酷な目に遭わせて手に入れた認なのか、それでいいのか」を悩み、認が元に戻る方法を知りながら、戻ったときに彼を失うかもしれない怯えとの葛藤に苦しむ。
楡崎の死には、入れ替り以外のある真実が隠されている。それを知りながら、知らないふりをしていたふたりの罪。死に慣れていない高校生にとって、クラスメイトの死はなおさらに衝撃だったはず。がむしゃらに何かを求めること自体はいい。ただそれをすることによって、誰かを深く大きく傷つける可能性があるということを、高志は思い知る。そして認が最後に選択したのは「高志のそばにいること」、つまり「楡崎が一番嫌がること」。
認が高志に云う、「一生、純愛しよう」という言葉。
綺麗ごとだ、まだ10数年しか生きていないくせに、バトルフィールドという社会に出て、さまざまな風を受けてみろよ、そんな甘ったるいこというな、一生だなんてできるわけないだろう?…違う、そうじゃない。「純愛ができるかできないか」という大人の視点や意見はどうでもいい、あの日あの時あの場所で、彼らがそう思ったこと――それが重要なのである。当時の彼らにとって、それがすべての領域、そして世界だったのだから。
授業中にこっそりノートの端に書いた、好きな歌の詞や誰にも云えなかった本音、クラスの誰と誰が付き合って別れたのかという噂話、他愛もないことに感動したり、なにかに絶望して落ち込み、明日で終わりかとまで思い込んだこと、簡単に「死ぬまで」「一生」と口に出して云えた幼い自分――いまとなっては、すべて遠い日々のこと。
『死ぬまで純愛』は、1991年「JUNE」に掲載された作品なので、タイトルを聞いて、「懐かしい!」と思う方もおられるだろう。他雑誌掲載の1編と、書き下ろしを加えた短編集という形で、今回初文庫化となった。日本文芸社から…というより、編集はその下請けである秋水社になるのだが、あとがきによると、JUNE時代から担当者は同じだそうである。
私は、なぜその担当者が、当時からこの作品にこだわったのか、わかるような気がする(私が担当者でも絶対にこだわったと思う)。誤解を承知で書くと、『死ぬまで〜』のような、萌えを基準としない、青春を瑞々しいまま鋭角に切り取ったBL小説は、最近あまり見られない。JUNE時代がどうであったかよく覚えていない。それでも私はこの作品が鹿住槙のベストだと思うし、同世代以上の方には、そんな私の気持ちを理解して頂けるだろうと信じている。
悪くはないが会話が少し古臭く、改行の嵐で、三点リーダ(「…」)とダッシュ(「―」)花盛りな文章はニガテ、記号で感情表現は正直カンベンして欲しいと、私には読みづらくて仕方がなかった文章も、これはこれでいいかなと、今になって思えるようになった。そして、今回の文庫化にいたって『死ぬまで〜』の続編を書かず、そっとしておくことにした鹿住センセは、英断を下されたと思う。
他の収録作も面白い。とくに三本目の書き下ろし『君の知らない二人の秘密』は、ラストがちょっと映画「天国から来たチャンピオン」風で、せつなくなる。よりBLらしさがあるので、表題作にピンとこなかった方にはこちらのほうがオススメ、安心して読める作品に仕上がっていると思う。
評価:★★★★★(くすんだ青さがなんと瑞々しく、目にしみることよ!ブリリアント!)
津寺里可子さんが挿絵を付けられていて、ビックリした。この方も、昨年のシバタフミアキさん同様「同じフィールドに立ってはいるが、ポジション違いのために遠い人」。同じ秋田書店(プリンセス)系でも、碧ゆかこさんより私は好き。津寺さんのお描きになる女の子は、少女マンガの王道といえる愛らしさがあり、男の子は大人っぽく凛々しく麗しい。セピア調のくすんだ水色を背景にした表紙カバー絵は、作品イメージにピッタリ。画像だと、カラー絵での髪の美しさと質感(陰影が素晴らしい!)がわかりにくいので、気になる方は、ぜひお近くの書店でお手に取ってご確認下さい。ちなみに秋林、「花瓶に一輪挿しの椿の花が、萼(がく)からポトリと落ちた瞬間」を描いた口絵カラーに、「これ…BLのカラー口絵か!?」と、たまげてしまった。
それと。収録作「スクラッチノイズ」の挿絵を雑誌掲載時に担当された桜海さんが、2005年にご病気で亡くなられたことを、遅ればせながら、あとがきで知った。たしか桜海さんは、鹿住さんとご一緒に活動されていたはず。志半ばで逝く友を葬らねばならなかった鹿住さんのご心痛を思うと、どう言葉で表せばいいのか…やるせない気持ちで一杯である。せつない。
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
ISBN:4537141174 挿絵:津寺里可子 日本文芸社 2008/03 ¥630
湖で事故にあった高校生の認は、目覚めると女の子になっていた。密かに憧れていた親友、高志の彼女・楡崎にだ。しかも元に戻る方法はないという――。そんな事情を知っても、高志は親友として接してくれていた…はずだったのに。ある日突然、「お前は俺の彼女なんだぜ」と、強引に唇を奪われ処女喪失させられてしまう!?混乱した認は高志を避けるようになるが、ある時、自分の体がまだ生きていて、その事実を高志が隠していたことを知ってしまい!?恋と友情のはざまで揺れる学園センチメンタルラブついに登場!
10代の頃の自分はいったいどんなことを考え、なにに感動し、笑い、怒り、そして泣いたのか。学校の友だちと交わした、たぶん他愛もなかっただろう話題は、なんだったのか――存外遠くなってしまった昔日の日々に、ふと思いを馳せるときがある。
私の好きな1冊『ぼくは勉強ができない』のあとがきで、作者の山田詠美が、「私は、同時代性というものを信じない。時代のまっただなかにいる者に、その時代を読み取ることは難しい。叙情は常に遅れてやって来た客観性の中に存在するし、自分の内なる倫理は過去の積木の隙間に潜むものではないだろうか。私にとっての高校時代は、もう既に、はるか昔のことである」と書いていて、それを読んだとき、まったく以ってその通り、なんて至極もっともなことだと思った。
続けて山田詠美は、「進歩しなくてもいい領域を知るのが大人になること」であり、それを『ぼくは勉強ができない』で書きたかったと書いていて、ああ、なるほど、たしかに『ぼくは〜』はそんな話、じゃあ、たった10数年しか生きていない高校生の、大人の視点でみれば青くてつたないのだけれども、本人たちはいたって本気、狭くて浅いそれがすべての領域だったという、テンポラリーに「切った」話はないだろうか、と思っていたら、日本文芸社からズバリそれをついた、鹿住槙の『死ぬまで純愛』が出た。一般小説とBLを比較するな、と云われるかもしれないが、私はいたって真面目にそう思っている。
!以下、盛大にネタバレ注意報!
「僕があいつであいつが僕で」、いわゆる人格・身体入れ替わりモノ。ポイントは、主人公の認が入れ替わるのは男の子ではなく女の子、しかも親友で憧れを抱いていた同級生・高志の彼女という設定。なぜ入れ替わったのか。湖で溺れたふたりのどちらかを助けてやろうと云われ(つまりどちらかは死ぬことになる)、高志がとっさに望んだのは「心は認、体は楡崎(彼女)」、そのため、目覚めてみれば認は女の子になっていたという、入れ替わりの理由付けに、寓話「金の斧・銀の斧」を引用した話である。
認の一人称でストーリーが進行するため、高志が認をどう思っているのかは、わからないことになっているが(しかも高志は彼女持ちである)、「どちらかを選べない」と云いながら「心は認、体は楡崎(彼女)」と願いを乞うた時点で、高志は認を好きなのだと読み手は気がつくだろう。湖の精(?)を信じて願ったあたりは子供っぽく純粋なのだが、のちに高志も告白するように、「認が女になってしまえば、男同士というハードルは乗り越えられる」と咄嗟に打算が働いたわけで、彼女なのに心を否定された楡崎と、男なのに女を強いられることになる認には、たいへん残酷な仕打ちである。
あらすじを読むと、高志が残酷で鬼畜な少年であり、認をひどい目に遭わせるだけの、黒さと痛さに満ちた青春残酷ストーリーのように思えるが、そうではない。たしかに、混乱する認に高志はあるひどい行為をするし、その言動も身勝手なものではある。がしかし、認は認でやられっぱなしなわけではなく、真剣に楡崎の死について考え、高志に問い、10代で逝ってしまった彼女の存在意義を語り、高志は高志で「自分が好きなのは、残酷な目に遭わせて手に入れた認なのか、それでいいのか」を悩み、認が元に戻る方法を知りながら、戻ったときに彼を失うかもしれない怯えとの葛藤に苦しむ。
楡崎の死には、入れ替り以外のある真実が隠されている。それを知りながら、知らないふりをしていたふたりの罪。死に慣れていない高校生にとって、クラスメイトの死はなおさらに衝撃だったはず。がむしゃらに何かを求めること自体はいい。ただそれをすることによって、誰かを深く大きく傷つける可能性があるということを、高志は思い知る。そして認が最後に選択したのは「高志のそばにいること」、つまり「楡崎が一番嫌がること」。
認が高志に云う、「一生、純愛しよう」という言葉。
綺麗ごとだ、まだ10数年しか生きていないくせに、バトルフィールドという社会に出て、さまざまな風を受けてみろよ、そんな甘ったるいこというな、一生だなんてできるわけないだろう?…違う、そうじゃない。「純愛ができるかできないか」という大人の視点や意見はどうでもいい、あの日あの時あの場所で、彼らがそう思ったこと――それが重要なのである。当時の彼らにとって、それがすべての領域、そして世界だったのだから。
授業中にこっそりノートの端に書いた、好きな歌の詞や誰にも云えなかった本音、クラスの誰と誰が付き合って別れたのかという噂話、他愛もないことに感動したり、なにかに絶望して落ち込み、明日で終わりかとまで思い込んだこと、簡単に「死ぬまで」「一生」と口に出して云えた幼い自分――いまとなっては、すべて遠い日々のこと。
『死ぬまで純愛』は、1991年「JUNE」に掲載された作品なので、タイトルを聞いて、「懐かしい!」と思う方もおられるだろう。他雑誌掲載の1編と、書き下ろしを加えた短編集という形で、今回初文庫化となった。日本文芸社から…というより、編集はその下請けである秋水社になるのだが、あとがきによると、JUNE時代から担当者は同じだそうである。
私は、なぜその担当者が、当時からこの作品にこだわったのか、わかるような気がする(私が担当者でも絶対にこだわったと思う)。誤解を承知で書くと、『死ぬまで〜』のような、萌えを基準としない、青春を瑞々しいまま鋭角に切り取ったBL小説は、最近あまり見られない。JUNE時代がどうであったかよく覚えていない。それでも私はこの作品が鹿住槙のベストだと思うし、同世代以上の方には、そんな私の気持ちを理解して頂けるだろうと信じている。
悪くはないが会話が少し古臭く、改行の嵐で、三点リーダ(「…」)とダッシュ(「―」)花盛りな文章はニガテ、記号で感情表現は正直カンベンして欲しいと、私には読みづらくて仕方がなかった文章も、これはこれでいいかなと、今になって思えるようになった。そして、今回の文庫化にいたって『死ぬまで〜』の続編を書かず、そっとしておくことにした鹿住センセは、英断を下されたと思う。
他の収録作も面白い。とくに三本目の書き下ろし『君の知らない二人の秘密』は、ラストがちょっと映画「天国から来たチャンピオン」風で、せつなくなる。よりBLらしさがあるので、表題作にピンとこなかった方にはこちらのほうがオススメ、安心して読める作品に仕上がっていると思う。
評価:★★★★★(くすんだ青さがなんと瑞々しく、目にしみることよ!ブリリアント!)
津寺里可子さんが挿絵を付けられていて、ビックリした。この方も、昨年のシバタフミアキさん同様「同じフィールドに立ってはいるが、ポジション違いのために遠い人」。同じ秋田書店(プリンセス)系でも、碧ゆかこさんより私は好き。津寺さんのお描きになる女の子は、少女マンガの王道といえる愛らしさがあり、男の子は大人っぽく凛々しく麗しい。セピア調のくすんだ水色を背景にした表紙カバー絵は、作品イメージにピッタリ。画像だと、カラー絵での髪の美しさと質感(陰影が素晴らしい!)がわかりにくいので、気になる方は、ぜひお近くの書店でお手に取ってご確認下さい。ちなみに秋林、「花瓶に一輪挿しの椿の花が、萼(がく)からポトリと落ちた瞬間」を描いた口絵カラーに、「これ…BLのカラー口絵か!?」と、たまげてしまった。
それと。収録作「スクラッチノイズ」の挿絵を雑誌掲載時に担当された桜海さんが、2005年にご病気で亡くなられたことを、遅ればせながら、あとがきで知った。たしか桜海さんは、鹿住さんとご一緒に活動されていたはず。志半ばで逝く友を葬らねばならなかった鹿住さんのご心痛を思うと、どう言葉で表せばいいのか…やるせない気持ちで一杯である。せつない。
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■『暁月のテロリスト』 波奈海月
ISBN:4592875524 挿絵:高階 祐 白泉社 2008/03/19 ¥560
小説を書き始めてから十数年(途中ブランクあり)、白泉社「花丸新人賞」に投稿し続け、三年前に賞を受賞されたという波奈海月さんの単行本デビュー作。
「花丸」は、公式サイトこそ見所がない…とゆーか、やる気なさそうなコンテンツばかりで、アクセスするたびに萎えてしまうのだが、「BL小説の書き方」なるHOW TO本を出し、「新人賞」を設け、「1.上位作品は必ず雑誌掲載あるいは刊行、2.全作品の批評コメントを雑誌に掲載、3.新鮮度優先の『特別賞』つき」としているので、投稿しても書評は送らないと明言しているところよりは、新人発掘・育成に(実を結んでいるかどうかは別として)力を入れている姿勢を対外的にうかがわせるので、レーベルに対する印象は悪くない。この賞で育った作家は、たたき上げで力をつけてきた人が多そう、でもやっぱり「花郎藤子の『黒羽と鵙目』」、残念ながらクロモズ以外は良く知らないレーベルである。ごめんちゃい。
!以下、ネタバレ注意報!
タイトルには「テロリスト」の文字、さらに絵師は、朝日ソノラマ系とゆーか、流麗だけどちょっとレトロ感のあるベタ画風なためか、ビックリ設定の作品によく振られる高階佑さん(『デッドなんちゃらシリーズ』『青鯉』『上海恋戯』『水底の月』)、よって想像はついていた(実際そういう期待もしていた)のだが、やはり力の入ったビックリ設定な作品だった。
事故に巻き込まれて記憶喪失となった伊月は、退院後、高校の同級生で現在は刑事の矢敷と一緒に暮らし始める。だが、平穏はひとときだけ、次第に伊月のまわりでゴタゴタが起こり出す。いったい自分は何者であり、どうして事故に巻き込まれたのか、そもそもなぜあの場所にいたのか――という記憶喪失モノにして、警察やらヤクザやら、そして秘密結社なテロ組織まで絡んだ、「そうだったのかー!…ってか、突然そんなこと云い出すなんてアナター!…ってか、そういうアナタがそーだったんですかー!?」、壮大さはシベリア超特急並み、二重三重どんでん返しフィーバーなストーリー。
山田たまきさんの『ゴールデン・アワーズ・ショウ』で、「文章が常にクレッシェンドで行間やゆとりを与えられず、ブレスなしでてつらい」と書いたが、波奈さんの場合、エピソードがクレッシェンドであれもこれもと詰め込み過ぎ、その結果、BLで重要であるラブシーンの部分が、付け足しのようになってしまっている。もともと最初から「できちゃっているふたり」なので、ラブの告白を最大の盛り上がりに持っていけないから、余計につらい。ラブシーンを削り、どんでん返しを減らし、エピソードを厳選してスッキリさせれば、ごく一般のライトノベルとして通用しそうな感じがする。
ペンやティッシュやガイジンなど、わかりやす〜い伏線を張っていて、それをちゃんと回収してるのはいい。ただ、サスペンス系だから盛り上げようと、さらに「実はこうでした」という事実をキャラに突然語らせるので、読んでいて面食らってしまう。まさに「ちょっと待ってよ、いつそんなことになってたの?」である。矢敷がそんな取引をしていただなんて、DOLLが組織としてもうひとつの顔を持っていた、今度は警察に協力だなんて、そんなバカな!ハッピーエンドに持って行きたいのはよくわかる、でもあまりにご都合主義でしょう?ただ、伊月が爆弾をダウンさせるシーンは緊迫感があり、とても良かった。褒めたい。それだけに、どんでん返しが続いてく後半がもったいなかったかな…。また、メイド喫茶など時代性のあるものが出てくるので、何年後かに読み直すと、かなり古く感じてしまうだろう。
謎だの過去だのテロだの警察だのラブだの…要素があまりに多すぎて、まとめること自体がむずかしい内容を、よく1冊にしたもんだと褒めたいのだが、やっぱりストーリーが破綻してしまっていて残念、3冊くらい分けて出せればよかったね、という印象である。それがダメなら、こういうラストシーンはどうだろう?…事件が決着し、記憶を取り戻した伊月は、住む世界が違う人間になってまった矢敷と別れるしかなく、彼のもとを去ってしまう。諦めきれない矢敷は、DOLL関連の捜査チームに入り、伊月を探す日々を送る。そしてある日、矢敷は伊月に似た男を街で見かける(再会)――で、ピリオド。好評ならば続きが書けるのだし、これならピリオドをカンマにすることができるんじゃ?…違う?
評価:★★★(パワーがある。一生懸命書いてるなあという印象。頑張って欲しい)
しっかし…記憶喪失になった男が、「実は昔、俺とお前は付き合っていたんだ。いまでも愛している」と男に告白されたら、「えー!?俺ってホモだったのかー!?」と、大ショックを受けないかフツー?…いや、もともとがフツーの設定な話じゃないのだから、いいのか別に。そっかそっか。
絵師の高階さんは、「どうして変わった設定の話ばかり依頼がくるの?」と思っておられるかもしれないが、フツーの絵師だったら確実に失笑を買うだろう199ページの挿絵などは、まさに高階さんの真骨頂、「これはスゴイ!さすが高階さんだ!」と、笑うどころかまじまじと見てしまった。その高階さん、本作でタッチがちょっと変わった。黒ベタが艶やかに、そして描線は強くなったような気がする。もともと女性キャラを麗しく描く方なんだけども、今回はナシで残念。いや、ホント女性キャラが綺麗なの。なので、BLよりファンタジー系のライトノベルの挿絵のほうが、実は合ってるかもしれない。
タイトルが「暁月のテロリスト」、さらに主人公の名前が「伊月」ときて、作者の名前も波奈「海月」。月ばかり…というより、キャラに自分と似たような名前が付けられるなんて、スゴイなあ。その波奈さん、この話を書く前はリーマンものや学園ものばかりだったそうで、個人的にはそっちのほうが気になる(想像がつかないから)。どんな話だったんだろう?
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
ISBN:4592875524 挿絵:高階 祐 白泉社 2008/03/19 ¥560
志嶋伊月は、アジアサミットを狙ったと思われる無差別爆弾テロで記憶を失ってしまう。公安警部の矢敷隆直は、伊月をテロリストから保護するため自宅へ引き取る。実は伊月と矢敷は、かつて恋人同士だった。矢敷に守られ、記憶がないとはいえ甘い日々を過ごす伊月だが「アイ」と名乗る謎の男が接近してきて…!?記憶は取り戻せるのか?テロリストの正体は!?衝撃のハードサスペンスロマン!
小説を書き始めてから十数年(途中ブランクあり)、白泉社「花丸新人賞」に投稿し続け、三年前に賞を受賞されたという波奈海月さんの単行本デビュー作。
「花丸」は、公式サイトこそ見所がない…とゆーか、やる気なさそうなコンテンツばかりで、アクセスするたびに萎えてしまうのだが、「BL小説の書き方」なるHOW TO本を出し、「新人賞」を設け、「1.上位作品は必ず雑誌掲載あるいは刊行、2.全作品の批評コメントを雑誌に掲載、3.新鮮度優先の『特別賞』つき」としているので、投稿しても書評は送らないと明言しているところよりは、新人発掘・育成に(実を結んでいるかどうかは別として)力を入れている姿勢を対外的にうかがわせるので、レーベルに対する印象は悪くない。この賞で育った作家は、たたき上げで力をつけてきた人が多そう、でもやっぱり「花郎藤子の『黒羽と鵙目』」、残念ながらクロモズ以外は良く知らないレーベルである。ごめんちゃい。
!以下、ネタバレ注意報!
タイトルには「テロリスト」の文字、さらに絵師は、朝日ソノラマ系とゆーか、流麗だけどちょっとレトロ感のあるベタ画風なためか、ビックリ設定の作品によく振られる高階佑さん(『デッドなんちゃらシリーズ』『青鯉』『上海恋戯』『水底の月』)、よって想像はついていた(実際そういう期待もしていた)のだが、やはり力の入ったビックリ設定な作品だった。
事故に巻き込まれて記憶喪失となった伊月は、退院後、高校の同級生で現在は刑事の矢敷と一緒に暮らし始める。だが、平穏はひとときだけ、次第に伊月のまわりでゴタゴタが起こり出す。いったい自分は何者であり、どうして事故に巻き込まれたのか、そもそもなぜあの場所にいたのか――という記憶喪失モノにして、警察やらヤクザやら、そして秘密結社なテロ組織まで絡んだ、「そうだったのかー!…ってか、突然そんなこと云い出すなんてアナター!…ってか、そういうアナタがそーだったんですかー!?」、壮大さはシベリア超特急並み、二重三重どんでん返しフィーバーなストーリー。
山田たまきさんの『ゴールデン・アワーズ・ショウ』で、「文章が常にクレッシェンドで行間やゆとりを与えられず、ブレスなしでてつらい」と書いたが、波奈さんの場合、エピソードがクレッシェンドであれもこれもと詰め込み過ぎ、その結果、BLで重要であるラブシーンの部分が、付け足しのようになってしまっている。もともと最初から「できちゃっているふたり」なので、ラブの告白を最大の盛り上がりに持っていけないから、余計につらい。ラブシーンを削り、どんでん返しを減らし、エピソードを厳選してスッキリさせれば、ごく一般のライトノベルとして通用しそうな感じがする。
ペンやティッシュやガイジンなど、わかりやす〜い伏線を張っていて、それをちゃんと回収してるのはいい。ただ、サスペンス系だから盛り上げようと、さらに「実はこうでした」という事実をキャラに突然語らせるので、読んでいて面食らってしまう。まさに「ちょっと待ってよ、いつそんなことになってたの?」である。矢敷がそんな取引をしていただなんて、DOLLが組織としてもうひとつの顔を持っていた、今度は警察に協力だなんて、そんなバカな!ハッピーエンドに持って行きたいのはよくわかる、でもあまりにご都合主義でしょう?ただ、伊月が爆弾をダウンさせるシーンは緊迫感があり、とても良かった。褒めたい。それだけに、どんでん返しが続いてく後半がもったいなかったかな…。また、メイド喫茶など時代性のあるものが出てくるので、何年後かに読み直すと、かなり古く感じてしまうだろう。
謎だの過去だのテロだの警察だのラブだの…要素があまりに多すぎて、まとめること自体がむずかしい内容を、よく1冊にしたもんだと褒めたいのだが、やっぱりストーリーが破綻してしまっていて残念、3冊くらい分けて出せればよかったね、という印象である。それがダメなら、こういうラストシーンはどうだろう?…事件が決着し、記憶を取り戻した伊月は、住む世界が違う人間になってまった矢敷と別れるしかなく、彼のもとを去ってしまう。諦めきれない矢敷は、DOLL関連の捜査チームに入り、伊月を探す日々を送る。そしてある日、矢敷は伊月に似た男を街で見かける(再会)――で、ピリオド。好評ならば続きが書けるのだし、これならピリオドをカンマにすることができるんじゃ?…違う?
評価:★★★(パワーがある。一生懸命書いてるなあという印象。頑張って欲しい)
しっかし…記憶喪失になった男が、「実は昔、俺とお前は付き合っていたんだ。いまでも愛している」と男に告白されたら、「えー!?俺ってホモだったのかー!?」と、大ショックを受けないかフツー?…いや、もともとがフツーの設定な話じゃないのだから、いいのか別に。そっかそっか。
絵師の高階さんは、「どうして変わった設定の話ばかり依頼がくるの?」と思っておられるかもしれないが、フツーの絵師だったら確実に失笑を買うだろう199ページの挿絵などは、まさに高階さんの真骨頂、「これはスゴイ!さすが高階さんだ!」と、笑うどころかまじまじと見てしまった。その高階さん、本作でタッチがちょっと変わった。黒ベタが艶やかに、そして描線は強くなったような気がする。もともと女性キャラを麗しく描く方なんだけども、今回はナシで残念。いや、ホント女性キャラが綺麗なの。なので、BLよりファンタジー系のライトノベルの挿絵のほうが、実は合ってるかもしれない。
タイトルが「暁月のテロリスト」、さらに主人公の名前が「伊月」ときて、作者の名前も波奈「海月」。月ばかり…というより、キャラに自分と似たような名前が付けられるなんて、スゴイなあ。その波奈さん、この話を書く前はリーマンものや学園ものばかりだったそうで、個人的にはそっちのほうが気になる(想像がつかないから)。どんな話だったんだろう?
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■『誘惑』(SHY NOVELS (202)) 藤代 葎
ISBN:4813011705 挿絵:奈良千春 大洋図書 2008/02/28 ¥903
SHY NOVELS(以下「SHY」)という人気レーベルを持つ大洋図書は、賞を設置していない。よって新人の作品は、1.編集部が作家をどこからかスカウト、2.随時原稿募集でその中から採用…という経過を経て、本が出るのだと思われる(たぶん)。
BLはライトノベルの中でも、読み手の好みの細分化に合わせ、「××は△△系に強い」など、レーベルによってその傾向が顕著に表れるジャンルなのだが、秋林お気に入りのSHYの場合、学園ムネきゅん♪系からヤンキーにーちゃんオラオラ鬼畜系まで、比較的厚めのリキッド(…)マットなカバー力を持ち、どちらかというと、ドラマチックでエンタ色が強めなレーベルである(たぶん)。
ラインナップ作家が、人気と実力が伴う榎田尤利や英田サキなため、「1冊で読ませる」構成力のある作品が多く、奈良千春や北畠あけ乃、山田ユギや石原理と、挿絵も人気スター絵師で固め、そして装丁は当然のようにどれもが麗しい。人気作家をさらなるスターダムに押し上げてきただけでなく、個性ある新人を発掘してくれるレーベルでもあり、たとえばここ数年なら、橘紅緒・松田美優・九葉暦と、BL既成作家にまーったく似てない/影響を受けていない作家を見つけているので(好き嫌いはまた別次元の話)、SHYに対する私の信頼係数たるや、ひっじょーに高いものとなっている。
…とここまで書くと、ハズレのない素晴らしいレーベルのように思われるが、そうと限らないのが厳しい現実である。SHYがここまでキメてくるせいで、ハズすと他レーベル以上にガツンと痛い返り討ちに遭う。ひとことで云うなら「SHYでこれかよ!?」もしくは「絵師や装丁はいいのに」。作家に対し、なんとも非情かつ失礼な話であるが、私はSHYを必ず「903円」キッカリ出して買うので、云う権利がある!…どうかお許しを。
…という「SHYの傾向とレーベル印象」を踏まえた上で、以下、感想。
!以下、ネタバレ注意報!
いわゆる「ボディガードもの」。依頼人であるイケメン社長のSPとなった主人公が、いつの間にやらその社長に気に入られ、いつの間にやら自身もマルタイ(警備対象者)が気になり始め、いつの間にやらふたりは恋に落ちていた――というのが大まかなストーリーライン。依頼人が定番ハンキーな攻キャラなゆえ、そいつがゲイで、ノンケのボディガード(受)にお手つきするというストーリーなんだろうなと思っていたら、社長・柳瀬(攻)ではなく、ボディガードの主人公・咲坂(受)のほうがゲイだった。ナルホド、そうきたか。
がしかし。タイトルは「誘惑」で「身を挺して守り抜く」ボディガードもの、さらに絵師は奈良画伯なので、純愛というより、まずはドラマチックな恋の駆け引きだろうと期待してみれば、ふたりの恋…いや、柳瀬がなぜ咲坂を手に入れたいと思い始めたのかが存外に弱く、またあっけなかった。男女問わず虜にしてしまうルックス上々な咲坂をちょっと連れまわしてるうちに、柳瀬は本気で恋してしまった?…後腐れのない遊びばかりしていた男が?
この手の話に、もっとも説得力を与えてくれる「つり橋効果」なエピソードがないこと、それがまず致命的だろう。秘書を病院送りにしてどうする。車が突っ込んできた程度でどうする。ナイフをちょっと避けただけでどうする。柳瀬あるいは咲坂に、デッドオアアライブ、マジでギリギリの危険に遭遇させないと。犯人がショボいのは仕方がないとしよう。それでも主人公は、刑事でも探偵でもなくボディガードなんだから、スリリングにドラマチックにキメて欲しかった。
そして当て馬の不在というか不発というか…惜しいんだよなあ、篠尾の存在が。過去に咲坂となにやらあったらしいのに、匂わしてオワリだなんてそんなもったいない、咲坂を暖かい目でじゃなく、熱い眼差しで見つめないと!…咲坂を追い詰め、柳瀬をイラつかせるほどの存在であって欲しかった。老若男女・性嗜好問わない、咲坂がいかにスペシャルな存在であるか。そういうのが読みたいんじゃないの?…私たちは。
「咲坂はギャップに弱い」とト書きで簡単に説明するのも、もったいない。一文で説明するんじゃなく、それはエピソード中で語って欲しい。ラストのラブシーンもなあ…あんな風に終わるなんて、ちょっと垢抜けない。「誘惑」というタイトルも、必要以上に凡庸な印象を与えていると思う。理解のある上司、同僚――など、登場人物は数々出てくるんだけども、意外と相関がアッサリしていて、キャラが浮いてこないあたりも気になる。
藤代さんは本作でデビューの新人さん。いかにもSHY好みなスッキリと読みやすい文章で個人的に好感度は高いし、美しいペンネームだと感心するのだが、なんと云うかその…「私が藤代葎」という名刺代わりの1本になるはずが、内容・文章/文体ともに個性が感じられず、ハッキリ云ってしまえば、「英田サキを意識した高岡ミズミ」という印象である。
読者をグイグイっと引っ張っていく、「これはイケる」と予感させる冒頭はとてもいい。BL作品にありがちの、「最初の数行でキャラのフルネーム判明」がないところもいい(これは思いっきり主観)。そっくりとは云わないが、全体的に英田兄貴っぽい文章で、話を進行させたいときに、「〜なのだ」の断定形がト書きで頻繁に出てくるあたりも似てる。ただし、冒頭でグイグイと読み手を引っ張っていく文章が長く続かず、とくに前半は咲坂のルックスの良さばかりがフィーチャーされ、もたつく。そして、キャラとストーリーに惹き付けられるものがほとんどないこと、それがとても残念である。
決してヘタではない。出来不出来や面白さは別として、デビュー作なのに読ませる文章力はついているのだから、あとは個性とストーリーテリングの問題。ここのところSHYは、個性的な新人が続いていたので、どうしても藤代さんが没個性的に思えてしまう。密林などのレビューでは、みんなキビシイことを書いているけど、落ち込まないで。辛口な感想になってはいても、私は斬り捨てないよ。期待をしているから。個人的に好感度の高い新人さんなので、「私が藤代葎」という名刺代わりの作品、本当に待ってます!
評価:★★★(SHY好みのエンタ系作品だが、盛り上がりに欠ける)
『誘惑』というタイトルが凡庸と書いたが、これがもし『悩殺ドキュン☆ぼでぃがーど』とかなんとかだったら、印象的でもSHYというより南原兼(「エクスカリバーの人」)になってしまう…か。
BL小説の場合、最初からすんごい上手い作家なんて、一握りどころか一摘みだと思ってるので、作家に対する評価や好みは、2作目以降で確定かな。それにしても…いいなあ、デビュー作の挿絵を奈良画伯に手がけてもらえる、だなんて。もし私がBL作家になって(ありえない)、デビュー作の挿絵は奈良画伯だと告げられたら、その時点で自宅ベランダに躍り出て、ひとりラインダンスだな!…と、オッシーに云ったらば「見物しに行きますので、必ず踊って下さい」だって。……。だから、ありえんっつーの!
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■そのほかのBL作品の感想&ヨタ話はこちら
http://diarynote.jp/d/25683/_3.html
ISBN:4813011705 挿絵:奈良千春 大洋図書 2008/02/28 ¥903
怜悧な美貌と冷静な頭脳の持ち主である咲坂諒一は、警護員として依頼人・柳瀬芳成を担当することに。男の色気と自信を漂わせ、なにかと自分を挑発してくる柳瀬に苛立つ咲坂だが、ある夜、柳瀬の第一秘書が何者かに襲われて…。
SHY NOVELS(以下「SHY」)という人気レーベルを持つ大洋図書は、賞を設置していない。よって新人の作品は、1.編集部が作家をどこからかスカウト、2.随時原稿募集でその中から採用…という経過を経て、本が出るのだと思われる(たぶん)。
BLはライトノベルの中でも、読み手の好みの細分化に合わせ、「××は△△系に強い」など、レーベルによってその傾向が顕著に表れるジャンルなのだが、秋林お気に入りのSHYの場合、学園ムネきゅん♪系からヤンキーにーちゃんオラオラ鬼畜系まで、比較的厚めのリキッド(…)マットなカバー力を持ち、どちらかというと、ドラマチックでエンタ色が強めなレーベルである(たぶん)。
ラインナップ作家が、人気と実力が伴う榎田尤利や英田サキなため、「1冊で読ませる」構成力のある作品が多く、奈良千春や北畠あけ乃、山田ユギや石原理と、挿絵も人気スター絵師で固め、そして装丁は当然のようにどれもが麗しい。人気作家をさらなるスターダムに押し上げてきただけでなく、個性ある新人を発掘してくれるレーベルでもあり、たとえばここ数年なら、橘紅緒・松田美優・九葉暦と、BL既成作家にまーったく似てない/影響を受けていない作家を見つけているので(好き嫌いはまた別次元の話)、SHYに対する私の信頼係数たるや、ひっじょーに高いものとなっている。
…とここまで書くと、ハズレのない素晴らしいレーベルのように思われるが、そうと限らないのが厳しい現実である。SHYがここまでキメてくるせいで、ハズすと他レーベル以上にガツンと痛い返り討ちに遭う。ひとことで云うなら「SHYでこれかよ!?」もしくは「絵師や装丁はいいのに」。作家に対し、なんとも非情かつ失礼な話であるが、私はSHYを必ず「903円」キッカリ出して買うので、云う権利がある!…どうかお許しを。
…という「SHYの傾向とレーベル印象」を踏まえた上で、以下、感想。
!以下、ネタバレ注意報!
いわゆる「ボディガードもの」。依頼人であるイケメン社長のSPとなった主人公が、いつの間にやらその社長に気に入られ、いつの間にやら自身もマルタイ(警備対象者)が気になり始め、いつの間にやらふたりは恋に落ちていた――というのが大まかなストーリーライン。依頼人が定番ハンキーな攻キャラなゆえ、そいつがゲイで、ノンケのボディガード(受)にお手つきするというストーリーなんだろうなと思っていたら、社長・柳瀬(攻)ではなく、ボディガードの主人公・咲坂(受)のほうがゲイだった。ナルホド、そうきたか。
がしかし。タイトルは「誘惑」で「身を挺して守り抜く」ボディガードもの、さらに絵師は奈良画伯なので、純愛というより、まずはドラマチックな恋の駆け引きだろうと期待してみれば、ふたりの恋…いや、柳瀬がなぜ咲坂を手に入れたいと思い始めたのかが存外に弱く、またあっけなかった。男女問わず虜にしてしまうルックス上々な咲坂をちょっと連れまわしてるうちに、柳瀬は本気で恋してしまった?…後腐れのない遊びばかりしていた男が?
この手の話に、もっとも説得力を与えてくれる「つり橋効果」なエピソードがないこと、それがまず致命的だろう。秘書を病院送りにしてどうする。車が突っ込んできた程度でどうする。ナイフをちょっと避けただけでどうする。柳瀬あるいは咲坂に、デッドオアアライブ、マジでギリギリの危険に遭遇させないと。犯人がショボいのは仕方がないとしよう。それでも主人公は、刑事でも探偵でもなくボディガードなんだから、スリリングにドラマチックにキメて欲しかった。
そして当て馬の不在というか不発というか…惜しいんだよなあ、篠尾の存在が。過去に咲坂となにやらあったらしいのに、匂わしてオワリだなんてそんなもったいない、咲坂を暖かい目でじゃなく、熱い眼差しで見つめないと!…咲坂を追い詰め、柳瀬をイラつかせるほどの存在であって欲しかった。老若男女・性嗜好問わない、咲坂がいかにスペシャルな存在であるか。そういうのが読みたいんじゃないの?…私たちは。
「咲坂はギャップに弱い」とト書きで簡単に説明するのも、もったいない。一文で説明するんじゃなく、それはエピソード中で語って欲しい。ラストのラブシーンもなあ…あんな風に終わるなんて、ちょっと垢抜けない。「誘惑」というタイトルも、必要以上に凡庸な印象を与えていると思う。理解のある上司、同僚――など、登場人物は数々出てくるんだけども、意外と相関がアッサリしていて、キャラが浮いてこないあたりも気になる。
藤代さんは本作でデビューの新人さん。いかにもSHY好みなスッキリと読みやすい文章で個人的に好感度は高いし、美しいペンネームだと感心するのだが、なんと云うかその…「私が藤代葎」という名刺代わりの1本になるはずが、内容・文章/文体ともに個性が感じられず、ハッキリ云ってしまえば、「英田サキを意識した高岡ミズミ」という印象である。
読者をグイグイっと引っ張っていく、「これはイケる」と予感させる冒頭はとてもいい。BL作品にありがちの、「最初の数行でキャラのフルネーム判明」がないところもいい(これは思いっきり主観)。そっくりとは云わないが、全体的に英田兄貴っぽい文章で、話を進行させたいときに、「〜なのだ」の断定形がト書きで頻繁に出てくるあたりも似てる。ただし、冒頭でグイグイと読み手を引っ張っていく文章が長く続かず、とくに前半は咲坂のルックスの良さばかりがフィーチャーされ、もたつく。そして、キャラとストーリーに惹き付けられるものがほとんどないこと、それがとても残念である。
決してヘタではない。出来不出来や面白さは別として、デビュー作なのに読ませる文章力はついているのだから、あとは個性とストーリーテリングの問題。ここのところSHYは、個性的な新人が続いていたので、どうしても藤代さんが没個性的に思えてしまう。密林などのレビューでは、みんなキビシイことを書いているけど、落ち込まないで。辛口な感想になってはいても、私は斬り捨てないよ。期待をしているから。個人的に好感度の高い新人さんなので、「私が藤代葎」という名刺代わりの作品、本当に待ってます!
評価:★★★(SHY好みのエンタ系作品だが、盛り上がりに欠ける)
『誘惑』というタイトルが凡庸と書いたが、これがもし『悩殺ドキュン☆ぼでぃがーど』とかなんとかだったら、印象的でもSHYというより南原兼(「エクスカリバーの人」)になってしまう…か。
BL小説の場合、最初からすんごい上手い作家なんて、一握りどころか一摘みだと思ってるので、作家に対する評価や好みは、2作目以降で確定かな。それにしても…いいなあ、デビュー作の挿絵を奈良画伯に手がけてもらえる、だなんて。もし私がBL作家になって(ありえない)、デビュー作の挿絵は奈良画伯だと告げられたら、その時点で自宅ベランダに躍り出て、ひとりラインダンスだな!…と、オッシーに云ったらば「見物しに行きますので、必ず踊って下さい」だって。……。だから、ありえんっつーの!
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■そのほかのBL作品の感想&ヨタ話はこちら
http://diarynote.jp/d/25683/_3.html
■『それは食べてはいけません。』 小石川あお
ISBN:434481228X 幻冬舎コミックス 2008/02 ¥620
2006年、雑誌「ルチル」にてデビューした(たぶん)小石川あおさんの初コミックス。表題作である吸血鬼モノのほか、描き下ろし含め計8作品収録。
読み手の好みが細分化しすぎているBLゆえ、「ルチル」をまったくチェックしていなかった秋林、本屋さんでこの本を見たときは、表紙の白っぽいカラー絵に「もしかして麗人『ジョカトーレの人』?」と、心底ビビってしまい(だって!だって!だってー!<根性ナシ)、しばし手に取ることができなかった。30cmほど距離をおいて眺めながら、ペンネームが違う、「ジョカトーレの人」より繊細な絵柄だと気付き、別人と見極め、購入。
もともと私は吸血鬼モノが好きで、毎年大晦日に必ず映画「ロストボーイ」のDVDを観ては、ジョエル・シューマカー監督の「映画にはよくヴァンパイアが出てくるが、それはモンスターの中で、ヴァンパイアがもっともセクシーだからだ!」というコメンタリーに深く頷きながら新年を迎えるのだが、どうやらここ最近のBL界における吸血鬼は、木原音瀬『吸血鬼と愉快な仲間たち』など、セクシーというよりちょっとヘタレがブームらしい。
!以下、ネタバレ注意報!
空腹で倒れたところを助けてくれた命の恩人がなんと吸血鬼、うわ!ヤバイ!と最初は身構えた恒だったが、故あって一緒に暮らしてみると、吸血鬼であるはずの直幸は、棺桶は暗くてイヤだと云うわ、ゴキブリがニガテで逃げるわ、自分の牙で自分の唇を切ってしまうわ、オバケが怖いと震えるわ、ヘタレというよりスーパーヘナチョコ、でもたいへん心根が優しい青年だった。そして仲良く暮らすうち、いつしかお互いかけがえのない存在となっていく――という、ちょっと可愛くてホロリとさせるヴァンパイア・コメディ。エロは少なめ…どころかほとんどない。だから「ジョカトーレの人」じゃないと思う。
キャラはガイジンっぽいルックスだし、洋館に住んでいる吸血鬼という設定なので、漠然と洋モノかなと思っていたら、出てくるキャラは(吸血鬼や狼男を含め)みな純和風の名前を持ち、舞台も思いっきりニッポンだった。でもどこかしら洋風な雰囲気を漂わせている不思議さと、昨今の流行りのガサつきはありながらも、スタイリッシュ過ぎないその描線が、個人的に好感度大である。こんな私好みの新人さんを見つけてくれるなんて、やってくれたよ、本当にありがとう!>ルチル(幻冬舎)
キャラの背景と相関をハッキリさせないまま、やや強引なモノローグを絡めてストーリーを進行させていくというのは、たぶん高河ゆんあたりが「それもアリ」とBL…いやマンガ界に浸透させたと思うのだが、読み手をギモンでイライラさせずに、「どういう背景と関係を持っているのかしら?いや〜ん♪気になっちゃう〜♪」と思わせ、その雰囲気で酔わせてしまう作家は特別だと思う。「どこをナイショにしてどこまで描くか」という、さじ加減ひとつで決まってしまうセンスは、マンガ家だろう小説家だろうと、すべての作家が持ち合わせているわけではないから。
持っていないから「センスがない、面白くない」というのではなく、「1.持っていなくても(あるいは持っていても関係なく)、たいへん面白い作品を何作も描ける人、2.持ってるけど、あからさまだったり独りよがりだったりすることが多い(=さじ加減がイマイチ)人、3.絶妙な感覚で持っている人」がいるということで、私は3の人が好み、BL系ならば小石川さんは3に当たる。たとえば寿たらこもそうかな。
広い洋館に、直幸はなぜたったひとりで住んでいるのか。どうして早寝早起きなのか。その理由を知ったとき、せつなくなってしまった。実は淋しい吸血鬼、だけどいまはひとりじゃない――せつない背景だからこそ、直幸→恒がよくわかるというか。そして独特の間で繰り出される、ほのぼのとした「笑い」。その絶妙さときたら!なんて素晴らしい!
「日向ぼっこでほのぼの」な縁側カップル・直幸×恒はツボじゃないのね、吸血鬼モノなんだから、もっとスリリングで色気がないと!という方には、「勝気なご主人(受)に従順な執事(攻)」な、幸人の話がツボだろう(もしかしたら、ソッチのほうが人気あるかもしれない)。秋林、実は静一郎(狼男な執事)×幸人(吸血鬼・直幸の兄)も好み。思いっきり大萌えしてしまった。ヤラレター。あからさまなエロがなくても色っぽ〜い♪きゃっほう♪…とくに、幸人が履くローファーのサイドからつま先までのカーブ、そして静一郎の手袋がたまらん!…ヘンな萌え方をしないよーに!>秋林さん
個人的には直幸一族が気になって仕方がない。おじーちゃん、パパ、にーちゃんたち、みなキャラ立ちしており、いい味も出していてたいへん面白い。続きを熱望しているのだが、これでオワリなのだろうか?…だとしたら、なんてもったいない!もっと描いてくれ!…いや、描かせてくれ!>ルチル
他の収録作は、正直云うとさほど心惹かれるものはなかったが、タッチがどんどん良くなっていく様が感じられた。絵の上手い人にはありがちの「きっとまた変わるんだろうな」という予感アリ、しかもその可能性大、である。
ここ数年、BLマンガで追っかける新人が出てこないと思っていた私の前に、すうっと現れてくれた期待の新星。長く輝いて欲しい――その星に願いを。
@RECOMMEND@評価:★★★★☆(期待を込めてプラス半星)
どちらかといえば、BLは小説のほうが面白い動向を見せていて、マンガのほうは「新装版は出るが、好みの新人が出てこない」状態だった。なので、やっと好みの新人さんが出てきたという感じ。ここ2年ほど、大洋図書ばかり注目していたからなあ、まさか幻冬舎から暁星が現れるなんて、思ってもみなかったとゆーか、今年はいきなり幻冬舎が来たとゆーか、気がつけば幻冬舎の本をよく手に取っていたとゆーか。そーいえば、南風さんと「年明けから超モンダイ作!」と小騒ぎした、沙野さんのワンコなアレ(…)も幻冬舎。なにげに本棚にはリンクスロマンス増えてるし。……。結果的に目が離せないレーベルが増えてしまった…むむむむむ。
出るのは今年になるのか、そして誰が絵付けをなさるのか、わからないのだけども――柏枝先生がお話された、講談社ホワイトハートから出るという、『厄介な連中』スピンオフ(ハリーが主人公)の絵師は、ぜひとも小石川あおさんで、というリクエストはダメ?…とても合ってると思うんだけど…。
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
ISBN:434481228X 幻冬舎コミックス 2008/02 ¥620
フツーの大学生・恒の同居人である直幸は、優しくて弱虫な吸血鬼。 棺桶は狭くて怖いと怯える、臆病な吸血鬼は恒を怖がらせないように「お食事」も我慢するけれど――!?直幸の兄・幸人と、狼男・静一郎の番外編描き下ろし!!表題シリーズの他、デビュー作を含む読み切り4本も収録
2006年、雑誌「ルチル」にてデビューした(たぶん)小石川あおさんの初コミックス。表題作である吸血鬼モノのほか、描き下ろし含め計8作品収録。
読み手の好みが細分化しすぎているBLゆえ、「ルチル」をまったくチェックしていなかった秋林、本屋さんでこの本を見たときは、表紙の白っぽいカラー絵に「もしかして麗人『ジョカトーレの人』?」と、心底ビビってしまい(だって!だって!だってー!<根性ナシ)、しばし手に取ることができなかった。30cmほど距離をおいて眺めながら、ペンネームが違う、「ジョカトーレの人」より繊細な絵柄だと気付き、別人と見極め、購入。
もともと私は吸血鬼モノが好きで、毎年大晦日に必ず映画「ロストボーイ」のDVDを観ては、ジョエル・シューマカー監督の「映画にはよくヴァンパイアが出てくるが、それはモンスターの中で、ヴァンパイアがもっともセクシーだからだ!」というコメンタリーに深く頷きながら新年を迎えるのだが、どうやらここ最近のBL界における吸血鬼は、木原音瀬『吸血鬼と愉快な仲間たち』など、セクシーというよりちょっとヘタレがブームらしい。
!以下、ネタバレ注意報!
空腹で倒れたところを助けてくれた命の恩人がなんと吸血鬼、うわ!ヤバイ!と最初は身構えた恒だったが、故あって一緒に暮らしてみると、吸血鬼であるはずの直幸は、棺桶は暗くてイヤだと云うわ、ゴキブリがニガテで逃げるわ、自分の牙で自分の唇を切ってしまうわ、オバケが怖いと震えるわ、ヘタレというよりスーパーヘナチョコ、でもたいへん心根が優しい青年だった。そして仲良く暮らすうち、いつしかお互いかけがえのない存在となっていく――という、ちょっと可愛くてホロリとさせるヴァンパイア・コメディ。エロは少なめ…どころかほとんどない。だから「ジョカトーレの人」じゃないと思う。
キャラはガイジンっぽいルックスだし、洋館に住んでいる吸血鬼という設定なので、漠然と洋モノかなと思っていたら、出てくるキャラは(吸血鬼や狼男を含め)みな純和風の名前を持ち、舞台も思いっきりニッポンだった。でもどこかしら洋風な雰囲気を漂わせている不思議さと、昨今の流行りのガサつきはありながらも、スタイリッシュ過ぎないその描線が、個人的に好感度大である。こんな私好みの新人さんを見つけてくれるなんて、やってくれたよ、本当にありがとう!>ルチル(幻冬舎)
キャラの背景と相関をハッキリさせないまま、やや強引なモノローグを絡めてストーリーを進行させていくというのは、たぶん高河ゆんあたりが「それもアリ」とBL…いやマンガ界に浸透させたと思うのだが、読み手をギモンでイライラさせずに、「どういう背景と関係を持っているのかしら?いや〜ん♪気になっちゃう〜♪」と思わせ、その雰囲気で酔わせてしまう作家は特別だと思う。「どこをナイショにしてどこまで描くか」という、さじ加減ひとつで決まってしまうセンスは、マンガ家だろう小説家だろうと、すべての作家が持ち合わせているわけではないから。
持っていないから「センスがない、面白くない」というのではなく、「1.持っていなくても(あるいは持っていても関係なく)、たいへん面白い作品を何作も描ける人、2.持ってるけど、あからさまだったり独りよがりだったりすることが多い(=さじ加減がイマイチ)人、3.絶妙な感覚で持っている人」がいるということで、私は3の人が好み、BL系ならば小石川さんは3に当たる。たとえば寿たらこもそうかな。
広い洋館に、直幸はなぜたったひとりで住んでいるのか。どうして早寝早起きなのか。その理由を知ったとき、せつなくなってしまった。実は淋しい吸血鬼、だけどいまはひとりじゃない――せつない背景だからこそ、直幸→恒がよくわかるというか。そして独特の間で繰り出される、ほのぼのとした「笑い」。その絶妙さときたら!なんて素晴らしい!
「日向ぼっこでほのぼの」な縁側カップル・直幸×恒はツボじゃないのね、吸血鬼モノなんだから、もっとスリリングで色気がないと!という方には、「勝気なご主人(受)に従順な執事(攻)」な、幸人の話がツボだろう(もしかしたら、ソッチのほうが人気あるかもしれない)。秋林、実は静一郎(狼男な執事)×幸人(吸血鬼・直幸の兄)も好み。思いっきり大萌えしてしまった。ヤラレター。あからさまなエロがなくても色っぽ〜い♪きゃっほう♪…とくに、幸人が履くローファーのサイドからつま先までのカーブ、そして静一郎の手袋がたまらん!…ヘンな萌え方をしないよーに!>秋林さん
個人的には直幸一族が気になって仕方がない。おじーちゃん、パパ、にーちゃんたち、みなキャラ立ちしており、いい味も出していてたいへん面白い。続きを熱望しているのだが、これでオワリなのだろうか?…だとしたら、なんてもったいない!もっと描いてくれ!…いや、描かせてくれ!>ルチル
他の収録作は、正直云うとさほど心惹かれるものはなかったが、タッチがどんどん良くなっていく様が感じられた。絵の上手い人にはありがちの「きっとまた変わるんだろうな」という予感アリ、しかもその可能性大、である。
ここ数年、BLマンガで追っかける新人が出てこないと思っていた私の前に、すうっと現れてくれた期待の新星。長く輝いて欲しい――その星に願いを。
@RECOMMEND@評価:★★★★☆(期待を込めてプラス半星)
どちらかといえば、BLは小説のほうが面白い動向を見せていて、マンガのほうは「新装版は出るが、好みの新人が出てこない」状態だった。なので、やっと好みの新人さんが出てきたという感じ。ここ2年ほど、大洋図書ばかり注目していたからなあ、まさか幻冬舎から暁星が現れるなんて、思ってもみなかったとゆーか、今年はいきなり幻冬舎が来たとゆーか、気がつけば幻冬舎の本をよく手に取っていたとゆーか。そーいえば、南風さんと「年明けから超モンダイ作!」と小騒ぎした、沙野さんのワンコなアレ(…)も幻冬舎。なにげに本棚にはリンクスロマンス増えてるし。……。結果的に目が離せないレーベルが増えてしまった…むむむむむ。
出るのは今年になるのか、そして誰が絵付けをなさるのか、わからないのだけども――柏枝先生がお話された、講談社ホワイトハートから出るという、『厄介な連中』スピンオフ(ハリーが主人公)の絵師は、ぜひとも小石川あおさんで、というリクエストはダメ?…とても合ってると思うんだけど…。
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
■『ゴールデン・アワーズ・ショウ』 山田たまき
ISBN:4576072382 挿絵:榎本 二見書房 2008/01/15 ¥500
「シャレード新人賞期待賞」受賞作。書き手の山田さんは、この作品でシャレード・パール文庫からデビュー。デビュー作掲載号(「シャレード11月号」)が、そのまま廃刊号になってしまったという、いささか気の毒な門出だったけれども、ちゃんとパール文庫から単行本が出て良かったね、うんうん。
ただなあ…ドタバタ系ラブコメディのはずなのに、ラブもドタバタも、いったいどこが盛り上がりなのかわからないまま、ストーリーが終了してしまったような印象がある。
理由は簡単。山田さんの文章は、一文に連体詞と副詞が多いので、ちょっとしたシーンでも仰々しくなりがち、読んでいて疲れてしまう。そして話が単調になれば、文章で身構えた分、肩透かしの度合いも大きくなる。さらに、書き手による解説/実況中継かと思うような誇張/漸層法で綴られていくので、そんなブレスのない、常にクレッシェンドな文章が続けば、読み手はどこが盛り上がりなのか、どこで盛り上がっていいのか、わからなくなってしまう。押してばかりで引くことを知らない、強弱はどこに?…とでもいうか。行間やゆとりを与えられない読み手はツライよ?…こういう文章は、どうしても情感や色気が出にくいので、BLには不向きだと思う。実際、ラブシーンもいつの間にか始まっていて、それを冷めて読んでいる私がいた。でもだから悪いというのではなく、それも個性のひとつだし、たとえばシニカルなギャグを絶妙に挟み込んでくれば、逆に効果的で、コメディ向きといえる文章なんだけど……これがなあ、クスリとも笑えなかった。田舎の高校生の生態など、面白いことを書いているはずなのにね。残念。強弱の付け方が巧みで、なおかつ、読み手と書き手のリズムを考え、面白いコメディを書いてる人がシャレードにはいるじゃない。谷崎泉っていう作家が。う〜む。
いっそのこと、ボーイズラブストーリーではなく、ボーイズストーリーのほうが良かったか。家主がトンデモなら、店子もキョーレツ個性派揃い、そんな奴らに囲まれてあっぷあっぷの毎日な主人公、事件が次から次へと起こってさあ大変!というような。鳴瀬がドラァグクィーンである理由付けが弱く、私に云わせれば至極真っ当な男で、結局、親には逆らえない学生さんだった。ほかの学生もフツー。設定がちょっとハデなだけ、話は「鳴瀬がいなくなって帰ってきたら安斎がホレていた」という、お決まりの内容だったような。面白くなる要素は、いっぱい転がっていたと思うんだけど…。でもパール文庫はページ数が少ないので、いろいろ描き込むには難しいのかもしれない。
山田さんの文章/文体について、難癖つけたようなことを書いたけれど、否定はしない。個性がなくなるほうがイヤだし、いくらでも面白くすることはできるはず、色気や情感だって書き方次第だと思う。修飾を削ってシンプルに――クライマックスはどこで、なにをどう読んでもらいたいのか。そして読み手のブレスを考えてみて。新人さんだから、私は「好みじゃない」と1作で斬り捨てないよ。経験積んで、頑張って書いて下さい。待ってます!
評価:★★☆(とりあえず様子見)
私にとって初パール作品。シャレードHPに「パール文庫はオビもついてます☆」と(嬉しそうに)書かれてあって、「おお!とうとうシャレード系にもオビがついたのね!」と現物を見てみたら、たしかにオビ紙がついていて、パール色に輝いていた。う〜む。ゴールド文庫・シルバー文庫と続く…わけないか。
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。
ISBN:4576072382 挿絵:榎本 二見書房 2008/01/15 ¥500
進学を機に東京で一人暮らしを始めた安斎は、格安物件「経世館」の一員に。家主の鳴瀬は同じ大学の学生で、大物議員の息子でありながら週末はドラァグクィーンのバイトで稼いでいるという変わり種。ショータイムを目の当たりにし度肝を抜かれた上、女装の鳴瀬から濃厚なキスを受けた安斎はそれ以来、気のいいあんちゃんで御曹司で同性しか愛せないという多面体な男に翻弄されることに…。
「シャレード新人賞期待賞」受賞作。書き手の山田さんは、この作品でシャレード・パール文庫からデビュー。デビュー作掲載号(「シャレード11月号」)が、そのまま廃刊号になってしまったという、いささか気の毒な門出だったけれども、ちゃんとパール文庫から単行本が出て良かったね、うんうん。
ただなあ…ドタバタ系ラブコメディのはずなのに、ラブもドタバタも、いったいどこが盛り上がりなのかわからないまま、ストーリーが終了してしまったような印象がある。
理由は簡単。山田さんの文章は、一文に連体詞と副詞が多いので、ちょっとしたシーンでも仰々しくなりがち、読んでいて疲れてしまう。そして話が単調になれば、文章で身構えた分、肩透かしの度合いも大きくなる。さらに、書き手による解説/実況中継かと思うような誇張/漸層法で綴られていくので、そんなブレスのない、常にクレッシェンドな文章が続けば、読み手はどこが盛り上がりなのか、どこで盛り上がっていいのか、わからなくなってしまう。押してばかりで引くことを知らない、強弱はどこに?…とでもいうか。行間やゆとりを与えられない読み手はツライよ?…こういう文章は、どうしても情感や色気が出にくいので、BLには不向きだと思う。実際、ラブシーンもいつの間にか始まっていて、それを冷めて読んでいる私がいた。でもだから悪いというのではなく、それも個性のひとつだし、たとえばシニカルなギャグを絶妙に挟み込んでくれば、逆に効果的で、コメディ向きといえる文章なんだけど……これがなあ、クスリとも笑えなかった。田舎の高校生の生態など、面白いことを書いているはずなのにね。残念。強弱の付け方が巧みで、なおかつ、読み手と書き手のリズムを考え、面白いコメディを書いてる人がシャレードにはいるじゃない。谷崎泉っていう作家が。う〜む。
いっそのこと、ボーイズラブストーリーではなく、ボーイズストーリーのほうが良かったか。家主がトンデモなら、店子もキョーレツ個性派揃い、そんな奴らに囲まれてあっぷあっぷの毎日な主人公、事件が次から次へと起こってさあ大変!というような。鳴瀬がドラァグクィーンである理由付けが弱く、私に云わせれば至極真っ当な男で、結局、親には逆らえない学生さんだった。ほかの学生もフツー。設定がちょっとハデなだけ、話は「鳴瀬がいなくなって帰ってきたら安斎がホレていた」という、お決まりの内容だったような。面白くなる要素は、いっぱい転がっていたと思うんだけど…。でもパール文庫はページ数が少ないので、いろいろ描き込むには難しいのかもしれない。
山田さんの文章/文体について、難癖つけたようなことを書いたけれど、否定はしない。個性がなくなるほうがイヤだし、いくらでも面白くすることはできるはず、色気や情感だって書き方次第だと思う。修飾を削ってシンプルに――クライマックスはどこで、なにをどう読んでもらいたいのか。そして読み手のブレスを考えてみて。新人さんだから、私は「好みじゃない」と1作で斬り捨てないよ。経験積んで、頑張って書いて下さい。待ってます!
評価:★★☆(とりあえず様子見)
私にとって初パール作品。シャレードHPに「パール文庫はオビもついてます☆」と(嬉しそうに)書かれてあって、「おお!とうとうシャレード系にもオビがついたのね!」と現物を見てみたら、たしかにオビ紙がついていて、パール色に輝いていた。う〜む。ゴールド文庫・シルバー文庫と続く…わけないか。
ZERO STARS … 論外/問題外作
★ … お好きな人はどうぞ。
★★ … つまらない。
★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。